二度目の勇者は我が道を行く

眠たいカラス

文字の大きさ
32 / 32

辺境伯領を目指して…③

しおりを挟む
「…っ!ハァハァ…!」

「あ、やばっ…大丈夫か?」

「フゥッ!…スーッ!フゥー!……はい、
大丈夫です。ですが、少し休憩をいただけますか?」

「すまん、加減したつもりだったが…早かったみたいだな…」

返事をする余裕はあまり無いようだ。
入町税を払い町に入る。
町は規模の割に活気がある。
ユウキが町で美味しい食事のできるところを聞くと入ってすぐのところにあるお店を指さした。

「あそこは上手いから食ってみろ」

…だそうだ。
お店に入ると店員がユウキの元に駆け寄り、席へと案内をしてくれる。

「ご注文は決まってますか?」

「いや、だが、走ってきたばかりなので軽めに食事をしたいのだが…」

「かしこまりました。では、サラダはいかがでしょうか?辺境伯領で取れた新鮮な野菜が今日は売られていたので美味しいですよ?」

「では、そうします。お願いできますか?」

「かしこまりました」

サラダを待つ間にラウラに今後の予定を話しておく。
今日はゲートを使用し、向こうの町で宿をとる。
そういうとラウラはコクリと頷いた。
サラダを食べている間に周りの会話を確認しておく。

「今日はネルミス行きの馬車はないんだとよ…」

「山に有名な山賊が住み着いたらしい…」

ゲートがもう少しで…」

もう少しで…という大事なところで聞こえなくなってしまう。

「ん~!美味しい!」

というラウラの声と被ってしまったからだ。思わずユウキはイラッとしてラウラを睨んでしまうが、気付かずに食事を終えたようだ。いや、気づいていたのかもしれないが触れないほうがいいと思って触れなかったのかもしれない。
ユウキは食事を速やかに終えると代金を払いゲートのある場所に向かった。

「無理だ」

その一言はゲートを管理する男から発せられた言葉だった。
あと一歩…遅かったらしい。
ゲートを閉める理由はネルミスという大きな都市が崩壊したということとその原因は排除されたことは知っているが、大きな都市が落とされたときはゲートを閉じるようにという決まりがあるらしい。
すぐに閉まらなかった理由は原因が排除されたと教会より連絡を受けた商業ギルドがそれなら少し時間を伸ばしてくれと言ったことで一日半程の期間が延びたようだが…どうやら、ユウキとラウラは山を越えなければならないようだった。

「ラウラ…まだ走れるか?」

「…走れます」

「そうか…では、走るぞ?」

あっと、その前に…。

「これ飲んどけ」

「これは?」

「俊敏性を上げる魔法のポーション」

「それって…『風吹く魔法薬』…ですか?」

「惜しい…って言っても『風吹く魔法薬』と『星降りの魔法薬』では効果が全然違うんだけどね」

『星降りの魔法薬』とは賢者が精製した魔法薬の1つだ。流れ星のように早くなるという意味でつけたようだが…実際のところは『風吹く魔法薬』の効果が俊敏性を少し…正確には子供から大人程度に上げる効果のため、子供から俊敏性特化のB級冒険者レベルの速さまで持っていくこの魔法薬は流れ星レベルだ…と言っているに過ぎない。本当の流れ星ほどの速さではないということだな。

「『星降りの魔法薬』…こんな貴重なモノ飲めません!」

「飲まないなら置いていくだけだ。ついてきたいなら飲み干してついてこい…ちなみに、それは相当不味いぞ?」

「…え?」

「材料が材料だからな…めっちゃ不味い…」

「ちなみに…材料…いえ、やっぱり聞きません。飲めなくなりそうです」

そう言ってラウラは一気に魔法薬を飲み干した。
ちなみに、材料は…スメルスピードビーンズの絞り汁とスピードビーンズの絞り汁、ユニコーンの睾丸だ。
意地悪賢者のイタズラで効果の同じスピードビーンズとスメルスピードビーンズはほぼ全てがスメルスピードビーンズとなっている。
ユニコーンの睾丸は粉末にされスメルスピードビーンズに混ぜられている。
ちなみに、スピードビーンズはどのくらい入れられているかと言うと…魔法瓶につめたときに下にある匂いが漏れないように…膜が張る程度にしか入れられていない。
本当に性格の悪いヤツだ。
ラウラは隣で悶えていたが…起き上がると口からすごい臭いを発していた。
ユウキは静かに…飲める消臭液を渡し、口の中の臭いをとるように命じた。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

盾の間違った使い方

KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。 まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。 マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。 しかし、当たった次の瞬間。 気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。 周囲は白骨死体だらけ。 慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。 仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。 ここは―― 多分、ボス部屋。 しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。 与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる 【異世界ショッピング】。 一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。 魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、 水一滴すら買えない。 ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。 そんな中、盾だけが違った。 傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。 両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。 盾で殴り 盾で守り 腹が減れば・・・盾で焼く。 フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。 ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。 ――そんなある日。 聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。 盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。 ​【AIの使用について】 本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。 主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。 ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...