45 / 45
完結の章
最終話 あれから5年…
しおりを挟む
あれから5年が経過した。
俺は20歳を越えた位の年齢になり、セイカも18歳位に成長した。
天空の宮殿での生活は…何気に充実していたりもする。
2人だけで暮らしているので、喧嘩が無いと言えば嘘になるが…それほど多くは無かった。
暇な時は、たまに変装して下界の街に行ったり…地球に戻ってショッピングを楽しんだりもした。
面白い事が1つあって…地球ではそれ程年数が経っていなかった。
なのでこの格好で2人で歩いていても誰にも気付かれる事はなかった。
あ…1人居たな。
俺を刺して警察に連行されて行った元勇者が。
元勇者のトーヤは、現在少年院に服役していた。
罪状は…勿論俺を刺して警察に連行されて行った事だった。
あの後の事を説明すると…俺は重傷のフリをして救急車で運ばれて行った。
病院で手術が終わって意識が朦朧としている際に名前を聞かれたので、中学時代に仲の良かった【不知火 朔夜】の名前を名乗った。
朔夜とは音信不通で勝手に名前を使わせて貰ったが…まぁ平気だろう。
そして警察での事情聴取に対して、トーヤが狂気な顔つきで殺してやると叫びながら俺の心臓目掛けてダガーで刺しに来た…と言っておいたので、警察側からしては悪質な犯行だと判断したのだろう。
そんなトーヤを嘲笑う為に俺セイカは面会しに行った。
面会時には大量の袖の下と食材の提供で3人だけにして貰った。
「久しぶりだな、元勇者!」
「貴様…貴様の所為で僕は少年院に入る事になったんだ‼」
「仕方ねぇじゃん、刃物で人を殺そうとしたらそれなりの罪になるからな。 鑑別所じゃなくて少年院で済んだだけでもありがたいと思えよ!」
そんな事を言われてトーヤは感謝する訳もなく、俺の事をただひたすら睨み付けていた。
「それにしても…坊主頭が似合うな! それでもイケメンで羨ましいよ…ぷぷぷ!」
「貴様!…って、隣にいるのはセイカか⁉」
「お、良く気付いたな! 異世界では時間の流れが地球とは違っていてな、俺達は結婚したんだよ。」
「な、何だと⁉ セイカ、君は…こんな最低な男と結婚したのか! 君はこの男に騙されている‼」
セイカにはこうなる経緯を話しておいてある。
散々煽って考えも無く行動に移したトーヤを憐れんだ目で見ていた。
「お前…あの時の嘘をまだ信じていたのか?」
「う…嘘だと⁉」
「俺はセイカ以外の女には興味ないし、お前を逆上させるのはそういった材料でお前を怒らせれば、短絡思考のお前ならそういった行動に出ると思っていたからな。 いやぁ~まんまと罠に嵌ってくれて…少年院に入ったという話を聞いたら大爆笑したよ。」
「き…き…き………」
「き?」
「きっさまぁ~~~~~!!!」
トーヤは硝子を思いっ切り殴りつけた。
俺は両手を広げてベロを出して腰を横に振り踊りながら煽って見せた。
トーヤはその姿を見て更に硝子を叩きまくっていた。
「良いのか元勇者?」
「何がだ‼」
「さらに罪が重くなるぞ…そんな行動に出たら!」
するとトーヤ側の扉から警察官が入って来て、トーヤを押さえ付けた。
その姿を見ながら俺はトーヤと警察官に向かって言い放った。
「まだ会いに来るには早かったな! 俺の事を殺してやると叫んで向かって来たからな…全く反省の色が見えないから会いに来るのはもう少し後にした方が良さそうだな!」
「きっさま~~~!!!」
俺はそんな行動を見て悪どい笑みを浮かべながら部屋を出た。
部屋を出た後もトーヤは叫びまくっていた。
「ラック、やり過ぎじゃない?」
「あの位が丁度良いんだよ。 少年院の中では刺激が無いしな…」
俺達は少年院を出た後に、街に繰り出してショッピングをした。
俺は主に書籍や食材の購入、セイカは下着や洋服にボディソープや化粧品の類を購入した。
そして最後に高級レストランで食事を楽しんだ後に天界の宮殿に戻って来た。
俺はセイジュウロウに連絡をして、頼まれていた物を購入したと連絡をした。
するとセイジュウロウは転移陣で天空の宮殿に尋ねて来たのだった。
「いつも済まんな!」
「いや、こっちも用のついでだから問題無いが…たまには一緒に行かないか?」
「辞めておくよ、便利さに慣れるとダレそうになりそうだからな…」
「ところで、トラヴィスオーケア王国の様子はどうだ?」
「あの王国も幾らかマシにはなった。 俺も死んだ事になっているから動き易くて助かってはいるが…」
セイジュウロウには遺跡やダンジョン攻略の傍ら、トラヴィスオーケア王国の動向を探ってもらっている。
巨大モニターでは、王国は映っても細かい所までは映らないし声も聞こえない。
そして執拗に勇者や聖女が必要だった理由が、後になって分かったからだ。
迷い人達がトラヴィスオーケア王国に集って行く間、王国ではまず勇者と聖女を国民に紹介した。
そして数日後に全ての迷い人が揃った(俺は数に数えられていない)ので、魔王樹討伐に向かうという事を発表した…翌日に俺が王国に来て魔王樹を討伐したという報告を受けた。
全ての迷い人が揃ったとはいえ、発表した翌日に討伐された事を国民に話す事は流石に出来ないので、時間を設けてから討伐された事を発表しようと計画していた。
…筈だったのだが、俺が予想外の行動を起こした事により…迷い人達が全て王国から消えた。
それでも勇者と聖女は残ってくれていると思っていたらしいが、俺とセイカとセイジュウロウ以外は元の世界に帰ったという話を聞いて、王国側ではさらに予定が狂った。
王国側からすれば、勇者と聖女さえ居れば…他の者達は魔王樹との戦いで命を落とした事にして発表するつもりだったが、その勇者も国民に発表する前に元の世界に帰ってしまったので王国側は焦った。
ならば、勇者だけは魔王樹討伐後に更なる脅威を探る為に旅だったという事にして、聖女であるセイカを王国に連れて来て発表する計画をする為にルファリアに捕らえさせるつもりだった予定も俺によって阻まれた。
後が無くなった王国は、魔王樹は未だに討伐出来ていないと発表をしたその日の夜に神からの啓示で魔王樹が迷い人の1人に討伐された事を国民達は知った。
前回の厄災の討伐後も神からの啓示があった事は王国の記実に書かれていなかった為に、国民達を欺けると思っていたのだが…それもバレた王国側は更に焦ることになった。
そうした行動により、王国の信用は地に落ちてしまい…それ以降は国は混乱する事になったのだったが…?
「現国王は前国王とは違って中々のやり手だな。 失墜仕掛けた王国の信頼を取り戻しつつある。」
「前国王がどうしようも無いロクデナシだったから、今の国王はマシに見えるだけなんじゃ無いか?」
「今の国王様って…第3王子の知のアーデン様ですよね?」
「あぁ、武の第1王子と魔の第2王子では国を動かす事は出来ないから選出されたという話だ。」
「セイカは随分詳しいが…?」
「下手したら結婚相手になっていたかもしれない人だったからね。 前国王は勇者を王女と結婚させて、私を王子と結婚させようと企んでいたみたいだけど…トーヤ君がゴネてね。」
「あんな奴でも役に立つ事があるんだな…今度は何か差し入れでも持って行ってやるかね。」
「ん? トーヤは入院でもしているのか?」
「んにゃ、アイツは今は少年院に服役している。 アイツを散々煽ってから俺を刺して、更に俺の供述で悪質な犯行と判断されてな。」
「何をやっとんだお前は…?」
セイジュウロウは俺の言葉に呆れていた。
まぁ、セイジュウロウも城での俺とトーヤのやり取りを見ていたので…おおよその見当はついていたみたいだった。
「それはそうと…セイジュウロウ、奥さんは元気か?」
「あぁ、王国から密偵の任を解かれてからはお前達に会わせろとか言われ無くなったし、今では静かなもんだ。」
セイジュウロウはルファリアと結婚した。
俺等が天空の宮殿に行ってから捜索の為に各地を飛び回っていたルファリアは、セイジュウロウを見付けて執拗に所在を聞いて来た。
それから数年間セイジュウロウは俺達の動向を探る為に常にルファリアに付き纏われていたが…?
いつまで経っても所在を確認出来ないルファリアに痺れを切らした王国は、ルファリアを解雇して無職になった所をセイジュウロウが遺跡探査の仲間として雇い入れた。
それから数ヶ月間は共に行動していたが、ある時セイジュウロウの告白によりルファリアと付き合う事になり…今では結婚したという。
「ルファリアは未だに王国と繋がりがある…という事はないか?」
「ないな! ルファリア自体…王国には立ち入り禁止という事になっている。」
「演技の可能性は? コッソリ密告したりとか…」
「それも無いだろう。 しばらくの間は俺も警戒していたが、そういう節は見当たらなかった。」
「なら、そろそろ会っても良いかもな。 プランAで用意した家に赴いてな。」
「あぁ、あそこか! 天空の宮殿の存在をばらすのは不味いがあの家なら問題は無いだろう。」
プランAには、浮遊大陸の中で離れ小島に家を作るという計画をしていた。
そこには転移陣は無くて、飛空艇なら行く事も可能な島だった。
俺は簡易型の飛行装置を利用してその島に渡り、家を建てると同時に転移陣も設置したのだった。
「別にセイジュウロウが新居に使用しても良かったんだけどな。」
「俺達が使用すると、お前達の隠れ蓑が無くなるだろ。」
「その時は元の世界にでも戻った事にすれば良いと言った筈だが?」
「まぁ、俺達の家は街の中にあるし…別に新居が欲しいという事もないからな。」
いつかは…天空の宮殿に招いても良いだろう。
あそこは2人で暮らすには広すぎるからな。
子供でも出来れば賑やかになるだろうけど。
「ラック、お前等は子供はまだか?」
「まだ遊びたいからな、子供はもう少し先で良いさ。 そっちこそ、もうじき生まれるんだろ?」
「予定日は3か月後…という所だな。」
俺は地球でセイジュウロウに頼まれた物以外に、ベビーカーやベビーベッド、子供服や靴を渡した。
「少し早いが出産祝いだ!」
「こっちの世界では、男か女かを判断出来る装置は無いんだがな…」
「男女兼用で用意しておいた。 生まれてから必要な物をまた新たに買いに行って来るさ。」
「元の世界に行くのはあまり乗り気ではないが…その時だけは着いて行っても良いか?」
「遠慮するなよ、俺達は仲間だろ!」
俺は他にも向こうで買った食材や酒なども分けてやった。
セイジュウロウの買い物リストには、食材はあまり必要無かったが…酒だけは必ず書かれてあった。
異世界にも酒は無くは無いのだが、地球の酒に比べると味が落ちると言って不満を漏らしていた。
「あと、こんなのも買っておいたぞ!」
「なんだこれ…?」
「オ〇ホール…奥さんが妊娠中だと色々溜まっているんじゃないかと。」
「使うか、こんなもん! だが…道具屋に売れば面白い事になるかもしれないので、一応貰っておく。」
「足りなかったら言ってくれ、まだまだあるからな。」
「まさか…お前が使う気だったのか?」
「いや、俺も使わんよ。 ただ、何か面白い事に使えるかもしれないしな…」
ラッキにでも渡してやるかね?
ラッキとティスリルは別れたという話だし、今のアイツには必要かもしれないしな…。
ルファリアが王国から解雇された時に、ティスリルとの縁は切れたらしい。
それによってラッキとティスリルの関係も途絶えたかに思えたのだが、ラッキが猛烈なアタックでティスリルとの縁が復活しようと思った…矢先に、人種と獣人族の越えられない壁で阻まれてしまい…それ以来疎遠になってしまったという話だった。
セイジュウロウを通してラッキとは交流はあるが、以前の様な関係ではない為に会う機会もそう無いのだった。
「さて、これから何をしようかね?」
俺の名前は、寿 幸運。
最悪な両親に命と臓器を売られそうになって逃げた所に異世界転移した。
その後、異世界でチート能力を手にして魔王を倒したが…色々あって現在では、同じ迷い人だったセイカと共に暮らしている。
その他にも、色々な事が起きたが…地球にいた頃よりも幸せな毎日を送っている。
「やる事が無いのなら、以前から誘っていた遺跡探査やダンジョン攻略なんかどうだ?」
「そうだな、最近では俺もセイカも暇している時が多いからな。」
「私も良いよ! 街でのショッピングも楽しいけど、たまには体を動かしたいしね!」
まぁ、そんなこんなで…毎日楽しく暮らしています。
地球に行った際に何処かで見掛けたら、気軽に声を掛けてくれよ!
~~~~~完~~~~~
俺は20歳を越えた位の年齢になり、セイカも18歳位に成長した。
天空の宮殿での生活は…何気に充実していたりもする。
2人だけで暮らしているので、喧嘩が無いと言えば嘘になるが…それほど多くは無かった。
暇な時は、たまに変装して下界の街に行ったり…地球に戻ってショッピングを楽しんだりもした。
面白い事が1つあって…地球ではそれ程年数が経っていなかった。
なのでこの格好で2人で歩いていても誰にも気付かれる事はなかった。
あ…1人居たな。
俺を刺して警察に連行されて行った元勇者が。
元勇者のトーヤは、現在少年院に服役していた。
罪状は…勿論俺を刺して警察に連行されて行った事だった。
あの後の事を説明すると…俺は重傷のフリをして救急車で運ばれて行った。
病院で手術が終わって意識が朦朧としている際に名前を聞かれたので、中学時代に仲の良かった【不知火 朔夜】の名前を名乗った。
朔夜とは音信不通で勝手に名前を使わせて貰ったが…まぁ平気だろう。
そして警察での事情聴取に対して、トーヤが狂気な顔つきで殺してやると叫びながら俺の心臓目掛けてダガーで刺しに来た…と言っておいたので、警察側からしては悪質な犯行だと判断したのだろう。
そんなトーヤを嘲笑う為に俺セイカは面会しに行った。
面会時には大量の袖の下と食材の提供で3人だけにして貰った。
「久しぶりだな、元勇者!」
「貴様…貴様の所為で僕は少年院に入る事になったんだ‼」
「仕方ねぇじゃん、刃物で人を殺そうとしたらそれなりの罪になるからな。 鑑別所じゃなくて少年院で済んだだけでもありがたいと思えよ!」
そんな事を言われてトーヤは感謝する訳もなく、俺の事をただひたすら睨み付けていた。
「それにしても…坊主頭が似合うな! それでもイケメンで羨ましいよ…ぷぷぷ!」
「貴様!…って、隣にいるのはセイカか⁉」
「お、良く気付いたな! 異世界では時間の流れが地球とは違っていてな、俺達は結婚したんだよ。」
「な、何だと⁉ セイカ、君は…こんな最低な男と結婚したのか! 君はこの男に騙されている‼」
セイカにはこうなる経緯を話しておいてある。
散々煽って考えも無く行動に移したトーヤを憐れんだ目で見ていた。
「お前…あの時の嘘をまだ信じていたのか?」
「う…嘘だと⁉」
「俺はセイカ以外の女には興味ないし、お前を逆上させるのはそういった材料でお前を怒らせれば、短絡思考のお前ならそういった行動に出ると思っていたからな。 いやぁ~まんまと罠に嵌ってくれて…少年院に入ったという話を聞いたら大爆笑したよ。」
「き…き…き………」
「き?」
「きっさまぁ~~~~~!!!」
トーヤは硝子を思いっ切り殴りつけた。
俺は両手を広げてベロを出して腰を横に振り踊りながら煽って見せた。
トーヤはその姿を見て更に硝子を叩きまくっていた。
「良いのか元勇者?」
「何がだ‼」
「さらに罪が重くなるぞ…そんな行動に出たら!」
するとトーヤ側の扉から警察官が入って来て、トーヤを押さえ付けた。
その姿を見ながら俺はトーヤと警察官に向かって言い放った。
「まだ会いに来るには早かったな! 俺の事を殺してやると叫んで向かって来たからな…全く反省の色が見えないから会いに来るのはもう少し後にした方が良さそうだな!」
「きっさま~~~!!!」
俺はそんな行動を見て悪どい笑みを浮かべながら部屋を出た。
部屋を出た後もトーヤは叫びまくっていた。
「ラック、やり過ぎじゃない?」
「あの位が丁度良いんだよ。 少年院の中では刺激が無いしな…」
俺達は少年院を出た後に、街に繰り出してショッピングをした。
俺は主に書籍や食材の購入、セイカは下着や洋服にボディソープや化粧品の類を購入した。
そして最後に高級レストランで食事を楽しんだ後に天界の宮殿に戻って来た。
俺はセイジュウロウに連絡をして、頼まれていた物を購入したと連絡をした。
するとセイジュウロウは転移陣で天空の宮殿に尋ねて来たのだった。
「いつも済まんな!」
「いや、こっちも用のついでだから問題無いが…たまには一緒に行かないか?」
「辞めておくよ、便利さに慣れるとダレそうになりそうだからな…」
「ところで、トラヴィスオーケア王国の様子はどうだ?」
「あの王国も幾らかマシにはなった。 俺も死んだ事になっているから動き易くて助かってはいるが…」
セイジュウロウには遺跡やダンジョン攻略の傍ら、トラヴィスオーケア王国の動向を探ってもらっている。
巨大モニターでは、王国は映っても細かい所までは映らないし声も聞こえない。
そして執拗に勇者や聖女が必要だった理由が、後になって分かったからだ。
迷い人達がトラヴィスオーケア王国に集って行く間、王国ではまず勇者と聖女を国民に紹介した。
そして数日後に全ての迷い人が揃った(俺は数に数えられていない)ので、魔王樹討伐に向かうという事を発表した…翌日に俺が王国に来て魔王樹を討伐したという報告を受けた。
全ての迷い人が揃ったとはいえ、発表した翌日に討伐された事を国民に話す事は流石に出来ないので、時間を設けてから討伐された事を発表しようと計画していた。
…筈だったのだが、俺が予想外の行動を起こした事により…迷い人達が全て王国から消えた。
それでも勇者と聖女は残ってくれていると思っていたらしいが、俺とセイカとセイジュウロウ以外は元の世界に帰ったという話を聞いて、王国側ではさらに予定が狂った。
王国側からすれば、勇者と聖女さえ居れば…他の者達は魔王樹との戦いで命を落とした事にして発表するつもりだったが、その勇者も国民に発表する前に元の世界に帰ってしまったので王国側は焦った。
ならば、勇者だけは魔王樹討伐後に更なる脅威を探る為に旅だったという事にして、聖女であるセイカを王国に連れて来て発表する計画をする為にルファリアに捕らえさせるつもりだった予定も俺によって阻まれた。
後が無くなった王国は、魔王樹は未だに討伐出来ていないと発表をしたその日の夜に神からの啓示で魔王樹が迷い人の1人に討伐された事を国民達は知った。
前回の厄災の討伐後も神からの啓示があった事は王国の記実に書かれていなかった為に、国民達を欺けると思っていたのだが…それもバレた王国側は更に焦ることになった。
そうした行動により、王国の信用は地に落ちてしまい…それ以降は国は混乱する事になったのだったが…?
「現国王は前国王とは違って中々のやり手だな。 失墜仕掛けた王国の信頼を取り戻しつつある。」
「前国王がどうしようも無いロクデナシだったから、今の国王はマシに見えるだけなんじゃ無いか?」
「今の国王様って…第3王子の知のアーデン様ですよね?」
「あぁ、武の第1王子と魔の第2王子では国を動かす事は出来ないから選出されたという話だ。」
「セイカは随分詳しいが…?」
「下手したら結婚相手になっていたかもしれない人だったからね。 前国王は勇者を王女と結婚させて、私を王子と結婚させようと企んでいたみたいだけど…トーヤ君がゴネてね。」
「あんな奴でも役に立つ事があるんだな…今度は何か差し入れでも持って行ってやるかね。」
「ん? トーヤは入院でもしているのか?」
「んにゃ、アイツは今は少年院に服役している。 アイツを散々煽ってから俺を刺して、更に俺の供述で悪質な犯行と判断されてな。」
「何をやっとんだお前は…?」
セイジュウロウは俺の言葉に呆れていた。
まぁ、セイジュウロウも城での俺とトーヤのやり取りを見ていたので…おおよその見当はついていたみたいだった。
「それはそうと…セイジュウロウ、奥さんは元気か?」
「あぁ、王国から密偵の任を解かれてからはお前達に会わせろとか言われ無くなったし、今では静かなもんだ。」
セイジュウロウはルファリアと結婚した。
俺等が天空の宮殿に行ってから捜索の為に各地を飛び回っていたルファリアは、セイジュウロウを見付けて執拗に所在を聞いて来た。
それから数年間セイジュウロウは俺達の動向を探る為に常にルファリアに付き纏われていたが…?
いつまで経っても所在を確認出来ないルファリアに痺れを切らした王国は、ルファリアを解雇して無職になった所をセイジュウロウが遺跡探査の仲間として雇い入れた。
それから数ヶ月間は共に行動していたが、ある時セイジュウロウの告白によりルファリアと付き合う事になり…今では結婚したという。
「ルファリアは未だに王国と繋がりがある…という事はないか?」
「ないな! ルファリア自体…王国には立ち入り禁止という事になっている。」
「演技の可能性は? コッソリ密告したりとか…」
「それも無いだろう。 しばらくの間は俺も警戒していたが、そういう節は見当たらなかった。」
「なら、そろそろ会っても良いかもな。 プランAで用意した家に赴いてな。」
「あぁ、あそこか! 天空の宮殿の存在をばらすのは不味いがあの家なら問題は無いだろう。」
プランAには、浮遊大陸の中で離れ小島に家を作るという計画をしていた。
そこには転移陣は無くて、飛空艇なら行く事も可能な島だった。
俺は簡易型の飛行装置を利用してその島に渡り、家を建てると同時に転移陣も設置したのだった。
「別にセイジュウロウが新居に使用しても良かったんだけどな。」
「俺達が使用すると、お前達の隠れ蓑が無くなるだろ。」
「その時は元の世界にでも戻った事にすれば良いと言った筈だが?」
「まぁ、俺達の家は街の中にあるし…別に新居が欲しいという事もないからな。」
いつかは…天空の宮殿に招いても良いだろう。
あそこは2人で暮らすには広すぎるからな。
子供でも出来れば賑やかになるだろうけど。
「ラック、お前等は子供はまだか?」
「まだ遊びたいからな、子供はもう少し先で良いさ。 そっちこそ、もうじき生まれるんだろ?」
「予定日は3か月後…という所だな。」
俺は地球でセイジュウロウに頼まれた物以外に、ベビーカーやベビーベッド、子供服や靴を渡した。
「少し早いが出産祝いだ!」
「こっちの世界では、男か女かを判断出来る装置は無いんだがな…」
「男女兼用で用意しておいた。 生まれてから必要な物をまた新たに買いに行って来るさ。」
「元の世界に行くのはあまり乗り気ではないが…その時だけは着いて行っても良いか?」
「遠慮するなよ、俺達は仲間だろ!」
俺は他にも向こうで買った食材や酒なども分けてやった。
セイジュウロウの買い物リストには、食材はあまり必要無かったが…酒だけは必ず書かれてあった。
異世界にも酒は無くは無いのだが、地球の酒に比べると味が落ちると言って不満を漏らしていた。
「あと、こんなのも買っておいたぞ!」
「なんだこれ…?」
「オ〇ホール…奥さんが妊娠中だと色々溜まっているんじゃないかと。」
「使うか、こんなもん! だが…道具屋に売れば面白い事になるかもしれないので、一応貰っておく。」
「足りなかったら言ってくれ、まだまだあるからな。」
「まさか…お前が使う気だったのか?」
「いや、俺も使わんよ。 ただ、何か面白い事に使えるかもしれないしな…」
ラッキにでも渡してやるかね?
ラッキとティスリルは別れたという話だし、今のアイツには必要かもしれないしな…。
ルファリアが王国から解雇された時に、ティスリルとの縁は切れたらしい。
それによってラッキとティスリルの関係も途絶えたかに思えたのだが、ラッキが猛烈なアタックでティスリルとの縁が復活しようと思った…矢先に、人種と獣人族の越えられない壁で阻まれてしまい…それ以来疎遠になってしまったという話だった。
セイジュウロウを通してラッキとは交流はあるが、以前の様な関係ではない為に会う機会もそう無いのだった。
「さて、これから何をしようかね?」
俺の名前は、寿 幸運。
最悪な両親に命と臓器を売られそうになって逃げた所に異世界転移した。
その後、異世界でチート能力を手にして魔王を倒したが…色々あって現在では、同じ迷い人だったセイカと共に暮らしている。
その他にも、色々な事が起きたが…地球にいた頃よりも幸せな毎日を送っている。
「やる事が無いのなら、以前から誘っていた遺跡探査やダンジョン攻略なんかどうだ?」
「そうだな、最近では俺もセイカも暇している時が多いからな。」
「私も良いよ! 街でのショッピングも楽しいけど、たまには体を動かしたいしね!」
まぁ、そんなこんなで…毎日楽しく暮らしています。
地球に行った際に何処かで見掛けたら、気軽に声を掛けてくれよ!
~~~~~完~~~~~
4
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(23件)
あなたにおすすめの小説
相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~
ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。
休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。
啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。
異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。
これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。
没落貴族と拾われ娘の成り上がり生活
アイアイ式パイルドライバー
ファンタジー
名家の生まれなうえに将来を有望視され、若くして領主となったカイエン・ガリエンド。彼は飢饉の際に王侯貴族よりも民衆を優先したために田舎の開拓村へ左遷されてしまう。
妻は彼の元を去り、一族からは勘当も同然の扱いを受け、王からは見捨てられ、生きる希望を失ったカイエンはある日、浅黒い肌の赤ん坊を拾った。
貴族の彼は赤子など育てた事などなく、しかも左遷された彼に乳母を雇う余裕もない。
しかし、心優しい村人たちの協力で何とか子育てと領主仕事をこなす事にカイエンは成功し、おまけにカイエンは開拓村にて子育てを手伝ってくれた村娘のリーリルと結婚までしてしまう。
小さな開拓村で幸せな生活を手に入れたカイエンであるが、この幸せはカイエンに迫る困難と成り上がりの始まりに過ぎなかった。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ
さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。
絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。
荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。
優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。
華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。
元皇子の寄り道だらけの逃避行 ~幽閉されたので国を捨てて辺境でゆっくりします~
下昴しん
ファンタジー
武力で領土を拡大するベギラス帝国に二人の皇子がいた。魔法研究に腐心する兄と、武力に優れ軍を指揮する弟。
二人の父である皇帝は、軍略会議を軽んじた兄のフェアを断罪する。
帝国は武力を求めていたのだ。
フェアに一方的に告げられた罪状は、敵前逃亡。皇帝の第一継承権を持つ皇子の座から一転して、罪人になってしまう。
帝都の片隅にある独房に幽閉されるフェア。
「ここから逃げて、田舎に籠るか」
給仕しか来ないような牢獄で、フェアは脱出を考えていた。
帝都においてフェアを超える魔法使いはいない。そのことを知っているのはごく限られた人物だけだった。
鍵をあけて牢を出ると、給仕に化けた義妹のマトビアが現れる。
「私も連れて行ってください、お兄様」
「いやだ」
止めるフェアに、強引なマトビア。
なんだかんだでベギラス帝国の元皇子と皇女の、ゆるすぎる逃亡劇が始まった──。
※カクヨム様、小説家になろう様でも投稿中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
みなさんも作者さんも、主人公は「クズ」って言われるけど、私はクズだとは思わなかった。
ラッキの方が、秘密をペラペラと喋ってクズみたいだったし、勇者もルファリアもストーカーじみてたし…。
国王もクズだったし。
両親や妹たちは、本当に人間のクズだったし。
これからは、邪魔されず幸せになって欲しいですね。
面白かったです。
面白ければ幸いです。
これ以降だとラックは、異世界召喚は7回目って…いい加減にしろよ!に登場します。
そちらの方でお楽しみ下さい。
まさかここで朔夜のお話と繋がるとは思ってもいませんでした!
とても面白くて気付いたら最終回を迎えていてなんだか凄く物寂しい気分ですが凄く楽しませてもらいました!
終始笑いが止まらなくて腹筋がシックスパックになりそうでした
それだけ楽しんで下さったのなら本望です。
次回作み楽しみにしていて下さいね!
本当に主人公はクズですね!
だけど凄く面白いですw
有り難う御座います。
完結まであと少しなので、最後まで楽しんで頂けたら嬉しいです。