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第十一話 新婚と第三者と
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神父「俺さん、あなたは女騎士さんを妻とし、神の導きによって夫婦になろうとしています」
神父「汝、健康の時も病めるときも、富ときも貧しき時も、幸福の時も災いにあうときも、可能な時も困難なときも」
神父「これを愛し敬い慰め遣えて共に助け合い 永久に節操を守ることを誓いますか?」
女騎士「ち、ちち……誓いますっ!」
女「…………」ジイッ
俺「…………」
神父「新郎様どうなされましたかな?」
俺「誓い……ます」
神父「では、誓いの口付けを」
女「…………」
俺(そんな……そんな目で見るなよ)
俺(仕方ないだろ、弓使いと獣戦士、女忍者が地盤固めにかかってたんだから……あの流れで断ってたら、余計拗れてただろうが!)
女「…………」
◆◆
女「ね? 一緒に、一緒にダンジョン潜りましょう?」グイグイ
女騎士「い、いや……彼は、その、私と婚姻スキルの練習をしないといけないのだが……団体戦までに、形にしないといけないからな」
女「何しおらしくなってるんっすか! 気色悪いんっすよ!」
女「たかがゲームの! ギルド戦の戦力作りの名ばかり結婚で、なぁに意識しちゃってるんっすか!」
女「お前なんか……お前なんか……」
俺「ま、また今度だ! ギルド戦終わってから連れて行ってやるから!」
女「終わるまで? 嫌っす、嫌に決まってるじゃないっすか!」
女「敵攪乱できたらそれでいいって、女モンクも言ってたじゃないっすか! 結婚したからってそれを理由にすり寄るって……鬱陶しいんっすよ!」
女「邪魔……しないでください。ウチと俺さんの、邪魔をしないでください……」ガシガシ
俺「わ、わかった! ちょっと合わせて様子見たら、戻ってくるから! それから二人でまたダンジョンに潜ろう? な?」
女「……遅くなったら、イヤっすよ」
女騎士「…………」
◆◆
ゴーレム「フゴッ!フゴーッ!」
俺「右から行け!」
女騎士「わかった!」スッ
俺「双剣舞!」
女騎士「双剣舞!」
シャンシャンシャンッ
ゴーレム「フゴッ!?」ドサッ
俺「連続ヒット技で防御型のゴーレムを鎮められるのか……」
女騎士「これで一通りの技は試したが、どうする? ……戻るのか?」
俺「すげぇ……このスキルさえ極めれば、中堅ギルド程度なら俺達二人で沈められるんじゃないのか!」
俺「熟練度! 熟練度を上げよう! タイミングも覚えておかないとな! 対人での定石も作っておきたい! 後で男獣戦士あたりで実験させてもらおう!」
女騎士「え?」
俺「どうした? 乗り気じゃないのかよ! 今の見ただろ!」
女騎士「想像以上の威力だ。しかし……その……」
俺「だよな! 俺達二人が、ギルドを勝利に導くんだ!」
女騎士「あ、ああ! 我々の特訓不足で負けるわけにはいかんからな!」グッ
◆◆
俺「……ふ、ふふ、経験値効率も段違いだな」
女騎士「しかし、MPの消費量も多いな」ゼェゼェ
俺「まあそれはアイテムで補えばいいさ。今日は……さすがにそろそろ戻るべきか」
俺「HPも……ちょっと厳しいな。さっき覚えた、二重詠唱の回復呪文でも使ってみようぜ」
女騎士「……その、訊いておきたいことがあるのだが、いいか?」
俺「ん? なんだよ?」
女騎士「女とお前は、ただのオンゲー仲間、そうなのだな?」
俺「ああ、そうだが……。剣盾オンラインから一緒だったんだ」
女騎士「会ったことは?」
俺「ないが?」
女騎士「我々のギルドはオフ会厳禁だが……別に、密告するような真似はしない。正直に教えてほしい」
俺「いや、本当にないけど」
女騎士「なら、どうしてあの子はああもお前に執着しているんだ?」
女『あははは、いいんっすよ。ウチ、もうリアルは捨てましたっすから!』グッ
女『俺さんも、ウチと一緒っすよね?』
俺「い、いや知らねぇよ……なんでそんなこと訊くんだよ」
俺「弱いから、強い奴にたかりたいんだろ」
女騎士「嘘だな。そんなふうに思っているのなら、とっくに彼女を切っているはずだ」
俺「う……」
女騎士「お前にも何か、後ろめたいことがあるんじゃあないのか。私には、そうとしか思えない」
俺「…………」
女騎士「……答えたくないのなら、それでいい。くだらないことを訊いたな、私らしくない」
◆◆
女「…………」
男商人「な、なあ、あいつ五時間くらいずっと固まってへんか?」
男弓使い「途中で用事も思い出したんじゃねーの?」
俺「ただいまー」
男商人「お、戻って来たんやな新婚夫婦!」
女「あ、俺さん、戻ってきたんっすね! もう……ずっと待ってたんっすよ!」ガタッ
男商人「ひいっ!」
俺「いや、悪い悪い。それより女、聞いてくれよ! 双剣舞の総ダメージ数が……」
女「そんなことどうでもいいんっすよ! さ、ささ、早くいっしょに行きましょう? ね?」
俺「そんなことってなんだよ! 大事なギルド戦の雌雄を決するかもしれねぇんだぞ!」
俺「ああ、後、市場の購入履歴……あの純白の布を買ったのがどこのギルドか、調べなくちゃいけない。女モンクに相談して……」
女騎士「わ、私が頼んでおく! 俺はゆっくり、ダンジョンにでも潜っておいてくれ!」
俺「え? あ、ああ助かる……」
商人(あいつ……ずっとあそこにおったんか?)
俺(なんで商人の奴……あんなにビビってるんだ?)
神父「汝、健康の時も病めるときも、富ときも貧しき時も、幸福の時も災いにあうときも、可能な時も困難なときも」
神父「これを愛し敬い慰め遣えて共に助け合い 永久に節操を守ることを誓いますか?」
女騎士「ち、ちち……誓いますっ!」
女「…………」ジイッ
俺「…………」
神父「新郎様どうなされましたかな?」
俺「誓い……ます」
神父「では、誓いの口付けを」
女「…………」
俺(そんな……そんな目で見るなよ)
俺(仕方ないだろ、弓使いと獣戦士、女忍者が地盤固めにかかってたんだから……あの流れで断ってたら、余計拗れてただろうが!)
女「…………」
◆◆
女「ね? 一緒に、一緒にダンジョン潜りましょう?」グイグイ
女騎士「い、いや……彼は、その、私と婚姻スキルの練習をしないといけないのだが……団体戦までに、形にしないといけないからな」
女「何しおらしくなってるんっすか! 気色悪いんっすよ!」
女「たかがゲームの! ギルド戦の戦力作りの名ばかり結婚で、なぁに意識しちゃってるんっすか!」
女「お前なんか……お前なんか……」
俺「ま、また今度だ! ギルド戦終わってから連れて行ってやるから!」
女「終わるまで? 嫌っす、嫌に決まってるじゃないっすか!」
女「敵攪乱できたらそれでいいって、女モンクも言ってたじゃないっすか! 結婚したからってそれを理由にすり寄るって……鬱陶しいんっすよ!」
女「邪魔……しないでください。ウチと俺さんの、邪魔をしないでください……」ガシガシ
俺「わ、わかった! ちょっと合わせて様子見たら、戻ってくるから! それから二人でまたダンジョンに潜ろう? な?」
女「……遅くなったら、イヤっすよ」
女騎士「…………」
◆◆
ゴーレム「フゴッ!フゴーッ!」
俺「右から行け!」
女騎士「わかった!」スッ
俺「双剣舞!」
女騎士「双剣舞!」
シャンシャンシャンッ
ゴーレム「フゴッ!?」ドサッ
俺「連続ヒット技で防御型のゴーレムを鎮められるのか……」
女騎士「これで一通りの技は試したが、どうする? ……戻るのか?」
俺「すげぇ……このスキルさえ極めれば、中堅ギルド程度なら俺達二人で沈められるんじゃないのか!」
俺「熟練度! 熟練度を上げよう! タイミングも覚えておかないとな! 対人での定石も作っておきたい! 後で男獣戦士あたりで実験させてもらおう!」
女騎士「え?」
俺「どうした? 乗り気じゃないのかよ! 今の見ただろ!」
女騎士「想像以上の威力だ。しかし……その……」
俺「だよな! 俺達二人が、ギルドを勝利に導くんだ!」
女騎士「あ、ああ! 我々の特訓不足で負けるわけにはいかんからな!」グッ
◆◆
俺「……ふ、ふふ、経験値効率も段違いだな」
女騎士「しかし、MPの消費量も多いな」ゼェゼェ
俺「まあそれはアイテムで補えばいいさ。今日は……さすがにそろそろ戻るべきか」
俺「HPも……ちょっと厳しいな。さっき覚えた、二重詠唱の回復呪文でも使ってみようぜ」
女騎士「……その、訊いておきたいことがあるのだが、いいか?」
俺「ん? なんだよ?」
女騎士「女とお前は、ただのオンゲー仲間、そうなのだな?」
俺「ああ、そうだが……。剣盾オンラインから一緒だったんだ」
女騎士「会ったことは?」
俺「ないが?」
女騎士「我々のギルドはオフ会厳禁だが……別に、密告するような真似はしない。正直に教えてほしい」
俺「いや、本当にないけど」
女騎士「なら、どうしてあの子はああもお前に執着しているんだ?」
女『あははは、いいんっすよ。ウチ、もうリアルは捨てましたっすから!』グッ
女『俺さんも、ウチと一緒っすよね?』
俺「い、いや知らねぇよ……なんでそんなこと訊くんだよ」
俺「弱いから、強い奴にたかりたいんだろ」
女騎士「嘘だな。そんなふうに思っているのなら、とっくに彼女を切っているはずだ」
俺「う……」
女騎士「お前にも何か、後ろめたいことがあるんじゃあないのか。私には、そうとしか思えない」
俺「…………」
女騎士「……答えたくないのなら、それでいい。くだらないことを訊いたな、私らしくない」
◆◆
女「…………」
男商人「な、なあ、あいつ五時間くらいずっと固まってへんか?」
男弓使い「途中で用事も思い出したんじゃねーの?」
俺「ただいまー」
男商人「お、戻って来たんやな新婚夫婦!」
女「あ、俺さん、戻ってきたんっすね! もう……ずっと待ってたんっすよ!」ガタッ
男商人「ひいっ!」
俺「いや、悪い悪い。それより女、聞いてくれよ! 双剣舞の総ダメージ数が……」
女「そんなことどうでもいいんっすよ! さ、ささ、早くいっしょに行きましょう? ね?」
俺「そんなことってなんだよ! 大事なギルド戦の雌雄を決するかもしれねぇんだぞ!」
俺「ああ、後、市場の購入履歴……あの純白の布を買ったのがどこのギルドか、調べなくちゃいけない。女モンクに相談して……」
女騎士「わ、私が頼んでおく! 俺はゆっくり、ダンジョンにでも潜っておいてくれ!」
俺「え? あ、ああ助かる……」
商人(あいつ……ずっとあそこにおったんか?)
俺(なんで商人の奴……あんなにビビってるんだ?)
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