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第三章 様々な者達の視点の章

第十一話 確認…?

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 俺は警察署を出てから脇目も振らずに、ヒーロースーツのままで空を飛んでいた。
 どうせ目撃されても、魔王を倒す事により世界は新たにアップデートされると思っていたからだ。
 そして屋上に着くと、俺は魔法陣を起動してあの世界に戻った。
 気が付くと俺は…カスケード城の中にいた。

 「ここは…カスケード城か?」
 「貴様は誰だ⁉」

 俺の前にはサネア王女と大勢の兵士がいた。
 俺は自分の姿に気付いてからヒーロースーツを脱いだ。

 「これは…サクヤ殿⁉」
 「久しぶり…で良いのか? サネア王女、俺がこの世界から消えてからどれくらい経った?」
 「魔王からの放送から約半年です。」
 「やはり…異世界では時間の流れが違うか!」
 「サクヤ殿が戻って来て下さって良かったですわ…これで、」
 「すまない、その話は長くなるか? 先に済ませたい要件があるので、その後でも良いですか?」
 「あ、はい!」

 俺は中庭からフレイラッツの街を目掛けて浮遊魔法で飛んで行った。
 かなりの魔力を消費したのですぐに着くと…三人を探す為に索敵魔法を展開した。

 「えっと…アイツらは? この反応はマミか?」

 他の二人の反応が無かったので冒険者ギルドに反応があったマミに会いに行った。
 俺は冒険者ギルドに入ると、マミを見付けて話し掛けた。

 「マミ…良かった!」
 「サクヤ君…?」
 「あぁ、そうだ! マミは1人だけか?」
 「サクヤ君はいきなりこの世界から居なくなったという話を聞かされて…一体どうしたの⁉」
 「これには理由があってな…それよりもマミ、セルリアを見なかったか?」
 「セルリアって…サクヤ君の幼馴染だよね? この世界に来ているの⁉」
 
 やはり…セルリアは元の世界で俺の幼馴染という設定が根付いている訳か。
 なら、この世界で俺と一緒に行動していた女は誰だったんだ?

 「いや…セルリアは来ていないと思う。 元いた世界で会えなかったので、もしかしたらと思ってな!」
 「それよりもサクヤ君が急にこの世界から居なくなって…ルリアちゃんが寂しがっていたわよ!」

 ルリアって誰だ?
 まさか、セルリアの代わりに一緒に旅をしていた女だったのか?
 
 「サクヤ様?」

 俺は呼ばれた方に向かって振り向くと、セルリアに良く似た魔術師の女の子が立っていた。
 なるほど…そう来たか⁉

 「久しぶり…だな、ルリア!」
 「私…サクヤ様がこの世界から無くなったと聞いて寂しかったんです!」
 
 正直…俺はこの女の事を全く知らん。
 だが、この場は話を合わせる事にした。

 「ルリアもそうだが…ミクとユウトは何処にいる?」
 「ユウトとミクはクエストで街の外にいるわ! 今の私達はDランクだから…」
 「そうか…頑張ったんだな!」

 俺はそう言うと、話を整理した。
 セルリアはこの世界には居なかった。
 そしてマミがセルリアを俺の幼馴染といったという事は、二つの世界はアップデートされていたんだろう。
 セルリアに良く似たこの女の…ルリアか?
 一体どうなっているんだ⁉
 だが…ハッキリした事は、この世界の魔王を倒せば全てに決着が着くという事だった。

 「マミ…ルリアを頼む! 俺は魔王の所に行って来る!」
 「魔王って…遂に倒しに行くのね?」
 「あぁ…この問題に全てを決着する為にな!」

 俺は冒険者ギルドを出ると、浮遊魔法で宙に浮かんだ。
 そして結界の場所を感知すると、その場所に向かって飛んで行った。
 結界の反応が近付いてきたその時、またが目の前に現れた。

 「おやおや…強い反応があると思ったら貴方でしたか? 元の世界に帰ったという話でしたが、一体何しに戻って来たんですか?」
 
 相変わらず…上から目線のムカついた口調で話し掛けて来るな!
 コイツは挑発されるとすぐにムキになるから…あの言葉でも言ってみるか!
 海外ドラマで良くある、男を怒らせるを…

 「俺は前に…マーデルリアと寝た。」
 「はぁ⁉」
 「お前が前に俺にボコボコにされて…お前が治療中の時にな、これ以上配下を痛めつけるのは辞めて欲しいと言われたので、マーデルリアに体を要求したらすんなり受け入れてな…それであの時の抱き心地が堪らなかったから、またこの世界に来た。 お前の大好きな魔王ちゃんを汚す為にな! へっへっへ…」
 
 俺がそう言うと、ルックは下を向いたまま黙ってしまった。
 やはりこの方法は、魔族には無効な話だったのかな?
 そう思っていたが、ルックの体が徐々に震え始めたので多分怒っているのだろうか?
 なら、もう少し燃料を投下しよう。

 「怯えた顔をした女を犯すのは最高だったぜ! 震えながら涙を流していてな…アレが魔王と思うと本当に笑っちまったよ!」
 「だ…まれ……」

 うんうん…かなり怒っている感じだな?
 ならば、トドメの一言を言うとしよう!

 「お前も混ざるか? お前にはマーデルリアの後ろの穴を提供してやるからよ!」
 「黙れと言っているだろうが、この人間風情が‼」

 ルックは完全体となった姿を現した。
 それは以前の様な大人の男の姿ではなく、醜く歪んだ化け物の様な姿をしていた。
 そしてルックは…怒りのままに俺に向かって来たので、聖剣で百撃斬を喰らわせてから両手足を切り落として頭と胴だけが残った。

 「クソッ…やはり無理だったか⁉」
 「散々煽って挑発をしてみたが…やはりこの程度か!」
 「挑発…だったのか? ならば、マーデルリア様と寝たというのは?」
 「お前を煽る為の冗談だ。」
 
 ルックがこの付近で現れたという事は、魔王城はこの近くにある筈?
 俺は次元斬を放って空間を切り裂くと、魔王城が見えたのでルックの首を掴んで中に入って行った。

 「貴様…ボクをどうする気だ?」
 「状況によっては…お前を助けても良い。」
 「それよりも、マーデルリア様をどうする気だ⁉」
 「マーデルリアが、本当に真の魔王なら殺す! だが、俺には奴が真の魔王という感じがしないのだが…他に居ないか?」
 「マーデルリア様こそが真なる魔王だ!…の筈なんだが、そう言われてみると…マーデルリア様が魔王城に来る前は何をされていたのだろうか?」
 「お前はいつからマーデルリアに仕えている?」
 「そういえば…いつからだ? 物心つく時からマーデルリア様に仕えていた気がするが?」
 「物語とかなら現魔王が娘だという事は、前魔王は父親という事になるが?」
 「マーデルリア様の宝物庫には、父親の形見と呼ばれる魔剣があるが…だが、魔王は代々魔界樹という樹から実が出来てお生まれになる筈?」
 「だとすると、マーデルリアの上に別な奴がいると考えた方が良いな!」

 おかしいと思ったよ。
 マーデルリアは確かに魔王を名乗れるだけの力のある奴だろうが、それが真の魔王かと聞かれたら悩むところだ。
 マーデルリアを倒せば全てが元に戻る…とは考え難かったんだよな。
 それだけが心の中に懸念として残っていた。
 俺も馬鹿みたいにレベルは上がってはいるが、過去に6度の異世界召喚時の魔王は、苦戦はしたが楽勝では無かった。
 それがあのマーデルリアを目の前にすると、あっさり倒せそうな気がするからな。
 だとすると…考え付くとしたらその上が絶対に存在する筈なんだ。

 「とりあえず…マーデルリアに話を聞いてみるか!」
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