【完結】全てを後悔しても、もう遅いですのよ。

アノマロカリス

文字の大きさ
6 / 63

第四話 続・カリオス王子の苦悩…

しおりを挟む
 カリオス王子は…ここ最近は仕事部屋から一歩も外に出られない生活を送っていた。

 その理由は、毎日毎日山の様な報告書の書類整理に追われていた為だった。

 レイラの捜索だが…捏造した内容で手配書まで作ったにも関わらず、どの場所においても手掛かりすら掴めなかった。

 このまま放置していたら書類はどんどん溜まる一方だと感じたカリオス王子は、いち早くレイラを連れ戻す事を祈りながら仕事をこなしていた。

 …さすがに毎日の様に同じ事をしていれば、段々と仕事は慣れて行く。

 とは言っても、レイラの仕事の速度で出来る訳ではないので…それなりに時間をかけながら仕事に励んでいた。

 「カリオス王子、追加の報告書です。」

 「もう…次が来たのか。」

 カリオス王子は溜め息混じりに報告書の束を見て息を吐いた。

 普段なら、書類の束を置いた文官はすぐに立ち去るのだが…?

 この日は少し違った。

 「何だ?」

 「カリオス王子に報告書を渡す前に、此方でも一応確認はするのですが…」

 「そうだよな、文官達に任せている書類が混ざらない様にだろ?」

 「そうなのですが…ここ最近の上がって来る報告書の内容が、以前とは大分異なっているのです。」

 それを聞いたカリオス王子は、今手を付けている分を置いてから新しい方の報告書を目に通した。

 その内容は…?

 畑の収穫量が六割程度まで減少し、鉱山の鉱石採掘量の減少化、市民達の生活魔法の威力低下、周辺区域の魔物の活発化等が報告に上がっていた。

 少し前までは全く無縁な事だった為に、明らかに王国に異変が起きているという事を感じさせられる内容だった。

 「おい、この報告書は真実なのか?」

 「はい…これ以外にも井戸水の減少が報告されておりますし、他にも豪雨による川の氾濫や土砂崩れなどが報告に上がっております。」

 「原因は何なんだ?」

 「学者チームが詳細を確認しているとの事なので、もう間も無く報告が上がって来るとは思いますが…ここ10年近くは穏やかだった気候も荒れたり、自然災害が頻発しますし、何より豊作だった収穫率が減少したりと…何かが起きているとしか思えないのです。」

 カリオス王子は少し考えると、本棚から1冊の本を取り出してから中身を見ながら話した。

 「まさかとは思うが…いにしえの魔王が復活する兆候という話とかではないよな?」

 「いにしえの魔王…ですか?」

 数百年前に魔王が世界を支配しようと暗躍していた時代…

 大地からマナが消えて土地は腐り草木は生えず、暗雲が空を覆って陽の光が一切無く、常に雷鳴が轟き大地を抉っていた事があった。

 人々には希望が無く、このままでは朽ち果てる運命しか無いと思っていた時…

 ある王国が異世界から勇者達を召喚して魔王を討伐したという話だった。

 その時の状況が今の兆候と似ているとカリオス王子は考えていた。

 「いやいや、それは流石に話が飛躍し過ぎでしょう。 それに他国ではこういった出来事は日常茶飯事ですから、ここ数年のレントグレマール王国が恵まれていたというだけでは無いでしょうか?」

 「そ、そうなのか…?」

 確かに魔王云々の話は考えすぎか…?

 なら、この原因は一体何なのか?

 「やはり、学者の調査が終わるのを待つしか無いのか…」

 「しかし、ここ数年は問題がないというのに…何が起こっているのでしょうねぇ?」

 文官はそういうと部屋から出て行った。

 カリオス王子は報告書を纏めて、国王陛下に渡す書類を作成した。

 この時は偶然に不幸な出来事が続いただけだと思っていた。

 だがもう少し先で…レイラの張っていた結界が真実だったという事を思い知る事になるのだった。
しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

聖女を追い出しても平気だと思っていた国の末路

藤原遊
ファンタジー
聖女が国を去った日、神官長は分かっていた。 この国は、彼女を軽く扱いすぎたのだと。 「聖女がいなくても平気だ」 そう言い切った王子と人々は、 彼女が“何もしていない”まま国が崩れていく現実を、 やがて思い知ることになる。 ――これは、聖女を追い出した国の末路を、 静かに見届けた者の記録。

裏で国を支えていた令嬢「不純物だ」と追放されるも、強面辺境伯と共に辺境を改革する ~戻ってきてと嘆願されましたが、それに対する答えは……~、

水上
恋愛
「君のような地味な不純物は不要だ」と婚約破棄され追放されたルチア。失意の彼女を拾ったのは、皆から恐れられる辺境伯レオンハルトだった。だが彼には意外な一面があって!? ルチアはレオンハルトと共に、自らの知識や技術で領地を改革し始める。 一方、ルチアを追放した王国は、彼女の不在によって崩壊の危機に陥る。 今更戻ってきてほしいと嘆願されましたが、それに対する答えは……。

婚約破棄のお相手は

あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、ギリアム王子が平民の婚約者に婚約破棄を宣言した。 幼い頃に「聖女では」とギリアムの婚約者として引き取られたものの、神聖力が発現しなかったロッティナ。皆は婚約破棄されるのも当然だと思っていたが……。

【完結】白い結婚で生まれた私は王族にはなりません〜光の精霊王と予言の王女〜

白崎りか
ファンタジー
「悪女オリヴィア! 白い結婚を神官が証明した。婚姻は無効だ! 私は愛するフローラを王妃にする!」  即位したばかりの国王が、宣言した。  真実の愛で結ばれた王とその恋人は、永遠の愛を誓いあう。  だが、そこには大きな秘密があった。  王に命じられた神官は、白い結婚を偽証していた。  この時、悪女オリヴィアは娘を身ごもっていたのだ。  そして、光の精霊王の契約者となる予言の王女を産むことになる。 第一部 貴族学園編  私の名前はレティシア。 政略結婚した王と元王妃の間にできた娘なのだけど、私の存在は、生まれる前に消された。  だから、いとこの双子の姉ってことになってる。  この世界の貴族は、5歳になったら貴族学園に通わないといけない。私と弟は、そこで、契約獣を得るためのハードな訓練をしている。  私の異母弟にも会った。彼は私に、「目玉をよこせ」なんて言う、わがままな王子だった。 第二部 魔法学校編  失ってしまったかけがえのない人。  復讐のために精霊王と契約する。  魔法学校で再会した貴族学園時代の同級生。  毒薬を送った犯人を捜すために、パーティに出席する。  修行を続け、勇者の遺産を手にいれる。 前半は、ほのぼのゆっくり進みます。 後半は、どろどろさくさくです。 小説家になろう様にも投稿してます。

『やりたくないからやらないだけ 〜自分のために働かない選択をした元貴族令嬢の静かな失踪〜』

鷹 綾
恋愛
「やりたくないから、やらないだけですわ」 婚約破棄をきっかけに、 貴族としての役割も、評価も、期待も、すべてが“面倒”になった令嬢ファーファ・ノクティス。 彼女が選んだのは、復讐でも、成り上がりでもなく―― 働かないという選択。 爵位と領地、屋敷を手放し、 領民の未来だけは守る形で名領主と契約を結んだのち、 彼女はひっそりと姿を消す。 山の奥で始まるのは、 誰にも評価されず、誰にも感謝せず、 それでも不自由のない、静かな日々。 陰謀も、追手も、劇的な再会もない。 あるのは、契約に基づいて淡々と届く物資と、 「何者にもならなくていい」という確かな安心だけ。 働かない。 争わない。 名を残さない。 それでも―― 自分の人生を、自分のために選び切る。 これは、 頑張らないことを肯定する物語。 静かに失踪した元貴族令嬢が、 誰にも縛られず生きるまでを描いた、 “何もしない”ことを貫いた、静かな完結譚。

婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~

ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。 そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。 シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。 ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。 それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。 それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。 なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた―― ☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆ ☆全文字はだいたい14万文字になっています☆ ☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆

【完結】無能な聖女はいらないと婚約破棄され、追放されたので自由に生きようと思います

黒幸
恋愛
辺境伯令嬢レイチェルは学園の卒業パーティーでイラリオ王子から、婚約破棄を告げられ、国外追放を言い渡されてしまう。 レイチェルは一言も言い返さないまま、パーティー会場から姿を消した。 邪魔者がいなくなったと我が世の春を謳歌するイラリオと新たな婚約者ヒメナ。 しかし、レイチェルが国からいなくなり、不可解な事態が起き始めるのだった。 章を分けるとかえって、ややこしいとの御指摘を受け、章分けを基に戻しました。 どうやら、作者がメダパニ状態だったようです。 表紙イラストはイラストAC様から、お借りしています。

処理中です...