MagicaL WORLD~呪いの双六

兎都ひなた

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#02

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「ヒヨコと…鶏ー!?!?!?」
美紅の駒が止まったマスから、止めどなく溢れるように飛び出してくるヒヨコと、羽を撒き散らしながら騒ぎ立てる鶏たち。大量に溢れるヒヨコと鶏は迷いなく美紅に向かって嘴を向けてくる。顔は険しく、明らかに威嚇と取れるその行動。
戸惑ってる場合じゃないか...。
剣を引き抜き、ヒヨコと鶏にぶつけるようにして切っていく。剣道をやっているから剣士を選択したが、剣術としての戦い方を知っている訳では無い。剣をぶつけられたヒヨコと鶏は次々と大量の煙となり、消えていった。
「ふぅ...」
一息つき、剣を鞘に納める。
「よっしゃぁ!じゃあ次は俺の番ね。」
翔歌が叫び、サイコロを振る。4と6で10。
『やったー!海外へ行ってたくさんの美女と遊ぶよ。そぉれ!行ってらっしゃぁい!!気をつけてね。』
「えぇーーーーーーーーーーー!!」
飛び跳ね喜ぶ駒とは裏腹に、驚き固まる翔歌は叫んだ瞬間、その場から姿を消した。

______ポムッ
煙と共に、親戚の家とは違う場所に出る。ここはどこだ...。
辺りを見渡すが、知っているものは一つもない。わかったのは、どこかの豪邸ということだけだ。趣味の悪い置物に、シャンデリア。よく分からない模様の入った扉。静まり返る部屋に案内人や使用人は居ないようだ。
「早く帰らせろぉぉ!!!」
部屋の中で1人、叫んだ声が壁にはね返って虚しく響く。ジィィィィ…… とどこからか機械音が鳴り始めた。どこからだ?
もう一度、辺りを見渡すが、音の正体と思える物は見えない。
「いらっしゃーい♪」
声と共に、目の前の床の一部が開き、スタイルの良い美女が揃って出てきた。如何にも遊び人の受けが良さそうな容姿に嫌気がさし、つい睨みつけてしまった。
「そんな酷いこと言わないで。一緒に遊ぼうよ。ねぇ?」
現れた美女の内の2人が、くねくねと体をよじらせながら翔歌に近寄ってくる。胸元を見せつけるその仕草は苦手とするタイプの人種だった。
気持ち悪……。
思わず眉間にシワがよる。
美紅くらい、さっぱりしてるほうがいい。...って何でこんな時に美紅が出て来るんだよ。
自分の考えに思わずツッコミを入れる。その間にも出てきた美女たちは距離を詰めて来ていた。
「……消え失せろよ。」
黙って固まってた翔歌がいきなり低い声でつぶやく。殺気すら感じるその姿に、美女たちは怯む様子もない。それどころか、粘着質なぶりっ子のように体をよじらせたまま口元に手を当てた。
「なんでぇ?そんな酷いこと言わないでよぉ。それがレディに対する態度~?」
「去年の男の方がよかったぁ。」
「いっぱい遊んでくれたもんねぇ。」
口々に言う美女たち。去年の男…って......あぁ、確か美紅の父さんだっけ。確かにこの手の人種にはデレデレ鼻の下を伸ばしそうな親父だ。
そんな事より、このねちねちした絡みつくような喋り方にイライラしてしょうがない。
「火山流水弾!!!」
気付いたら女たちに手をかざして叫んでいた。消え失せてくれないなら消えさせてやる。
ゴゴォ……と地響きがなり、真っ赤な液体がどこからともなく流れてくる。マグマのようなその液体は建物内部を焼き付くし、どんどん女たちに接近する。
こっ…これってもしかしなくてもオレもヤバイ?!
顔を強ばらせ、逃げる体勢になる。しかしその瞬間、その場から煙として翔歌は消えた。熱さを感じることも無く、気づいた時には元の部屋に転がっていた。
あの女たちは死にはしない。ゲームの中の人間は何があっても死なないのだ。ただ、次のステージに行くために倒す必要があるだけで。
「お帰り。翔ッ!!」
転がったまま、今起こっていたことを頭の中で反芻していると誰かにいきなり抱きつかれた。つい鼻が覚えてしまっているシャンプーがほのかに香る。
「…美紅?どうしたんだよ、いきなり。」
「急に消えちゃうんだもん!戻ってこないかもしれないって心配したんだよ。」
涙混じりの声。美紅のこんな声、初めて聞いた。いつもサバサバしていて、生きていれば大丈夫とでも思っていそうな態度をされるから。
驚きを隠せず、思わず美紅の背を引き寄せた。美紅相手にこんなことするなんて、自分が自分でないみたいだ。
「はい、はい。大丈夫だよ。心配してくれてありがとな。」
これ以上心配させないように、翔歌が美紅に向かって笑いかける。その笑顔につられて美紅も笑顔になる。
「はーい!じゃあ次オレな!!」
そんな空気を切るように、妃水がわざとらしく声をあげ、サイコロを転がす。
1と1で進めるのは2マスのみだ。サイコロを2つ使って行うこの双六では、1番小さい目。
でも雑魚と言われる序盤戦の中では多分1番強い相手がこのマスにはいる。荒々しく、凶暴だという噂は聞いているが、今まで興味もなくちゃんと双六に参加していなかった詩織以外は、未だにその姿をちゃんと見たことがない。
『オラッ!!だらけんじゃねぇ!! 進みたければ今からこいつを倒していけよな!!!』
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