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第十話 結婚
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俺(悪いな女……これは、売らさせてもらうぞ)
俺(このゲームでは結婚したら、複合詠唱や共同コンボなんてものまで手に入る)
俺(このレベル差で結婚システムなんか使ったら、今度こそギルド内に女の居場所がなくなってしまう)
俺「実はソロで時計塔に潜ったとき、こんなものをドロップしたんだ」
男獣戦士「ソロで潜ったぁ? 水臭いな、俺を誘ってくれればよかったのに」
女騎士「それは……まさか、ウェディングドレスの最後の素材か!?」
女「へへん!」
男獣戦士(なんでこいつが得意気なんだよ……うせぇな)
俺「ああ、そうだ。それでこれとドロップ情報の扱いを相談したくてな」
女騎士「無論、ドロップ情報はギルド外持ち出し禁止だ!」
女騎士「夫婦複合詠唱があれば、次のギルド戦を制することができるかもしれん!」
女騎士「このタイミングで出したのは、運営の戦略だ。大規模ギルド戦で結果を残させてから、課金アイテムとして純白の布を売るつもりなんだろう。となれば、今回の作戦の中心とするべきだ!」
女「……!」ソワソワ
俺「え……ど、どうだろうな。式は金曜日限定みたいだし……熟練度的にも実践レベルに持っていくのは厳しくないか? 何より、不確定事項が多すぎる」
女騎士「間に合わせるのだ! 充分試す価値はあるはずだ! ギルマスにも相談しよう!」
◆◆
女モンク「なるほどな、情報不足感は否めないが……我々のギルドで使うべきだろう」
女モンク「ある、というだけで大きな牽制にもなる。マイナスに働くことはまずない」
女モンク「異論があるものは? いないな」
女モンク「問題は、誰と誰が使うかだ」
女「お、俺さんとウチが……」
俺「能力面で考えれば、男獣戦士と女モンクでいいんじゃあないのか。共同コンボは近接型のこの二人で押した方が効果があるはずだ」
女「…………」
男獣戦士「お、俺がギルマスと結婚すんのか? な……なんか照れるっつーかよ……」
男商人「たかがゲームやで、なに赤こうなっとんねん」
女「たかがゲームじゃ……ないっす。ウチは、ウチには……なのに、なんで……」
男商人「あ? 何か言うたか?」
俺「こ、この組み合わせでいいと思うんだがどうだろうか! 女モンクが言ったように、派手ささえあれば相手の気も引けるし、動揺も誘える!」
女モンク「しかし、ここは手に入れた俺殿が使うべきであろう」
俺「え? い、いやでも共同コンボ……」
女モンク「結局のところ、不確定要素が大きいから細かいところは机上の空論だ。それならば入手者が使うべきであろう」
男商人「振られたな男獣戦士はん。陰でえらい喜んではったのに」プププ
男獣戦士「う、うっせぇな! たかがゲームだろうが!」
女「じゃあ、じゃあウチが!」
女忍者「実力的には女騎士さんが丁度いいと思うのでござるが、どうでござろう?」
女騎士「あわっ!? わわ、私か? 私が……結婚……い、いや……その、私はだな……ほら、騎士であるし、国に尽くす身であるというか……」
女忍者「その反応、満更でもないのでは?」ウリウリ
女騎士「お、俺がそれでいいのなら……別に、構わないが。まあ、共に行動することも多いし……私が順当であることに異論はないのだし……」コホンッ
男弓使い「夫婦としてか?」ニヤニヤ
女騎士「ち、違う! 狩りにも活かす必要があるからに決まってるだろうがこの痴れ者が! 茶化すでない!」ドンッ
俺「そ……そのだな、俺は……」
男弓使い「かーっ! カップル誕生かよ! 気をつけろ、絶対あいつ尻に敷くタイプだぜ」ニヤニヤ
女「…………」
◆◆
女「ウチが……ウチが、俺さんと見つけたんっすよ!」
俺「お、おい女!」
女モンク「ど、どういうことだ?」
女「二人で協力して……頑張ってモンスター倒して……それで、それで手に入れたのに……」
女忍者「ひょっとして女騎士殿から止められてたのに、無理言って時計塔に登ったのでござるか?」ニマァツ
女「そ、そうっすよ! だから……だから、手に入れた人が使うべきっていうのなら、ウチと俺さんが使うべきなんです!」
女忍者「周りに隠してこっそり俺殿を連れ出して塔に登って、その揚句アイテム見つかったからその権利の主張でござるか。やれやれ、いつもに増して必死でござるね」ハンッ
女「文句あるっすか! ウチと、俺さんの問題っす! アンタは関係ないんっす! どうして、どうして邪魔ばっかりするんっすか!」
女忍者「結婚さえしたら、名目が立つでござるからな。次から俺殿とダンジョンを潜っても、婚姻スキルがあるからだといえば誰も文句が言えなくなるでござるからね」
女「そんなわけ、ないだろうがっ!」
女忍者「おお、怖い怖いでござる。でも周囲がどう思ってるかは、もうちょっと見た方がいいでござるよ?」
女「え?」
男獣戦士「……はぁ」
男弓使い「ここまで典型的な奴、マジ初めてみたわ」
女「ウ、ウチは……ウチはただっ!!」
女モンク「……女、それ以上喋るな。立場を悪くするばかりだぞ」
俺(このゲームでは結婚したら、複合詠唱や共同コンボなんてものまで手に入る)
俺(このレベル差で結婚システムなんか使ったら、今度こそギルド内に女の居場所がなくなってしまう)
俺「実はソロで時計塔に潜ったとき、こんなものをドロップしたんだ」
男獣戦士「ソロで潜ったぁ? 水臭いな、俺を誘ってくれればよかったのに」
女騎士「それは……まさか、ウェディングドレスの最後の素材か!?」
女「へへん!」
男獣戦士(なんでこいつが得意気なんだよ……うせぇな)
俺「ああ、そうだ。それでこれとドロップ情報の扱いを相談したくてな」
女騎士「無論、ドロップ情報はギルド外持ち出し禁止だ!」
女騎士「夫婦複合詠唱があれば、次のギルド戦を制することができるかもしれん!」
女騎士「このタイミングで出したのは、運営の戦略だ。大規模ギルド戦で結果を残させてから、課金アイテムとして純白の布を売るつもりなんだろう。となれば、今回の作戦の中心とするべきだ!」
女「……!」ソワソワ
俺「え……ど、どうだろうな。式は金曜日限定みたいだし……熟練度的にも実践レベルに持っていくのは厳しくないか? 何より、不確定事項が多すぎる」
女騎士「間に合わせるのだ! 充分試す価値はあるはずだ! ギルマスにも相談しよう!」
◆◆
女モンク「なるほどな、情報不足感は否めないが……我々のギルドで使うべきだろう」
女モンク「ある、というだけで大きな牽制にもなる。マイナスに働くことはまずない」
女モンク「異論があるものは? いないな」
女モンク「問題は、誰と誰が使うかだ」
女「お、俺さんとウチが……」
俺「能力面で考えれば、男獣戦士と女モンクでいいんじゃあないのか。共同コンボは近接型のこの二人で押した方が効果があるはずだ」
女「…………」
男獣戦士「お、俺がギルマスと結婚すんのか? な……なんか照れるっつーかよ……」
男商人「たかがゲームやで、なに赤こうなっとんねん」
女「たかがゲームじゃ……ないっす。ウチは、ウチには……なのに、なんで……」
男商人「あ? 何か言うたか?」
俺「こ、この組み合わせでいいと思うんだがどうだろうか! 女モンクが言ったように、派手ささえあれば相手の気も引けるし、動揺も誘える!」
女モンク「しかし、ここは手に入れた俺殿が使うべきであろう」
俺「え? い、いやでも共同コンボ……」
女モンク「結局のところ、不確定要素が大きいから細かいところは机上の空論だ。それならば入手者が使うべきであろう」
男商人「振られたな男獣戦士はん。陰でえらい喜んではったのに」プププ
男獣戦士「う、うっせぇな! たかがゲームだろうが!」
女「じゃあ、じゃあウチが!」
女忍者「実力的には女騎士さんが丁度いいと思うのでござるが、どうでござろう?」
女騎士「あわっ!? わわ、私か? 私が……結婚……い、いや……その、私はだな……ほら、騎士であるし、国に尽くす身であるというか……」
女忍者「その反応、満更でもないのでは?」ウリウリ
女騎士「お、俺がそれでいいのなら……別に、構わないが。まあ、共に行動することも多いし……私が順当であることに異論はないのだし……」コホンッ
男弓使い「夫婦としてか?」ニヤニヤ
女騎士「ち、違う! 狩りにも活かす必要があるからに決まってるだろうがこの痴れ者が! 茶化すでない!」ドンッ
俺「そ……そのだな、俺は……」
男弓使い「かーっ! カップル誕生かよ! 気をつけろ、絶対あいつ尻に敷くタイプだぜ」ニヤニヤ
女「…………」
◆◆
女「ウチが……ウチが、俺さんと見つけたんっすよ!」
俺「お、おい女!」
女モンク「ど、どういうことだ?」
女「二人で協力して……頑張ってモンスター倒して……それで、それで手に入れたのに……」
女忍者「ひょっとして女騎士殿から止められてたのに、無理言って時計塔に登ったのでござるか?」ニマァツ
女「そ、そうっすよ! だから……だから、手に入れた人が使うべきっていうのなら、ウチと俺さんが使うべきなんです!」
女忍者「周りに隠してこっそり俺殿を連れ出して塔に登って、その揚句アイテム見つかったからその権利の主張でござるか。やれやれ、いつもに増して必死でござるね」ハンッ
女「文句あるっすか! ウチと、俺さんの問題っす! アンタは関係ないんっす! どうして、どうして邪魔ばっかりするんっすか!」
女忍者「結婚さえしたら、名目が立つでござるからな。次から俺殿とダンジョンを潜っても、婚姻スキルがあるからだといえば誰も文句が言えなくなるでござるからね」
女「そんなわけ、ないだろうがっ!」
女忍者「おお、怖い怖いでござる。でも周囲がどう思ってるかは、もうちょっと見た方がいいでござるよ?」
女「え?」
男獣戦士「……はぁ」
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女モンク「……女、それ以上喋るな。立場を悪くするばかりだぞ」
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