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第一章 異世界召喚の章
第五話 慱vs賢斗(賢斗が挑んで来ました…が?)
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翌日、僕は訓練所に向かった。
昨日にあんな事をしたので、正直言って顔を合わせるのは気まずいとも思ったのだけど。
そこには4人がいて、魔法や剣技を使いこなしていた。
どうやら、昨日の事は根に持っていない様子だった。
そういえば考えてみたらテルセラ様に連れて行かれた以来、皆の様子は全然わからない。
近くにいた騎士団長に話を聞くと、僕が抜けた後に魔法が使えたのは華奈が最初だった。
その少し後に翔也が勇者魔法を使い始めた。
ところが、飛鳥と賢斗は中々使えずにいたらしい。
ただ飛鳥の場合は属性魔法ではなく、ギルドマスターから教えて貰った無属性魔法のブーストを習うと途端に使いこなしていた。
だが、賢斗はいつまでたっても使えなかった。
多分、理屈の塊の賢斗は難しく考えていたのだろう。
だが、つい先程の訓練で使えるようになり、いまではバンバン使っていた。
当然の事ながら、僕とは威力が違った。
「おっす、皆! 凄いな、もう使いこなしているんだ?」
僕の声で皆が振り向くと集まった。
皆は自分の力に歓喜して興奮しているようだった。
それもそうか、元いた世界では魔法なんか使えなかったもんな。
翔也は魔法以外に勇者が使える魔法の天術が使えると言って、木人形に向かって白い閃光を放った!
華奈は、「ホーリーランス!」というと、無数の光の槍が木人形を串刺しにした。
飛鳥は剣に光を纏うと木人形を切り裂いて見せた。
だが、賢斗は…?
「昨日は慱が僕達の中で真っ先に魔法を使う事ができたけど、僕も使えるようになった! もう、慱には負けない…」
そう言って賢斗は僕を睨んできた。
まだ昨日の事を根に持っているのかな?
…と思っていたが、どうやら違うようだ。
「慱、僕の力を見せてあげるよ! 僕と勝負だ!!」
賢斗は自信満々でそういったのだが、僕は「やだ、断る!」と言って拒否した。
賢斗は僕が挑戦を受けるものだと思っていたみたいで驚いていた。
だって、そうだろう…賢斗のジョブは【賢者】だぞ、僕の良く解らない【器用貧乏】で…まぁ勝てるとは思えないけど、戦ったところでどうなるかは予想がつく。
そもそも【賢者】とは、【魔法士】→【魔術師】→【魔道士】→【魔導師】の上に存在する上級ジョブである。
テルセラ様の宮廷魔術師という肩書だが、ジョブは【魔導師】である。
そんな物と闘ったら、どう足掻いても勝てる訳でもないし、こっちは不利でしかない。
すると賢斗は僕に対して分かり易い挑発を仕掛けて来た。
「この臆病者!」
「はい、臆病者でーす。」
「君はそれでも男なのか?」
「性別的には男でーす。 賢斗も修学旅行の時に僕のアレを見ただろ?」
「僕はいつも、君のそういう態度が気に入らなかった!」
「それはごめんなさーい、もうしませーん!」
「勉強も…何をするにも僕は君に勝ったとは思ってない。 むしろ劣っていると思っていたのに!」
「それは誤解でーす。 賢斗は僕よりも何倍も優れてまーす。」
賢斗は僕を挑発して焚きつけたいようだったが、僕は適当にあしらって取り合わなかった。
別に勝てない勝負はしない…という訳ではないが、どう考えても戦力的に差がありすぎる。
僕は別に勝ち負けはどうでも良いのだが、あの火力を見る限り…まともに相手をしていたら僕の身が危うい事になる。
僕はその場を離れようとすると、賢斗は「ちっ!」と舌打ちをしてファイアウォールを展開した。
炎の壁の中には僕と賢斗しかいない。
「これでもう逃げる事は出来ないよ! さぁ僕と戦え!」
賢斗は杖を構える!
だが僕は後ろを向き、炎の壁に水魔法を使って一部消すと、そこから抜け出した。
…が、賢斗はファイアウォールの上位のフレイムウォールを展開した。
どうあっても僕を見逃してはくれなかった。
こうなっては仕方ない、適当にやって負けを宣言するか…。
そんなことを思っていたのだが…?
「本気でやってくれよな、仮にケガしても華奈がいるから治療をしてくれるから大丈夫だよ。」
賢斗はニヤついてそう言った。
賢斗ってこんな性格だったっけ?
僕は相手をする事にした。
だが、まともにやりあって勝てる訳でもないので、ハッタリを噛ました。
「賢斗、本気でやってあげるよ! アルバート流の魔法術を見せてあげるよ!」
「アルバート流魔法術…だと!?」
賢斗は僕が発した言葉に戸惑いを隠せないでいた。
アルバート流魔法術…正確には、アルバート流魔法術である。
周りを見てみると、4人と騎士団長以外にテルセラ様とアルカディア王女も来ていた。
賢斗は「ファイア!」を唱えた。
テルセラ様が見せたファイアより3倍近く大きい炎が現れると、僕に向かって放り投げて来た。
僕は強火の炎を出すと、接近する炎の少し下に当てて上に放った。
2つの炎は上空に行き破裂した。
「あっぶねぇな、賢斗の奴…殺す気か!」
「良く対処できたね。」
賢斗は笑みを浮かべて言った。
これは、うかうかしていられないと思った。
どこまで通用するか解らないけど、少し本気を出す事にした。
一応周りを見るが、誰も止めようとする者はいなかった。
それどころか、翔也なんかは「いいぞ! やれやれー!」と叫んでいる。
「あいつ…あとでシバく!」
ここで負けを宣言する…というのも1つ手ではあるのだが、調子に乗っている賢斗を見て少し腹がたった。
なんでこうなったんだろう…?
まぁとりあえず、さっきのお返しにアレをやるか…!
「右手に最大強火、左手に風… アルバート流魔法術…複合統一魔法!ファイアストーム・強!!」
あれ…? 【強】とは付けたけど、以前のファイアストームより格段に威力が上がったな…?
そう思っていたが、賢斗はその場から逃げる事なくファイアストームを放つと相殺した。
続いて賢斗は、8個のファイアボールを周囲に展開すると、僕の方に放ってきた。
「それくらいなら、僕にも出来るよ。 アルバート流魔法術…サークルファイアボール!!」
賢斗のファイアボールを僕は相殺した。
この魔法のイメージは、昼食時の中華料理屋で満員時の8種類同時調理をイメージしたものである。
あの時は本当に地獄の忙しさだった…だが、その経験が生かされたのである。
「では、これならどうだい! ファイアランス!」
4本の槍の形をした炎が僕に飛んできた。
この本数だったら…と思って全部交わした。
何故なら、大したスピードで飛んでこなかったからである。
「馬鹿な!? 慱、身体強化でも使ったのか??」
僕にそんな魔法あるわけないだろう!
賢斗は何を言っているんだ?
「まぁ、良い…」というと、賢斗は再び杖を構えた。
「僕が今使える最大魔法を見せてあげるよ!! その魔法とは、エクスプロ…」
「ちょっと待てーーー!!!」
賢斗は僕の言葉に杖を下した。
さすがにエクスプロードなんて喰らったら死ぬわ!
あいつ…大丈夫か?
僕は賢斗をみて、いくつ疑問に思った事がある。
「そんな大魔法使ったら、僕はおろかこの周囲が吹っ飛ぶぞ! それにさっきから見ていれば、賢斗は炎系魔法以外の魔法は使えないのか?」
「仕方ないじゃないか! 魔法が使えるようになったのはついさっきだよ!!」
ついさっきに初めて使えたにしては、ここまで使いこなすなんて…さすがは賢斗だと思うが?
それだけ【賢者】というジョブは桁違いなんだと感心する。
なのだが…?
「賢斗、自分の力に酔うのは勝手だが…弱い者いじめをして楽しいか?」
「僕はそんなつもりはなかった! 純粋に慱に勝ちたかっただけなんだ!!」
「賢斗…考えてみろ、攻撃魔法に特化した戦闘職の【賢者】と戦闘職なのかがよく分かっていない【器用貧乏】だぞ、僕のジョブなんか戦闘職どころか戦いに向いているかすらわからないのに…」
「だけど慱はさっきから、僕の魔法を全て相殺しているじゃないか!!」
普通の生活魔法…恐らく僕以外ではここまでは使いこなせないだろうなぁ…?
それだけ、僕がやってきたバイトが過酷な経験が実を結んだのだろう。
「解った。 なら賢斗、勝負の方法を変えよう。」
「勝負の変更? 何をするんだよ?」
「仮にも【賢者】なら、攻撃魔法以外に防御魔法もあるだろう? 例えば、魔法の効果を防ぐ様な…?」
「魔法効果減少のマジックシールドがあるけど、これをどうするんだ?」
「いまから賢斗はマジックシールドを展開する。 僕はいくつかの魔法を放つから、それを防いだら賢斗の勝ちにしよう。 納得出来ないかもしれないが、賢斗が上級魔法を放たれたら僕に防ぎようがないからね。」
「わかった、それで良いよ。」
賢斗は納得はしていないような表情をしているが、条件を飲んでくれた。
賢斗はマジックシールドを展開した。
「右手から豪水、左手から強風、アルバート流はもう良いか…複合統一魔法・メイルストローム・強!」
昨日出したメイルストロームより巨大な水流が賢斗のマジックシールドに当たったが弾かれた。
だが、賢斗は少しよろけた。
「続いて…右手から強風、左手にも強風…複合統一魔法・テンペストストーム!!」
凄まじい豪風が賢斗のマジックシールドに直撃した。
だが賢斗は、なんとか耐えている。
ちなみにこれは、災害救助訓練の会場で清掃のバイトをしている時に、デモンストレーションで見た巨大サーキュレーターをイメージしたものである。
やばい…賢斗にはあぁ言ったが、正直ちと楽しい。
「これでラストだ!! 右手から強水流、左手から強水流…複合統一魔法・ハイドラシュレッダー!!!」
まるでレーザーの様な水流が5つになって賢斗のマジックシールドに当たったが、マジックシールドを突き破り賢斗に直撃して吹っ飛んだ。
あ…やば、やりすぎた…。
ちなみにコレのイメージは、清掃のアルバイトで仕事を早めに終わらせたいが為に、5本を同時に持って発射したときの事を思い出した物だった。
ただ、この時水圧が強すぎて自分も吹っ飛んで親方にめっちゃ叱られたが…。
賢斗を見ると大したダメージは無いみたいだったが、吹っ飛んだ衝撃で気絶しているみたいで… 翔也と飛鳥に抱えられていた。
「慱、やりすぎ!」
「はい、ごめんなさい。」
華奈に怒られたので僕は素直に謝った。
賢斗は大丈夫みたいだったし、後でちゃんと謝っておこう…と思った。
それにしても、これだけ破壊力があるのに何故【戦闘には向かない】と表示されるのだろうか?
考えても仕方ないので、みんなの所に行って魔法の事を話し合った。
その背後で僕の魔法を見ていたテルセラ様とアルカディア王女は唖然としていた。
王女は、テルセラから慱が複合魔法を使ったというは俄かに信じられずにいたのだが、実際に目の前で使っていた事に驚きを隠せないでいた。
「なんじゃ…あの桁違いの威力は!? テンペストストームとは…!? ハイドラシュレッダーとは…!? ワシは聞いた事もないぞ!?」
「テルセラ様、慱様が使っていたのは本当に【生活魔法】なんですよね?」
2人はそういうと、この場を後にした。
後々…面倒になる事は避けられなかった。
昨日にあんな事をしたので、正直言って顔を合わせるのは気まずいとも思ったのだけど。
そこには4人がいて、魔法や剣技を使いこなしていた。
どうやら、昨日の事は根に持っていない様子だった。
そういえば考えてみたらテルセラ様に連れて行かれた以来、皆の様子は全然わからない。
近くにいた騎士団長に話を聞くと、僕が抜けた後に魔法が使えたのは華奈が最初だった。
その少し後に翔也が勇者魔法を使い始めた。
ところが、飛鳥と賢斗は中々使えずにいたらしい。
ただ飛鳥の場合は属性魔法ではなく、ギルドマスターから教えて貰った無属性魔法のブーストを習うと途端に使いこなしていた。
だが、賢斗はいつまでたっても使えなかった。
多分、理屈の塊の賢斗は難しく考えていたのだろう。
だが、つい先程の訓練で使えるようになり、いまではバンバン使っていた。
当然の事ながら、僕とは威力が違った。
「おっす、皆! 凄いな、もう使いこなしているんだ?」
僕の声で皆が振り向くと集まった。
皆は自分の力に歓喜して興奮しているようだった。
それもそうか、元いた世界では魔法なんか使えなかったもんな。
翔也は魔法以外に勇者が使える魔法の天術が使えると言って、木人形に向かって白い閃光を放った!
華奈は、「ホーリーランス!」というと、無数の光の槍が木人形を串刺しにした。
飛鳥は剣に光を纏うと木人形を切り裂いて見せた。
だが、賢斗は…?
「昨日は慱が僕達の中で真っ先に魔法を使う事ができたけど、僕も使えるようになった! もう、慱には負けない…」
そう言って賢斗は僕を睨んできた。
まだ昨日の事を根に持っているのかな?
…と思っていたが、どうやら違うようだ。
「慱、僕の力を見せてあげるよ! 僕と勝負だ!!」
賢斗は自信満々でそういったのだが、僕は「やだ、断る!」と言って拒否した。
賢斗は僕が挑戦を受けるものだと思っていたみたいで驚いていた。
だって、そうだろう…賢斗のジョブは【賢者】だぞ、僕の良く解らない【器用貧乏】で…まぁ勝てるとは思えないけど、戦ったところでどうなるかは予想がつく。
そもそも【賢者】とは、【魔法士】→【魔術師】→【魔道士】→【魔導師】の上に存在する上級ジョブである。
テルセラ様の宮廷魔術師という肩書だが、ジョブは【魔導師】である。
そんな物と闘ったら、どう足掻いても勝てる訳でもないし、こっちは不利でしかない。
すると賢斗は僕に対して分かり易い挑発を仕掛けて来た。
「この臆病者!」
「はい、臆病者でーす。」
「君はそれでも男なのか?」
「性別的には男でーす。 賢斗も修学旅行の時に僕のアレを見ただろ?」
「僕はいつも、君のそういう態度が気に入らなかった!」
「それはごめんなさーい、もうしませーん!」
「勉強も…何をするにも僕は君に勝ったとは思ってない。 むしろ劣っていると思っていたのに!」
「それは誤解でーす。 賢斗は僕よりも何倍も優れてまーす。」
賢斗は僕を挑発して焚きつけたいようだったが、僕は適当にあしらって取り合わなかった。
別に勝てない勝負はしない…という訳ではないが、どう考えても戦力的に差がありすぎる。
僕は別に勝ち負けはどうでも良いのだが、あの火力を見る限り…まともに相手をしていたら僕の身が危うい事になる。
僕はその場を離れようとすると、賢斗は「ちっ!」と舌打ちをしてファイアウォールを展開した。
炎の壁の中には僕と賢斗しかいない。
「これでもう逃げる事は出来ないよ! さぁ僕と戦え!」
賢斗は杖を構える!
だが僕は後ろを向き、炎の壁に水魔法を使って一部消すと、そこから抜け出した。
…が、賢斗はファイアウォールの上位のフレイムウォールを展開した。
どうあっても僕を見逃してはくれなかった。
こうなっては仕方ない、適当にやって負けを宣言するか…。
そんなことを思っていたのだが…?
「本気でやってくれよな、仮にケガしても華奈がいるから治療をしてくれるから大丈夫だよ。」
賢斗はニヤついてそう言った。
賢斗ってこんな性格だったっけ?
僕は相手をする事にした。
だが、まともにやりあって勝てる訳でもないので、ハッタリを噛ました。
「賢斗、本気でやってあげるよ! アルバート流の魔法術を見せてあげるよ!」
「アルバート流魔法術…だと!?」
賢斗は僕が発した言葉に戸惑いを隠せないでいた。
アルバート流魔法術…正確には、アルバート流魔法術である。
周りを見てみると、4人と騎士団長以外にテルセラ様とアルカディア王女も来ていた。
賢斗は「ファイア!」を唱えた。
テルセラ様が見せたファイアより3倍近く大きい炎が現れると、僕に向かって放り投げて来た。
僕は強火の炎を出すと、接近する炎の少し下に当てて上に放った。
2つの炎は上空に行き破裂した。
「あっぶねぇな、賢斗の奴…殺す気か!」
「良く対処できたね。」
賢斗は笑みを浮かべて言った。
これは、うかうかしていられないと思った。
どこまで通用するか解らないけど、少し本気を出す事にした。
一応周りを見るが、誰も止めようとする者はいなかった。
それどころか、翔也なんかは「いいぞ! やれやれー!」と叫んでいる。
「あいつ…あとでシバく!」
ここで負けを宣言する…というのも1つ手ではあるのだが、調子に乗っている賢斗を見て少し腹がたった。
なんでこうなったんだろう…?
まぁとりあえず、さっきのお返しにアレをやるか…!
「右手に最大強火、左手に風… アルバート流魔法術…複合統一魔法!ファイアストーム・強!!」
あれ…? 【強】とは付けたけど、以前のファイアストームより格段に威力が上がったな…?
そう思っていたが、賢斗はその場から逃げる事なくファイアストームを放つと相殺した。
続いて賢斗は、8個のファイアボールを周囲に展開すると、僕の方に放ってきた。
「それくらいなら、僕にも出来るよ。 アルバート流魔法術…サークルファイアボール!!」
賢斗のファイアボールを僕は相殺した。
この魔法のイメージは、昼食時の中華料理屋で満員時の8種類同時調理をイメージしたものである。
あの時は本当に地獄の忙しさだった…だが、その経験が生かされたのである。
「では、これならどうだい! ファイアランス!」
4本の槍の形をした炎が僕に飛んできた。
この本数だったら…と思って全部交わした。
何故なら、大したスピードで飛んでこなかったからである。
「馬鹿な!? 慱、身体強化でも使ったのか??」
僕にそんな魔法あるわけないだろう!
賢斗は何を言っているんだ?
「まぁ、良い…」というと、賢斗は再び杖を構えた。
「僕が今使える最大魔法を見せてあげるよ!! その魔法とは、エクスプロ…」
「ちょっと待てーーー!!!」
賢斗は僕の言葉に杖を下した。
さすがにエクスプロードなんて喰らったら死ぬわ!
あいつ…大丈夫か?
僕は賢斗をみて、いくつ疑問に思った事がある。
「そんな大魔法使ったら、僕はおろかこの周囲が吹っ飛ぶぞ! それにさっきから見ていれば、賢斗は炎系魔法以外の魔法は使えないのか?」
「仕方ないじゃないか! 魔法が使えるようになったのはついさっきだよ!!」
ついさっきに初めて使えたにしては、ここまで使いこなすなんて…さすがは賢斗だと思うが?
それだけ【賢者】というジョブは桁違いなんだと感心する。
なのだが…?
「賢斗、自分の力に酔うのは勝手だが…弱い者いじめをして楽しいか?」
「僕はそんなつもりはなかった! 純粋に慱に勝ちたかっただけなんだ!!」
「賢斗…考えてみろ、攻撃魔法に特化した戦闘職の【賢者】と戦闘職なのかがよく分かっていない【器用貧乏】だぞ、僕のジョブなんか戦闘職どころか戦いに向いているかすらわからないのに…」
「だけど慱はさっきから、僕の魔法を全て相殺しているじゃないか!!」
普通の生活魔法…恐らく僕以外ではここまでは使いこなせないだろうなぁ…?
それだけ、僕がやってきたバイトが過酷な経験が実を結んだのだろう。
「解った。 なら賢斗、勝負の方法を変えよう。」
「勝負の変更? 何をするんだよ?」
「仮にも【賢者】なら、攻撃魔法以外に防御魔法もあるだろう? 例えば、魔法の効果を防ぐ様な…?」
「魔法効果減少のマジックシールドがあるけど、これをどうするんだ?」
「いまから賢斗はマジックシールドを展開する。 僕はいくつかの魔法を放つから、それを防いだら賢斗の勝ちにしよう。 納得出来ないかもしれないが、賢斗が上級魔法を放たれたら僕に防ぎようがないからね。」
「わかった、それで良いよ。」
賢斗は納得はしていないような表情をしているが、条件を飲んでくれた。
賢斗はマジックシールドを展開した。
「右手から豪水、左手から強風、アルバート流はもう良いか…複合統一魔法・メイルストローム・強!」
昨日出したメイルストロームより巨大な水流が賢斗のマジックシールドに当たったが弾かれた。
だが、賢斗は少しよろけた。
「続いて…右手から強風、左手にも強風…複合統一魔法・テンペストストーム!!」
凄まじい豪風が賢斗のマジックシールドに直撃した。
だが賢斗は、なんとか耐えている。
ちなみにこれは、災害救助訓練の会場で清掃のバイトをしている時に、デモンストレーションで見た巨大サーキュレーターをイメージしたものである。
やばい…賢斗にはあぁ言ったが、正直ちと楽しい。
「これでラストだ!! 右手から強水流、左手から強水流…複合統一魔法・ハイドラシュレッダー!!!」
まるでレーザーの様な水流が5つになって賢斗のマジックシールドに当たったが、マジックシールドを突き破り賢斗に直撃して吹っ飛んだ。
あ…やば、やりすぎた…。
ちなみにコレのイメージは、清掃のアルバイトで仕事を早めに終わらせたいが為に、5本を同時に持って発射したときの事を思い出した物だった。
ただ、この時水圧が強すぎて自分も吹っ飛んで親方にめっちゃ叱られたが…。
賢斗を見ると大したダメージは無いみたいだったが、吹っ飛んだ衝撃で気絶しているみたいで… 翔也と飛鳥に抱えられていた。
「慱、やりすぎ!」
「はい、ごめんなさい。」
華奈に怒られたので僕は素直に謝った。
賢斗は大丈夫みたいだったし、後でちゃんと謝っておこう…と思った。
それにしても、これだけ破壊力があるのに何故【戦闘には向かない】と表示されるのだろうか?
考えても仕方ないので、みんなの所に行って魔法の事を話し合った。
その背後で僕の魔法を見ていたテルセラ様とアルカディア王女は唖然としていた。
王女は、テルセラから慱が複合魔法を使ったというは俄かに信じられずにいたのだが、実際に目の前で使っていた事に驚きを隠せないでいた。
「なんじゃ…あの桁違いの威力は!? テンペストストームとは…!? ハイドラシュレッダーとは…!? ワシは聞いた事もないぞ!?」
「テルセラ様、慱様が使っていたのは本当に【生活魔法】なんですよね?」
2人はそういうと、この場を後にした。
後々…面倒になる事は避けられなかった。
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