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第一章 異世界召喚の章
第四話・閑話 まだ…硬い感じがする。(なのでイタズラを仕掛けたいと思います。)
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「皆は何処にいるのかな?」
僕は城の中を彷徨っていた。
今日の午後は鍛錬は休みという話だった。
異世界召喚して来てから根を詰めて鍛錬に身を入れるのも良いのだが、まだ完全に馴染んでいる様には見えないという事で王女様側からの配慮して貰ったという話だった。
それ以外にも、まだ三日目なので皆の様子が心地ないというのもあった。
まぁ、当然か…?
突然家族と引き離されて異世界に来たんだ、不安にもなるさ。
僕? 僕は別に元いた世界に帰っても家族も居ないし、夢にまで見たファンタジー世界にテンションが上がりまくりさ!
それに僕はある時を境に恐怖とか畏怖するといった感情が欠落しているので、余程の事が無い限りは動じない。
だから異世界召喚をした後でも冷静な対処が出来ていた。
しばらく歩いていると翔也が騎士と2人で話しながら廊下を歩いていたので声を掛けようと思った…のだが、まだ緊張から解放されていないを皆にイタズラを仕掛けるのだった。
~~~~~翔也にイタズラ大作戦!~~~~~~
城の廊下には、大理石でツルツルな床の場所がある。
翔也はそこを騎士と2人で歩いていた。
僕は静かに走ってから翔也にスライディングを仕掛けて、翔也の左足首目掛けて僕の左足を当て…右足で翔也の右足首に当ててから広げて股裂を行った。
翔也はバランスを崩して前に倒れそうになり、地面に手を付いた。
ここまでは学校でもやった事があるので、翔也は対処した。
だが、これでは終わらない…!
「喰らえ! 菊の穴から脳天衝撃突き‼︎」
「グワァァァァウォォォォ⁉︎」
前のめりで手を付いた状態で、尻はこっちに向いていたから浣腸をぶちかました。
翔也は変な声を上げて尻を押さえて地面に悶え苦しんでいた。
この攻撃は肛門を強めに浣腸されると…肛門から脳天に電気が走る様に痛みが伝わるというものだった。
「ふっ、またくだらない事で手を汚してしまった…なんてな!」
僕は捨て台詞を言うと、隣で見ていた騎士は呆れていた。
そして、その場を走り去った。
後ろから、翔也の声にならない怒りの叫び声が聞こえた。
翔也に股裂カンチョー作戦は成功した!
よし、次に行こう…!
~~~~~華奈にイタズラ大作戦!~~~~~~
華奈はアルカディア王女と一緒に聖女の法衣のデザインを選んでいた。
僕はそれを見て、ちょっとした違和感があった。
華奈は気に入ったデザインを発見したという事で手に取ったのだが、僕はその法衣を見てから華奈に言った。
「なら華奈、その服を貸して…服を調整するから。」
「服を調整してもらわなくても入るよ?」
「華奈… 僕はあえて言わなかったけど、ここで心を鬼にして言わせてもらうね。 華奈ってさ、最近太ったよね?」
「えっ…? そ、そんな事ないよ!」
「学校の制服を後ろから見た時にキツそうに見えたからね。 最初は華奈も成長期なのかと思っていたけど、明らかに以前よりふっくらしているよね?」
「そ…そんな事ないもん!」
「そんな事あるでしょ、今手に取っている服を着たら…恐らく背中から裂けるよ。」
「大丈夫だもん、着れるもん!」
「そこまで言うなら測ってみようか?」
「慱…何でメジャーなんて持ってるの?」
「華奈の色々脂肪のついた醜い体を測るためさ… さぁ、服を脱ぐんだ!」
「太ってなんかないもん! でも、ちょっと走ってくる!」
華奈は部屋を飛び出してから中庭の訓練場に向かって行った。
…というか、少しくらい走った所で体系が変わる訳も無ければ痩せる訳もない。
華奈の性格は極端なので、この場に戻ってくれば恐らく疲れ果てた顔をしているだろう。
そして努力は実らずに、大した変化がある訳でも無い。
「慱様、女の子に対して酷い事を仰っていませんか?」
「華奈に太っているといった話ですか? 元いた世界でも普通に指摘していますからね、別に酷くもなく失礼でもないですよ。」
僕がそう言うと、王女は納得していない表情をしていた。
僕は一旦部屋から出て行って、面倒だけど食堂に向かった。
「先生! お戻りに?」
「いえ、料理長にお聞きしたいのですが、この世界に甘味はありますか?」
「甘味ですが? 無くは無いですが…この世界では甘味と呼ばれる物はあまり種類がありませんね。 貴族の料理人が焼き菓子を作る程度と聞いた事があります。」
「材料を見せて貰っても良いですか?」
「どうぞ、こちらへ」
ラーメンを作る時に食糧庫には入っているが、全てを見た訳ではない。
砂糖があった…が、元いた世界のように白くはない。
牛乳もあった…が、脂肪分が多くてチーズ向きではあるが飲むには適していない感じがした。
卵があるのは知っていた。
ラーメンの面を作る時に使用していたからだ…が、生食には向かない。
加熱調理をすれば問題はない。
他にも幾つかの果物らしきものもあったのだが、あまり甘くは無かった。
「先生、これらの材料をどうするので?」
「この材料でスィーツ…と言っても解らんか、元いた世界の甘味を作りたいと思います。」
「見学をしても宜しいですか?」
「構いませんよ。」
僕は腿の様な果物を輪切りにした物を鍋に入れてから少量の水と砂糖を入れて弱火で煮始めた。
その他にも林檎の様な物や苺のような物も同じ様に煮始めた。
一緒に混ぜても良かったのだが、味が合わさるのを避ける為だった。
そしてその間に牛乳を鍋で温めてから、固まった脂肪分を取り出した…のだが、これはこれでバターが作れそうだった。
取り出した脂肪分に塩を加えて、氷を入れたボウルの中で手の空いた料理人に手伝って貰って混ぜて貰った。
そして脂肪分を取り切った牛乳に、卵と砂糖を入れてから掻き混ぜるようにして温めると…ミルクセーキが完成した。
「この黄色いのは、何やらやたら甘い匂いがしますね?」
「大量に作りましたので、欲しい人は飲んでも構いませんよ…ですが相当に甘いので、甘いものが苦手な方はあまりお勧めしません。」
僕はそう言うと、料理人の中には甘いものが得意では無い者達がいた。
だが、この様な調理法を見た事が無いので…料理長含めて料理人達はミルクセーキを試飲した。
「な、何ですか!」
「甘い…いや、甘いだけじゃない‼」
「風味もとても良く、これは別な料理にも使えそうですよ!」
「輪切りにしたパンに吸わせてからフライパンで焼くと、別な甘味になりますよ。 女性達にはウケるかも知れませんが…」
数人の料理人は試しに調理をしていた。
そして完成した物を食べると、何やら盛り上がっている様だった。
「先生、バターという物が完成しました!」
「他にも欲しい物があるのですが、手伝って貰えませんか?」
「何でも命令して下さい‼」
僕は料理人達に卵20個を黄身と卵白に分けて貰う作業をして貰った。
その後に黄身の方は、牛乳と薄力粉と砂糖を風魔法で混ぜてから氷魔法で冷やしておく。
卵白の方は、グラニュー糖が必要なんだけど…この砂糖は結晶が大きいので代用として使えるのでこれも風魔法で混ぜてから氷魔法で冷やした。
そして小麦粉に水で溶いてから、フライパンにバターを塗ってから薄く焼き始める。
クレープ用のトンボでもあればもっと手早く出来るんだけど、ないのでフライパンで代用した。
そして完成した物に、生クリームを塗ってからカスタードクリームを合わせて、煮詰めた果物を乗せて行くと…クレープが完成した。
「余った材料は好きにしてください。」
僕はそう言うと、ミルクセーキとクレープを2人前持って部屋に戻った。
そして王女にミルクセーキとクレープを渡してから食べて貰うと、訓練場を走っていた華奈が戻った。
見た目は全く変化が無かった。
まぁ、物の数十分で変化出来る様な事はまずない。
僕は華奈にミルクセーキを渡してから、クレープを渡した。
華奈はミルクセーキを飲み干してから、クレープを食べ終わった後に気が付いた。
「慱、何するのよ‼」
「普通…渡された時に気付く物だよ?」
「折角走ったのにプラマイゼロに成っちゃたじゃない‼」
「寧ろプラスされたんじゃない? これで益々服が入らなくなるね!」
僕はその場から逃げ出した。
すると華奈は追いかけて来たが、華奈に追い付かれる程…僕は遅くない。
僕は逃げる様に部屋を出た。
華奈に努力は無駄になったというイタズラが成功した。
~~~~~賢斗にイタズラ大作戦!~~~~~
これは至極簡単です。
賢斗が解こうとしている問題を先に解く事。
賢斗は、精神を落ち着かせる為に教科書や参考書を読む癖がある。
この異世界では、そんな本はもう役に立たない。
それを教えてあげよう…と思っていたら、賢斗は数学問題を開いて見ていた。
「この問一は…」
「それは、4だね。」
「慱、邪魔しないでくれ! 問二は…」
「6.324だよ。」
「ぐっ! 問三は…」
「£=879.247だね。 賢斗きゅんは小学校の算数でもやっているんでちゅか?」
「ぐわぁぁぁぁぁ!!! 慱、邪魔するな!!」
僕は賢斗の叩き付けた参考書を拾い上げ、その問題集に全ての答えを記入した。
それを賢斗に渡すと、賢斗は全ページめくって見ている。
「この程度の問題も解らないなんて、賢斗きゅんは幼稚園児でしゅか?」
「ぐわわわわぁぁぁあああぁぁぁ!!!」
賢斗は参考書を破り叩き付けて踏みしめていた。
こうして、賢斗にネタバレ挑発作戦は成功した。
~~~~~飛鳥にイタズラ大作戦!~~~~~~
飛鳥は真面目…と周りの人達は思っているらしいが、飛鳥は感性が豊かで実は擽り攻撃にメッチャ弱い。
場所によっては叫び声をあげて座り込むくらいだ。
僕は、騎士の訓練場で木刀を片手に鍛錬をしている飛鳥を見掛けて背後から近付いた。
「慱か? 何か用で…ひゃぁうん♡」
僕は飛鳥の首の後ろから腰まで、人差し指で背骨伝いになぞった。
飛鳥は可愛らしい声を上げて飛び上がった。
「ひゃぁうん♡…だって、 飛鳥…可愛い♡」
飛鳥は無言で木刀を振りかざしてきた。
僕は騎士に木刀を投げてもらう様に言って、受け取ると飛鳥の木刀を受け流した。
「紅蓮院流剣術・壱之太刀 紅刃!」
やばい、飛鳥は本気だ!
ちょっとイタズラが過ぎたか?
えっと、紅刃の軌道は確か…?
「紅蓮院流裏剣術・参之太刀 古返し!」
「なんだって⁉︎」
飛鳥の木刀を弾き返した。
弾き返された事よりも、僕が紅蓮院流の技を使っている方に驚いていた。
「どうしたの? 飛鳥って、こんなに弱かったっけ?」
「何故、紅蓮院流が使える⁉︎ しかも裏剣術なんて…」
「紅蓮院流剣術・弐之太刀 風刃!」
風刃は外から内側に斬り込む技、ならば!
「紅蓮院流裏剣術・弐之太刀 風車!」
風車は、内側から外側に斬り込む技で、飛鳥の木刀を返したと同時に木刀を叩き落とした。
呆けている飛鳥の側面から耳に息を吹き掛けた。
「きゃぁ♡」
「きゃぁ♡ …だって、きゃんあ~いぃ!」
僕は冗談で言ったつもりだが、飛鳥は本気で怒っていた。
そして木刀を拾い上げると、僕を睨みつけてから上段に構えた。
「慱…ボクは君を許さない‼︎」
あ、これマジで怒った時の顔だ。
こうなると、何を言っても許して貰えない。
こうなったら仕方ない!
飛鳥専用の究極奥義を出すしか無いか…。
ただ… あの究極奥義は、あの後で飛鳥に半殺しな目に遭ったしなぁ。
「紅蓮院流裏剣術・奥義! 祖之太刀 天上覇斬!」
「なによ、その技は…⁉︎」
飛鳥が知らないのも無理はない。
僕も適当に考えて叫んだ技名である。
飛鳥は、2度にわたって裏剣術の技を見ているので、このハッタリに騙されると思ったのだ。
僕は木刀を上空に投げて、身を低く構えた。
飛鳥は僕に警戒していた。
「飛鳥… 僕ばっか気にしていても良いのかな?」
僕は上に指を差した。
飛鳥が上を見た瞬間に僕は飛鳥の背後へ回り、両手で脇腹を掴んだり揉みまくり、耳たぶを軽く噛んだ。
飛鳥は声を上げれずにしゃがみ込んで動けない。
そう、究極奥義とはただのセクハラである。
この技は、飛鳥の母親から特に弱い場所を教えてもらったのだ。
「あの子が怒りで周りが見えなくなったらやりなさい…」という母親公認の技。
「ただし、復活したら殴られる覚悟はするんだよ…」という父親公認の技でもある。
僕はその場から逃げ出した。
復活するまで待っていられるか!!
これで、飛鳥に可愛い声を出すイタズラ作戦は成功した。
~~~~~エピローグ~~~~~
僕のお陰で、4人は緊張が解けただろう。
良かった良かった。
後は、皆の怒りが収まるまで待てばよし…!
「オイ、慱はいたか⁉︎」
「ここには居なかったよ、どこに隠れているんだろう?」
「あいつは絶対に許さない、僕の楽しみを奪いやがって…」
「ボクもだよ‼︎ アレはもう二度とやらないって約束したのに‼︎」
とりあえず今は、ある場所にいた。
皆の思考では思い付かない場所に………。
ただ、僕自身も動けずにいた。
「よし、声が遠かったな…」
そう思って動き出すと、扉を開けたら皆がいた。
そして………どうなったかは皆さんの想像にお任せ致します。
僕は城の中を彷徨っていた。
今日の午後は鍛錬は休みという話だった。
異世界召喚して来てから根を詰めて鍛錬に身を入れるのも良いのだが、まだ完全に馴染んでいる様には見えないという事で王女様側からの配慮して貰ったという話だった。
それ以外にも、まだ三日目なので皆の様子が心地ないというのもあった。
まぁ、当然か…?
突然家族と引き離されて異世界に来たんだ、不安にもなるさ。
僕? 僕は別に元いた世界に帰っても家族も居ないし、夢にまで見たファンタジー世界にテンションが上がりまくりさ!
それに僕はある時を境に恐怖とか畏怖するといった感情が欠落しているので、余程の事が無い限りは動じない。
だから異世界召喚をした後でも冷静な対処が出来ていた。
しばらく歩いていると翔也が騎士と2人で話しながら廊下を歩いていたので声を掛けようと思った…のだが、まだ緊張から解放されていないを皆にイタズラを仕掛けるのだった。
~~~~~翔也にイタズラ大作戦!~~~~~~
城の廊下には、大理石でツルツルな床の場所がある。
翔也はそこを騎士と2人で歩いていた。
僕は静かに走ってから翔也にスライディングを仕掛けて、翔也の左足首目掛けて僕の左足を当て…右足で翔也の右足首に当ててから広げて股裂を行った。
翔也はバランスを崩して前に倒れそうになり、地面に手を付いた。
ここまでは学校でもやった事があるので、翔也は対処した。
だが、これでは終わらない…!
「喰らえ! 菊の穴から脳天衝撃突き‼︎」
「グワァァァァウォォォォ⁉︎」
前のめりで手を付いた状態で、尻はこっちに向いていたから浣腸をぶちかました。
翔也は変な声を上げて尻を押さえて地面に悶え苦しんでいた。
この攻撃は肛門を強めに浣腸されると…肛門から脳天に電気が走る様に痛みが伝わるというものだった。
「ふっ、またくだらない事で手を汚してしまった…なんてな!」
僕は捨て台詞を言うと、隣で見ていた騎士は呆れていた。
そして、その場を走り去った。
後ろから、翔也の声にならない怒りの叫び声が聞こえた。
翔也に股裂カンチョー作戦は成功した!
よし、次に行こう…!
~~~~~華奈にイタズラ大作戦!~~~~~~
華奈はアルカディア王女と一緒に聖女の法衣のデザインを選んでいた。
僕はそれを見て、ちょっとした違和感があった。
華奈は気に入ったデザインを発見したという事で手に取ったのだが、僕はその法衣を見てから華奈に言った。
「なら華奈、その服を貸して…服を調整するから。」
「服を調整してもらわなくても入るよ?」
「華奈… 僕はあえて言わなかったけど、ここで心を鬼にして言わせてもらうね。 華奈ってさ、最近太ったよね?」
「えっ…? そ、そんな事ないよ!」
「学校の制服を後ろから見た時にキツそうに見えたからね。 最初は華奈も成長期なのかと思っていたけど、明らかに以前よりふっくらしているよね?」
「そ…そんな事ないもん!」
「そんな事あるでしょ、今手に取っている服を着たら…恐らく背中から裂けるよ。」
「大丈夫だもん、着れるもん!」
「そこまで言うなら測ってみようか?」
「慱…何でメジャーなんて持ってるの?」
「華奈の色々脂肪のついた醜い体を測るためさ… さぁ、服を脱ぐんだ!」
「太ってなんかないもん! でも、ちょっと走ってくる!」
華奈は部屋を飛び出してから中庭の訓練場に向かって行った。
…というか、少しくらい走った所で体系が変わる訳も無ければ痩せる訳もない。
華奈の性格は極端なので、この場に戻ってくれば恐らく疲れ果てた顔をしているだろう。
そして努力は実らずに、大した変化がある訳でも無い。
「慱様、女の子に対して酷い事を仰っていませんか?」
「華奈に太っているといった話ですか? 元いた世界でも普通に指摘していますからね、別に酷くもなく失礼でもないですよ。」
僕がそう言うと、王女は納得していない表情をしていた。
僕は一旦部屋から出て行って、面倒だけど食堂に向かった。
「先生! お戻りに?」
「いえ、料理長にお聞きしたいのですが、この世界に甘味はありますか?」
「甘味ですが? 無くは無いですが…この世界では甘味と呼ばれる物はあまり種類がありませんね。 貴族の料理人が焼き菓子を作る程度と聞いた事があります。」
「材料を見せて貰っても良いですか?」
「どうぞ、こちらへ」
ラーメンを作る時に食糧庫には入っているが、全てを見た訳ではない。
砂糖があった…が、元いた世界のように白くはない。
牛乳もあった…が、脂肪分が多くてチーズ向きではあるが飲むには適していない感じがした。
卵があるのは知っていた。
ラーメンの面を作る時に使用していたからだ…が、生食には向かない。
加熱調理をすれば問題はない。
他にも幾つかの果物らしきものもあったのだが、あまり甘くは無かった。
「先生、これらの材料をどうするので?」
「この材料でスィーツ…と言っても解らんか、元いた世界の甘味を作りたいと思います。」
「見学をしても宜しいですか?」
「構いませんよ。」
僕は腿の様な果物を輪切りにした物を鍋に入れてから少量の水と砂糖を入れて弱火で煮始めた。
その他にも林檎の様な物や苺のような物も同じ様に煮始めた。
一緒に混ぜても良かったのだが、味が合わさるのを避ける為だった。
そしてその間に牛乳を鍋で温めてから、固まった脂肪分を取り出した…のだが、これはこれでバターが作れそうだった。
取り出した脂肪分に塩を加えて、氷を入れたボウルの中で手の空いた料理人に手伝って貰って混ぜて貰った。
そして脂肪分を取り切った牛乳に、卵と砂糖を入れてから掻き混ぜるようにして温めると…ミルクセーキが完成した。
「この黄色いのは、何やらやたら甘い匂いがしますね?」
「大量に作りましたので、欲しい人は飲んでも構いませんよ…ですが相当に甘いので、甘いものが苦手な方はあまりお勧めしません。」
僕はそう言うと、料理人の中には甘いものが得意では無い者達がいた。
だが、この様な調理法を見た事が無いので…料理長含めて料理人達はミルクセーキを試飲した。
「な、何ですか!」
「甘い…いや、甘いだけじゃない‼」
「風味もとても良く、これは別な料理にも使えそうですよ!」
「輪切りにしたパンに吸わせてからフライパンで焼くと、別な甘味になりますよ。 女性達にはウケるかも知れませんが…」
数人の料理人は試しに調理をしていた。
そして完成した物を食べると、何やら盛り上がっている様だった。
「先生、バターという物が完成しました!」
「他にも欲しい物があるのですが、手伝って貰えませんか?」
「何でも命令して下さい‼」
僕は料理人達に卵20個を黄身と卵白に分けて貰う作業をして貰った。
その後に黄身の方は、牛乳と薄力粉と砂糖を風魔法で混ぜてから氷魔法で冷やしておく。
卵白の方は、グラニュー糖が必要なんだけど…この砂糖は結晶が大きいので代用として使えるのでこれも風魔法で混ぜてから氷魔法で冷やした。
そして小麦粉に水で溶いてから、フライパンにバターを塗ってから薄く焼き始める。
クレープ用のトンボでもあればもっと手早く出来るんだけど、ないのでフライパンで代用した。
そして完成した物に、生クリームを塗ってからカスタードクリームを合わせて、煮詰めた果物を乗せて行くと…クレープが完成した。
「余った材料は好きにしてください。」
僕はそう言うと、ミルクセーキとクレープを2人前持って部屋に戻った。
そして王女にミルクセーキとクレープを渡してから食べて貰うと、訓練場を走っていた華奈が戻った。
見た目は全く変化が無かった。
まぁ、物の数十分で変化出来る様な事はまずない。
僕は華奈にミルクセーキを渡してから、クレープを渡した。
華奈はミルクセーキを飲み干してから、クレープを食べ終わった後に気が付いた。
「慱、何するのよ‼」
「普通…渡された時に気付く物だよ?」
「折角走ったのにプラマイゼロに成っちゃたじゃない‼」
「寧ろプラスされたんじゃない? これで益々服が入らなくなるね!」
僕はその場から逃げ出した。
すると華奈は追いかけて来たが、華奈に追い付かれる程…僕は遅くない。
僕は逃げる様に部屋を出た。
華奈に努力は無駄になったというイタズラが成功した。
~~~~~賢斗にイタズラ大作戦!~~~~~
これは至極簡単です。
賢斗が解こうとしている問題を先に解く事。
賢斗は、精神を落ち着かせる為に教科書や参考書を読む癖がある。
この異世界では、そんな本はもう役に立たない。
それを教えてあげよう…と思っていたら、賢斗は数学問題を開いて見ていた。
「この問一は…」
「それは、4だね。」
「慱、邪魔しないでくれ! 問二は…」
「6.324だよ。」
「ぐっ! 問三は…」
「£=879.247だね。 賢斗きゅんは小学校の算数でもやっているんでちゅか?」
「ぐわぁぁぁぁぁ!!! 慱、邪魔するな!!」
僕は賢斗の叩き付けた参考書を拾い上げ、その問題集に全ての答えを記入した。
それを賢斗に渡すと、賢斗は全ページめくって見ている。
「この程度の問題も解らないなんて、賢斗きゅんは幼稚園児でしゅか?」
「ぐわわわわぁぁぁあああぁぁぁ!!!」
賢斗は参考書を破り叩き付けて踏みしめていた。
こうして、賢斗にネタバレ挑発作戦は成功した。
~~~~~飛鳥にイタズラ大作戦!~~~~~~
飛鳥は真面目…と周りの人達は思っているらしいが、飛鳥は感性が豊かで実は擽り攻撃にメッチャ弱い。
場所によっては叫び声をあげて座り込むくらいだ。
僕は、騎士の訓練場で木刀を片手に鍛錬をしている飛鳥を見掛けて背後から近付いた。
「慱か? 何か用で…ひゃぁうん♡」
僕は飛鳥の首の後ろから腰まで、人差し指で背骨伝いになぞった。
飛鳥は可愛らしい声を上げて飛び上がった。
「ひゃぁうん♡…だって、 飛鳥…可愛い♡」
飛鳥は無言で木刀を振りかざしてきた。
僕は騎士に木刀を投げてもらう様に言って、受け取ると飛鳥の木刀を受け流した。
「紅蓮院流剣術・壱之太刀 紅刃!」
やばい、飛鳥は本気だ!
ちょっとイタズラが過ぎたか?
えっと、紅刃の軌道は確か…?
「紅蓮院流裏剣術・参之太刀 古返し!」
「なんだって⁉︎」
飛鳥の木刀を弾き返した。
弾き返された事よりも、僕が紅蓮院流の技を使っている方に驚いていた。
「どうしたの? 飛鳥って、こんなに弱かったっけ?」
「何故、紅蓮院流が使える⁉︎ しかも裏剣術なんて…」
「紅蓮院流剣術・弐之太刀 風刃!」
風刃は外から内側に斬り込む技、ならば!
「紅蓮院流裏剣術・弐之太刀 風車!」
風車は、内側から外側に斬り込む技で、飛鳥の木刀を返したと同時に木刀を叩き落とした。
呆けている飛鳥の側面から耳に息を吹き掛けた。
「きゃぁ♡」
「きゃぁ♡ …だって、きゃんあ~いぃ!」
僕は冗談で言ったつもりだが、飛鳥は本気で怒っていた。
そして木刀を拾い上げると、僕を睨みつけてから上段に構えた。
「慱…ボクは君を許さない‼︎」
あ、これマジで怒った時の顔だ。
こうなると、何を言っても許して貰えない。
こうなったら仕方ない!
飛鳥専用の究極奥義を出すしか無いか…。
ただ… あの究極奥義は、あの後で飛鳥に半殺しな目に遭ったしなぁ。
「紅蓮院流裏剣術・奥義! 祖之太刀 天上覇斬!」
「なによ、その技は…⁉︎」
飛鳥が知らないのも無理はない。
僕も適当に考えて叫んだ技名である。
飛鳥は、2度にわたって裏剣術の技を見ているので、このハッタリに騙されると思ったのだ。
僕は木刀を上空に投げて、身を低く構えた。
飛鳥は僕に警戒していた。
「飛鳥… 僕ばっか気にしていても良いのかな?」
僕は上に指を差した。
飛鳥が上を見た瞬間に僕は飛鳥の背後へ回り、両手で脇腹を掴んだり揉みまくり、耳たぶを軽く噛んだ。
飛鳥は声を上げれずにしゃがみ込んで動けない。
そう、究極奥義とはただのセクハラである。
この技は、飛鳥の母親から特に弱い場所を教えてもらったのだ。
「あの子が怒りで周りが見えなくなったらやりなさい…」という母親公認の技。
「ただし、復活したら殴られる覚悟はするんだよ…」という父親公認の技でもある。
僕はその場から逃げ出した。
復活するまで待っていられるか!!
これで、飛鳥に可愛い声を出すイタズラ作戦は成功した。
~~~~~エピローグ~~~~~
僕のお陰で、4人は緊張が解けただろう。
良かった良かった。
後は、皆の怒りが収まるまで待てばよし…!
「オイ、慱はいたか⁉︎」
「ここには居なかったよ、どこに隠れているんだろう?」
「あいつは絶対に許さない、僕の楽しみを奪いやがって…」
「ボクもだよ‼︎ アレはもう二度とやらないって約束したのに‼︎」
とりあえず今は、ある場所にいた。
皆の思考では思い付かない場所に………。
ただ、僕自身も動けずにいた。
「よし、声が遠かったな…」
そう思って動き出すと、扉を開けたら皆がいた。
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