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第五話 一難去って
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俺「本当に、ありがとうございました。貴方がいなければ、あの子はどうなっていたか」
デブ「……まさか、本当に何の縁の所縁もない奴隷だったとはな」
俺「…………」
デブ(こんな人間が、まだこの国にいたとはな。それに引き換え、私は……)
デブ「一目惚れか、苦労する性分だな。ああ、安仕事を負っちまった。どこぞで幸せにでもなんでもなるがいい」フンッ
俺「……」
俺「そういうのとは、少し違うんです」
デブ「なに?」
俺「確かに最初は、適当に女を買いたくて奴隷市場をうろついてたんです」
俺「俺は本当にロクデナシで、何も考えてなくて、たまたま力を手にしても誰にも必要とされない奴で……」
デブ「…………」
俺「でもあの時、この子を純粋に、一人の人間として助けてあげたいって、思えたんです」
俺「こんなに人のために頑張ったのは、正直これが初めてです。救われたのは、俺の方だったかもしれません」
デブ「……そうか」
デブ「これからどうするんだ? やはり、あの子と結婚するつもり……」
俺「いやいや、まさか」
デブ「む?」
デブ「それはどういう……」
俺「……俺はもうおっさんですからね。娘くらいの歳の女の子に、恩を被せて結婚迫る様な真似はできませんよ」
デブ「し、しかし、あの子も慕って……」
俺「今は、そうでしょう」
俺「でもあの子も、目を開けてゆっくり周囲を見たら、もっと適した相手が見つかると思いますよ」
デブ「…………そんなものか」
デブ「お前、いい奴だな」
俺「……正直、色んな事は考えます。でも、今は、自分を卑下せずに真っ直ぐ生きてみたいって思えたんだ」
◆◆
俺「こういうふうに、街を歩いたことはなかったな」
女の子「はい! あれもこれも、全部俺さんのお陰です!」
俺「……別に、そこまで気負わなくてもいいんだぞ」
槍使い「あ、お前は以前の」
俺「その節は助かったよ。おかげでこの子を助けることができた」
女の子「この方は……?」
俺「あの大柄の白魔導士を勧めてくれた人だ」
女の子「あ、ありがとうございました!」ペコッ
槍使い(か、可愛い……)ドキッ
俺(…………)
◆◆
女侯爵の部下「……フ、フフ、ようやく見つけたぞ……」
女侯爵の部下「これで私の首も繋がる」
女侯爵の部下「しかし……まさか、【聖剣】持ちの護衛付きとはな」チッ
女侯爵の部下「使える部下を集めて、折を見て囲んでしまうか」
女侯爵の部下「……女侯爵様の領地から外れては、下手に兵やら暗殺やらは使えなくなる」
女侯爵の部下「気取られる前に、【聖剣】持ちを殺し、あの女を女侯爵様に引き渡さねば!」
デブ「……まさか、本当に何の縁の所縁もない奴隷だったとはな」
俺「…………」
デブ(こんな人間が、まだこの国にいたとはな。それに引き換え、私は……)
デブ「一目惚れか、苦労する性分だな。ああ、安仕事を負っちまった。どこぞで幸せにでもなんでもなるがいい」フンッ
俺「……」
俺「そういうのとは、少し違うんです」
デブ「なに?」
俺「確かに最初は、適当に女を買いたくて奴隷市場をうろついてたんです」
俺「俺は本当にロクデナシで、何も考えてなくて、たまたま力を手にしても誰にも必要とされない奴で……」
デブ「…………」
俺「でもあの時、この子を純粋に、一人の人間として助けてあげたいって、思えたんです」
俺「こんなに人のために頑張ったのは、正直これが初めてです。救われたのは、俺の方だったかもしれません」
デブ「……そうか」
デブ「これからどうするんだ? やはり、あの子と結婚するつもり……」
俺「いやいや、まさか」
デブ「む?」
デブ「それはどういう……」
俺「……俺はもうおっさんですからね。娘くらいの歳の女の子に、恩を被せて結婚迫る様な真似はできませんよ」
デブ「し、しかし、あの子も慕って……」
俺「今は、そうでしょう」
俺「でもあの子も、目を開けてゆっくり周囲を見たら、もっと適した相手が見つかると思いますよ」
デブ「…………そんなものか」
デブ「お前、いい奴だな」
俺「……正直、色んな事は考えます。でも、今は、自分を卑下せずに真っ直ぐ生きてみたいって思えたんだ」
◆◆
俺「こういうふうに、街を歩いたことはなかったな」
女の子「はい! あれもこれも、全部俺さんのお陰です!」
俺「……別に、そこまで気負わなくてもいいんだぞ」
槍使い「あ、お前は以前の」
俺「その節は助かったよ。おかげでこの子を助けることができた」
女の子「この方は……?」
俺「あの大柄の白魔導士を勧めてくれた人だ」
女の子「あ、ありがとうございました!」ペコッ
槍使い(か、可愛い……)ドキッ
俺(…………)
◆◆
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女侯爵の部下「これで私の首も繋がる」
女侯爵の部下「しかし……まさか、【聖剣】持ちの護衛付きとはな」チッ
女侯爵の部下「使える部下を集めて、折を見て囲んでしまうか」
女侯爵の部下「……女侯爵様の領地から外れては、下手に兵やら暗殺やらは使えなくなる」
女侯爵の部下「気取られる前に、【聖剣】持ちを殺し、あの女を女侯爵様に引き渡さねば!」
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