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2巻
2-1
しおりを挟む◇ ◇ ◇
俺、ヒデこと田中英信は、取引先に向かうため電車を待っているとき、線路に落ちそうな子供を助けて死んでしまった。
でも不思議と意識はあって――目を開けるとどストライクの美人がいたのである。
その美人さんはなんと地球の女神様らしい。どうやら俺に頼みがあるみたいで、詳しく聞いてみると、アルデンドという異世界の平均寿命を伸ばしてほしいとのことだった。
それから女神様に回復魔法のスキルとかもらってアルデンドに飛ばされた俺は、小さな女の子に会った。
この子がアルデンドの女神、エリル様。
まあ俺は、チョロイン女神様って呼んでいるけど。
ちなみに、エリル様には俺が見た姿とは別に営業用の姿があり、それは大変お美しいらしい。見たことないけどね。
そんなチョロイン女神様だけど、ちゃんと神様というだけあって、俺にスキルを二つもくれた。まあ、一つ目のスキルはパーティを組んだら俺がもらえる経験値は半分になって、パーティメンバーの経験値は2倍になるというはずれスキルだったんだけどさ。
けど、二つ目のスキル「診断」は、回復魔法との相性が抜群で、これのおかげでいろいろな人を治すことができた。
そうそう、初めて訪れた街の冒険者ギルドで身分登録を済ませようとしたとき、そこのギルマスに誘われてギルド内で診療所を開くことになったんだ。すぐ急患が来たり、ゴブリンの群れに襲われた村の救護に向かったりとてんやわんやだったよ。
でもそのおかげで、孤児で冒険者のゲン、トラン、ハルナ、そして我が弟子になったエルフのミラと知り合えた。
気がかりと言えば、この前若様って呼ばれている、ずいぶん身分の高そうな人が診療所に来たんだよね。スムスって名乗っていたけど、それが本当の名前なのかも怪しくて……面倒なことにならないといいけど。
あと、ゲンたちの孤児院にお邪魔して、院長先生やアン先生の病気を治したんだ。院長先生、あのまま病気が進行していたら、孤児院の子たち全員が悲しむことになっていたと思うから、治せて本当に良かった。
やれやれ、ともかくいろいろあって疲れたよ……
1 装備
日が昇るのと同時に目が覚めた。
俺の周りにはたくさんの子供たちが眠っている。昨日は結局、孤児院の子供部屋に毛布だの布団だのいろいろ持ってきて、みんな一緒に寝たんだった。
「子供って体温高いな~、ちょっと熱くなってきた」
子供たちを起こさないように引き剝がしつつ立ち上がり、靴を履いて孤児院から出る。それから庭に出て、畑の前にやってきた。
作物がしなびていて、とても良い環境とは言えない感じだ。
スキル「診断」を発動する。
『なんでしょうか、マスター』
《この畑、こないだの祝福までいかなくても、なんとか元気にできないかな?》
『できますよ、10年くらいなら』
《……言っといてなんだけどできるんだ。やってくれる?》
『マスターの仰せのままに』
そういえば、診断スキルと会話できるようになったんだよね。
ちなみにこないだの祝福というのは、酔った俺が周囲にヒールをかけまくったら、その場所が豊穣の土地になってしまったという出来事。それをここでもできないかな、と思ったわけだ。
畑に向かって手をかざすと、畑がキラキラと輝きだす。しばらくその光景を眺めていたら、光はゆっくりと収まっていった。
『終了です』
《ご苦労様》
いつの間にか、ミラとハルナが隣に来ていた。二人が不思議そうな顔で話しかけてくる。
「ヒデ兄師匠、今のキラキラしたのなに?」
「あのときの光みたい」
診断スキルを閉じて、俺は二人に顔を向ける。
「おはよう、ミラ、ハルナ」
「おはようございます、ヒデ兄師匠」
「ヒデ兄、おはよー」
続いて、ゲンとトランもやってきた。俺はみんなに、俺が何をしたのかを説明してやる。
「この畑を少しだけ元気にする魔法をかけたんだよ」
ミラが不安そうな表情を見せる。
「病気だったの?」
「いや、これから頑張ってもらうからね~」
心配するなという気持ちを込めて、ミラの頭を撫でてあげる。
「良かった~」
ミラの表情が和らいだ。安心したみたいだな。
「ふ~ん。あ、忘れてた。ごはんできたって言いに来たんだった」
そう言うトランは、畑のことなど興味なさげな様子だ。
「わかった、帰ろう」
俺たちは畑をあとにし、孤児院へ戻るのだった。
朝ごはんは、スープにパスタみたいなのが入っている料理。なかなか美味しかった~。
今日は、ゲンたちと一緒にギルドに向かうことにした。
出発しようとする俺たちを、院のみんながお見送りしてくれる。
子供たちにまとわりつかれていると、院長先生が少し申し訳なさそうな顔をして「お願いがあるのですが……」と話しかけてきた。
「ヒデさんからいただいた小麦粉を、他の方にも分けてあげても良いでしょうか?」
「ん、はい、もちろん」
許可してあげると、院長先生が笑顔を見せる。
「ありがとうございます。この辺りには、片親になってしまったり、働けなくなってしまったりした人がたくさんいまして、助け合っていかないと生きていけないものですから」
なるほどな。困っている人を助けるのは俺としても大賛成だ。それにしても、働けなくなってしまった人というのが気になるな……
それから院長先生にお礼を言われ、送り出される。
「気をつけていってらっしゃい」
「はい、いってきます。じゃ、また来るよ。みんなさようなら」
「「「「「「さようなら、また来てね、ヒデ兄ちゃま」」」」」」
この前、俺が自分のことを「ヒデ兄ちゃま」と言い間違えてしまったせいで、子供たちの間で「兄ちゃま」呼びが定着してしまった。
◇ ◇ ◇
見えなくなるまで手を振り続けてくれた子供たち。そんな彼らとの別れを惜しみつつ、院長先生の言っていたことについてゲンに尋ねてみる。
「ここら辺に、働けない人って多いの?」
「冒険者崩れとか多いかも。あと、旦那さんを亡くした奥さんとか子供とかが、ここいらに来たっていう場合もあるよ」
なるほど、近くにスラム街みたいなものがあるのかな。
男なら怪我が治れば冒険者に復帰できるだろうけど、独り身の女性の場合は働く場所に苦労しそうだな。この世界、男女格差が酷いってわけじゃないけど、なんとなくそんな気がする。
「ふむ~、問題はシングルマザーのほうか」
「シン? ヒデ兄、何それ?」
「まあまあ、ゲンには関係ない話だ。働く場所か~」
ゲンに説明するのはややこしそうなのでごまかしておくとして、何か考えとかないとな~。
思考を巡らせているといつの間にかギルドに到着した。入り口の前には、青い顔色をした冒険者たちがゾンビのように倒れている。
「ヒデ、遅い、ウプ」
「頼む、早く」
「うう、死ぬ~」
「ZZZ……」
はい、いつもどおりの光景です。
「なんか日に日に、二日酔いの人たち増えてない? はい、集まって。プットアウト(広範囲)」
状態回復の魔法「プットアウト」をかけると、ゾンビの集団が光に包まれていった。
「あ~、生き返る」
「これこれ」
「も~これがないと生きていけない」
「ZZZ……」
ゾロゾロと帰っていく冒険者たちに、念のため言っておく。
「はい、いつものように魔法球にカードを当ててってね~」
ちゃんと聞こえたかな。魔法球というのは、診断料を徴収してくれる水晶で、カードを当てるだけでお金の支払いが済んでしまうという優れ物なのだ。
それはさておき、ゲンたちに今後の予定を聞いてみると――
「装備を整えようと思ってさ」
「鍛冶屋横丁の武具屋に行こうかなって」
「今度のランクアップ試験までには、そろえたいしね」
順番に答えてくれるゲン、トラン、ハルナ。いつものように仕事がないか聞いてみたら、今日は休みとのこと。
この展開って、ファンタジーの定番、「チュートリアル・武具を装備してみよう」じゃないか。これは付いていくしかない!
「俺も行く!」
「診療所は平気なの?」
ゲンが心配そうな顔を向けてくる。
「大丈夫だよ。行き先を言っておくから」
ギルドに併設されている酒場のママさんに伝言を残しておけば、急患が出ても連絡が来るだろう。ちなみに、ママさんって言ってもモヒカンの大男なんだけどね。
「じゃ、ギルドの前で待ってて」
ゲンたちを置いて酒場に行くと、カウンターに疲れた顔をしたママさんがいたので、鍛冶屋横丁に行くと伝える。
「徹夜明けの疲れた顔をヒデちゃんに見られて恥ずかしっ」
そう言ってママさんは、ゴツい両手で顔を隠した。
「いつもと大して変わりませんよ」
そう励ましてあげて、俺は酒場をあとにする。
「お待たせ、行こうか」
ウキウキな感じでゲンたちと合流すると、ゲンが冷静に尋ねてくる。
「鍛冶屋横丁で、ヒデ兄は何買うの?」
「ん、決めてはないけど、剣とか欲しいよね」
そう答えると、なぜかゲンは吹き出しそうになっていた。
「ヒデ兄、使えないじゃん」
「そうだけど欲しいの! もうヒノキの棒と並んで5ゴールドくらいで売られているナイフじゃ嫌なの!」
なんでゲンは俺は剣が使えないって思ってんだよ。
「ヒノキの棒とか5ゴールドとか、たまにヒデ兄、訳わかんないこと言うよね」
おっと、ついつい熱くなってゲンを困らせてしまった。
話を戻さなければ。
「まあまあ。ところでゲンたちは何を買うんだよ」
「俺はロングソードかな。両手剣として使おうと思ってる」
トラン、ハルナが続く。
「僕は短剣。持ちやすかったら、二刀流でいくのも良いかな」
「私は遠距離武器。弓とかかな~。でも、矢が高くつきそうなんだけど」
おお、三人ともカッチョイイ。ミラは冒険者の活動をしないから武器は買わないみたいだ。
よ~し、俺の希望は……
「そうだな。俺もやっぱり両手剣で一気にダメージを稼ぎたいかな」
「ヒデ兄みたいのが、両手剣売ってもらえるわけないじゃん。危なっかしいもん」
「まあまあ、店に着けばわかるって」
「そうそう、おやっさんが売ってくれるわけないよ」
ゲン、トラン、ハルナが何か言いたげな視線を俺に向けているが、そんな子供たちをスルーして、俺は先頭を行く。
「お~い、早く行こうぜ、置いてっちゃうぞ」
「ヒデ兄、テンションおかしくない?」
「なんかね。ニコニコしてるのはいつものことなんだけど、なんか変だよね」
変ってなんだよ!
◇ ◇ ◇
鍛冶屋横丁に着いた。
武器屋や防具屋があるだけでなく、至るところで開かれている露店では、調理器具や釘みたいな小物まで並べられていた。
独特の雰囲気に圧倒されながら、俺はつぶやく。
「なんかすごい活気があるところだね」
「この街のほとんどの鍛冶屋が、ここに集まってるからね」
ゲンはこの辺りに詳しいっぽいな。
「ほほ~、買う店とか決まってるのか?」
「うん、こっちの道を一つ奥に入って、あそこだよ」
ゲンたちに案内されて裏路地に入ると、古ぼけた建物があった。おお、なんか隠れた名店っぽい。
中に入ると、店内にはところ狭しと品物が置かれている。俺は興奮しながら店の中を歩き回った。
「おお、フル装備の甲冑が飾られてる。盾でけ~~」
「ちょ、ヒデ兄、ウロウロしたら危ないから」
「え、見ろよこれ。デカいよ。誰が使うのこんな剣?」
注意してくるゲンをスルーして、そんなふうにはしゃいでいると……
「店の中でウロチョロするんじゃねー!」
ドスの利いた声が響いてきた。
店の奥からいかついおっさんが現れると、ゲンが俺にそっと耳打ちしてくる。
「ほら、怒られた。ここのおやっさん怖いんだから」
「お前、そういうことは早く言えよ」
「ヒデ兄、全然話聞いてくれなかったじゃん」
「う、ゴメン」
おやっさんが俺をちらりと見る。それから、ゲンたちに視線を移した。
「ん、なんだ。エミリアのところのガキどもか」
エミリアというのは孤児院の院長さんだったっけな。
ゲンがおやっさんに挨拶する。
「おはよう、おやっさん。今日は装備を買いに来たんだ」
「なんだ、金貯まったのか?」
えへんと胸を張るゲン。
「うん、もちろん。次のランクアップ試験までにはそろえたいんだ」
「どれどれ、ガキ1はこのロングソードだよな」
おやっさんが、子供が持つにはやや大ぶりな剣を取り出す。
「名前覚えてよ、ゲンだよ。剣は合ってるけど」
「めんどくせぇ」
おやっさんはフンと鼻を鳴らすと、今度はトランのほうに視線を向けた。
「ガキ2はどうすんだ? 二刀流でいくのか?」
「う~ん、一つはこないだの短剣で良いんだけどな~」
トランが腕を組んで考え込んでいると、おやっさんが一本の剣を取り出して見せる。
「これなんかどうだ? 昨日弟子が打った新作だ」
「おお、いいね。この手のガード付いてるとことか」
トランはさっそく飛びついて、その剣に触れる。
「叩きが少し甘いが、まあ良い出来だ」
嬉しそうなトランを見て、おやっさんも満足げだ。続いて、ハルナのほうに目を向ける。
「ガキ3は弓か?」
「うん、それで考えてるけど、良いのある?」
「ちょっとこれ引いてみろ」
おやっさんがハルナに弓と矢を手渡す。ハルナはそれを引いて――目を丸くした。
「え、軽い。何これ?」
「こことここに魔道具を使ってるからな」
おやっさんが指差しながら説明すると、ハルナはうなずきながら聞いていたものの、突然、眉間にしわを寄せた。
「もしかして、高くなっちゃう?」
おやっさんは首を横に振る。どうやら普通の武器と変わらない値段でいいらしい。ハルナはぴょんぴょん跳ねて喜んだ。
「やった。じゃ、これにする。あと、護身用のナイフも」
「毎度。代金は前回言った金額で良いぞ」
「「「ありがとうございます」」」
「おう、毎度」
お~、トントン拍子で武器をそろえちゃったぞ。新しい武器を手に入れたゲンたちは、ずっとニコニコとしている。
おやっさんは、ニヤリと笑ってそのまま奥に引っ込もうとした。
「あれ! おやっさん、俺には? 俺へのお勧めは?」
ちょっと、俺、忘れられてる!
「ああ? お前さんが持つのか? 武器を?」
おやっさんがジロリと俺を睨んでくる。俺、何かおかしいこと言ったかな?
「うん、なんかカッコいいやつを……」
「う~む……」
……ジロジロ見てくるし、めっちゃ悩んでるぞ。
「あ、良いのがあったわ。ちょっと待ってな」
ずいぶん長いこと考え込んでいたが、ようやく何か思いついてくれたらしい。おやっさんはそのまま奥に行ってしまった。
俺はワクワクしながら、おやっさんが戻ってくるのを待つ。
「なんだろな? やっぱり手堅く片手剣かな? 俺としては両手剣が良いんだけどな。でも、おやっさんの見立てだしな~」
ゲン、トラン、ハルナ、ミラが不審げな視線を向けてくる。
「ヒデ兄、あんまり期待しないほうが……」
「やっぱり、なんか変だよね?」
「うん、ちょっとね」
「ちょっとかな?」
こそこそ何か言っているけど、気にしない。
しばらくするとおやっさんが戻ってきた。
「おう、待たせたな。ほらよ」
おやっさんが持ってきた武器を受け取り、しみじみと確認する。これはまさしく日本に馴染み深いアレではないか!
ゲンがおやっさんにひそひそと話しかける。俺には聞こえない声で。
「……これ、剣には変わりないけど、頭に木が付くよね?」
「木剣って言うらしいぞ」
「何この形? 鍔って言うんだっけ? ガード付いてないの?」
「ああ、この形が完成形だ。前に商売を辞めて田舎に帰る奴から、格安でまとめて買った中に入ってたんだ」
ゲンが、俺に意味ありげな視線を向けて言う。
「へ~、なんかカッコイイね、ヒデ兄」
「うん、良いだろ。たしかに異世界で日本刀はお決まりだ。おやっさん、これをくれ」
おやっさんがニヤリと笑う。
「おお、良いぞ。タダでくれてやる」
「え、良いの? なんか悪いな~。あざっす。大事にするっす」
「おお、大事にしてくれ。他の武器は触るんじゃねえぞ」
「はい。そうだ、名前付けちゃおっかな~」
カッコイイ武器を手に入れてウキウキ気分の俺。なんだか俺を見るゲンたちの視線が痛いが、気にしない。
はしゃぐ俺をよそに、四人集まってまたしても俺に聞こえないように小声で会話をはじめる。
「なんか、ヒデ兄が怖いんだけど」
「テンション高すぎて、付いていけないよ」
「おやっさんがあれ持ってきたの、ヒデ兄に刃物持たせないためだよね?」
「全然気づいてないみたいだけど」
四人の視線が俺に集まっていたけど、俺は手にした武器に見とれていた。
「あ、ところでお前ら、防具は?」
ふと我に返って四人に尋ねると、みんな首を横に振る。
「今は武器だけ。防具まで手が回らないよ」
代表して答えてくれたのはゲン。
なるほど。でもそれだと、いくら武器の性能が良くても危険じゃないか? 何か良い防具ってないのかな。
「おやっさん、防具で一番のおすすめって何?」
「う~ん。そこのガキどもになら腕当てだな。使い勝手も良いぞ」
ぶっきらぼうにおやっさんは答える。
「じゃそれを、ミラは除くとして、三人分お願いします」
「ヒデ兄、いいの?」
ゲンが目を丸くする。
「まあ、俺からのお祝いだよ。武器を手に入れたお祝い」
俺の言葉に、おやっさんが感心したような表情を浮かべた。
「ほお~。よし、俺がちょうど良いのを打ってやるっ! ……と言いたいところだが、手が言うこと聞いてくれないんだよな」
ため息をつくおやっさん。
「ん、手がどうかしたんですか?」
「手首のとこがな、最近じゃ何もしなくても痛くなりやがる」
そう言うとおやっさんは、辛そうに手首を擦った。
「ちょっと診させてもらっていいですか?」
俺がそう口にすると、おやっさんは怪訝そうな表情を浮かべる。そんなおやっさんにトランが言う。
「おやっさん、診てもらえば? ヒデ兄ならすぐ治してくれるよ」
「どういうことだ?」
ますます疑わしげな顔をするおやっさん。そういえば、俺の仕事のこととかちゃんと話してなかったな。
俺は、自己紹介をすることにした。
「あ、俺は冒険者ギルドで診療所をやっているヒデと言います」
診療所と聞いて、おやっさんは目を見開いた。とはいえ、まだ信用してくれているわけじゃないらしい。どこか値踏みするような視線を向けてくる。
「診療所ねえ。もし治ったら、タダでさっきの腕当て作ってやるよ」
「え、そんな約束して大丈夫ですか?」
「ああ、この手が治ればまた仕事ができるしな。治ればな」
念を押すように言うおやっさん。
これは得ができそうだぞ。
俺は悪い笑みを浮かべて、おやっさんを診断することにした。
「フフ、じゃ、診ますね。診断」
応援ありがとうございます!
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