64 / 82
第五章 動き出す…?
第九話 反省会(ダンはいません)
しおりを挟む
皆はカイナンに街に戻って、冒険者ギルドで食事をしながら反省会を行った。
「今回の戦闘訓練はどう感じた? 僕的には色々反省点が見付けられたけど…」
「俺は指摘されるまで気付かなかったが、槍の性能にまだ甘えていたらしい。」
「ダンは本当に酷いのよ! 私やレイリアさんの体に剣を刺すだけじゃなく、レイリアさんを斬ったんだから!」
「なるほど、そういう事か…」
翔也は溜息を附いた。
ダンの言っていた言葉の意味をこの時になって理解した。
「悪いが華奈、レイリアが斬られた…それがどうかしたのか?」
「ガイウスさんは自分の妹が怪我させられたのに怒りは無いのですか?」
「無い訳ではないが、クリスから話を聞く限りでは、あの場合は対抗策が無いレイリアが悪い…」
「そんな…なら、ダンがやった事を誰も責めないんですか? そんなのはおかしいです!」
「華奈やめろ! ダンのやった事は正しいよ。」
「あぁ、俺もそう思う。」
華奈は、ガイウスや翔也や賢斗の言っている事が理解出来なかった。
「あちきも仲間を信じられずに攻撃を辞めてしまったにゃ! あの時は本来なら敵に突っ込んで行かなければならない筈だったのに、それを躊躇ってしまったにゃ…」
「クリスが悪い訳ではない、俺も同じ立場だったら攻撃の手を止めていたかもしれない。」
「それが普通じゃないんですか?」
華奈は至極当たり前の様に話したつもりだが、2人の顔を見るとそういう訳ではないらしい…
「ダンが初めに言ったよね? 殺す気で掛かって来いって…」
「華奈には解らないかもしれないけど、ダンはな…俺達の弱点を把握させる為にあえて悪役を演じていたんだ。」
「でもそれだけの事の為に、仲間や友達に剣で刺したりする?」
「華奈、少し黙ってて…」
「どうしてよ、翔也!」
翔也は華奈の態度を見て、戦闘訓練の意味を理解していない事に気付いた。
甘やかしているつもりは無かったと思っていたけど、これではダンが言っている事がもっともらしいと思った。
「私と飛鳥さんは師匠の声を聴いて構えたけど、フェイクでクリス姉様に化けた師匠を最後の方まで気付かなかったです。」
「ボクは、ダンじゃないと思って油断してしまった所に突かれたね。 もっと気配に気を配っていたら気付ていたかもしれないのに…」
「では、皆それぞれの課題が見付かったみたいなので、話を進めるよ!」
「ちょっと待ってよ! ダンの事は何もお咎めは無いの?」
「何故…ダンが咎められなければならないんだ?」
「何故って…ガイウスさん、妹のレイリアさんが刺されているんだよ?」
「だからその話は、対抗策が無かったレイリアが悪いという事で話は済んだだろう?」
「華奈さん、今回の件は私の納得しているのです。 そうダンを責めないであげて。」
賢斗と翔也は顔を合わせると、同時に溜息を附いた。
賢斗と翔也は華奈に言った。
「華奈さぁ、今日の戦闘訓練を何か誤解してないか?」
「ダンが企画した戦闘訓練を、友達同士の仲良し鬼ごっこだとでも思っていたのか?」
「翔也は悔しくないの⁉」
「確かに初めの内は腹が立った事は認めるさ。 だがなぁ、ダンの伝えたい事は理解しているつもりだよ。」
「なんでそんな事が言えるのよ! ダンは友達に一線を越えた行動をしたのよ‼」
「はぁ…やっぱり思った通りだ。 華奈は今日の訓練を誤解しているね…」
仕方ないな、とりあえず華奈には黙っていて貰って話を進めよう。
「華奈、話が進まないから少し黙っていて。 ダンはこの戦闘訓練を定期的に行うと言っていたので、各自弱点や修正点を見付けてそこを鍛える様にしよう。 僕は冷静さを見詰め直すとしよう。」
「俺は槍の性能に甘えずに振るう事に意識を向けよう! 姉弟子、もう1度教えをお願い出来ないか?」
「わかりましたガイウスさん、私も見つめ直さないといけない点がありますので、一緒にやりましょう!」
「俺は勇者の能力を見詰め直さないとだな、怒りで我を忘れる何て冷静な判断が出来なくなるからな…」
《勇者の能力を使いこなせる迄、私が厳し指摘します。》
「私は接近された場合の対抗策を考えないとだね。 魔法を放つのではなく…?」
「それには力になれるかもしれません、レイリアさん一緒にやりましょう。 師匠直伝の方法を教え致します!」
「あちきは心を鍛える事にするにゃ!」
「華奈はどうする?」
「違うだろ賢斗、華奈はどうしたい?」
「私は…」
皆は何故ダンのした事を咎めないのかが解らない。
私達は大事な幼馴染であり、仲間でもある。
皆は納得していても、私には全く理解出来ない。
「私は少し1人で考えてみたいの。 しばらくはパーティから離脱するね。」
「そうか…」
「わかった、好きにすると良い…」
「華奈さん…」
華奈は冒険者ギルドを出て宿屋に向かった。
そして個室を借りてしばらく考える事に専念した。
「今回の戦闘訓練はどう感じた? 僕的には色々反省点が見付けられたけど…」
「俺は指摘されるまで気付かなかったが、槍の性能にまだ甘えていたらしい。」
「ダンは本当に酷いのよ! 私やレイリアさんの体に剣を刺すだけじゃなく、レイリアさんを斬ったんだから!」
「なるほど、そういう事か…」
翔也は溜息を附いた。
ダンの言っていた言葉の意味をこの時になって理解した。
「悪いが華奈、レイリアが斬られた…それがどうかしたのか?」
「ガイウスさんは自分の妹が怪我させられたのに怒りは無いのですか?」
「無い訳ではないが、クリスから話を聞く限りでは、あの場合は対抗策が無いレイリアが悪い…」
「そんな…なら、ダンがやった事を誰も責めないんですか? そんなのはおかしいです!」
「華奈やめろ! ダンのやった事は正しいよ。」
「あぁ、俺もそう思う。」
華奈は、ガイウスや翔也や賢斗の言っている事が理解出来なかった。
「あちきも仲間を信じられずに攻撃を辞めてしまったにゃ! あの時は本来なら敵に突っ込んで行かなければならない筈だったのに、それを躊躇ってしまったにゃ…」
「クリスが悪い訳ではない、俺も同じ立場だったら攻撃の手を止めていたかもしれない。」
「それが普通じゃないんですか?」
華奈は至極当たり前の様に話したつもりだが、2人の顔を見るとそういう訳ではないらしい…
「ダンが初めに言ったよね? 殺す気で掛かって来いって…」
「華奈には解らないかもしれないけど、ダンはな…俺達の弱点を把握させる為にあえて悪役を演じていたんだ。」
「でもそれだけの事の為に、仲間や友達に剣で刺したりする?」
「華奈、少し黙ってて…」
「どうしてよ、翔也!」
翔也は華奈の態度を見て、戦闘訓練の意味を理解していない事に気付いた。
甘やかしているつもりは無かったと思っていたけど、これではダンが言っている事がもっともらしいと思った。
「私と飛鳥さんは師匠の声を聴いて構えたけど、フェイクでクリス姉様に化けた師匠を最後の方まで気付かなかったです。」
「ボクは、ダンじゃないと思って油断してしまった所に突かれたね。 もっと気配に気を配っていたら気付ていたかもしれないのに…」
「では、皆それぞれの課題が見付かったみたいなので、話を進めるよ!」
「ちょっと待ってよ! ダンの事は何もお咎めは無いの?」
「何故…ダンが咎められなければならないんだ?」
「何故って…ガイウスさん、妹のレイリアさんが刺されているんだよ?」
「だからその話は、対抗策が無かったレイリアが悪いという事で話は済んだだろう?」
「華奈さん、今回の件は私の納得しているのです。 そうダンを責めないであげて。」
賢斗と翔也は顔を合わせると、同時に溜息を附いた。
賢斗と翔也は華奈に言った。
「華奈さぁ、今日の戦闘訓練を何か誤解してないか?」
「ダンが企画した戦闘訓練を、友達同士の仲良し鬼ごっこだとでも思っていたのか?」
「翔也は悔しくないの⁉」
「確かに初めの内は腹が立った事は認めるさ。 だがなぁ、ダンの伝えたい事は理解しているつもりだよ。」
「なんでそんな事が言えるのよ! ダンは友達に一線を越えた行動をしたのよ‼」
「はぁ…やっぱり思った通りだ。 華奈は今日の訓練を誤解しているね…」
仕方ないな、とりあえず華奈には黙っていて貰って話を進めよう。
「華奈、話が進まないから少し黙っていて。 ダンはこの戦闘訓練を定期的に行うと言っていたので、各自弱点や修正点を見付けてそこを鍛える様にしよう。 僕は冷静さを見詰め直すとしよう。」
「俺は槍の性能に甘えずに振るう事に意識を向けよう! 姉弟子、もう1度教えをお願い出来ないか?」
「わかりましたガイウスさん、私も見つめ直さないといけない点がありますので、一緒にやりましょう!」
「俺は勇者の能力を見詰め直さないとだな、怒りで我を忘れる何て冷静な判断が出来なくなるからな…」
《勇者の能力を使いこなせる迄、私が厳し指摘します。》
「私は接近された場合の対抗策を考えないとだね。 魔法を放つのではなく…?」
「それには力になれるかもしれません、レイリアさん一緒にやりましょう。 師匠直伝の方法を教え致します!」
「あちきは心を鍛える事にするにゃ!」
「華奈はどうする?」
「違うだろ賢斗、華奈はどうしたい?」
「私は…」
皆は何故ダンのした事を咎めないのかが解らない。
私達は大事な幼馴染であり、仲間でもある。
皆は納得していても、私には全く理解出来ない。
「私は少し1人で考えてみたいの。 しばらくはパーティから離脱するね。」
「そうか…」
「わかった、好きにすると良い…」
「華奈さん…」
華奈は冒険者ギルドを出て宿屋に向かった。
そして個室を借りてしばらく考える事に専念した。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
パワハラで会社を辞めた俺、スキル【万能造船】で自由な船旅に出る~現代知識とチート船で水上交易してたら、いつの間にか国家予算レベルの大金を稼い
☆ほしい
ファンタジー
過労とパワハラで心身ともに限界だった俺、佐伯湊(さえきみなと)は、ある日異世界に転移してしまった。神様から与えられたのは【万能造船】というユニークスキル。それは、設計図さえあれば、どんな船でも素材を消費して作り出せるという能力だった。
「もう誰にも縛られない、自由な生活を送るんだ」
そう決意した俺は、手始めに小さな川舟を作り、水上での生活をスタートさせる。前世の知識を活かして、この世界にはない調味料や保存食、便利な日用品を自作して港町で売ってみると、これがまさかの大当たり。
スキルで船をどんどん豪華客船並みに拡張し、快適な船上生活を送りながら、行く先々の港町で特産品を仕入れては別の町で売る。そんな気ままな水上交易を続けているうちに、俺の資産はいつの間にか小国の国家予算を軽く超えていた。
これは、社畜だった俺が、チートな船でのんびりスローライフを送りながら、世界一の商人になるまでの物語。
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
出戻り勇者は自重しない ~異世界に行ったら帰って来てからが本番だよね~
TB
ファンタジー
中2の夏休み、異世界召喚に巻き込まれた俺は14年の歳月を費やして魔王を倒した。討伐報酬で元の世界に戻った俺は、異世界召喚をされた瞬間に戻れた。28歳の意識と異世界能力で、失われた青春を取り戻すぜ!
東京五輪応援します!
色々な国やスポーツ、競技会など登場しますが、どんなに似てる感じがしても、あくまでも架空の設定でご都合主義の塊です!だってファンタジーですから!!
病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる