【完結】ちょっぴり身長が高い女の子が望むのは、恋愛なんだけど相手が居ない!(自作品のクロスオーバーです。)

アノマロカリス

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第九話 決戦前の…

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 僕は決勝戦前に真実を知りたくて、【漆黒の女剣士】に話をしたくて控室に尋ねに行った。
 するとそこには、多くの男性冒険者達が詰めかけていて…女騎士達が対応していた。

 「漆黒の女剣士に会わせてくれよ!」
 「どんな関係だ?」
 「今はまだ何でもないが、これから深い関係になるんだよ!」

 …とまぁ、こんな輩達が詰め寄っていたのだった。
 僕もこんなのと同じだとは思われたくないが、話をしないと何とも言えないしなぁ?
 列に並んでいて僕の番が来たので、騎士に頼んでみた。

 「漆黒の女剣士殿に会わせて貰えないだろうか?」
 「またか…どんな関係だ?」
 「知り合いなんですよ。 決勝戦前に話がしたくてね。」
 「では、身分を明かす物はあるか?」

 僕は騎士にギルドカードを渡しながら言った。

 「僕の名前はシオン・ノート・グラッド。 エルドナート大陸出身の冒険者です。」
 「エルドナート大陸のシオン・ノート…って⁉ 英雄シオン様ですか⁉」
 
 騎士の言葉に周りがざわついた。
 僕の名前を聞いた冒険者達は、唖然としていた。

 「はい、漆黒の女剣士殿とは知り合いなので…面会は可能ですか?」
 「はっ! 英雄シオン様がそう仰るのでしたら…我々は御止めする訳には参りません!
 「これはどうもありがとうございます! それと…」

 僕は魔力を放出してから威圧を合わせてその場の者達に放った。
 その場に居た冒険者と騎士達は、まともに立っていられなかった。

 「漆黒の女剣士殿に何の用かは知りませんが…あの方はこれから決勝戦に望まれるのです。 つまらない事であの方の神経をすり減らそうとする行為は気に入りませんね!」
 
 僕がそう言いながら威圧を解除すると、冒険者達は揃ってその場から逃げて行った。
 僕は騎士の方に扉を開けて貰ってから中に入った。
 僕を見ながら騎士達は言っていた。

 「あれが…英雄シオン様!」
 「あの年齢でなんていう威圧を放つのかしら?」
 「私達が全く動けなかった…やっぱり、英雄と呼ばれる人たちは違うのね。」
 
 そんな話をしていた。

 「ふぅ…やっと入れた!」
 「シオン? 君が何でここに⁉」
 「王国主催の武道大会ですからね、他国ですが僕の家も騎士の家なので父と僕がゲストして呼ばれたのですよ。 それにしても…外にいる冒険者が騒ぐ理由が解りますね。」
 「ちょっと事情があってね…」
 「リュカさんがこんな大会に出場するという事は、余程の理由があるんですよね?」
 「まだリッカが目を覚まさなくてね…そこでこの大会で優勝賞品の【神々の恩恵】を手に入れようと思っているんだよ。」
 「純粋な者の願いを叶えるというアイテムですよね? 英雄ダンが魔王サズンデスとの決戦の後に仲間を生き返らせる為に使用したという…」
 「そう、それならリッカも目覚めるかと思ってね。」
 
 シオンは考え込むと、頷いてみせた。

 「それなら確かに可能かもしれませんね…ですが、リュカさんが女装をして出場するという意味が解りませんが?」
 「この大会の関係者に、僕と同じカナイ村出身のアレクセイという人がいるんだけど、その人が僕に今回のアイテムの話を持って来てくれたんだけど…魔王を討伐した者がそのままエントリーをすると、戦わずして不戦勝ばかりで大会が盛り上がらないから、決勝戦まで正体を隠す為に女装をしろって。」
 「確かに…魔王を倒した者が対戦者なら逃げますね。 余程の馬鹿ではない限り…」
 「なので、次の決勝戦で正体を明かすつもりなんだけど…対戦相手がちょっと特殊でね。 シオンに頼みがあるんだけど、決勝戦が始まったら観客席に結界を張ってくれないかな?」
 「それは構いませんが…ガイアンさんを倒された方ですよね? どういった方なんですか?」
 
 《クルシェスラーファ、僕の対戦相手のグロリアは…【アリス】の持ち主だ。》
 《特殊な能力を使う子だとは思ったけど、まさか…【アリス】の使い手だったの⁉》
 《【アリス】って…クリアベールと同じって事ですか?》
 《そう…しかも彼女の【アリス】の能力は兵器という話で…》
 《解ったわ! シオンと力を合わせて極大障壁を展開しておくわ! だから好きに戦いなさい‼》
 《ありがとう。》

 「さてと…そろそろ時間だ! これで…うざったいナンパから開放される!」
 「そういえば…かなりの男達が控室前に詰め掛けていましたからね。 僕の威圧で追っ払いましたが…」
 「自分の顔が女顔だという事を改めて知ったよ…」
 「僕もメイク魔法で女の子になったら、多分同じ様な目に遭いますね。 僕にメイク魔法はありませんけど…」
 
 《シオンは女の子になりたかったの? 私の能力にメイク魔法はあるわよ!》
 
 「え?」

 クルシェスラーファが魔法を発動すると、シオンは女の姿に変化した。
 そして鏡を見たリュカとシオンは…深い溜息を吐いた。

 「元々女みたいな顔だとは良く言われていたけど…女になるとこうなるのか!」
 「シオン…可愛いよ!」
 「あまり嬉しくない誉め言葉ですね。」

 シオンは魔法を解除すると、観客席に戻ろうと部屋を出ようとした。

 「ではリュカさん…御武運を!」
 「ありがとう、シオン!」

 そしてシオンは控室を出ると…たくさんの騎士達に囲まれて迷惑そうな声を上げていた。
 新聞に書かれている英雄シオンが現れたという事で、この城の女騎士達が一斉に押し寄せて来たみたいだった。
 
 そしてリュカの…【漆黒の女剣士】の名前が呼ばれて舞台に上がった。
 すると、グロリアも舞台に上がった。
 アレクセイは拡声魔法で会場内に放送した。

 『お集りの皆様に報告があります! 実は決勝戦で我が国の英雄の対戦相手である漆黒の女剣士は、ある者が魔法で姿を変えておりました。 今…その正体が明かされます!』

 漆黒の女剣士は魔法を解除すると、そこには1人の男の剣士が立っていた。
 すると、会場内でざわついた声が響き渡った。

 『紹介しましょう! 彼の名前は、リュカ・ハーサフェイ! 七魔王の内の第四の魔王デスゲイザーを倒した、ゴルディア大陸の英雄です‼』

 すると会場から大歓声が巻き起こった。
  
 『そして彼の持つ剣は、魔剣アトランティカ! かつてこの世界を魔王サズンデスの魔の手から救い出した英雄ダンの持つ伝説の剣を所持しております。』

 新聞にも書かれていた、英雄ダンに変わる新たな英雄とか、英雄ダンの意思を継ぐ者として会場内は更にヒートアップしていた。
 対するグロリアは優勝に向けて燃えていたが…相手がリュカだと解ると、冷や汗を流していた。

 「貴方の試合を見ていたけど…その強さに納得したわ! 英雄リュカなら、その強さは色々噛み合うわ!」
 「グロリアさん…宜しくお願いしますね!」
 『未だかつてない程の盛り上がりの決勝戦…開始‼』
 
 国の英雄グロリアと英雄リュカの…二人の英雄が遂に激突するのだった。
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