俺「重課金疲れた……」ギルメン「俺さんすごい! 次のイベントもお願いします!」

道楽時計

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第十六話 決着

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キンキンキンキンッ

少女「どうした、俺ェッ! そんなもんじゃねぇだろッ!」

俺「なんで……どうして! アンタは別に、アカウントを作り直す必要なんかなかったはずだ!」 

少女「黙れっ! お前に俺の何がわかる!」ガンッ 

俺「ぐうっ!」 
俺(重い……重過ぎる……馬鹿みたいに強化してやがるっ!) 

少女「ククッ、ハハハハッ! お前に恨みを晴らすため、わざとこの武器を強化して来たのさ!」 

俺「俺に恨みがあるのはわかる! でも、どうしてアカウントを作り直す必要があったんだ!」 

少女「黙れ黙れ黙れェッ! アカウント消したのも、あのギルドが解散したのも、俺がネカマアバターなのも! 全部テメェのせいなんだよ!」ガキィッ 

俺(駄目だ……これ、普通に勝てないわ……) 

男魔術師(……最後のは大将の趣味だろ) 


俺「ク、クソ……今から逃げきれそうにもねぇな……」 

少女「ここで決着をつけてやるよぉ。今度こそ、退会するのはお前の方だ!」 

俺「……なるほどな。どうしてお前が退会したか、ようやくわかったわ」 

少女「なに?」 

俺「お前は結局……課金で仲間を引っ張ってくのに嫌気が差していたんだ」 

少女「やめろ! ち、違う! 俺は、俺はそうじゃないんだ!」 

俺「お前は、重課金ばかりのギルドに入りたかったんだ。誰にもたかられず、媚びを売られず、普通にゲームを楽しみたかったんだ」 

少女「違う! 自分で集めた仲間を自分で捨てるような、そんなことはしたくなかった! ぜんぶお前が、そうさせたんだ! お前が悪いんだよぉ!」 

俺「それでも元の仲間を捨てるとき、どんな反応をされるのかが怖かったんだ。だから、一度アカウントを消すことにしたんだな。俺はやめるから、仕方なく解散するって体裁を作るためにな!」 

少女「違う……違うんだ! やめろ! 俺は……俺は!」 

俺「アンタも、俺と同じで、ただゲームを楽しみたかっただけなんだな。それなのにしがらみが付いて来て……周りの思い込みに翻弄されて……人間関係に雁字搦めにされて……」 

少女「うう、ううっ……」ヘタッ 

俺「その女アバターも、昔とは別人なんだ、もう負い目を感じる必要はないんだって、自分に言い聞かせるためのものだったんだな」 

俺「アンタが、優しい人だってこと……俺は知ってるから。あのときのギルドの暖かみを、俺は覚えているから」 

男魔術師(いや、アバターは大将の趣味だろ) 


少女「俺はっ! あのギルドでグスッ……やってグスッ……いぎだがっだ! でも……でもグスッ……」 

俺「もう終わりにしようぜ! こんな悲しい戦いはよおっ!」ダッ 

少女「うわぁぁぁぁぁぁああっ! 俺は!! 俺はぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!」ブンブンッ 

俺「ちょ、ガチャ操作やめ……」 
ゴンッ 

俺(おい……これ、鍛えすぎだろ……強化上限伸ばすのにどれだけ金掛けたの? 馬鹿なの?)ドサッ 

男魔術師「お、うちの大将が勝ったか。まあ、そりゃそうだよな」 

女騎士「お、おい! 俺! ここでお前が倒れたら、もうお終いだぞ!」 
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