雪ん子うさぎ

マッシ

文字の大きさ
30 / 41

30. 雪子の家でお泊まり会

しおりを挟む
(雪子の家でお泊り会)

「山小屋の個室、予約できたの?」
 真理子は、早速布団を曳きながら雪子に訊いた。
「予約したって、お雪が言っていたわー」
「お雪って誰……?」
 真理子は、まだその名前を知らなかった。
「牡丹雪の雪女よー、まだ言ってなかったかなー? 夏の山のとき、霧の中から、あなた達を助けたのが、お雪よ……」
「……、あの赤い傘の人、雪女なの……? なにそれ、本当に大丈夫なの?」
「もちろんよー、誰に頼むよりも確かよ……」
「それならいいけど……」

 大野家では昔、民宿も営んでいたので、部屋はたくさん空いていた。
 雪子は、普段は一階の鈴子と同じ部屋で寝起きをしていた。
 でも、今日は二階の空いている部屋の一つで、真理子とお泊り会だ。
 そして、武の部屋は隣にあった。
「武さんも行くって言ったの?」
 真理子は、このたくらみに武も巻き込んでいた。
「しぶしぶ、承知したみたいだけど……、山の準備を隠れてしていたから大丈夫よ!」
「じゃー、今日は早く寝ましょう。明日、暗いうちから出発だから……」
「あら、おっぱいしゃぶらなくていいの?」
「バカ、……、でも、少しだけね。よく眠れるから……」
「赤ちゃんね……」
 そう言って、二人は枕を並べて、布団の中に入った。
「あーん、気持ちいいわー、股は駄目よー、股は……」
 その声は、武の部屋まで聞こえていた。

 翌朝、まだ暗いうちから三人は、こっそりと家を出た。
 七月の夏休み最初の日に来たときには、太陽が高く登ってバスターミナルも、普通に見えた。
 でも、九月も終わりに近づくと、今日はまだ真っ暗な中に、ライトに照らし出されて、明るく浮きあがっている様に見えた。
「お母さん、携帯電話に出ない、まだ夢の中よ……」
「誠さんも、出ないわ……、多分、仕事よ!」
 真理子の計画は、三人で夏休みの始めに行った山小屋に、もう一度行って、加代と誠に、迎えに来てもらうというたくらみだった。
「山小屋って、前払いでしょう。わたし、お金、無いわよ……」
 雪子の心配そうな顔。
「自分が泊まれるくらいなら、持って来た……」と武。
「あたしは、たくさん持っているわよ。お父さんから奪い取って来たから……」
「じゃー、安心ね!」と、雪子は嬉しそう……
「でも、予約したのは五人だから、もし来なかったらどうしよう。怪しまれるわー」
「じゃー、これもお雪に頼みましょう。連れてきてもらうわー」
「……、できるのー?」
「多分……」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

最後の女

蒲公英
恋愛
若すぎる妻を娶ったおっさんと、おっさんに嫁いだ若すぎる妻。夫婦らしくなるまでを、あれこれと。

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...