第8回青春小説大賞

第8回青春小説大賞

選考概要

編集部内で大賞候補作としたのは「潔癖男子の憂鬱」「川連二高吹奏楽部~ここがハーレムだと、いつから錯覚していた?」「イルカノスミカ」「ホームランボールは夏の彼方に」「海辺のテレパスは青春を知らない。」の5作品。最終検討の結果、いずれも出版化は難しいと考え、編集部内の評価が最も高かった「ホームランボールは夏の彼方に」を大賞とすることになった。

「ホームランボールは夏の彼方に」は、野球というテーマを通してヒロインの存在感、また青春のみずみずしさが見事に描かれた物語。小説の題材としては難易度の高い「野球」だが、優れた構成力・文章力ともあいまって一定の完成度に達した作品だった。

「潔癖男子の憂鬱」は、潔癖症の主人公、清純なヒロイン、心優しいイケメン友人などキャラクターがしっかり立った、少女マンガを髣髴させるボーイミーツガール。整った文章で場面をイメージしやすく、よくまとまっていたが、物語の広がりに物足りなさがあった。

「川連二高吹奏楽部~ここがハーレムだと、いつから錯覚していた?」は、商業性の高い吹奏楽を題材に、豊富な知識を用いて部活動の様子が丁寧に描写された、まさに青春小説らしい作品だったが、ライトノベルのような軽い語り口がこの作品においてはやや違和感が残った。

「イルカノスミカ」は、家族の分裂というテーマを下地に、思春期のやるせなさ、無力さ、窮屈さを勢いのある軽快な筆致で描いている点に評価が集まった。他方、主人公が水泳選手である設定が活かしきれていないなど、構成力がもう一歩足りない印象だった。

「海辺のテレパスは青春を知らない。」は、青春小説としてのツボをきっちり押さえていながら、テレパス設定が上手く活かされていない点が惜しかった。

応募総数 181作品 開催期間 2015年11月01日〜末日

編集部より

王道であるからこそ難しい野球というテーマを通して、ヒロイン・ナツの存在感が丁寧に描写されており、読者を強く惹きつける魅力があると高く評価されました。また文章力・構成力にも優れていて小説として完成度が高く、みずみずしい青春の雰囲気が存分に表れた作品でした。


編集部より

ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。ユニークな設定が目を引きつつ、主人公はもちろん、脇役キャラの個性も光った作品でした。また、パソコン通信やPCなど、ガジェットの懐かしさに頬を緩めた読者も多かったのではないでしょうか。

※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。

投票ユーザ当選者

投票総数 723票 当選 10名