聖女になんかなりたくない! 聖女認定される前に…私はバックれたいと思います。

アノマロカリス

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新天地の章

第七十六話

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 「やって来ました南の島のリゾートアイランドのディール共和国!眩しい日差しに青く透き通る海、穏やかな風が運ぶ潮風…って何処にあんねんそんなもん‼︎」

 事前に調べた限りでは、この南の大陸は1年中穏やかな気候で富裕層達の楽園リゾートという話だった。

 …だがそれも数ヶ月前の話だという。

 現在は…眩しい日差しは分厚い黒い雲に覆われていて、青く透き通る海は濁り、穏やかな風は時折肌を切り裂く様な強風が吹き荒れる時があった。

 そんな場所に観光客なんかいる訳もないし、ビーチにも人影すら無かった。

 「聞いていた話と違う…」

 「穢れの反応があちらこちらからありますね。」

 「リゾート地だと穢れも少なくて悠々自適な生活が送れると思ったのに…」

 「穢れを浄化出来れば、以前の様な環境に戻ると思いますよ。」

 …とは言うけど、穢れの反応はこの大陸の至る所から反応があった。

 この大陸の穢れを全て浄化していたら何年経過するかわかったものじゃない!

 「そもそも何故こんな事になっているの?」

 「先の戦いでグラシャラボレアスを覚えておりますか?」

 「あのやたら強かった魔族ね。」

 「えぇ、あの強さは魔族というよりも魔人に匹敵していましたが…」

 「それがどうかしたの?」

 「あの強さを考えますと、恐らくですが魔王が誕生する兆しがあるのではないかと…」

 魔王が誕生⁉︎

 もしも魔王なんか誕生した日には…悠々自適のスローライフの夢は絶たれて、勇者を見出してから魔王討伐の旅に出なければならないじゃない‼︎

 私が生きている間に魔王なんか誕生しないでよ‼︎

 私が死んだ後なら、滅亡しようが破壊されようが人類全てが抹殺されようが気にしないから‼︎

 幼い頃からの地獄を脱して、その後に訳のわからない修行で時を無駄にしたけど…今は全ての束縛から開放されて自由に生きる事が出来るんだから邪魔しないでほしいわ‼︎

 私が死んでから…か、もしくは年老いた頃なら別に良い。

 少なくても今じゃなければ‼︎

 もしも魔王が誕生し討伐を命じられたら、真っ先に名乗り上げそうな馬鹿に心当たりがある。

 そう…私の事をゲロったお花畑王子のカイル殿下だ。

 私と合流して聖女と共に魔王を倒すとか言い出しかねない。

 勇者の魔王討伐も、魔王の世界侵攻も私に関わらなければ好きにすれば良い。

 悠々自適のスローライフが阻まれるのであれば対抗するけど、私に関わらないのであれば他で何が起きても気にしない。

 ところが…リアラの願いに反して魔王は意外に早くに誕生したのだった。

 だが、魔王が世界に要求したのは意外な物だったのだが…その話はもう少し先になる。
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