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怪盗リアラの章

第三十話

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 それから更に2週間が経った。

 今日の講義で私は全ての魔法を取得して免許を取得した。

 この世界では回復魔法もだけど、攻撃魔法を使用するにも免許が必要だった。

 なんでこんな面倒臭いことになっているのかは知らないけど、それがルールらしい。

 あれからの話をすると、金庫室の潜入は断念した。

 私の睡眠魔法や麻痺魔法を神殿騎士に一応試してみたのだが、思った以上に耐性があって効果が薄かった。

 まぁ…それ位の能力が無いと金庫室の警備なんか務まらないか。

 なのでテルミガンの案に乗っかって、旅からバックれた後にポーション制作してから売りに出すという方法に決めたのだった。

 どうせ元手がタダだし、私の財布が痛むことは無いからだった。

 後はいつバックれるか?

 そんな事を考えていると、私は司祭から呼ばれて部屋に向かった。

 「リアラ、聖女の修行の全ての過程が終了しました。どうでしたか?」

 「大変有意義な時間を過ごさせて戴きました。」

 「そうですか…では、旅に着いての話を致しましょうかね。」

 「その前に、私は聖女になるつもりは全くありませんけど…」

 「修行前には確かにそんな話をしていましたね。ですが最後までやり遂げたので、聖女になるという話を了承したのかと思っていましたが…」

 「聖女になるつもりは全くありませんね。聖女を認めてしまったら、次は神殿での修行より更に過酷な旅が待っているんですよね?そんな物はやりたくもありません。」

 「聖女の旅を完遂すれば、この王国の王子との結婚が待っているとしてもですか?」

 「会った事が無い王子となんか結婚したいとも思いませんし…結婚するにしてもまた王妃になる為の勉強と称した辛い修業が待っているんですよね?そんな物はやりたくないので遠慮します。」

 「どうしてですか?王子は大変素晴らしい方で結婚を望む女性は星の数ほどいるというのに…」

 「大変素晴らしいって…誰の評価ですか?世間一般出の評価なんかあてになりませんよ、外見だけ立派で中身は最低という話も無くはないでしょうからね。」

 ただでさえ貴族には聖人君子と呼ばれている人でも中身まで知る事が出来る人はそう居ない。

 外面だけ立派でも中身は…という人は特に多いし、王族となれば猶更だろう。

 「リアラ、それは王族に対する不敬罪に処されますよ。」

 「だって…私の両親は外面こそ立派で民を思う立派な領主という話でしたが、実際は私に対して平気で暴力を行う最低な人でしたからね。」

 「ならば会ってから判断をして下さい。」

 「会ってからって…旅が終わってからですか?」

 「いえ、聖女の旅の前に聖女の修行が終わったら…王城に赴いてから王家に旅の報告するという義務があるのです。そこで少し時間を設けられてから、王子との話をして…」

 「本人の性格や本質なんか、会って数分で分かる物ではありませんよ。一緒に暮らして長年連れ添らない限り見えないと思いますが?」

 「何故リアラは頑なに王子を拒まわれるのですか?」

 「私に結婚する意志がないからです!まぁいずれ…結婚したい相手に巡り会う可能性もあるとは思いますが、それはこの国の王子ではない事は確かです。王子様には星の数ほどいる中の貴族令嬢にお譲り致しますよ。」

 全く冗談じゃない…王妃になったら体系維持の為に好きなものは食べられないという話だし、更には王妃になる為の教育とかいって過酷な勉強が待っているのだろうから、下手すると今よりも自由が無くなる。

 王子との結婚は、王子と結婚して王妃になって幸せな生活を送る…といった夢を見ている貴族令嬢に任せますわよ。

 どうせそういった貴族令嬢も夢だけ見ていて本質が見えていない頭がパーな者達しかいないでしょうけど。

 「まぁ、リアラがどうであれ…旅の前に王城に赴いて報告する事は決まっているので、大至急に用意をして向かいますよ。」

 何だか面倒な話になったなぁ?

 バックレるのは今…かなぁ?
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