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「……はぁ。カイル様、わたくしの執務室の空気が急に淀みましたわ。どなたか、石炭の燃えカスのような方を招き入れましたの?」
宝石帝国総本部の最上階。エミリーは、最新の超音波洗浄機でダイヤモンドを洗っていた手を止め、不機嫌そうに扉の方を向いた。
そこには、かつて彼女を「悪役令嬢」として追放した王国の、現在の実権を握る宰相が立っていた。かつての威厳はどこへやら、その顔は土気色で、肩を震わせている。
「……エミリー・フォン・アステリア嬢。いや、エミリー総帥。本日は、国家の存亡に関わる……折り入っての『ご相談』に参りました」
「ご相談? あら、わたくしへの宣戦布告なら、受付の『硬度鑑定所』で済ませてくださる? あそこなら、あなたの鋼鉄のような面の皮がどれほどのものか、ダイヤモンドの針で試して差し上げますわよ」
エミリーは再び洗浄機に視線を戻した。隣で紅茶を淹れていたカイルが、楽しそうに肩をすくめる。
「宰相殿、彼女は今、この一三〇カラットのダイヤの『機嫌』を伺うのに忙しいんだ。手短に頼むよ。……それとも、あのアホ王子が落札した四千枚の支払いが、まだ終わっていないのかい?」
カイルの言葉に、宰相は崩れ落ちるように膝をついた。
「……左様でございます! あ、あのルビーの落札以来、国庫は空っぽ……。さらには維持費で宮廷の調度品まで売り払う始末。このままでは、今月の兵士たちの給料すら払えません!」
「まあ! それは大変ですわね。兵士の方々が、槍の先端の鉄を売って食い繋がなくてはならないなんて……。宝石愛好家として、金属の流出は見過ごせませんわ」
エミリーは洗浄機からダイヤを取り出し、タオルで丁寧に拭き上げながら、ようやく宰相を正面から見据えた。
「それで? わたくしに『お金を貸してほしい』と? 金利はダイヤモンドの屈折率と同じ、年利二・四倍でよろしいかしら?」
「そ、そんな暴利を……! どうか、かつてこの国の公爵令嬢であった慈悲の心で、国家予算の半分を支援していただけないでしょうか!」
「慈悲? そんな内包物(インクルージョン)、わたくしの心からはとっくに濾過されて消えましたわ。……ですが、そうですね。わたくし、ただでお金を貸すのは嫌いですの。……代わりに、あなたのその頭の上にある『王冠』を鑑定させてくださる?」
宰相が恭しく差し出したのは、建国以来、王家が受け継いできたという黄金の王冠だった。
エミリーはそれをルーペで一瞥するなり、鼻で笑った。
「……ふふ、ふふふ。……宰相様。これ、本気でわたくしに見せたのですか?」
「な、何か問題でも……? それは我が王国の象徴、三種の高貴なる石が埋め込まれた……」
「高貴!? 笑わせないで! 中央のこのエメラルド、クラック(亀裂)を隠すために樹脂がベタベタに詰め込まれていますわ! 右側のサファイアは色ムラが酷くて、まるでカビが生えたブルーチーズ。そして左のダイヤ……これはカットが悪すぎて、光が全て底から漏れています。いわば『光の垂れ流し』ですわね!」
エミリーの痛烈な批判に、宰相は言葉を失った。
「こんなガラクタを誇りにしていたなんて、この国の美的センスを疑いますわ。……カイル様、この王冠、わたくしが『ゴミ捨て場』から拾い上げた場合の時価はどれくらいかしら?」
「そうだね……。台座の金は溶かして売れるが、石は研磨の練習台にするのが関の山だろう。金貨十枚、といったところかな?」
「金貨十枚……っ!? そんな馬鹿な! それはわが国の至宝ですよ!」
「至宝の意味を履き違えていますわ。……いいでしょう、宰相様。提案がありますの」
エミリーは椅子から立ち上がり、窓の外に広がる、今や王都よりも輝いている宝石帝国の街並みを指差した。
「わたくしが国家の借金を全て肩代わりして差し上げますわ。……その代わり、王家の所有する『全ての鉱山』と『宝物庫』の鍵を、宝石帝国へ譲渡しなさい」
「な、ななな……! それは王国の心臓を売り渡せと言うことですか!」
「あら、心臓が止まりかけているのはそちらでしょう? 宝石を愛せない王族に、石たちの世話を任せておくわけにはいきませんの。……わたくしなら、あの子たちを泥の中から救い出し、世界で一番幸せな場所に連れて行ってあげられますわ。……これは『救済』ですのよ?」
エミリーの瞳は、もはや一国の王族など恐れてはいなかった。彼女にあるのは、ただ石への純粋な、そして狂気的な愛情だけだった。
「……選ぶのですわ。このまま安物の王冠と共に国を沈めるか。それとも、宝石帝国の庇護の下で、わたくしの『コレクションの一部』として生き永らえるか」
「…………」
宰相は震える手で、譲渡契約書を受け取った。
こうして、かつて自分を追放した王国は、エミリーの「宝石コレクション」の台座へと成り下がった。
「さあ、カイル様。契約成立ですわね! まずはあのカビたブルーチーズのサファイアを、わたくしの手で徹底的に再教育(カット)して差し上げなくては!」
「はは……。王様も、今頃自分の首元が寒くなっているだろうね」
エミリーの高笑いが、王宮まで届くほど高らかに響き渡った。
「……ちょっと、カイル様。見てくださいませ。この王宮の宝物庫、湿度管理が最悪ですわ! これでは宝石たちが風邪を引いてしまいますわよ!」
王宮の最深部、重厚な鉄の扉を開いた瞬間、エミリーは憤慨して声を上げた。
かつては足を踏み入れることすら許されなかった聖域。だが今、その鍵は宝石帝国の総帥であるエミリーの手元にある。
「はは……。まあ、彼らにとって宝石は『資産』であって『家族』ではないからね。……それにしても、随分と埃が積もっている」
カイルがカンテラを掲げると、薄暗い部屋の中に、乱雑に積み上げられた金銀財宝が浮かび上がった。
エミリーはドレスの裾を豪快に捲り上げると、迷わず部屋の「一番奥」へと突き進んだ。
「……おや。エミリー、そっちは行き止まりだよ? ただの瓦礫の山に見えるが」
「いいえ。わたくしの鼻が、この奥から『歴史の重圧に耐えかねた悲鳴』を嗅ぎつけましたの! ……ガストン様、ここの岩盤を少しだけ、繊細に叩いてくださる?」
「へいへい。王宮の壁を壊すなんて、前代未聞ですぜ」
ガストンが特製の小型ピッケルを振るう。壁の一部が崩れ落ちたその時、中から古びた木箱が現れた。
それは何の装飾もなく、むしろ「隠されるために作られた」ような、無機質な箱だった。
エミリーは震える手でその蓋を開けた。
「……っ!?」
中に入っていたのは、黒く、ゴツゴツとした、およそ宝石とは呼べないほど「地味な」石の塊だった。
「……何だい、これは。石炭か? それとも、ただの鉄鉱石かな」
カイルが不思議そうに覗き込むが、エミリーの目は、すでにその石の「内部」に到達していた。
「……いいえ。違いますわ、カイル様。これは……これは『原初の光(オリジン)』。この世界の地殻が形成された瞬間の記憶を封じ込めた、宝石たちの始祖ですわ!」
エミリーはルーペを構えるのも忘れ、素手でその石を抱き上げた。
「見て、見てくださいませ! この石の内部から漏れ出る、微弱な……でも、どんな太陽よりも純粋な白色光を! これこそ、わたくしが一生をかけて探し求めていた、究極の未研磨原石ですわ!」
「原初の光……。伝説にある、磨き方一つで世界を照らす太陽にも、国を滅ぼす魔石にもなるという、あの?」
「そうですわ! ……ああ、なんてこと。この子は今まで、自分を理解できる主を待って、この暗闇の中で数千年も息を潜めていたのですわね……」
エミリーの瞳から、大粒の涙がこぼれ落ち、石の表面を濡らした。
その瞬間、黒かった石の表面がパキパキと音を立てて剥がれ落ち、中から「全方位に虹色の閃光」を放つ、透明な核が顔を出した。
「……っ!? エミリー、君の涙が……石を呼び覚ましたのか?」
「違いますわ。この子が、わたくしの『鑑定眼(愛)』に応えてくれたのですわ。……カイル様、わたくし、決めましたわ」
エミリーは立ち上がり、石を高く掲げた。
「この『原初の光』を、わたくしの手で磨き上げます。そしてそれを、わたくしたちの結婚式の『誓いの石』にするのですわ!」
「……え? 今、さらりと結婚式と言ったかい?」
カイルが驚いて問い返すが、エミリーはすでに「どの角度からカットを始めるか」を脳内でシミュレーションし始めていた。
「当然でしょう? この子を磨き上げるには、わたくしの人生の全てを賭ける必要があります。……それを支えられるのは、世界で一番わたくしの癖(内包物)を理解している、あなたしかいませんもの!」
「……はは。なるほど、それは光栄だね。……いいよ、エミリー。君がその『究極』を磨き上げるまで、私は君の隣で、台座(人生)として寄り添い続けよう」
カイルはエミリーの手を、石ごと包み込むように握りしめた。
王宮の埃っぽい地下室は、今やどんな夜会会場よりも神聖で、輝かしい空間へと変わっていた。
「さあ、カイル様! ぐずぐずしていられませんわ! すぐに最高級の研磨機を調整しなくては! この子のために、新しい研磨理論を構築する必要がありますわよ!」
「……はいはい。……ガストン、馬車の準備だ。宝石帝国の女王様が、新しい時代を磨き始めるぞ」
エミリーの情熱は、ついに世界の理(ことわり)すらも磨き直そうとしていた。
宝石帝国総本部の最上階。エミリーは、最新の超音波洗浄機でダイヤモンドを洗っていた手を止め、不機嫌そうに扉の方を向いた。
そこには、かつて彼女を「悪役令嬢」として追放した王国の、現在の実権を握る宰相が立っていた。かつての威厳はどこへやら、その顔は土気色で、肩を震わせている。
「……エミリー・フォン・アステリア嬢。いや、エミリー総帥。本日は、国家の存亡に関わる……折り入っての『ご相談』に参りました」
「ご相談? あら、わたくしへの宣戦布告なら、受付の『硬度鑑定所』で済ませてくださる? あそこなら、あなたの鋼鉄のような面の皮がどれほどのものか、ダイヤモンドの針で試して差し上げますわよ」
エミリーは再び洗浄機に視線を戻した。隣で紅茶を淹れていたカイルが、楽しそうに肩をすくめる。
「宰相殿、彼女は今、この一三〇カラットのダイヤの『機嫌』を伺うのに忙しいんだ。手短に頼むよ。……それとも、あのアホ王子が落札した四千枚の支払いが、まだ終わっていないのかい?」
カイルの言葉に、宰相は崩れ落ちるように膝をついた。
「……左様でございます! あ、あのルビーの落札以来、国庫は空っぽ……。さらには維持費で宮廷の調度品まで売り払う始末。このままでは、今月の兵士たちの給料すら払えません!」
「まあ! それは大変ですわね。兵士の方々が、槍の先端の鉄を売って食い繋がなくてはならないなんて……。宝石愛好家として、金属の流出は見過ごせませんわ」
エミリーは洗浄機からダイヤを取り出し、タオルで丁寧に拭き上げながら、ようやく宰相を正面から見据えた。
「それで? わたくしに『お金を貸してほしい』と? 金利はダイヤモンドの屈折率と同じ、年利二・四倍でよろしいかしら?」
「そ、そんな暴利を……! どうか、かつてこの国の公爵令嬢であった慈悲の心で、国家予算の半分を支援していただけないでしょうか!」
「慈悲? そんな内包物(インクルージョン)、わたくしの心からはとっくに濾過されて消えましたわ。……ですが、そうですね。わたくし、ただでお金を貸すのは嫌いですの。……代わりに、あなたのその頭の上にある『王冠』を鑑定させてくださる?」
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「……ふふ、ふふふ。……宰相様。これ、本気でわたくしに見せたのですか?」
「な、何か問題でも……? それは我が王国の象徴、三種の高貴なる石が埋め込まれた……」
「高貴!? 笑わせないで! 中央のこのエメラルド、クラック(亀裂)を隠すために樹脂がベタベタに詰め込まれていますわ! 右側のサファイアは色ムラが酷くて、まるでカビが生えたブルーチーズ。そして左のダイヤ……これはカットが悪すぎて、光が全て底から漏れています。いわば『光の垂れ流し』ですわね!」
エミリーの痛烈な批判に、宰相は言葉を失った。
「こんなガラクタを誇りにしていたなんて、この国の美的センスを疑いますわ。……カイル様、この王冠、わたくしが『ゴミ捨て場』から拾い上げた場合の時価はどれくらいかしら?」
「そうだね……。台座の金は溶かして売れるが、石は研磨の練習台にするのが関の山だろう。金貨十枚、といったところかな?」
「金貨十枚……っ!? そんな馬鹿な! それはわが国の至宝ですよ!」
「至宝の意味を履き違えていますわ。……いいでしょう、宰相様。提案がありますの」
エミリーは椅子から立ち上がり、窓の外に広がる、今や王都よりも輝いている宝石帝国の街並みを指差した。
「わたくしが国家の借金を全て肩代わりして差し上げますわ。……その代わり、王家の所有する『全ての鉱山』と『宝物庫』の鍵を、宝石帝国へ譲渡しなさい」
「な、ななな……! それは王国の心臓を売り渡せと言うことですか!」
「あら、心臓が止まりかけているのはそちらでしょう? 宝石を愛せない王族に、石たちの世話を任せておくわけにはいきませんの。……わたくしなら、あの子たちを泥の中から救い出し、世界で一番幸せな場所に連れて行ってあげられますわ。……これは『救済』ですのよ?」
エミリーの瞳は、もはや一国の王族など恐れてはいなかった。彼女にあるのは、ただ石への純粋な、そして狂気的な愛情だけだった。
「……選ぶのですわ。このまま安物の王冠と共に国を沈めるか。それとも、宝石帝国の庇護の下で、わたくしの『コレクションの一部』として生き永らえるか」
「…………」
宰相は震える手で、譲渡契約書を受け取った。
こうして、かつて自分を追放した王国は、エミリーの「宝石コレクション」の台座へと成り下がった。
「さあ、カイル様。契約成立ですわね! まずはあのカビたブルーチーズのサファイアを、わたくしの手で徹底的に再教育(カット)して差し上げなくては!」
「はは……。王様も、今頃自分の首元が寒くなっているだろうね」
エミリーの高笑いが、王宮まで届くほど高らかに響き渡った。
「……ちょっと、カイル様。見てくださいませ。この王宮の宝物庫、湿度管理が最悪ですわ! これでは宝石たちが風邪を引いてしまいますわよ!」
王宮の最深部、重厚な鉄の扉を開いた瞬間、エミリーは憤慨して声を上げた。
かつては足を踏み入れることすら許されなかった聖域。だが今、その鍵は宝石帝国の総帥であるエミリーの手元にある。
「はは……。まあ、彼らにとって宝石は『資産』であって『家族』ではないからね。……それにしても、随分と埃が積もっている」
カイルがカンテラを掲げると、薄暗い部屋の中に、乱雑に積み上げられた金銀財宝が浮かび上がった。
エミリーはドレスの裾を豪快に捲り上げると、迷わず部屋の「一番奥」へと突き進んだ。
「……おや。エミリー、そっちは行き止まりだよ? ただの瓦礫の山に見えるが」
「いいえ。わたくしの鼻が、この奥から『歴史の重圧に耐えかねた悲鳴』を嗅ぎつけましたの! ……ガストン様、ここの岩盤を少しだけ、繊細に叩いてくださる?」
「へいへい。王宮の壁を壊すなんて、前代未聞ですぜ」
ガストンが特製の小型ピッケルを振るう。壁の一部が崩れ落ちたその時、中から古びた木箱が現れた。
それは何の装飾もなく、むしろ「隠されるために作られた」ような、無機質な箱だった。
エミリーは震える手でその蓋を開けた。
「……っ!?」
中に入っていたのは、黒く、ゴツゴツとした、およそ宝石とは呼べないほど「地味な」石の塊だった。
「……何だい、これは。石炭か? それとも、ただの鉄鉱石かな」
カイルが不思議そうに覗き込むが、エミリーの目は、すでにその石の「内部」に到達していた。
「……いいえ。違いますわ、カイル様。これは……これは『原初の光(オリジン)』。この世界の地殻が形成された瞬間の記憶を封じ込めた、宝石たちの始祖ですわ!」
エミリーはルーペを構えるのも忘れ、素手でその石を抱き上げた。
「見て、見てくださいませ! この石の内部から漏れ出る、微弱な……でも、どんな太陽よりも純粋な白色光を! これこそ、わたくしが一生をかけて探し求めていた、究極の未研磨原石ですわ!」
「原初の光……。伝説にある、磨き方一つで世界を照らす太陽にも、国を滅ぼす魔石にもなるという、あの?」
「そうですわ! ……ああ、なんてこと。この子は今まで、自分を理解できる主を待って、この暗闇の中で数千年も息を潜めていたのですわね……」
エミリーの瞳から、大粒の涙がこぼれ落ち、石の表面を濡らした。
その瞬間、黒かった石の表面がパキパキと音を立てて剥がれ落ち、中から「全方位に虹色の閃光」を放つ、透明な核が顔を出した。
「……っ!? エミリー、君の涙が……石を呼び覚ましたのか?」
「違いますわ。この子が、わたくしの『鑑定眼(愛)』に応えてくれたのですわ。……カイル様、わたくし、決めましたわ」
エミリーは立ち上がり、石を高く掲げた。
「この『原初の光』を、わたくしの手で磨き上げます。そしてそれを、わたくしたちの結婚式の『誓いの石』にするのですわ!」
「……え? 今、さらりと結婚式と言ったかい?」
カイルが驚いて問い返すが、エミリーはすでに「どの角度からカットを始めるか」を脳内でシミュレーションし始めていた。
「当然でしょう? この子を磨き上げるには、わたくしの人生の全てを賭ける必要があります。……それを支えられるのは、世界で一番わたくしの癖(内包物)を理解している、あなたしかいませんもの!」
「……はは。なるほど、それは光栄だね。……いいよ、エミリー。君がその『究極』を磨き上げるまで、私は君の隣で、台座(人生)として寄り添い続けよう」
カイルはエミリーの手を、石ごと包み込むように握りしめた。
王宮の埃っぽい地下室は、今やどんな夜会会場よりも神聖で、輝かしい空間へと変わっていた。
「さあ、カイル様! ぐずぐずしていられませんわ! すぐに最高級の研磨機を調整しなくては! この子のために、新しい研磨理論を構築する必要がありますわよ!」
「……はいはい。……ガストン、馬車の準備だ。宝石帝国の女王様が、新しい時代を磨き始めるぞ」
エミリーの情熱は、ついに世界の理(ことわり)すらも磨き直そうとしていた。
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