特殊スキル持ちの低ランク冒険者の少年は、勇者パーティーから追い出される際に散々罵しった癖に能力が惜しくなって戻れって…頭は大丈夫か?

アノマロカリス

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第二章

第十八話 故郷に戻った元勇者パーティーは?1日目…

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 「戻って来たな…」
 「戻って来たか…」
 「戻って来ましたね。」
 「戻って来ちゃったわね。」
 「馬車のメンテナンスの為にこの村には2日程停泊致します。元勇者の生まれ故郷という話なので、見物したら如何でしょうか?」

 馬車の操縦士と護衛の冒険者達は、宿に入って行った。
 操縦士が何故トール達にあぁ言ったかというと、トール達は名前や素性を隠して馬車に乗ったからだった。

 「元勇者の生まれ故郷って知っとるわ!俺達の故郷だからな!」
 「さてどうするか…?2日も居たら、流石に親にバレるぞ!」
 「村の外に出て夜営でもする?」
 「私達の状況を考えると、その方が良いかもしれないわね。」

 トール達は、フードで顔を隠しながら村の外に出ようとした…が、門番に止められた。
 
 「申し訳ありませんが、この時間は村の外に特別な理由がない限りはお通し出来ませんにで、宿に入ってお休み下さい。」
 「い、いえ…僕らは冒険者ですので、宿の中より外で野営をした方が逆に休まるのですよ。」
 「そうなんですか、それなら仕方ないですね…とでも言うと思ったか!その声はトールだよな‼︎」
 「シャリガルか…厄介な奴に見つかった。」

 シャリガルは、幼い頃に良くトールから虐められていた。
 年齢はトールより上なのだが、ジョブ特性や性能ではトールには勝てずに、常に屈辱的に感じていた。

 「シャリガル、頼むから俺達の事は内緒にし…」
 「これで昔年の恨みが晴らせるな…!」

 シャリガルは大きく息を吸い込むと、村の方角に向かって大声で叫んだ。

 『トール達が村に戻って来たぞぉ~~~!!!』
 「止めろ、余計な事を話すな‼︎」
 「おっと歯向かう気か?やめた方がいいぞ…あの時や勇者時代の時はどう足掻いても勝てなかったが、今の俺のジョブは上級職のガーディアンだからな。レベルは56だ!」
 「ガーディアンだと!一体どうやって⁉︎」
 「師匠からのアドバイスのお陰でな!どうする、村の方から此方に向かってくる気配がしているが?」
 
 トール達は背後を見てから村人達が此方に向かって来ているのを確認すると、周囲を見てから逃げれる場所を探して宿屋に向かって走ってから、宿屋に入って扉を閉めた。
 トールは扉の隙間から外の様子を確認していたが、リガートから肩を叩かれてうざったく思っていた。

 「トール、トール…こっちを向け!」
 「何だよ、今はそれどころじゃ…」
 「トールちゃん、リガートちゃん、キリアちゃん、カルネアちゃん…おかえりなさい。良くこの村に帰って来れたわね?」
 
 トールは声をした方に振り向くと…テイトの母親であり、師匠であり、この宿屋の女将でもある女性が腕を組みながら仁王立ちで威嚇しながら立っていた。
 トールは他の3人を見るが、他の3人は青い顔をしながらガタガタと震えていた。
 前門の虎、後門の狼という言葉があるが、村人達が虎とするならば…女将は狼なんて生易しいものではなく、ドラゴンか…下手したら魔王並みに厄介な人物だった。
 
 「し…師匠、お久しぶりで御座います。」
 「うんうん、久しぶりねトールちゃん。それに皆も…で、質問に答えてくれてないけど?」
 「質問って何でしたっけ…?」
 「私の息子のテイトを利用するだけ利用してから、ランク昇格の為に追い出したんですってね?貴方達に散々貢献していたのに、4人からは罵声を浴びせて追い出されたと聞いたわ。それでテイトの加護を失ってから、勇者も剥奪されて…良くこの村に帰って来れたわねっていう質問なんだけど。」

 トール達は既に地面に正座していた。
 もう…全てがバレていると観念したトール達は、正座したまま震えながら何も言えなかった。
 すると、扉が勢い良く開いてから村人達が入って来た。
 そこにはトール達の両親も一緒にいたのだった。

 「おい、トール!貴様には言いたいことが…」
 「ダールさん、今は私が話をしているのでご遠慮下さいませんか?」
 「これは親子の問題だ!口を挟まないでもら…」

 女将は拳をテーブルに叩き付けた。
 すると、中級冒険者のタンクの盾でも通用する位に頑丈なテーブルが粉々に砕け散った。

 「今は私が話をしている…そう言いませんでしたか?」
 「あ…あぁ、済まない!」
 「安心して下さいダールさん、私の話が終われば御子息のトールちゃんは引き渡しますので、その後にゆっくりとお話し下さいね。」
 「う…うむ。」

 このハーネスト村の住人達は、テイトの両親の偉業は皆知っていた。
 なので、こんなにも怒り心頭の彼女を目の前にして逆らえる者は存在しないので、村人達は一斉に黙ったのだった。

 「あと、両親の前では話したい事も話せないと思うので…いっ時の間、外に出ていて貰えますか?」

 女将は手にした巨大な…オーガが武器で使う様なメイスを振り下ろした。
 その風圧に建物全体が振動して、窓がガタガタと揺れていた。
 村人達は口を閉ざしたまま扉から出て行った。
 その光景を見て、リガートとキリアとカルネアは泡を吹いて気を失っていた。
 トールだけが何とか耐えられている感じだった。
 ただし、顔面蒼白と体の震えが止まってない状態だったが。

 「息子の事を蔑ろにされて怒らない親はいないのよぉ~納得の行く説明をしてくれるわよね?トールちゃん!」
 「こ…この度は、御子息に大変な…御迷惑をおかけした事を、ここに謝罪致します!実はこれには、理由がありまして…」

 トールは言葉を選びながら慎重に説明をした。
 
 「へぇ~?ふ~ん…そうなんだぁ~?」
 「はい、大体こんな感じです…」
 「そうなのぉ~?テイトから聞いた話と随分違うわね~?」

 女将は巨大メイスをトールの前で振り下ろした。
 その風圧を受けたトールは、あまりの風圧で体がのけ反った。
 トールは覚悟をした。
 テイトから話を聞いている内容と違うという事は、全ての話が女将の耳に入っているという事を…。
 トールは観念して包み隠さずに全てを暴露した。
 そして全てを話し終えると、女将は「少し待っててね。」と言ってから、2つ目のテーブルを素手で破壊した。

 「ど…どうされたのですか⁉︎」
 「さっきから鬱陶しい虫が居たので潰したところよ、気にしないで。」

 トールは壊れたテーブルを見たが、虫の死骸なんか一切無かった。
 女将の攻撃でミスする事はまず有り得ない。
 …という事は、かなりの怒り心頭での行動でテーブルを破壊したという事なのだ。
 そう、女将は顔は穏やかだったが…明らかに怒っているという事が気配で感じ取れていた。
 トールは…死を予感していた。

 「俺…いや、俺達はどうなるのでしょうか?」
 「聞かなきゃ分からないの~?」
 「あ…はい、教えて頂きませんか?」
 
 トールの顔面に女将の拳が突き刺さった。
 それから胸ぐらを掴まれてから、顔や体が原形を留めないくらいに殴られていた。
 トールは悲鳴をあげる暇もなく殴られていると、その音でリガート達も目を覚ました。
 …が、気絶していた方がまだマシだったかもしれない。
 トールは無造作に放り投げると、次はリガートに攻撃の手が向かって、トールと同じ様に原型を留めないくらいに殴られていた。
 女将の手には、トールとリガートの血がべっとりと付いていて、顔や体には返り血が飛び散っていた。
 女将はリガートを無造作に放り投げると、次はカルネアの胸ぐらを掴んで持ち上げた。

 「し…師匠、お許し下さい!」
 「私の息子って寄生虫なんですってね?」

 カルネアは覚悟を決めた。
 そしてトールやリガートと同じ様に何かが砕ける音がしながらひたすら殴られていた。
 終わった後には、顔も体も原型を留めていなかった。
 女将はキリアに向かってこう言った。

 「安心しなさいな、殺してはいないから…ただし、反省に為に今日だけは痛みを抱えながら過ごしなさいね。明日には治してあげますから!」

 そう言って女将はカルネアを投げ捨てると、次はキリアを持ち上げてから…
 4人の制裁が終わると、女将は宿屋の扉を開けてから4人を親達の前に放り投げた。

 「私の用事は終わりましたわ、後はそちらで好きにして下さいね。」

 トールの両親達は、我が子の見るも無惨な姿を見て言葉を失っていた。
 両親達は、我が子に対して色々と文句を言いたかったみたいだが、すっかり失せていた。
 実は女将が4人をここまで痛め付けたのには、師匠としての優しさが含まれていたのだった。
 女将から散々小言を言われた後に、次は両親から罵詈雑言を突き付けられるとあまりにも気の毒と感じた女将は、徹底的に完膚なきまでに叩きのめしたのである。
 そうする事により、両親達からの攻撃から守る為に…?
 多少の私怨も混ざってはいるが…。

 「今日は反省の為にこのままにしますが、明日には完全回復させますのでご安心下さいね。それでは、良い夢を!」
 
 そう言って女将は宿に入って行き、扉は閉められたのだった。
 両親達は我が子を運んで連れて行き、翌日は更なる地獄が4人を待ち受けていたのだった。
 さて、トール達は無事にハーネスト村から出られるのであろうか?
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