俺「重課金疲れた……」ギルメン「俺さんすごい! 次のイベントもお願いします!」

道楽時計

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第八話 妬みと課金と

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俺「次のイベント……これまでにない規模のギルド戦だ。なんとしても勝ちてぇ」 
俺「それにレベルキャップも解放された! 置いていかれたくねぇよ!」 
俺「持ってるひと通りの武器に守護霊も憑りつかせときてぇ! ペットドラゴンにも最高級の餌しか喰わせたくねぇ!」 
俺「足りねぇよ……金が全然足りねぇんだよ!」 

俺「散々勝手な教育論押し付けてきて……俺が駄目になったら金だけ渡してサヨウナラしといて……夢に母さんが出てきただぁ? 今更いい親父ぶられても困るんだよぉ……俺の世界はもう、ネトゲなんだよぉ……ここしかねぇんだよ……」 
俺「もう俺の居場所を壊さないでくれよ……なんなんだよクソ……」 

俺「金貸してくれる友人もいねぇっつーの。高校の頃の知人に電話する勇気もないし、借金して親父に泣きつくか? いや、それも……」 
俺「女……そうだ! 女なら、女なら貸してくれるはずだ!」 


◆◆


俺(多目に伝えよう。俺が自由にできる額の倍を考えても、全然足りない) 
俺「今回は、~円使おうと思う。半額振り込みを頼む」 

女「そ、そんなにっすか!? 確かにイベントが近いっすけど……それは、ちょっと」 

俺「な、頼む! お願いだ!」バッ 

女「ちょ、ちょっと考えさせてほしいっす……」 

俺「なんだよ、約束を破るのか! お前まで俺を裏切るのかよ! お前だけは信じさせてくれるって思ってたのによ!」 
俺「やっぱり、やっぱり全部嘘だったんだな! お前も結局、俺の課金が目当てだったんだ!」 

女「そうじゃ……そうじゃないっす! でも……」 

俺「迷うってことはできるんだろ? 選択肢があるんだろ? その上で金払うのが嫌で俺を裏切るんだろうが! 何が違うんだよ!」 

女「どうして……どうして、こんなに尽くしてもわかってくれないんっすか……」 

俺「自分から言い出したこと破ろうとしてんのはお前だろ! 何がどうしてだ!」 

女「……」

俺「頼れるの……女だけなんだよ。頼む、俺の世界を守ってくれよ……」 
俺「俺はお前だけは、疑いなくないんだよ……」 

女「俺さん……」 
女「わかったっす。その額、大丈夫っす」 

俺「本当か! ありがとう、女!」ギュッ 

女「え、えへへへへ……。これくらい、俺さんのためだったらどーってことないっすよ! 全部ウチに任せてほしいっす!」 

俺「その……できれば、○日までに……」 

女「任せてください! 明日には振り込んどくっす! 一緒に、ウチのギルドを最強にしましょう!」 


◆◆


女「エヘヘへへ……俺さん! 今日は一緒に、街でも歩かないっすか?」 
女「最近なかなか市場を確認できてなかったから、相場とか……新武器とか、その辺の説明頼みたいっす」 

俺「ああ、行くか」 

女忍者「さすが女殿、また俺殿にたかる気でござるな」 

女「…………」 

俺「お、お前何言うんだよ!」 

女忍者「それしかないでござろう。なーにが、相場でござるか。ギルマス殿の旧友だからとコネ入団した身で、ズウズウしいのだと言っているのでござる」 
女忍者「えらく大切にしているようでござるが……ひょっとして、オフで会われたのでござるか?」 

俺「テメェ……」 

女「お、俺さん、行きましょう? ウチ、気にしてないっすから!」 

女忍者「気にしていない! 流石、低レベルで半放置の癖にコネで入って、強課金者からアイテムをたかろうとする人は違いますなぁ!」 


◆◆


俺「本当に……すまないな。お前ばっかり、こんな……」 

女「あんなの、どーってこないっすよ!」 

俺「……でも、最近女モンクと二人きりで喋ってるところもみないぞ。ギクシャクしてるんじゃあないのか?」 
俺「大事なリア友なんじゃあ……」 

女「あははは、いいんっすよ。ウチ、もうリアルは捨てましたっすから!」グッ 

俺「なんで……そこまで……」 

女「俺さんも、ウチと一緒っすよね?」 

俺「…………」 

女「俺さんだけわかってくれるなら、ウチはそれで満足っす!」 

父『最低限生活のできる分は送る。アルバイトからでいい、始めてくれ。何か建設的なやりたいことがあるのなら、父さんはそれを全力で支援する。今度、お前の下宿先に行くから父さんと話をしよう』 

俺「あ、ああ……俺も、お前と一緒だよ」 
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