東宝×アルファポリス第10回絵本・児童書大賞終了

東宝×アルファポリス第10回絵本・児童書大賞

選考概要

東宝・アルファポリス2社による初の共同開催となった第10回絵本・児童書大賞。
絵本、児童書、童話など各ジャンル多彩な作品が集まり、最終的な応募数は450作にのぼった。とりわけ絵本ジャンルは、昨年末アルファポリスにてオープンした絵本投稿サイト「絵本ひろば」の好影響もあり、キャラクター性の高いものから教育的な側面を押し出したものまでバラエティに富んだ作品が参加。いずれもさまざまな対象読者を想定しており、今後の「ウェブ発絵本」の可能性を期待させる盛り上がりを見せた。

映画化の原石となるコンテンツを探し出すべくアルファポリスとの共催に踏み切った東宝としても、映画が見られない幼い層にも訴求できる絵本コンテンツへの期待は大きく、結果的に前回(第9回)を大幅に上回る応募数となり、選考にも力が入った。

選考過程においては、出版化さらにその先にある映像化展開を視野に、アルファポリス編集部、東宝のアニメ・実写映像・キャラクターを担当する各プロデューサーらが作品を吟味し、両社それぞれの観点から活発に意見交換を行った。

東宝では、小説や漫画と違ってページ数が少ない絵本ということで、主にストーリーとキャラクターの2つの要素が評価基準となった。ストーリーについては、設定の独自性、ポジティブな読後感、第三者への伝えやすさ、短いながらもフリとオチがしっかりとあること、動きをつけた映像で見てみたいかどうかなどを重視。また、キャラクターに関しては、デザインとしてのかわいさやインパクト、作品内におけるキャラクターのバリエーション、シリーズ化できそうな世界観のキャラクターかどうかなどが主な論点となった。

その結果、大賞候補作となったのは、「ママに早く会いたくて」「おばけちゃんだってこわいんです」「3びきのかしこいこぶた」「ゆめレスキュー」「だいかぞく」「うりまる」「マダムコナの おりょうり きょうしつ」「フルーツワニ」「おやまくん ふじさんに なりたい」「ちらり ちらり」「メロンパンツ」「すなっくズ~ケーキだいさくせん~」「熊の惑星」「とじこめラビリンス」「タイムエイジマシン」の15作。

これら候補作の中で、東宝・アルファポリス両選考員から揃って高い評価を得た絵本「ゆめレスキュー」を大賞に選出。次いで、大賞には僅かに及ばなかったものの、レベルの高い作品であった「おばけちゃんだってこわいんです」「3びきのかしこいこぶた」、児童書ジャンルの「とじこめラビリンス」の3作を優秀賞に。また、個性が光った「メロンパンツ」「すなっくズ~ケーキだいさくせん~」の2作を特別賞に選出することとした。

東宝・アルファポリス両社による最終選考での各作品の評価は次の通り。


「ゆめレスキュー」は、バクのレスキュー隊が悪い夢にうなされる子どもたちを救助するという、ユニークなストーリーの絵本。画力の高さやメリハリの利いた構図など、いずれも一歩抜きんでたレベルにあると、多くの選考員から高く評価された。夢の内容や場面転換がやや子供にわかりにくいという意見もあったが、他にはない魅力あふれるキャラクター性がマイナス要素を大きく上回る結果となった。

「おばけちゃんだってこわいんです」は、「人間の子どもをこわがるおばけ」が主人公の絵本。怖がりなおばけという従来とは逆を行く設定が目新しく、また、素直で愛らしいおばけちゃんと、合間に見開きで登場する「おばけを食べちゃう子ども」の不気味さとのギャップも秀逸で、2~3歳の子どもに読み聞かせたら喜ばれそうだと支持された。

「3びきのかしこいこぶた」は、食用として売られることを危惧した3匹の兄弟ぶたが、その運命から逃れようと試行錯誤する物語。痩せてみたりマッチョになってみたりと、こぶた兄弟の努力がユニークな絵柄で描かれていて目を引いた。同著者の作品はいずれも高いレベルにあったが、本作は特に発想力と絵のかわいらしさが好評だった。

「とじこめラビリンス」は、古い美術館に迷い込んだ少年少女仲良し4人組が、脱出をかけてゲームに挑むという謎解き児童小説。子ども達4人の個性もさることながら、ゲーム要素がとてもわかりやすく描写されている点に著者の筆力の高さが窺えた。児童小説ジャンルの中でも、とりわけ読者に寄り添った楽しいストーリーだと評価を集めた。

「メロンパンツ」は、メロンパンを見つけたカエルが、それを仲間に「パンツ」だと言い張り独り占めしようとする物語。「メロンパン」と「パンツ」という組み合わせに賛否あったものの、そのネガティブさを吹き飛ばすほどの痛快なストーリーはインパクト十分で、実際に子どもと読んで大笑いしたという声も上がった。

「すなっくズ~ケーキだいさくせん~」は、人気のないお菓子たちによる擬人化絵本。何とか自分たちを食べてもらおうと、妙なポージングで自己アピールするお菓子たちのシュールな姿が好評だった。子ども向けとは言い難い作品だが、クセになる独特の世界観には他作にない味わいがあった。


応募総数450作品 開催期間2018年01月01日〜末日

編集部より

子供たちを悪い夢から守る「バクのレスキュー隊」というキャラクターが斬新で、心を掴まれました。様々な子供の夢にテンポよく切り替わる点も、読者を飽きさせない工夫に富んでいると思います。迫力のある構図と相まって、終始ワクワクしながら読み進められました。一部、わかりにくいシーンについて内容をさらに精査すれば、より魅力的な作品になると思います。


編集部より

ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。早産で生まれてきた赤ちゃんからママへ向けてのメッセージがとても温かくてかわいらしい作品でした。産前産後の不安に包まれているママさんたちを応援してくれる言葉に、励まされる方も多いと思います。


編集部より

「おばけ」という子どもたちが大好きな対象を、怖いもの、という一般的なイメージとは逆の存在として描いていて、楽しく拝読できました。紙面の構成もかわいいところと怖いところが上手に描き分けられていて、とても完成度の高い作品だと思います。


編集部より

こぶたたちが食べられないようにするために頑張る姿が、楽しいアイデアで表現されている作品で、とても面白く拝読することができました。こぶたたちの痩せたり筋肉質になったりという見た目のビジュアルもわかりやすく、著者の画力の高さを感じました。


編集部より

迷子になった飼い犬を救うため美術館に侵入した男女4人の小学生が、そこに閉じ込められ、謎解きに挑んでいくという設定が非常に魅力的でした。文章の読みやすさやクイズ内容も、対象読者の年齢が意識されており、多くの児童が楽しめる作品になっていると思います。


編集部より

タイトル・コンセプトともにインパクト抜群の作品でした。「パンツ」だけに留まらず、途中で「仮面」にも変わる展開は、より一層作品を面白くしています。「食べ物」と「下着」の組み合わせについてはさまざまな捉え方がありますが、補って余りある魅力を感じました。


編集部より

擬人化されたお菓子たちが、自分達を食べてもらうために全力を尽くす、という設定が非常に面白く、魅力的でした。個性的なキャラクターに加え、文章や構図にも独特のセンスが光り、何度も読み返したくなる作品だと思います。

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