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本編
05、推しカプ誕生
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巻き込まれ召喚から三週間がたったある日。書庫で俺は、ルーファスさんからテストを受けていた。
それは、魔力操作テスト。スキルに精密操作があるのに、全然精密操作が出来なかった。
それでもルーファスさん曰く、「初めて魔力を扱うにしては暴走もしないし上手い方。単純に、魔力の無い世界から来たから体が慣れていないだけ。スキルがなかったら暴発してたかも」と言われた。
暴発とか、下手したらラナさんとルーファスさんも巻き込むやつー。あって良かった、精密魔力操作。
テスト内容は聞くだけでも難しそうな、闇魔法の変化魔法で男の体になること。
そう、ルーファスさんは友人なので俺の性別を教えておいたのだ。万が一ってことがあるからね。
ルーファスさんなら誰かに教えることもないだろうし、ぶっちゃけ俺的には性別なんてただの飾りなのでどうでもいい。
ただ、周りから価値観の押し付けと勝手に貼られるレッテルがウザったいので、勘違いしているならそのままの方が都合が良かっただけだから。
ルーファスさんは信頼を裏切らなかった。性別を教えたからといって、特に態度が変わることもなく、普通に接してくれる。
どうやら、病弱で線の細いルーファスさんは、顔立ちも綺麗なので女性と思われることもあるらしい。というか、昔いじめっこに女男とバカにされたらしい。
そのいじめっこはルーファスさんのお兄さん、つまり現王にやり返されたらしいが。よくやった王様。
そう言うことで、性別に対する差別的な考えは皆無だそうだ。なんだろう、やっぱり親近感が湧く。同士よ…。
そんなことを考えつつ、全身をコーティングする感じで魔力を伸ばす。イメージはハッキリ出来てる。見た目をそんなに変えずに、でもちゃんと男に見えるように。
少し時間がかかったが、出来た感じがして目を開ける。あー、なんか景色の色味が違う?男と女の目じゃ、色彩のとらえられる量が違うとかなんとか聞いたことがある。それでか?
「リンドウ様、凄いです!ちゃんと男性に見えますよ!!」
「うん、ちゃんと出来ているね。僕らと違って、他の人には違いがわからないだろう」
おぉ、やった。良かった。ちゃんと成功したらしい。
「でもそれだけじゃあ合格にはいかないね。声帯の方はどうだい?」
「……ぁ…あー。お、低い?かな?この前まで掠れてたから、なんか自分でも違いがわかんないや」
「大丈夫です!ちゃんと低くなってますよ!(少しですが)」
「ラナさん、聞こえてるからね。いいんだよ。いまだに皆俺のこと子供って思ってるから。変えすぎるとむしろ変」
「そうだね。そのぐらいが丁度いいよ。リンドウは格好いいより、少し可愛らしい方が自然だ」
「………もうちょい低くするかな」
「えぇ!勿体無い!!」
ラナさんや、勿体無いってなんですか。
さて、とにもかくにもこれで心配事が一つ減った。ラナさんとルーファスさん以外がいる場所では俺の性別がバレることはなくなった。
便利なもので、変化魔法は一度使えば切るまで魔力消費もなく、変化しっぱなしなのだ。楽でいい。
変化を解く魔法や魔道具を使われない限り、半永久的に変化しっぱなしだ。なんならこのまま解かなくてもいいのだが…
「リンドウ、もう解いていいだろう。素早く変化できるよう、何度も練習するんだよ」
「リンドウ様、そろそろお茶にしましょう。ほら、魔法解いて座ってください」
何故かこの二人が許してくれないのだ。なんでだ。いいじゃんか、別に。解くけどさ。
ラナさんが用意してくれたお茶を、同じテーブルに三人で座って飲む。
本来、この国の客として扱われている俺はともかく、侍女であるラナさんは王弟であるルーファスさんと同じテーブルには座れない。
初めは普通の侍女として、俺の斜め後ろに立っていたのだが、ここは無礼講だというルーファスさんに説き伏せられ、今では自然に席についている。
それでも、毎回同席の許可を貰ってからだが。
それに対して、ラナさんがいない隙を狙ってルーファスさんに聞いたことがある。正直、どう思っているのかを。
「王弟といっても、書庫にいる間は"書庫の亡霊"だからね…もう少し気軽に接して欲しいものだけど…やっぱり、侍女となるとそうもいかないのだろうね。少し、寂しいかな…」
とのこと。あとでラナさんの方にも探りを入れておこう。ルファラナかぁ…どうしよう、推しカプになりそう。オタク魂が疼くぜ。
さて、そんなこんなでこの世界に来てから結構な日数がたったわけですが。
いまだに俺は、ラナさんとルーファスさん以外に会っていない。いや、使用人とすれ違いはするけれど。会話しているのはこの二人だけだ。
というか、部屋と書庫でしか生活していないから、全然外に出ていない。
これは大変ヤバい。いい加減運動しないと、毎食果物生活から抜け出せねぇぞ。いくら部屋と書庫に距離が結構あったとしても、これは散歩の範囲だ。
窓越しで日光を浴びても、外に出て風を感じたい。
あと、思いっきり魔法を使ってみたい。室内じゃやっぱり気をつけなきゃなんないからね。
「「と、言うわけで。ルーファスさん、本日は外で散歩しましょう」」
ラナさんと声を揃えて言うと、ぱちくりと瞬きをする睫毛の長い綺麗な青い目。
「………え?」
困惑する王弟殿下を、不敬上等で書庫から連れ出す。ラナさんには既にこの作戦に了承を貰っている。全責任は俺が取る。
それでは、楽しい楽しい異世界散歩の始まりだぜ!!
それは、魔力操作テスト。スキルに精密操作があるのに、全然精密操作が出来なかった。
それでもルーファスさん曰く、「初めて魔力を扱うにしては暴走もしないし上手い方。単純に、魔力の無い世界から来たから体が慣れていないだけ。スキルがなかったら暴発してたかも」と言われた。
暴発とか、下手したらラナさんとルーファスさんも巻き込むやつー。あって良かった、精密魔力操作。
テスト内容は聞くだけでも難しそうな、闇魔法の変化魔法で男の体になること。
そう、ルーファスさんは友人なので俺の性別を教えておいたのだ。万が一ってことがあるからね。
ルーファスさんなら誰かに教えることもないだろうし、ぶっちゃけ俺的には性別なんてただの飾りなのでどうでもいい。
ただ、周りから価値観の押し付けと勝手に貼られるレッテルがウザったいので、勘違いしているならそのままの方が都合が良かっただけだから。
ルーファスさんは信頼を裏切らなかった。性別を教えたからといって、特に態度が変わることもなく、普通に接してくれる。
どうやら、病弱で線の細いルーファスさんは、顔立ちも綺麗なので女性と思われることもあるらしい。というか、昔いじめっこに女男とバカにされたらしい。
そのいじめっこはルーファスさんのお兄さん、つまり現王にやり返されたらしいが。よくやった王様。
そう言うことで、性別に対する差別的な考えは皆無だそうだ。なんだろう、やっぱり親近感が湧く。同士よ…。
そんなことを考えつつ、全身をコーティングする感じで魔力を伸ばす。イメージはハッキリ出来てる。見た目をそんなに変えずに、でもちゃんと男に見えるように。
少し時間がかかったが、出来た感じがして目を開ける。あー、なんか景色の色味が違う?男と女の目じゃ、色彩のとらえられる量が違うとかなんとか聞いたことがある。それでか?
「リンドウ様、凄いです!ちゃんと男性に見えますよ!!」
「うん、ちゃんと出来ているね。僕らと違って、他の人には違いがわからないだろう」
おぉ、やった。良かった。ちゃんと成功したらしい。
「でもそれだけじゃあ合格にはいかないね。声帯の方はどうだい?」
「……ぁ…あー。お、低い?かな?この前まで掠れてたから、なんか自分でも違いがわかんないや」
「大丈夫です!ちゃんと低くなってますよ!(少しですが)」
「ラナさん、聞こえてるからね。いいんだよ。いまだに皆俺のこと子供って思ってるから。変えすぎるとむしろ変」
「そうだね。そのぐらいが丁度いいよ。リンドウは格好いいより、少し可愛らしい方が自然だ」
「………もうちょい低くするかな」
「えぇ!勿体無い!!」
ラナさんや、勿体無いってなんですか。
さて、とにもかくにもこれで心配事が一つ減った。ラナさんとルーファスさん以外がいる場所では俺の性別がバレることはなくなった。
便利なもので、変化魔法は一度使えば切るまで魔力消費もなく、変化しっぱなしなのだ。楽でいい。
変化を解く魔法や魔道具を使われない限り、半永久的に変化しっぱなしだ。なんならこのまま解かなくてもいいのだが…
「リンドウ、もう解いていいだろう。素早く変化できるよう、何度も練習するんだよ」
「リンドウ様、そろそろお茶にしましょう。ほら、魔法解いて座ってください」
何故かこの二人が許してくれないのだ。なんでだ。いいじゃんか、別に。解くけどさ。
ラナさんが用意してくれたお茶を、同じテーブルに三人で座って飲む。
本来、この国の客として扱われている俺はともかく、侍女であるラナさんは王弟であるルーファスさんと同じテーブルには座れない。
初めは普通の侍女として、俺の斜め後ろに立っていたのだが、ここは無礼講だというルーファスさんに説き伏せられ、今では自然に席についている。
それでも、毎回同席の許可を貰ってからだが。
それに対して、ラナさんがいない隙を狙ってルーファスさんに聞いたことがある。正直、どう思っているのかを。
「王弟といっても、書庫にいる間は"書庫の亡霊"だからね…もう少し気軽に接して欲しいものだけど…やっぱり、侍女となるとそうもいかないのだろうね。少し、寂しいかな…」
とのこと。あとでラナさんの方にも探りを入れておこう。ルファラナかぁ…どうしよう、推しカプになりそう。オタク魂が疼くぜ。
さて、そんなこんなでこの世界に来てから結構な日数がたったわけですが。
いまだに俺は、ラナさんとルーファスさん以外に会っていない。いや、使用人とすれ違いはするけれど。会話しているのはこの二人だけだ。
というか、部屋と書庫でしか生活していないから、全然外に出ていない。
これは大変ヤバい。いい加減運動しないと、毎食果物生活から抜け出せねぇぞ。いくら部屋と書庫に距離が結構あったとしても、これは散歩の範囲だ。
窓越しで日光を浴びても、外に出て風を感じたい。
あと、思いっきり魔法を使ってみたい。室内じゃやっぱり気をつけなきゃなんないからね。
「「と、言うわけで。ルーファスさん、本日は外で散歩しましょう」」
ラナさんと声を揃えて言うと、ぱちくりと瞬きをする睫毛の長い綺麗な青い目。
「………え?」
困惑する王弟殿下を、不敬上等で書庫から連れ出す。ラナさんには既にこの作戦に了承を貰っている。全責任は俺が取る。
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