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四章 ホワイトコードの叛逆
七
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驚き呆れている間にも、ドリウスの速さはさらに増していく。彼の周囲に発生している磁場から脳波形を戦闘の合間に読み取ったミュウは、アンドロイドとここまで戦う性能を持ち合わせる彼が何なのかを、ここに至ってようやく看破した。
「……あなた、ウォルター・バレットに改造されたんですね。その脳、不完全ではあるが、大部分がシンカナウスのアンドロイドの頭脳体と同じだ。ほぼ人間由来のアンドロイドというわけですか」
「正確にはエントお得意の機械化人間だがなぁ! 何で分かった!? やっぱテメェ、とんでもねぇな! 俺が見込んだとおりの奴だ!」
ドリウスは破顔する。間違いなく、戦闘狂いの狂人だ。
『……っ、あいつ、何て速度での高速戦闘だ……! 人間の限界を超えてるぞ!』
『だが、今なら、シュタウツァーが抑えてくれている! 通過できるかもしれんぞ』
「――、」
聞こえた通信に意識を向けていると、正面から大声が飛ぶ。
「よそ見禁止だぁ! テメェの相手は俺だろぉが!」
(っと!)
砲撃レベルの拳を毛一本ほどの差で避けると、相手の前腕をつかむ。掌の表皮シートが摩擦でジュッと溶けて剥けたが――。
(必要経費か、仕方がない)
あとであちこちからくすね、いや貯めておいた資材を使おう、と薄い思考で考える。
「……、今は――」
「――ぉっ、ん? んぉおおおおおおおおおおおおおお!?」
勢いその場で数十回高速スピンをし、スピードを殺したあげく。
「――あなたの相手をしている、場合ではないのです!」
ドリウスの巨体を海面へ叩き落とした。磁場操作でさらに加速度を増してやれば、予想以上の落下速度にドリウスの目が剥かれた。
「ォァアアアアアアアアアア――グバァッ!?」
ドッ――パァン、と。派手な衝突音と数十メートルにも及ぶ水しぶきが上がる。
撃破したとは思っていない。まだ数秒は沈んでいるだろう、とミュウは海中に注意を払いつつも、頭上を通過しようとしている艦隊と、その後ろの巨大機兵たちを見上げた。
『――それ以上進むと、迎撃しますが、よろしいですか』
『!? 誰だ!? こちらの通信に割り込んだのは――いや、待て。まさか』
恐れる相手の戦艦の前に飛び上がると、ミュウは据わった目で、戦艦についている小さなカメラのレンズを見据えた。
『はい、私です。僭越ながら暗号を解析させていただきました』
『な――、っ、たかだか、アンドロイド一体に何ができる!』
悪くはない指揮官のようだった。動揺をすぐに抑え、モニター越しにミュウを睨みつけてくるのを情報(エーテル)界から感知する。
その強がりへの返礼として、先ほどから滞空していた戦闘機のうち一機に、前触れなくプラズマ球を宙に出現させてぶつけた。出力が数倍以上に上がっているからできる芸当だ。前なら効率が悪すぎて使えなかっただろう。
どろりと溶けて鉄の塊になったものをいくつかに分け、これ見よがしに鉄つぶてとして自分の周りに滞空させると、相手方が絶句する気配がした。流れ星とやらの由縁を思い出したらしい。
そして――海上に飛び出そうとしてきたドリウスには水越しに電磁加速砲を一発叩きつけ、水圧で再び海中深くへ沈めた。おそらく直接当たっていないから、また数秒ぐらいしか時間稼ぎはできないだろう。だがそれで十分だ。
『警告はしました。そして、何ができると申しませば、私が成したのは通報と時間稼ぎです』
『――何』
『こちらはあなた方が大攻勢に出るまでの我慢が思っていたより短かったので、イヤイヤながら出てきました。本当ならもう少しじっとしていたかったのですが……』
その時、ミュウの後方から光が閃き、ドッ、と光の雨が降り注いだ。
『艦長! シンカナウスの防空システムに補足されました! あのアンドロイドがマーキングしたものと思われます!』
『次いで報告! 前方に複数反応を検知! シンカナウス軍です!』
『!』
「……あなた、ウォルター・バレットに改造されたんですね。その脳、不完全ではあるが、大部分がシンカナウスのアンドロイドの頭脳体と同じだ。ほぼ人間由来のアンドロイドというわけですか」
「正確にはエントお得意の機械化人間だがなぁ! 何で分かった!? やっぱテメェ、とんでもねぇな! 俺が見込んだとおりの奴だ!」
ドリウスは破顔する。間違いなく、戦闘狂いの狂人だ。
『……っ、あいつ、何て速度での高速戦闘だ……! 人間の限界を超えてるぞ!』
『だが、今なら、シュタウツァーが抑えてくれている! 通過できるかもしれんぞ』
「――、」
聞こえた通信に意識を向けていると、正面から大声が飛ぶ。
「よそ見禁止だぁ! テメェの相手は俺だろぉが!」
(っと!)
砲撃レベルの拳を毛一本ほどの差で避けると、相手の前腕をつかむ。掌の表皮シートが摩擦でジュッと溶けて剥けたが――。
(必要経費か、仕方がない)
あとであちこちからくすね、いや貯めておいた資材を使おう、と薄い思考で考える。
「……、今は――」
「――ぉっ、ん? んぉおおおおおおおおおおおおおお!?」
勢いその場で数十回高速スピンをし、スピードを殺したあげく。
「――あなたの相手をしている、場合ではないのです!」
ドリウスの巨体を海面へ叩き落とした。磁場操作でさらに加速度を増してやれば、予想以上の落下速度にドリウスの目が剥かれた。
「ォァアアアアアアアアアア――グバァッ!?」
ドッ――パァン、と。派手な衝突音と数十メートルにも及ぶ水しぶきが上がる。
撃破したとは思っていない。まだ数秒は沈んでいるだろう、とミュウは海中に注意を払いつつも、頭上を通過しようとしている艦隊と、その後ろの巨大機兵たちを見上げた。
『――それ以上進むと、迎撃しますが、よろしいですか』
『!? 誰だ!? こちらの通信に割り込んだのは――いや、待て。まさか』
恐れる相手の戦艦の前に飛び上がると、ミュウは据わった目で、戦艦についている小さなカメラのレンズを見据えた。
『はい、私です。僭越ながら暗号を解析させていただきました』
『な――、っ、たかだか、アンドロイド一体に何ができる!』
悪くはない指揮官のようだった。動揺をすぐに抑え、モニター越しにミュウを睨みつけてくるのを情報(エーテル)界から感知する。
その強がりへの返礼として、先ほどから滞空していた戦闘機のうち一機に、前触れなくプラズマ球を宙に出現させてぶつけた。出力が数倍以上に上がっているからできる芸当だ。前なら効率が悪すぎて使えなかっただろう。
どろりと溶けて鉄の塊になったものをいくつかに分け、これ見よがしに鉄つぶてとして自分の周りに滞空させると、相手方が絶句する気配がした。流れ星とやらの由縁を思い出したらしい。
そして――海上に飛び出そうとしてきたドリウスには水越しに電磁加速砲を一発叩きつけ、水圧で再び海中深くへ沈めた。おそらく直接当たっていないから、また数秒ぐらいしか時間稼ぎはできないだろう。だがそれで十分だ。
『警告はしました。そして、何ができると申しませば、私が成したのは通報と時間稼ぎです』
『――何』
『こちらはあなた方が大攻勢に出るまでの我慢が思っていたより短かったので、イヤイヤながら出てきました。本当ならもう少しじっとしていたかったのですが……』
その時、ミュウの後方から光が閃き、ドッ、と光の雨が降り注いだ。
『艦長! シンカナウスの防空システムに補足されました! あのアンドロイドがマーキングしたものと思われます!』
『次いで報告! 前方に複数反応を検知! シンカナウス軍です!』
『!』
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