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14. ハナの思いとカナの裸婦
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(ハナの思いと純子の裸婦)
お姉さんとの長い電話を切って、一人、誰もいない店を見回した。
俯いた私の寂しそうな裸婦……
私は席を代えて、私の裸婦の前に座った。
この絵の素晴らしところは、見ている時の心が、この絵の表情になる。
今、裸婦の少女は、寂しく、恋しく、まだ、めぐり逢えない男を思って沈んでいる。
私の心だ……
それとも、お姉さんの恋人は私だと思っていたのに、彼氏が現れたことの寂しさなのか……
「お姉さんにも男がいたのか……」と、独り言。
ちょっと羨ましいな……
明日は土曜日だ……、朝、勉が来る……
「ちょっと喜ばせてやろうかな……」
そう思って、裸婦の少女を見ると、彼女は悪戯顔で微笑んで、男を誘って俯いている様に見えた。
私は、二階に上がり、ハナちゃんの裸婦を納戸から出して、店の壁の、私の裸婦の横に掛けた。
勉が来たら、二枚の裸の絵に驚くかなと、想像してほくそ笑んだ。
「いい絵ねー、……」
その声に驚いて振り返った。
「カナはいる。じゃない、純子はいる……」
いつの間に入って来たのか、その気配の無さに驚いたが……
「お姉さんは、山登りに行っています。私が留守番で泊まっているんです」
「知っているわ……」
「お姉さんに頼まれたんですか? 私一人では心配だから……」
この人、どこかで逢ったことがある。
そう思って、頭の中をひっくり返す。
「えー、……」
私は、もう一度、ハナちゃんの裸婦を見た。
「……、ハナちゃんですか?」
「そう、いい絵でしょうー、……、純子が描いたのよ」
「すみません、許可なく店に出して、まだ誰にも見せてないですから、本当に今、掛けたばかりですから……」
「いいわよー、店に出しても、サリーちゃんの裸婦の横に掛けてね、……」
「本当ですか……、でも、どうして私の裸婦って分かるんですか?」
「だってよく似ているじゃない……」
「そうだけど……」
「サリーちゃんだって、私の裸婦を見て、私って分かったでしょう」
「そうだけど……」
「二枚とも、本当にいい絵ねー」
「……、私もそう思います」
「今夜、泊めてもらっていいかしら……」
「でも、お客さん用の布団、何処にあるかわからないし……」
「そんなの要らないわ。一緒のベッドで、一緒に寝ましょう。カナのときと同じように……」
「えー、……」
そうだった。ハナちゃんとお姉さんは愛し合っていたんだ。
私は、ハナちゃんと一緒に二階に上がった。
ハナちゃんは、部屋に入るなり、唐突にも着ている服を全部脱ぎ捨てた。
「これが、私たちのルールなのよ。部屋にいる時は、裸でいること……、サリーちゃんも服、脱いで……、私、脱がしてあげましょうか?」
「えー、……、そんな……」
「そうよねー、人前で裸になるのは恥ずかしいわよねー、でも脱がされるのは大丈夫よね。ただ、なされるままにじっとしていればいいのだから……」
私は、ハナちゃんのなすがままに裸にされた。
「奇麗ねー、若いっていいわねー、……」
ハナちゃんは、私を抱きしめ、肩に頬を付けて、背中をゆっくり撫ぜてくれた。
でも、彼女の体は、お姉さんと違って冷たかった。
「あなたの髪も猫毛ね……、純子の好きなタイプね」
「でも、部屋でずーと裸だと冷えて寒くないですか?」
「よく知っているわねー、貴女も同じことをしていたのね」
「いえ、私は絵のモデルだけですから……」
「うそー、抱き合って寝たでしょう……」
「少しだけ……」
「多分、クローゼットにショート丈のワンピースパジャマが何枚か入っているわー、体が冷えたら、それを裸のまま着るのよ。着たり脱がしたり、それも肌に感じて楽しいわよ」
ハナちゃんは、クローゼットからワンピースのパジャマを一枚出して、私に着せてくれた。
「さー、始めましょう!」
「何をやるんですか?」
「もちろん、絵を描くのよ、私、モデルやってあげるから……」
ハナちゃんは、いつも私が立っているところに立った。
「どんなポーズがいい……、あの絵のようにこんな感じ……」
ハナちゃんは、無造作に右手を少し上げて、左手は誰かと手を繋ぐように斜めに伸ばした。
そして、はにかむように笑っている
真っ白なハナちゃんの体が眩しく見えた。
私は、あの絵のようにキャンバスの三分の二程度に裸婦を入れた。
「話してもいいですか?」
「もちろん、いいわよー」
「お姉さんのこと、カナって呼んでいたんですか?」
「そう、私のことは、ハナ、純子はカナ……」
「カタリーナのカナですねー」
「カタリーナって言いづらいじゃない。純子でいいじゃないって言ったら、個人情報だからっていうのよ。しょうがないから、カナに縮めたのよ」
「一緒に暮らしていたんですか?」
「暮らしたかったけどね……、お互い大学には実家から通っていたし、チャンスはなかったわー、でも、週末とか連休とか、お泊まり旅行とか、二人で一緒にいられるときは、一緒に過ごしたわ、楽しかった……」
「どんなことしていたの?」
「今のサリーちゃんと、カナと同じこと……」
それだけ言うと、ハナちゃんは、私の背中に回り、背中から私の胸を両手で掴んで撫でまわした。
「なかなか上手ねー」
ハナちゃんは、私の描きかけの絵を見て言った。
でも、撫でまわす手は止まっていなかった。
「お姉さんには言わなかったけど、中学のとき美術部で少し絵を描いていました。でも、高校になって、お店、手伝うようになって、部活動には参加していませんが……」
「そう、私は、ずーと絵を描いていたわ。絵を描くことしかできなかったから……、大学に入って、カナと出会い、あの健康美を見てから、彼女の裸婦を描きたいと思ったのよ。私とはぜんぜん違う日に焼けた美しい体……、裸にしたいと思ったの……」
「お姉さんは、中学も高校も陸上部だったから、屋外で運動していたから、体も締まっていて、当時は奇麗だったでしょうね……、今は、ぐーたらしているから、脂肪が付きすぎよねー」
彼女は突然、私から離れて納戸に入って行った。
それで持ってきたのが、お姉さんの全身像の裸婦だった。
「えー、ハナちゃんの裸婦と同じ構図……」
「そうなの、一緒に並べると組作品になるのよ。私たちの体は、日に日に年老いていくけど、絵の中の私たちは永遠に変わらないの、その愛もね……。それで、私はカナの裸婦をもらって、カナは私の裸婦を持って行ったの……」
「ペア―ペンダントみたいですね。でも、どうしてお姉さんの裸婦がここにあるんですか?」
「……、どうしてでしょうねー」
ハナちゃんは、笑いながら、私のパジャマの裾をめくり上げてきた。
「ちょっと待って、パレットと筆をおくから……」
パレットと筆をおくと、そのままパジャマを頭から脱がされてしまった。
「来て、来てー、……」
ハナちゃんは、私の腕を引っ張って、ベッドの上に仰向けに寝かした。
「ハナちゃん、怖いわ……」
「怖いわけないでしょう、女同士、何をやっても赤ちゃんなんかできないんだから、本当に怖いのは、男と寝るときよ……」
「そうだけど……」
「ゆっくり、楽しみましょう……、カナが帰ってきたら三人でも寝ましょうね」
「三人で、……」
「きっと凄いわよー、私もまだ経験がないから……」
「ハナちゃんって、積極的ですねー」
「そうよ、何事も積極的に、前向きで、人生は一度しかないんだから……、人生に遠慮しちゃー、駄目よ!」
「あの時も、初対面のカナに、いきなりお願いしたのよ。貴女の裸婦が描きたいって……」
「初対面だったんですか?」
「そう、教室では同じだったけどねー、話したことはなかったから……」
「断られても、もともとだから……、でも彼女、私も裸ならいいわって言ってくれたのよ。それが始まり……」
「その頃からお姉さん、女の人が好きだったんですね。今は男を追いかけてますけどね……」
「そんなことはないわよ。今は、貴女に夢中よー」
「そうかしら、……」
「何やっているのよ! あんた、裸で、……」
私は、その声に驚いて目を覚ました。
母が起こしに来たのだ。
「さっさと、支度しなさい。店開けるわよ!」
「もう、こんな時間……」
ハナちゃんは、いなかった。
私が良く寝ていたので、そっと帰ったんだろう……
もう一つのイーゼルには、お姉さんの裸婦が掛かったまんまだった。
「……、組作って言っていたから、この絵も掛けちゃおうかな……」
でも、裸婦ばっかり掛けていたら、風俗店に間違われそうね……
私は急いで着替えてお店に下りた。
お姉さんとの長い電話を切って、一人、誰もいない店を見回した。
俯いた私の寂しそうな裸婦……
私は席を代えて、私の裸婦の前に座った。
この絵の素晴らしところは、見ている時の心が、この絵の表情になる。
今、裸婦の少女は、寂しく、恋しく、まだ、めぐり逢えない男を思って沈んでいる。
私の心だ……
それとも、お姉さんの恋人は私だと思っていたのに、彼氏が現れたことの寂しさなのか……
「お姉さんにも男がいたのか……」と、独り言。
ちょっと羨ましいな……
明日は土曜日だ……、朝、勉が来る……
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そう思って、裸婦の少女を見ると、彼女は悪戯顔で微笑んで、男を誘って俯いている様に見えた。
私は、二階に上がり、ハナちゃんの裸婦を納戸から出して、店の壁の、私の裸婦の横に掛けた。
勉が来たら、二枚の裸の絵に驚くかなと、想像してほくそ笑んだ。
「いい絵ねー、……」
その声に驚いて振り返った。
「カナはいる。じゃない、純子はいる……」
いつの間に入って来たのか、その気配の無さに驚いたが……
「お姉さんは、山登りに行っています。私が留守番で泊まっているんです」
「知っているわ……」
「お姉さんに頼まれたんですか? 私一人では心配だから……」
この人、どこかで逢ったことがある。
そう思って、頭の中をひっくり返す。
「えー、……」
私は、もう一度、ハナちゃんの裸婦を見た。
「……、ハナちゃんですか?」
「そう、いい絵でしょうー、……、純子が描いたのよ」
「すみません、許可なく店に出して、まだ誰にも見せてないですから、本当に今、掛けたばかりですから……」
「いいわよー、店に出しても、サリーちゃんの裸婦の横に掛けてね、……」
「本当ですか……、でも、どうして私の裸婦って分かるんですか?」
「だってよく似ているじゃない……」
「そうだけど……」
「サリーちゃんだって、私の裸婦を見て、私って分かったでしょう」
「そうだけど……」
「二枚とも、本当にいい絵ねー」
「……、私もそう思います」
「今夜、泊めてもらっていいかしら……」
「でも、お客さん用の布団、何処にあるかわからないし……」
「そんなの要らないわ。一緒のベッドで、一緒に寝ましょう。カナのときと同じように……」
「えー、……」
そうだった。ハナちゃんとお姉さんは愛し合っていたんだ。
私は、ハナちゃんと一緒に二階に上がった。
ハナちゃんは、部屋に入るなり、唐突にも着ている服を全部脱ぎ捨てた。
「これが、私たちのルールなのよ。部屋にいる時は、裸でいること……、サリーちゃんも服、脱いで……、私、脱がしてあげましょうか?」
「えー、……、そんな……」
「そうよねー、人前で裸になるのは恥ずかしいわよねー、でも脱がされるのは大丈夫よね。ただ、なされるままにじっとしていればいいのだから……」
私は、ハナちゃんのなすがままに裸にされた。
「奇麗ねー、若いっていいわねー、……」
ハナちゃんは、私を抱きしめ、肩に頬を付けて、背中をゆっくり撫ぜてくれた。
でも、彼女の体は、お姉さんと違って冷たかった。
「あなたの髪も猫毛ね……、純子の好きなタイプね」
「でも、部屋でずーと裸だと冷えて寒くないですか?」
「よく知っているわねー、貴女も同じことをしていたのね」
「いえ、私は絵のモデルだけですから……」
「うそー、抱き合って寝たでしょう……」
「少しだけ……」
「多分、クローゼットにショート丈のワンピースパジャマが何枚か入っているわー、体が冷えたら、それを裸のまま着るのよ。着たり脱がしたり、それも肌に感じて楽しいわよ」
ハナちゃんは、クローゼットからワンピースのパジャマを一枚出して、私に着せてくれた。
「さー、始めましょう!」
「何をやるんですか?」
「もちろん、絵を描くのよ、私、モデルやってあげるから……」
ハナちゃんは、いつも私が立っているところに立った。
「どんなポーズがいい……、あの絵のようにこんな感じ……」
ハナちゃんは、無造作に右手を少し上げて、左手は誰かと手を繋ぐように斜めに伸ばした。
そして、はにかむように笑っている
真っ白なハナちゃんの体が眩しく見えた。
私は、あの絵のようにキャンバスの三分の二程度に裸婦を入れた。
「話してもいいですか?」
「もちろん、いいわよー」
「お姉さんのこと、カナって呼んでいたんですか?」
「そう、私のことは、ハナ、純子はカナ……」
「カタリーナのカナですねー」
「カタリーナって言いづらいじゃない。純子でいいじゃないって言ったら、個人情報だからっていうのよ。しょうがないから、カナに縮めたのよ」
「一緒に暮らしていたんですか?」
「暮らしたかったけどね……、お互い大学には実家から通っていたし、チャンスはなかったわー、でも、週末とか連休とか、お泊まり旅行とか、二人で一緒にいられるときは、一緒に過ごしたわ、楽しかった……」
「どんなことしていたの?」
「今のサリーちゃんと、カナと同じこと……」
それだけ言うと、ハナちゃんは、私の背中に回り、背中から私の胸を両手で掴んで撫でまわした。
「なかなか上手ねー」
ハナちゃんは、私の描きかけの絵を見て言った。
でも、撫でまわす手は止まっていなかった。
「お姉さんには言わなかったけど、中学のとき美術部で少し絵を描いていました。でも、高校になって、お店、手伝うようになって、部活動には参加していませんが……」
「そう、私は、ずーと絵を描いていたわ。絵を描くことしかできなかったから……、大学に入って、カナと出会い、あの健康美を見てから、彼女の裸婦を描きたいと思ったのよ。私とはぜんぜん違う日に焼けた美しい体……、裸にしたいと思ったの……」
「お姉さんは、中学も高校も陸上部だったから、屋外で運動していたから、体も締まっていて、当時は奇麗だったでしょうね……、今は、ぐーたらしているから、脂肪が付きすぎよねー」
彼女は突然、私から離れて納戸に入って行った。
それで持ってきたのが、お姉さんの全身像の裸婦だった。
「えー、ハナちゃんの裸婦と同じ構図……」
「そうなの、一緒に並べると組作品になるのよ。私たちの体は、日に日に年老いていくけど、絵の中の私たちは永遠に変わらないの、その愛もね……。それで、私はカナの裸婦をもらって、カナは私の裸婦を持って行ったの……」
「ペア―ペンダントみたいですね。でも、どうしてお姉さんの裸婦がここにあるんですか?」
「……、どうしてでしょうねー」
ハナちゃんは、笑いながら、私のパジャマの裾をめくり上げてきた。
「ちょっと待って、パレットと筆をおくから……」
パレットと筆をおくと、そのままパジャマを頭から脱がされてしまった。
「来て、来てー、……」
ハナちゃんは、私の腕を引っ張って、ベッドの上に仰向けに寝かした。
「ハナちゃん、怖いわ……」
「怖いわけないでしょう、女同士、何をやっても赤ちゃんなんかできないんだから、本当に怖いのは、男と寝るときよ……」
「そうだけど……」
「ゆっくり、楽しみましょう……、カナが帰ってきたら三人でも寝ましょうね」
「三人で、……」
「きっと凄いわよー、私もまだ経験がないから……」
「ハナちゃんって、積極的ですねー」
「そうよ、何事も積極的に、前向きで、人生は一度しかないんだから……、人生に遠慮しちゃー、駄目よ!」
「あの時も、初対面のカナに、いきなりお願いしたのよ。貴女の裸婦が描きたいって……」
「初対面だったんですか?」
「そう、教室では同じだったけどねー、話したことはなかったから……」
「断られても、もともとだから……、でも彼女、私も裸ならいいわって言ってくれたのよ。それが始まり……」
「その頃からお姉さん、女の人が好きだったんですね。今は男を追いかけてますけどね……」
「そんなことはないわよ。今は、貴女に夢中よー」
「そうかしら、……」
「何やっているのよ! あんた、裸で、……」
私は、その声に驚いて目を覚ました。
母が起こしに来たのだ。
「さっさと、支度しなさい。店開けるわよ!」
「もう、こんな時間……」
ハナちゃんは、いなかった。
私が良く寝ていたので、そっと帰ったんだろう……
もう一つのイーゼルには、お姉さんの裸婦が掛かったまんまだった。
「……、組作って言っていたから、この絵も掛けちゃおうかな……」
でも、裸婦ばっかり掛けていたら、風俗店に間違われそうね……
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