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第六話 襲撃
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女の子「…………」
俺「どうした? 浮かない顔をして」
女の子「実は、あの方からその、また二人で食事を取らないかと誘われてしまいまして……」
俺「槍使いの奴か。いいじゃないか、ハンサムだし、根がいい奴なのは保証する。年齢だってお前と近い」
俺「そこらの冒険者みたいに荒くれ者じゃなく、教養がある。文字の読み書きだってできる」
女の子「でも……」
俺「それに、実は遠方の貴族の長男だというじゃないか」
俺「今は家との連絡は断って冒険者として生きているようだが、いずれ元の鞘に戻るかもしれない」
女の子「わ、私は、俺さんが……」
俺「食事くらい一緒に行ってやれ。それとも、槍使いは嫌いか?」
女の子「そうじゃ、ないけれど……」
◆◆
俺「最近はどうだ?」
槍使い「あ、ああ、実はその、贈り物をしたいんだが……好きなものか何か、わからないだろうか?」
俺「そういえば、装飾品屋をよく羨ましそうに見ているな……」
俺「あいつは緑色が好きなんだ。上手く見繕ってやれ」
槍使い「か、感謝する、お義父さん!」バッ
俺「誰がお義父さんだ誰が!」
槍使い「で、でも、いいんですか? その……」
俺「別に俺が止める理由はないだろう。父親でさえないんだからな」ハア
俺「……ただ、お前があいつを傷つけることがあったら、絶対に許さないからな。手を出すつもりなら、責任はきっちり取ってもらう」ジャキ
槍使い「わ、わかっている!」
俺「欲を言えば、冒険者なんていつ死ぬかわからない仕事はやめて、貴族に戻ってほしいんだがな」
槍使い「…………」
◆◆
女の子「か、かわいい……ですか?」
俺「ああ、よく似合ってるよ」
女の子「えへへへ……」
俺「槍使いからもらったのか?」
女の子「はい!」
女の子「それから、実は……その……」
俺「…………」
俺「プロポーズでもされたか?」
女の子「っ!!」
俺(あいつもせっかちな奴だな)ニマッ
◆◆
俺(幸せ……だな)
俺(まさか、俺がこんな気持ちに浸れる時が来るなんて、思ってもみなかった)クスッ
俺「……!」ピクッ
女の子「俺さん?」
俺「……お前、今日は槍使いの奴に泊めてもらえ」
女の子「え? そ、そんな……」カアッ
俺「いいか? これは冗談なんかじゃない、真っ直ぐ表通りまで行って振り返るな」
女の子「お、俺さん……? は、はい!」ダッ
◆◆
俺「……出て来いよ」
女侯爵の部下「おや、よく気が付きましたねぇ。私達に気付いていて逃げないなんて、大したものですよ」バッ
俺「達……?」
兵A「俺達には気づいてなかったのか」クク
兵B「残念だったなぁ、おっさん。これも仕事だから、恨まないでくれよ」ニヤニヤ
俺(……十人!)
女侯爵の部下「いかに【聖剣】持ちとは言え、精鋭兵十人を相手にはできないでしょう」クク
俺(武器も防具も、整ってる。手入れもされてる)
俺(……冒険者やゴロツキじゃない、貴族の兵だ!)ツー
俺「お前ら、何が狙いだ!」
女侯爵の部下「貴方がいけないんですよ。余計なガキに色欲を出すから、厄介ごとに巻き込まれるのです」ニイ
俺「余計な、ガキ……?」
女侯爵の部下「とっとと殺してしまえ! こいつさえ片付ければ、あの小娘はどうとでもなる!」
兵A「任せてください!」サッ
兵B「油断はしませんよ、確実に仕留めてやります!」シュンッ
ブンッ
兵A「がぁっ!」
兵B「ぐぼ……お、俺の足! 脚がァ!」
俺「……あいつを殺させるつもりはない。死ぬ覚悟がある奴だけ掛かってこい」ジャキンッ
女侯爵の部下「なんだと…?」
◆◆
俺「…………」ハァハァ
女侯爵の部下「なんだと……? 精鋭兵十人が、敗れたのか……?」
女侯爵の部下「私は、夢でも見ているのか……?」
俺(さすがに、体力が続かない……血もかなり流した)ゼェゼエ
俺「どうする? お前はやらないのか?」
女侯爵の部下「う、うぐ……や、やってやる! 貴様も既に死にかけじゃないか! やってやるぞおっ!」シャキン
俺「…………」ギロッ
女侯爵の部下「うっ、うわあああああっ!」ダッ
俺(いった、か……)
俺(……随分、きな臭いことになってきたな)
俺「どうした? 浮かない顔をして」
女の子「実は、あの方からその、また二人で食事を取らないかと誘われてしまいまして……」
俺「槍使いの奴か。いいじゃないか、ハンサムだし、根がいい奴なのは保証する。年齢だってお前と近い」
俺「そこらの冒険者みたいに荒くれ者じゃなく、教養がある。文字の読み書きだってできる」
女の子「でも……」
俺「それに、実は遠方の貴族の長男だというじゃないか」
俺「今は家との連絡は断って冒険者として生きているようだが、いずれ元の鞘に戻るかもしれない」
女の子「わ、私は、俺さんが……」
俺「食事くらい一緒に行ってやれ。それとも、槍使いは嫌いか?」
女の子「そうじゃ、ないけれど……」
◆◆
俺「最近はどうだ?」
槍使い「あ、ああ、実はその、贈り物をしたいんだが……好きなものか何か、わからないだろうか?」
俺「そういえば、装飾品屋をよく羨ましそうに見ているな……」
俺「あいつは緑色が好きなんだ。上手く見繕ってやれ」
槍使い「か、感謝する、お義父さん!」バッ
俺「誰がお義父さんだ誰が!」
槍使い「で、でも、いいんですか? その……」
俺「別に俺が止める理由はないだろう。父親でさえないんだからな」ハア
俺「……ただ、お前があいつを傷つけることがあったら、絶対に許さないからな。手を出すつもりなら、責任はきっちり取ってもらう」ジャキ
槍使い「わ、わかっている!」
俺「欲を言えば、冒険者なんていつ死ぬかわからない仕事はやめて、貴族に戻ってほしいんだがな」
槍使い「…………」
◆◆
女の子「か、かわいい……ですか?」
俺「ああ、よく似合ってるよ」
女の子「えへへへ……」
俺「槍使いからもらったのか?」
女の子「はい!」
女の子「それから、実は……その……」
俺「…………」
俺「プロポーズでもされたか?」
女の子「っ!!」
俺(あいつもせっかちな奴だな)ニマッ
◆◆
俺(幸せ……だな)
俺(まさか、俺がこんな気持ちに浸れる時が来るなんて、思ってもみなかった)クスッ
俺「……!」ピクッ
女の子「俺さん?」
俺「……お前、今日は槍使いの奴に泊めてもらえ」
女の子「え? そ、そんな……」カアッ
俺「いいか? これは冗談なんかじゃない、真っ直ぐ表通りまで行って振り返るな」
女の子「お、俺さん……? は、はい!」ダッ
◆◆
俺「……出て来いよ」
女侯爵の部下「おや、よく気が付きましたねぇ。私達に気付いていて逃げないなんて、大したものですよ」バッ
俺「達……?」
兵A「俺達には気づいてなかったのか」クク
兵B「残念だったなぁ、おっさん。これも仕事だから、恨まないでくれよ」ニヤニヤ
俺(……十人!)
女侯爵の部下「いかに【聖剣】持ちとは言え、精鋭兵十人を相手にはできないでしょう」クク
俺(武器も防具も、整ってる。手入れもされてる)
俺(……冒険者やゴロツキじゃない、貴族の兵だ!)ツー
俺「お前ら、何が狙いだ!」
女侯爵の部下「貴方がいけないんですよ。余計なガキに色欲を出すから、厄介ごとに巻き込まれるのです」ニイ
俺「余計な、ガキ……?」
女侯爵の部下「とっとと殺してしまえ! こいつさえ片付ければ、あの小娘はどうとでもなる!」
兵A「任せてください!」サッ
兵B「油断はしませんよ、確実に仕留めてやります!」シュンッ
ブンッ
兵A「がぁっ!」
兵B「ぐぼ……お、俺の足! 脚がァ!」
俺「……あいつを殺させるつもりはない。死ぬ覚悟がある奴だけ掛かってこい」ジャキンッ
女侯爵の部下「なんだと…?」
◆◆
俺「…………」ハァハァ
女侯爵の部下「なんだと……? 精鋭兵十人が、敗れたのか……?」
女侯爵の部下「私は、夢でも見ているのか……?」
俺(さすがに、体力が続かない……血もかなり流した)ゼェゼエ
俺「どうする? お前はやらないのか?」
女侯爵の部下「う、うぐ……や、やってやる! 貴様も既に死にかけじゃないか! やってやるぞおっ!」シャキン
俺「…………」ギロッ
女侯爵の部下「うっ、うわあああああっ!」ダッ
俺(いった、か……)
俺(……随分、きな臭いことになってきたな)
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