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物置には不思議な双六が眠っている。
我が家は築100年を超える、所謂老舗と言われる和菓子屋。積み上げた年数、色んなものが置いてある。その中でも1番不思議なものは【マジカルワールド】と書かれたいかにも幼稚な双六なのだ。
︎___正月。
家に親戚が一同集まる一大イベント。
本家も分家も勢揃い。大人の数も子供の数も把握出来た試しがない。わかるのはそれぞれの近い親戚のみだ。
「ねぇ、美紅姉、今年はやるでしょ?双六。」
稲垣 美紅(いながき・みく)それが私の名前。毎年決まって、従姉妹たちに誘われる双六は参加したことがない。
この双六は呪われているから。他の人はそんなこと言わずに楽しんでいるようだけど...私は信じることが出来ずに遠目で見ている。
双六の参加人数は4人と決まっている。でも、設定人数より駒が遥かに多い。しかも、毎年徐々に増えていってる……。これが呪いと言わずになんと言うのか。
それと比例して家族や親戚は毎年徐々に減っている。その理由は簡単だ。ゲームに負けた人たちが駒になったから。助ける方法を私は知らない。
「しぃちゃん、忘れたの?去年、稜(りょう)が駒に変わったでしょ?」
従妹のしぃちゃん。稲垣 詩織(しおり)。稜はしぃちゃんの5つ上の兄だ。
「やだやだ。やるのー!だってまだ1人も”あがり”になった事ないんだよ?今年こそやるのっ!また魔女さんやるのー!!」
駄々をこねるしぃちゃん。
双六に参加する人は自分の駒を選び、能力があるものを思い浮かべてそれに変化してから遊ぶルール。どんななりたいものにでもなれるこの双六は、子供たちからの人気が高く、いくら怖がる人間が出ようとも捨てられずに残っている。
好きなものになるのはいいのだが、家のどこかを毎年何かしら壊されては直すので修理代がもったいない。ただの遊びにしては割に合わないというのに大人たちは酔っ払いばかりで止める人もいない。
「はぁ...もう今年だけだからね?どうなっても知らないよ。で、今年のチャレンジャ-2人は誰なの?」
美紅の呼び掛けに、1人の男子がすかさず立ち上がる。
「今年は俺もやる。」
こいつは稲垣 翔歌。女のような名前が嫌だと言い、”しょうか”って呼ぶと怒られてしまう。私の1番好きな人。叶わない恋だけど。
「翔歌がやるなら俺も今年やる!」
そういい、立ち上がったのは稲垣 妃水(ひすい)。翔歌の従兄弟だ。翔歌と呼んでしまい、さっそく叩かれている。
「じゃあ決まりね。しぃちゃんはこの駒ね。そして!魔女さんになる!!」
1番やる気のあるしぃちゃんは、翔歌と妃水の取っ組み合いには目もくれず、人数が揃ったことに喜び、どんどん進行していく。
「じゃあ私はこの駒で剣術者ね。」
1つ、駒を取り、名乗る。剣道部に所属していることもあり、剣術に憧れがあるのだ。
「じゃあ俺、この駒で火術師。」
「じゃあ俺はこの駒で、翔とは反対の水術師な。」
駒を取り、翔歌が火術者。妃水が水術者になる。この2人は仲がいいのか悪いのか...。
「じゃあしぃちゃんからね。」
魔女の姿にうきうきと今にも飛びそうな詩織はサイコロを振った。2つのサイコロが双六の台の上に転がる。
出た目は...4と5。合計で9つ進める。
『あらあらココに止まっちゃったのね。勝負に勝たなきゃ次には行けないわよ。』
進んだ駒が1人でにしゃべり出す。
毎年の事ながらやっぱり不気味だ…。
「わぁ、3つ猫さんだぁ!!」
詩織の前に現れたのは1つの体に3つの顔を持った化け猫。ケルベロスの猫版とでも言えばわかるだろうか。天井に頭がつき、今にも天板を抜いてしまいそうだ。
最初は雑魚ばかりとはいえ、見た目の怖さ、大きさは相変わらず容赦ない。それに怯まない詩織も度胸はあるのか。
「えぇい!」
持っている杖を化け猫に向ける詩織。ビビビビビビビッッッ!!!!!と玩具のビーム音を出しながら、辺りが光る。...だけならいいんだけど。また今年も隣部屋へ続く襖が抜けてしまった。
襖と一緒に化け猫も消える。詩織は満足そうな顔で仁王立ち。
「じゃあ次、私ね。」
もうこうなったら家の被害は見ないことにした方がいいかもしれない。いちいち気に病んでたら進めない。
諦めて振ったサイコロはどんどん転がり、畳のヘリで止まった。5と6で進めるのは11だ。
『ピヨピヨピヨッ。コケコッコー!!!』
今度は美紅の駒が叫び出す。それと同時に駒の止まったマスから何かが大量に溢れ出てくる。これは...。
「ヒヨコと…鶏ー!?!?!?」
我が家は築100年を超える、所謂老舗と言われる和菓子屋。積み上げた年数、色んなものが置いてある。その中でも1番不思議なものは【マジカルワールド】と書かれたいかにも幼稚な双六なのだ。
︎___正月。
家に親戚が一同集まる一大イベント。
本家も分家も勢揃い。大人の数も子供の数も把握出来た試しがない。わかるのはそれぞれの近い親戚のみだ。
「ねぇ、美紅姉、今年はやるでしょ?双六。」
稲垣 美紅(いながき・みく)それが私の名前。毎年決まって、従姉妹たちに誘われる双六は参加したことがない。
この双六は呪われているから。他の人はそんなこと言わずに楽しんでいるようだけど...私は信じることが出来ずに遠目で見ている。
双六の参加人数は4人と決まっている。でも、設定人数より駒が遥かに多い。しかも、毎年徐々に増えていってる……。これが呪いと言わずになんと言うのか。
それと比例して家族や親戚は毎年徐々に減っている。その理由は簡単だ。ゲームに負けた人たちが駒になったから。助ける方法を私は知らない。
「しぃちゃん、忘れたの?去年、稜(りょう)が駒に変わったでしょ?」
従妹のしぃちゃん。稲垣 詩織(しおり)。稜はしぃちゃんの5つ上の兄だ。
「やだやだ。やるのー!だってまだ1人も”あがり”になった事ないんだよ?今年こそやるのっ!また魔女さんやるのー!!」
駄々をこねるしぃちゃん。
双六に参加する人は自分の駒を選び、能力があるものを思い浮かべてそれに変化してから遊ぶルール。どんななりたいものにでもなれるこの双六は、子供たちからの人気が高く、いくら怖がる人間が出ようとも捨てられずに残っている。
好きなものになるのはいいのだが、家のどこかを毎年何かしら壊されては直すので修理代がもったいない。ただの遊びにしては割に合わないというのに大人たちは酔っ払いばかりで止める人もいない。
「はぁ...もう今年だけだからね?どうなっても知らないよ。で、今年のチャレンジャ-2人は誰なの?」
美紅の呼び掛けに、1人の男子がすかさず立ち上がる。
「今年は俺もやる。」
こいつは稲垣 翔歌。女のような名前が嫌だと言い、”しょうか”って呼ぶと怒られてしまう。私の1番好きな人。叶わない恋だけど。
「翔歌がやるなら俺も今年やる!」
そういい、立ち上がったのは稲垣 妃水(ひすい)。翔歌の従兄弟だ。翔歌と呼んでしまい、さっそく叩かれている。
「じゃあ決まりね。しぃちゃんはこの駒ね。そして!魔女さんになる!!」
1番やる気のあるしぃちゃんは、翔歌と妃水の取っ組み合いには目もくれず、人数が揃ったことに喜び、どんどん進行していく。
「じゃあ私はこの駒で剣術者ね。」
1つ、駒を取り、名乗る。剣道部に所属していることもあり、剣術に憧れがあるのだ。
「じゃあ俺、この駒で火術師。」
「じゃあ俺はこの駒で、翔とは反対の水術師な。」
駒を取り、翔歌が火術者。妃水が水術者になる。この2人は仲がいいのか悪いのか...。
「じゃあしぃちゃんからね。」
魔女の姿にうきうきと今にも飛びそうな詩織はサイコロを振った。2つのサイコロが双六の台の上に転がる。
出た目は...4と5。合計で9つ進める。
『あらあらココに止まっちゃったのね。勝負に勝たなきゃ次には行けないわよ。』
進んだ駒が1人でにしゃべり出す。
毎年の事ながらやっぱり不気味だ…。
「わぁ、3つ猫さんだぁ!!」
詩織の前に現れたのは1つの体に3つの顔を持った化け猫。ケルベロスの猫版とでも言えばわかるだろうか。天井に頭がつき、今にも天板を抜いてしまいそうだ。
最初は雑魚ばかりとはいえ、見た目の怖さ、大きさは相変わらず容赦ない。それに怯まない詩織も度胸はあるのか。
「えぇい!」
持っている杖を化け猫に向ける詩織。ビビビビビビビッッッ!!!!!と玩具のビーム音を出しながら、辺りが光る。...だけならいいんだけど。また今年も隣部屋へ続く襖が抜けてしまった。
襖と一緒に化け猫も消える。詩織は満足そうな顔で仁王立ち。
「じゃあ次、私ね。」
もうこうなったら家の被害は見ないことにした方がいいかもしれない。いちいち気に病んでたら進めない。
諦めて振ったサイコロはどんどん転がり、畳のヘリで止まった。5と6で進めるのは11だ。
『ピヨピヨピヨッ。コケコッコー!!!』
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