異銀河クロニクル

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現れるE16の個性たち

ギガポリス上層での戦い

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ギガポリスの中心部に凛として林立する高層構造物群。その最上階付近で、アマンダとニルヴェは見つめあっていた。アマンダはハイクッションベッドに上り、ニルヴェをまたぐように上位に立ち、接吻をを互いの体躯に沿うようにつけていった。

「ニルヴェ…あなた、今日も外に行くわけ?」
ニルヴェはアマンダの熱い追加キスを受けた後に口を開く。
「すまないな。俺にはまだ用事が残ってる、サイファーと会わなきゃいけないんだ」

「また…あの女と会う気なの?」
「仕方ない。これはノルマだからな」

「分かった…じゃあ…もう一回最初からね」

ギガポリス最高層には、かつての帝国が保有していた金貨などがそれぞれの邸宅に保管されており、基本的にそこの主の所有物となる。彼らはここに住む富裕層で、ギガポリスが占める資産は、この惑星において89パーセントを超えるといわれており、経済格差の温床として、監視機関が警鐘を鳴らしている。
だが、監視機関自体も圧倒的な影響力を誇るZAMLTや彼らの末端メタ企業に逆監視されており、自由に規制できなくなっているのも事実である。

夜が明けると、東の空からE16主星が煌々と顔を出し、彼らの顔に光を照射する。地球上の太陽よりも強い紫外線を含んでおり、被ばく量もやや多い。そのため、高層ビルは基本的に放射能をカットするポリエチレンなどが壁面に含まれている。

一方、ストロベリーを後にしたサイファーは、偶然にも先ほど酒場で酒におぼれた作業員たちを惨殺したブラックハッカーに遭遇した。

「お前がTECHROSUSか」
ブラックハッカーの一人が、高度30mに局所相固定し浮遊しているサイファーに話しかける。
「あら、あなたたちが最近噂のテロリストさんね。組織名は確か…ブラック…」
ブラックハッカーは、自らの足についた核力フィルターにて、空中浮遊している。

ギガポリスの摩天楼が彼らの数キロ先に見えるさなか、井戸端の様な裾野地域で今危険なメンツが衝突した。

サイファーは、TECHROSUSの隊服をつねに着ており、あたかも光学迷彩が仕込まれたボディースーツではあるが、伴共役を使いこなすための道具となっている。

「最近、Gパスポートを持たないものがギガポリス周辺をうろついている。その上に観測するはずのない次元からの作用を観測した。私の直轄の上司はこう言っていたわ。何か書く仕事でもあるんじゃないの?」
サイファーはすでに、ブラックハッカーが起こしている一連の騒動は、ただのパフォーマンスに過ぎないことを見抜いていた。
「ほう、すこしは勉強してきたみたいだな。だが、はずれだ。お前はここら辺には普段はいないだろう。だからわからない。何がこの星で起きているのか、そして私の、いやわれらの目的が何なのかも」

「分からないわけない。今すぐここで対処する」

そういってサイファーは手のひらを地面に向け伴共役へと局所相転移した。半径数百メートルにわたり、物理定数にノイズが走りあたりは重力の影響からか明るみを帯びる。

「一瞬で終わらせる」
「おい、そんなもの使って平気なのか?ギガポリスはよ!」

「何も知らないのは、そちらのほうみたいね」

サイファーは刹那的にブラックハッカーのリーダー格と思しき人物の背後をとり彼の背中に手を当てた。
「とりあえずここから出て来れるかね」

「まさか…!」
ブラックハッカーは予期せぬ事態に遭遇したという顔で焦りを見せる。その瞬間にあたりが真っ暗になりすさまじい爆音とともに周囲の建物が半壊した。

「いったい何が…」
サイファーの一撃をくらっていないブラックハッカーたちは何が起きたのかわからない様子であたりを見回していた。しかし確かにあたりは破壊しつくされており、何らかの衝撃が奔ったことがうかがえる。そして肝心な攻撃を受けたとみられる人物がいない。
「いったいフェルになにをした?」

そういってサイファーの後頭部にクォークガンを突きつけたのはベンサムだった。
「閉じ込めたのよ。次元のはざまに」
「何を言っている?」

「だから知らないこともあるんだね、っていったわよね?」

「あぁ、そりゃあるだろうな。だがこちらとしてもそんなことを受け入れているわけには、今行かなくなった。」
「もうこうなったらやるしかないか」
サイファーがため息をつきながらそう言った瞬間、クォークガンから爆撃が下った。

そのころ、ストロベリーのメンバーたちはサイファーの騒ぎを目の当たりにしていた。それどころか、周辺地域のメタ企業までもがこの騒動に目をやり始めた。
「おいおい、なんか騒ぎになってるな…あの局所影からして、さっきここを旅立ったTECHROSUSの一員にしか原因は考えらんねえぞ!」
ジェイクが珍しく、自身の眼鏡を直すほどだった。

「あいつなんか暴れてるんだねー…すごいな…さすが十技軍だね」
ジェーンは有様に感激している。

「ZAMLTの力が最高峰に達したっていうニュースは本当だったのか?それを裏付ける事件が多すぎる気がする。全く世の中どこへ向かうのか分からない…」
アレンもずっと気がかりになっていることがあった。それはZAMLT首脳部が2年前に出した宣言書だ。ゼブラというメタ企業が、今後の趨勢予測として宇宙経済の発展が更に顕著になる一方でメタ企業、いわゆる企業国家の立ち位置は転落していくだろうとし、あまたのニュールーキーが出現し、再び繁栄時代に入る可能性があるとしたことだ。

移住人類はこれまで5回の大規模な繁栄時代を経ているがそれらで生じたのは、あまりにも凄惨な内乱で、繁栄のリスクともされている。数十年前にロンバルディア帝国は崩壊して、現在は帝国はこの世界に存在しないが、今後この流れが新たな帝国が生まれるきっかけになると言われている。

仮に第6次繁栄が訪れたら、必ずほかの星に足を出すことになるとは誰でも予見しているのだ。しかもそのことを言い出したのがZAMLTの一角であり、かつテクノロジーのボーダーレス化が進んでいることを暗示する事件が乱発すると、ますます繁栄への足音は現実味を帯びてくる。

「ベゾスを呼べ…あとこれからの間、すこしギガポリスを離れよう。テクノロジーを強奪できるチャンスかもしれない」
アレンは何か未来を観るようなまなざしでジェーンに告げた。
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