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第一章 冒険者になる迄の道
第二十五話 封印すると誓っていた禁断の言葉…使います!・後編
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これから実行する事は、虚言と捏造した言葉のオンパレードだ!
ただ、この髪は遠くに居ても結構目立つ。
公爵家とは王族と縁のあるもので、王族の遠い親戚という感じで、僕の中にもその血が混じっている。
その証拠に、僕の髪が銀髪なのはそんな由縁があるからだった。
ちなみに、王族は主に金髪でグラハムハート公爵家は銀髪、レントヴィアン公爵家はプラチナブロンド、ハールストーン公爵家はパールグリーン、ドリーミュルズ公爵家はパールピンクの色になっている。
これは、嫁いだ嫁の髪の色に影響されている為に…必ずしもこの色という訳ではなかった。
ちなみに魔王や魔族の髪の色はダーク系が多く、一見黒く見えるが…日に当てると完全に黒じゃない事がわかるという仕組みになっている。
「やっぱり、髪を隠せる布…?いや、バンダナみたいに巻くという手もあるな!それなら髪を上手く隠せるんだけど、服がこの色で…この色の服を着ている人は少ないからなぁ?」
あ…逆に今は隠したらマズイか!
下手に隠しでもしたら僕を追えなくなってしまう。
現状的には何もしない方が良いのかもしれないな…?
なので僕は、早速行動を移す事にした。
「アイツ1人くらいならなんとかなるだろうしな!」
ここが元いた世界…日本ではない事を祈ろう。
多分、この世界の人達は協力的だと思いたい。
それで僕は、テルマールがこちらの方を向いた瞬間に…シレっと見える位置に出た。
すると、テルマールは僕が思っている声を発するだろう。
「見つけたぞ、テクタイト‼︎」
「良し!」
僕はまた逃げ出すと、テルマールは追いかけて来る。
だけど、子供の僕とは違い…身体の大きいテルマールには人混みの中では動きにくそうだった。
テルマールは進む為に、謝罪をしながら人混みを掻き分けて追って来る。
…ん?
まだ、騎士だった頃の癖が抜けてないのか?
なら…こんなのも有効かな?
僕は泣き真似をしながら、テルマールに声を発した。
「うわぁぁぁ~ん、悪かったよぅ!お兄ちゃんが女風呂を覗いていた事を2度と誰にも話さないから…許してよ~~~‼︎」
「な……!」
流石に人混みの中でそんな事を言われたら、人々の視線はテルマールに注がれる。
テルマールは必死に弁解をしているが…騎士時代は囚人の僕に対してはキツかったが、元の性格は真面目だったので、無視するという事は出来ないみたいだ。
冒険者とかなら、報酬が手に入ると思うターゲットの言葉や他人の目を気にせずに追い掛けて来る物だが…?
騎士時代の真面目な性格が仇になったな!
…なら、もう1つ爆弾を投下するか!
僕は人混みの中を見て…ターゲットになりそうな獣人族の女性に指を差しながら言った。
「お兄ちゃんは女風呂を覗いている時に、そこにいる獣人族の女性を見て…あの獣人族の女は中々良い体をしているな!獣人女は頼めば簡単に股を開く奴ばかりだから、後で声を掛けるか…って言っていた事は絶対に秘密にするから~~~」
「おま……本当にふざけ………」
すると、周囲の視線が殺気のこもった視線に変わった。
このギフルテッドの街に来る客層は、半分は人間族だが…もう半分は様々な種族の獣人族が来ている。
そんな中で僕の発言は、獣人族の女性を一気に敵に回す。
更に…僕が指を差した獣人族の女性の隣には、一際身体の大きい獣人族の男性がいたので…恐らく夫婦なのだろう。
ただ、何の種族なのかは分からないけど…?
すると、僕が指を差した獣人族の女性の隣に居た獣人族の男性は、テルマールの胸ぐらを持ち上げて叫んでいた。
「貴様、誇り高き獅子族の…俺の妻に対して‼︎しかも、我等誇り高き獅子族の女に頼めば簡単に股を開くだと‼︎」
「いや、自分はそんな事は言っていない!そこに居るテク…子供が嘘を言っているだけだ‼︎」
テルマールは必死に言い訳をしていた。
だけど、獣人族の男性は聞く耳を持っていなかった。
獣人族は一度怒り出すと、周囲の声が耳に入らなくなるので有名だ。
しかもそれが虎人族や獅子族の様な…気性の荒い種族だと有名なので尚更だ。
「獅子族だったのか!テルマールは終わったな…」
僕は商会で仕事をしている時に、人間族の貴族だけではなく、獣人族との対応も任されているので、ある程度の種族は把握をしていた。
僕はテルマールの結末を最後まで見届ける事なく、その場から立ち去った。
後ろの方からテルマールの悲惨な叫び声が響いていたけど、僕に絡んで来なければこんな目に遭わなかったので、放っておく事にした。
僕は当初の予定の通りに獣人病院に向かって走り出して行った。
「よし、もう少しで獣人病院に……」
僕は獣人病院にもう少しで到着する…という時に、襟を掴まれて持ち上げられた。
まさか…テルマールがもう追って来たのか⁉︎
そう思ったのだが、僕の襟を掴んで持ち上げていたのは、全く知らない男だった。
「話には聞いていたが、本当に頭や口の回るガキだったな…」
「は、離してくれませんか?それに貴方は一体⁉︎」
「俺か?俺はテルマールと一緒にパーティーだった者だ。」
まさか、テルマールは騎士を辞めて冒険者になっていたという事実を今知った。
だから、依頼か何かでこの街に来ることが出来ていたのか!
しかもパーティーを組んでいた事は驚きだった。
僕は襟を掴んでいる男に鑑定魔法をした。
【ガイル レベル31】
…と表示されていた。
レベル31なら僕よりは低いけど、身体能力だと子供の僕の方が劣る。
何とか言い訳をしてやり過ごしたい所だけど…?
「もしも離して下さるのであれば、とても良い儲け話があるのですが…」
「お前を発見した時に、俺はテルマールに協力をすると言った時に言われたんだよ。あの子供は色々と悪知恵が働くから、言葉をまともに信じるな…ってな。」
まさか、テルマールに協力者が居たのは誤算だった。
テルマールだけなら逃げ切れる筈だったのに、まさか陽動だったとは…?
「それにな、ガキの儲け話に乗った所で報酬は高が知れているからな。そんな報酬では…」
冒険者は何より仲間を大事にする…という話だが、報酬額によって簡単に裏切る事があると…ラノベとかではよくあるテンプレだ。
恐らくだが、テルマールの性格上…仲間には元騎士という事は伝えている筈だろうが、何故騎士を辞めた理由までは知らないだろう。
まぁ、僕も知らないけど…恐らくは最下級騎士の扱いが嫌になったんだろう。
それを上手く逆手に取れれば…?
「金貨500枚が手に入るとしてもですか?」
「何だと⁉︎」
良し、喰い付いて来たな!
冒険者は高ランク冒険者でもない限り、破格の値を言われたら心が動く筈?
後は、このガイルという男がどこまで信じるかによるけど。
「金貨500枚だと⁉︎だが、お前の様なガキに用意出来る金額とは思えないが?」
「金貨500枚を支払うのは僕ではありません。これには事情があるのですが…その前に離して貰えませんか、逃げませんので。」
僕がそう言うと、ガイルは僕の事を離してくれた。
僕は首を摩りながら後方を見ると、他にも仲間らしき人達が2人居た。
「逃げようとしても無駄だからな!こっちには仲間が居るからな。」
「逃げませんって…」
仲間が居たとはね?
だけど、年齢も同じ位とは見えないし…本当にパーティーなのかな?
「テルマールが元騎士だったという話は?」
「あぁ、奴が言っていたから知っているが?」
「なら、何故テルマールが騎士を辞める事になったキッカケは?」
「いや…それは色々あってという話で聞いては居ないな。」
「まぁ、幾ら仲間であっても話す事は出来ませんよね?あんな事を仕出かしていたら…」
僕は少し笑みを浮かべて言った。
さて、この話をどこまで信じて貰えるかな?
「その前に自己紹介致しますね。僕の名前はテクタイト・グラハムハート…グラハムハート公爵家の五男です。」
「公爵家のガキ…いえ、御子息様でいらっしゃったのですか⁉︎」
「その証拠に、僕の髪は銀髪ですよね?」
「そういえば…輝く髪は王族の血縁の証だった。」
この話は、この世界では有名な話で一般人にも伝わっている。
仮に一般人が王族の血縁である髪色に染めたりすると、それだけで極刑になる。
だから、無闇に染めようとする者は居なかった。
でもまさか…二度と名乗るつもりが無かった名前を口にする時が来るとは思わなかった。
「それで、テルマールがあんな事を仕出かした…とは?」
「テルマールは元はグラハムハート公爵家の騎士団に所属していました。騎士階級は最下位の下級騎士で、騎士団では雑用的な任に就いていました。」
「アイツ…グラハムハート公爵家の騎士だったのか‼︎」
さて、ここからが最大のハッタリをかます所だが…?
何とか上手くやらないとな。
「テルマールは最下級騎士の仕事に不満を常に漏らしていました。そこで上手く公爵家との太いパイプを持って出世をする為に、長女のガーネット姉様に口八丁や手八丁で巧妙な手口で取り入った結果、見事ガーネット姉様の信頼を勝ち取ったのですが…それでも最下級騎士の立場は変わりませんでした。」
「まぁ、公爵令嬢に気に入られた所で…すぐに立場が変わる事は無いだろうからな。」
「そこで業を煮やしたテルマールは、思っても見なかった行動に移したんです。」
「一体…何をしたんだ⁉︎」
「まだ11歳だったガーネット姉様を手篭めにし、それをかさにして公爵…お父様を脅したんです。ですが、その脅しも効果は無く…逆にお父様を怒らせる原因となり、騎士団に捕らわれる事になりそうになった時に、騎士団の副団長を殺害して逃亡したんです。」
我ながら感心するわ。
よくもまぁ…こんなにベラベラと嘘が出てくるものだな。
これも、転生前に行っていた成果の賜物なのかな?
あの時は本当に必死だったからな。
「アイツ…そんな重罪を犯していたのか⁉︎」
「はい…ですが、それを黙って見過ごすお父様ではありません。それで、テルマールには懸賞金として金貨500枚を懸けたのです。」
「仰られていた儲け話というのは…?」
「はい、その事です。グラハムハート公爵家付近の街や村には、テルマールの手配書が回っているのですが…この辺境にあるギフルテッドの街にはまだ手配書は回っていないみたいですね。まぁ、それも時間の問題だと思いますが…」
「そんな…アイツが⁉︎」
ガイルが困惑した表情をしていると、残りの仲間も同じ様に困惑をしていた。
だが、この話をどこまで信じたのかな?
さて、最後に切り札を投下しますか!
「まさか、テルマールがそんな奴だったなんて…」
「だから、テルマールが僕を見つけた際に協力を頼んだのでしょう。僕さえ消せば、居場所を突き止められる事はなくなりますからね…」
最もらしい理由を言えば、ガイルとその仲間も信用するだろう。
…そんな話をしていると、恐らく獣人族達にボコボコにされて顔を腫らしたテルマールがやって来たのだった。
「テクタイト!貴様……」
「ほら、僕を執拗に狙う意味がこれで分かったでしょ?」
「確かに、そんな理由なら…おい、テルマールを捕らえるぞ‼︎」
ガイル達はテルマールを捕まえてから、武器を没収した。
テルマールは一体何が起こったのか、混乱した表情を浮かべていた。
「ガイル…一体何を⁉︎」
「テルマール、お前を買い被り過ぎて居たようだな‼︎」
僕はガイル達に捕らわれたテルマールの口に猿ぐつわをした。
テルマールは何かを叫んでいた様だったが、「ウ~ウ~」という声しか上げられなかった。
「このまま、テルマールをグラハムハート公爵家に連行して下さい。」
「えっと…御子息様はいらっしゃらないのですか?」
「僕は……」
これなんて答えれば…?
あ、そうだ!
「僕はグラハムハート公爵家の領地繁栄の為の視察がまだ終わってないのです。なので同行をする事は出来ませんが…」
僕は持っていた紙に適当な文章を綴ってから、封筒に入れて蝋で封をした。
中には、恐らく公爵家の者達とガイルが見たら…明らかに激怒する内容が書かれていた。
「これをグラハムハート公爵家に到着した際に、騎士団に渡せば話がスムーズに伝わります。連行している間は、絶対にテルマールの猿ぐつわを解かないで下さい。この男は真面目なフリをして、人を騙す天才ですから!」
「分かりました。」
ガイルはテルマールを連行する為に、街の入り口にある馬舎に向かって行った。
あれだけ念を押していたから、途中で手紙を開ける事は無いだろう。
僕は事なきを得て、そのまま獣人病院に向かった。
別にもう逃げる必要は無いのだけれど、ラミナの様子を見ておきたかったからだ。
「あ…髪をどうにかしないとだな!それと、目の色も何とか誤魔化したんだけど…」
ただ、この髪は遠くに居ても結構目立つ。
公爵家とは王族と縁のあるもので、王族の遠い親戚という感じで、僕の中にもその血が混じっている。
その証拠に、僕の髪が銀髪なのはそんな由縁があるからだった。
ちなみに、王族は主に金髪でグラハムハート公爵家は銀髪、レントヴィアン公爵家はプラチナブロンド、ハールストーン公爵家はパールグリーン、ドリーミュルズ公爵家はパールピンクの色になっている。
これは、嫁いだ嫁の髪の色に影響されている為に…必ずしもこの色という訳ではなかった。
ちなみに魔王や魔族の髪の色はダーク系が多く、一見黒く見えるが…日に当てると完全に黒じゃない事がわかるという仕組みになっている。
「やっぱり、髪を隠せる布…?いや、バンダナみたいに巻くという手もあるな!それなら髪を上手く隠せるんだけど、服がこの色で…この色の服を着ている人は少ないからなぁ?」
あ…逆に今は隠したらマズイか!
下手に隠しでもしたら僕を追えなくなってしまう。
現状的には何もしない方が良いのかもしれないな…?
なので僕は、早速行動を移す事にした。
「アイツ1人くらいならなんとかなるだろうしな!」
ここが元いた世界…日本ではない事を祈ろう。
多分、この世界の人達は協力的だと思いたい。
それで僕は、テルマールがこちらの方を向いた瞬間に…シレっと見える位置に出た。
すると、テルマールは僕が思っている声を発するだろう。
「見つけたぞ、テクタイト‼︎」
「良し!」
僕はまた逃げ出すと、テルマールは追いかけて来る。
だけど、子供の僕とは違い…身体の大きいテルマールには人混みの中では動きにくそうだった。
テルマールは進む為に、謝罪をしながら人混みを掻き分けて追って来る。
…ん?
まだ、騎士だった頃の癖が抜けてないのか?
なら…こんなのも有効かな?
僕は泣き真似をしながら、テルマールに声を発した。
「うわぁぁぁ~ん、悪かったよぅ!お兄ちゃんが女風呂を覗いていた事を2度と誰にも話さないから…許してよ~~~‼︎」
「な……!」
流石に人混みの中でそんな事を言われたら、人々の視線はテルマールに注がれる。
テルマールは必死に弁解をしているが…騎士時代は囚人の僕に対してはキツかったが、元の性格は真面目だったので、無視するという事は出来ないみたいだ。
冒険者とかなら、報酬が手に入ると思うターゲットの言葉や他人の目を気にせずに追い掛けて来る物だが…?
騎士時代の真面目な性格が仇になったな!
…なら、もう1つ爆弾を投下するか!
僕は人混みの中を見て…ターゲットになりそうな獣人族の女性に指を差しながら言った。
「お兄ちゃんは女風呂を覗いている時に、そこにいる獣人族の女性を見て…あの獣人族の女は中々良い体をしているな!獣人女は頼めば簡単に股を開く奴ばかりだから、後で声を掛けるか…って言っていた事は絶対に秘密にするから~~~」
「おま……本当にふざけ………」
すると、周囲の視線が殺気のこもった視線に変わった。
このギフルテッドの街に来る客層は、半分は人間族だが…もう半分は様々な種族の獣人族が来ている。
そんな中で僕の発言は、獣人族の女性を一気に敵に回す。
更に…僕が指を差した獣人族の女性の隣には、一際身体の大きい獣人族の男性がいたので…恐らく夫婦なのだろう。
ただ、何の種族なのかは分からないけど…?
すると、僕が指を差した獣人族の女性の隣に居た獣人族の男性は、テルマールの胸ぐらを持ち上げて叫んでいた。
「貴様、誇り高き獅子族の…俺の妻に対して‼︎しかも、我等誇り高き獅子族の女に頼めば簡単に股を開くだと‼︎」
「いや、自分はそんな事は言っていない!そこに居るテク…子供が嘘を言っているだけだ‼︎」
テルマールは必死に言い訳をしていた。
だけど、獣人族の男性は聞く耳を持っていなかった。
獣人族は一度怒り出すと、周囲の声が耳に入らなくなるので有名だ。
しかもそれが虎人族や獅子族の様な…気性の荒い種族だと有名なので尚更だ。
「獅子族だったのか!テルマールは終わったな…」
僕は商会で仕事をしている時に、人間族の貴族だけではなく、獣人族との対応も任されているので、ある程度の種族は把握をしていた。
僕はテルマールの結末を最後まで見届ける事なく、その場から立ち去った。
後ろの方からテルマールの悲惨な叫び声が響いていたけど、僕に絡んで来なければこんな目に遭わなかったので、放っておく事にした。
僕は当初の予定の通りに獣人病院に向かって走り出して行った。
「よし、もう少しで獣人病院に……」
僕は獣人病院にもう少しで到着する…という時に、襟を掴まれて持ち上げられた。
まさか…テルマールがもう追って来たのか⁉︎
そう思ったのだが、僕の襟を掴んで持ち上げていたのは、全く知らない男だった。
「話には聞いていたが、本当に頭や口の回るガキだったな…」
「は、離してくれませんか?それに貴方は一体⁉︎」
「俺か?俺はテルマールと一緒にパーティーだった者だ。」
まさか、テルマールは騎士を辞めて冒険者になっていたという事実を今知った。
だから、依頼か何かでこの街に来ることが出来ていたのか!
しかもパーティーを組んでいた事は驚きだった。
僕は襟を掴んでいる男に鑑定魔法をした。
【ガイル レベル31】
…と表示されていた。
レベル31なら僕よりは低いけど、身体能力だと子供の僕の方が劣る。
何とか言い訳をしてやり過ごしたい所だけど…?
「もしも離して下さるのであれば、とても良い儲け話があるのですが…」
「お前を発見した時に、俺はテルマールに協力をすると言った時に言われたんだよ。あの子供は色々と悪知恵が働くから、言葉をまともに信じるな…ってな。」
まさか、テルマールに協力者が居たのは誤算だった。
テルマールだけなら逃げ切れる筈だったのに、まさか陽動だったとは…?
「それにな、ガキの儲け話に乗った所で報酬は高が知れているからな。そんな報酬では…」
冒険者は何より仲間を大事にする…という話だが、報酬額によって簡単に裏切る事があると…ラノベとかではよくあるテンプレだ。
恐らくだが、テルマールの性格上…仲間には元騎士という事は伝えている筈だろうが、何故騎士を辞めた理由までは知らないだろう。
まぁ、僕も知らないけど…恐らくは最下級騎士の扱いが嫌になったんだろう。
それを上手く逆手に取れれば…?
「金貨500枚が手に入るとしてもですか?」
「何だと⁉︎」
良し、喰い付いて来たな!
冒険者は高ランク冒険者でもない限り、破格の値を言われたら心が動く筈?
後は、このガイルという男がどこまで信じるかによるけど。
「金貨500枚だと⁉︎だが、お前の様なガキに用意出来る金額とは思えないが?」
「金貨500枚を支払うのは僕ではありません。これには事情があるのですが…その前に離して貰えませんか、逃げませんので。」
僕がそう言うと、ガイルは僕の事を離してくれた。
僕は首を摩りながら後方を見ると、他にも仲間らしき人達が2人居た。
「逃げようとしても無駄だからな!こっちには仲間が居るからな。」
「逃げませんって…」
仲間が居たとはね?
だけど、年齢も同じ位とは見えないし…本当にパーティーなのかな?
「テルマールが元騎士だったという話は?」
「あぁ、奴が言っていたから知っているが?」
「なら、何故テルマールが騎士を辞める事になったキッカケは?」
「いや…それは色々あってという話で聞いては居ないな。」
「まぁ、幾ら仲間であっても話す事は出来ませんよね?あんな事を仕出かしていたら…」
僕は少し笑みを浮かべて言った。
さて、この話をどこまで信じて貰えるかな?
「その前に自己紹介致しますね。僕の名前はテクタイト・グラハムハート…グラハムハート公爵家の五男です。」
「公爵家のガキ…いえ、御子息様でいらっしゃったのですか⁉︎」
「その証拠に、僕の髪は銀髪ですよね?」
「そういえば…輝く髪は王族の血縁の証だった。」
この話は、この世界では有名な話で一般人にも伝わっている。
仮に一般人が王族の血縁である髪色に染めたりすると、それだけで極刑になる。
だから、無闇に染めようとする者は居なかった。
でもまさか…二度と名乗るつもりが無かった名前を口にする時が来るとは思わなかった。
「それで、テルマールがあんな事を仕出かした…とは?」
「テルマールは元はグラハムハート公爵家の騎士団に所属していました。騎士階級は最下位の下級騎士で、騎士団では雑用的な任に就いていました。」
「アイツ…グラハムハート公爵家の騎士だったのか‼︎」
さて、ここからが最大のハッタリをかます所だが…?
何とか上手くやらないとな。
「テルマールは最下級騎士の仕事に不満を常に漏らしていました。そこで上手く公爵家との太いパイプを持って出世をする為に、長女のガーネット姉様に口八丁や手八丁で巧妙な手口で取り入った結果、見事ガーネット姉様の信頼を勝ち取ったのですが…それでも最下級騎士の立場は変わりませんでした。」
「まぁ、公爵令嬢に気に入られた所で…すぐに立場が変わる事は無いだろうからな。」
「そこで業を煮やしたテルマールは、思っても見なかった行動に移したんです。」
「一体…何をしたんだ⁉︎」
「まだ11歳だったガーネット姉様を手篭めにし、それをかさにして公爵…お父様を脅したんです。ですが、その脅しも効果は無く…逆にお父様を怒らせる原因となり、騎士団に捕らわれる事になりそうになった時に、騎士団の副団長を殺害して逃亡したんです。」
我ながら感心するわ。
よくもまぁ…こんなにベラベラと嘘が出てくるものだな。
これも、転生前に行っていた成果の賜物なのかな?
あの時は本当に必死だったからな。
「アイツ…そんな重罪を犯していたのか⁉︎」
「はい…ですが、それを黙って見過ごすお父様ではありません。それで、テルマールには懸賞金として金貨500枚を懸けたのです。」
「仰られていた儲け話というのは…?」
「はい、その事です。グラハムハート公爵家付近の街や村には、テルマールの手配書が回っているのですが…この辺境にあるギフルテッドの街にはまだ手配書は回っていないみたいですね。まぁ、それも時間の問題だと思いますが…」
「そんな…アイツが⁉︎」
ガイルが困惑した表情をしていると、残りの仲間も同じ様に困惑をしていた。
だが、この話をどこまで信じたのかな?
さて、最後に切り札を投下しますか!
「まさか、テルマールがそんな奴だったなんて…」
「だから、テルマールが僕を見つけた際に協力を頼んだのでしょう。僕さえ消せば、居場所を突き止められる事はなくなりますからね…」
最もらしい理由を言えば、ガイルとその仲間も信用するだろう。
…そんな話をしていると、恐らく獣人族達にボコボコにされて顔を腫らしたテルマールがやって来たのだった。
「テクタイト!貴様……」
「ほら、僕を執拗に狙う意味がこれで分かったでしょ?」
「確かに、そんな理由なら…おい、テルマールを捕らえるぞ‼︎」
ガイル達はテルマールを捕まえてから、武器を没収した。
テルマールは一体何が起こったのか、混乱した表情を浮かべていた。
「ガイル…一体何を⁉︎」
「テルマール、お前を買い被り過ぎて居たようだな‼︎」
僕はガイル達に捕らわれたテルマールの口に猿ぐつわをした。
テルマールは何かを叫んでいた様だったが、「ウ~ウ~」という声しか上げられなかった。
「このまま、テルマールをグラハムハート公爵家に連行して下さい。」
「えっと…御子息様はいらっしゃらないのですか?」
「僕は……」
これなんて答えれば…?
あ、そうだ!
「僕はグラハムハート公爵家の領地繁栄の為の視察がまだ終わってないのです。なので同行をする事は出来ませんが…」
僕は持っていた紙に適当な文章を綴ってから、封筒に入れて蝋で封をした。
中には、恐らく公爵家の者達とガイルが見たら…明らかに激怒する内容が書かれていた。
「これをグラハムハート公爵家に到着した際に、騎士団に渡せば話がスムーズに伝わります。連行している間は、絶対にテルマールの猿ぐつわを解かないで下さい。この男は真面目なフリをして、人を騙す天才ですから!」
「分かりました。」
ガイルはテルマールを連行する為に、街の入り口にある馬舎に向かって行った。
あれだけ念を押していたから、途中で手紙を開ける事は無いだろう。
僕は事なきを得て、そのまま獣人病院に向かった。
別にもう逃げる必要は無いのだけれど、ラミナの様子を見ておきたかったからだ。
「あ…髪をどうにかしないとだな!それと、目の色も何とか誤魔化したんだけど…」
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