第8回恋愛小説大賞
選考概要
編集部内で最終的に大賞候補作としたのは「Only with Your Heart」「私、不運なんです!?」「取次の赤ずきん、一寸先は恋」「Can't Stop Fall in Love」「花はひとりでいきてゆく」「コンカツ！」「海のかなた、雨のおわり」「マーコは後悔中」「釣りバカ女子」「恋友達」の10作品。
その後の検討の結果、完成度が高く編集部内の評価も高かった「コンカツ！」を大賞に選出することとなった。
「コンカツ！」は、セレブ生活を夢みて婚活パーティーに参加したヒロインが、理想条件の男性と出会って妻になるためのテストを受けるという作品。個性的な面々に囲まれながら、最初は物事に真剣に向き合うことのなかったヒロインが徐々に成長していく姿が魅力的に描かれ、ストーリー構成力も高いと好評だった。
また、受賞には至らなかったが、「花はひとりでいきてゆく」も高い評価を受けた。
亡き姉の秘密を抱えて苦悩する芸術家のヒロインと、姉の夫である義兄との恋愛を描いた本作は、重いテーマではあるが独特の雰囲気があり、文芸小説として筆力・構成力ともに十分なものであった。
「Can't Stop Fall in Love」は社会人１年目のヒロインと、会社の上司で御曹司でもあるヒーローとの恋愛模様を描いた物語。軽快なタッチの文章で読みやすいが、大賞作に比べると今ひとつ盛り上がりに欠けるのが惜しかった。
「海のかなた、雨のおわり」は海のそばにある小さな町から始まる、幼なじみとの恋を描いたラブストーリー。ローカルな町に漂う閉鎖感を巧みに表現する筆力は見事だったが、心情描写がやや不足気味で、展開が駆け足になってしまったのが残念だった。
またここであげた候補作のほかに、出版の可能性を感じる作品もいくつかあり、編集部で検討し、個別にオファーや打診をしていきたいと思う。
コンカツ！
Only with Your Heart
ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。かつて異世界で恋人関係になった彼を残し、日本に戻ってきてしまったヒロインが、彼に会うため再び異世界に行こうとするという設定が斬新でした。また二人の恋愛模様が丁寧に描かれ、ヒロインに感情移入して胸を焦がした女性読者も多かったのではないでしょうか。出版化の可能性について是非検討していきたいと思います。
※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。
ヒロインやヒーロー、二人を取り巻く仕事仲間達の個性が豊かで、彼らの軽快なやりとりが楽しく、次々に読み進めることができました。また、ヒロインが失敗や挫折を味わうなかで、仕事に対する姿勢と自分の気持ちを見つめ直していく姿に好感が持てます。ストーリーの構成力も高く、読み応えがあって完成度の高い作品でした。出版化の可能性について是非検討していきたいと思います。