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閑話 そして、彼の今……後編
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「なんですか? それは?
牛の乳ではない様ですが……」
パウロがジョッキを受け取ると、それを見ていたエンリケッタが不思議そうな顔でジョッキの中を覗き込んできた。
「酒だ。
こんな辺鄙な村じゃ、滅多にお目には掛かれない品だな……」
「これが“お酒”……ですか……
私、実は“お酒”って飲んだ事ないんですよ……
以前から、行商の方が少量だけ扱っているのは知っていたのですが、如何せん高額でしたからね……」
その話を聞くと、パウロは透かさず先ほどの従業員へと同じものを頼んだ。
……ダリオは未だに復活出来てはいないらしい。
程なくして、男性従業員が持ってきたジョッキをパウロはエンリケッタへと勧めた。
「えっ!? そんな、悪いですよっ! 戴く理由もありませんしっ!」
「なら、十数年ぶりの再会祝い……と言う事で受け取ってもらえないか?
実はさっき、ダリオにも勧めてな……」
慌てて断ろうとするエンリケッタに、適当な理由を付けて酒の入ったジョッキを押し付けた。
実を言えば、先ほどダリオに酒を勧めた事に、特別な意味などまるでなかった。
しかし、それでエンリケッタが遠慮する事無く受け取る事が出来ると言うのなら、ダリオを出しにしても構う事はないだろう。
(騙す事も、また善行……とも言うしな……)
「そう……ですか?
なんだか、申し訳なくって……
あっ、やっぱり私代金を……っ!」
そう言って懐から財布を出そうとしたエンリケッタを、パウロはそっと手で制した。
そして、無言のままジョッキを差し出し、隣に座るように視線で伝えた。
「……わかりました。戴きますよぉ。
……ありがと、ローさん」
「ああ……」
エンリケッタはジョッキを受け取ると、静かにパウロの隣へと腰を落とした。
「その……いただきます……」
エンリケッタはそう言うと、ジョッキを両手で包み込む様にして持ち上げた。
そして、ジョッキの端に口を付けると先ほどのパウロたちとは違って、チビチビと舐める様に飲み始めた。
「なんたが……不思議な味……ですね……それに、舌がビリビリします。
苦い様な……でも、少し甘いような……
これは……果実の甘さ……でしょうか?」
唇をペロリと舐めて、エンリケッタは誰に聞くともなしに呟いた。
確かに、エンリケッタの言うように、この酒は少し甘かった。
それは、今までパウロが飲んだどんな酒とも少し違っていた。
「っ痛ぅ~……
そいつは、ハノイン領で造られてる“果実酒”ってやつらしいぜ……
“じょーぞー過程で果実を使ってじゅくせーが……”なんとかって、小旦那がそいつを持ってきた時に、そんな事言ってたな……確か。
意味はさっぱりだったけどよ……」
何時の間に回復していたのか、カウンターに肘を突いて両目を揉んでいたダリオが説明になっていない説明をしてくれた。
「ハノイン領と言えば、確か酒造りで有名な場所だったはずだな……
しかし、ラッセ村からじゃかなり離れているぞ?
少なくても3つは他の領地を挟んでいたはずだが……
そんな物をよくここまで持ってきたものだな……いや、それ以前に、それだけの長距離を運んで来てこの値段は安すぎやしないか?」
昔まだ若い頃、この国のあちこちをフラフラしていた時に見た、この国の地図を必死になって思い出す。
もうすっかり忘れかかっている所為で、ほぼ白紙に近くなってしまっているがギリギリこの村の周辺の事だけはうっすらと覚えていた。
その朧な記憶を当てにするなら、ハノイン領はスレーベン領から北西に位置する領土の1つだった。
行商が常に馬車で移動するにしても、おいそれと行ける距離ではない。
それだけの距離を運んできたものが、町の酒場で出されている近場の領地で作られた酒の価格と大差ないと言う事に驚いた。
本来なら、運搬の手間や知名度を考えたら倍近い値が付いてもおかしくはないはずなのだ。
「あー、なんでも小旦那が隊商の頭と親しいらしくて、おかげで、こうして格安で譲ってもらっているらしいっすよ。ホント小旦那様様っすよね」
ニコニコと語るダリオを尻目に、ここでもまたロディフィスの名が出てきた事に、パウロは若干の眩暈を覚えていた。
“あの子どもは、一体この村で何をしているのか?”と……
「まぁ、あの子なら今更何をしても、私はもう驚きませんけどね……いいかげん慣れましたし……」
そんなパウロの心境を知ってか知らずか、エンリケッタはジョッキをチビチビ啜りながらダリオのあとにそう続けた。
「あっ、そう言えば話は変わりますけど、パウロさんまだ居住報告に来てないですよね?
神父様が“まだ来ていない人たちがいて困る”ってぼやいてましたよ?
受付は教会で随時行っているので、どうか早めに来て下さいね。
なんでしたら、今ここで託っても構いませんが?」
居住報告とは、単純に言ってしまえば転入届のようなものだった。
今回の一件で村に住む人間が急激に増加した為、村の人口を把握する事を目的に移住組に“村に住む意思のある者は報告をする”ように指示が出されていた。
その窓口が教会であり、便宜上の責任者が神父のヨシュアだった。
報告を取りまとめて、転居してきた住民の一覧を作っているのもまた彼だった。
それに合わせて、元々住んでいた住民の人口調査も一緒に行われており、これによってかなり正確な年齢、性別、世帯、分けのされた住民表を作る事が出来ていた。
勿論、提案したのはロディフィスであり、“言い出し屁の法則”から彼もまたヨシュアの業務の一部を手伝っていた。
ちなみに、居住報告だが届出をしなくてもこれと言った罰則はない。
あくまで人口調査の“善意の協力”でしかないのだ。ただし、届出をした者にはそれなりの優遇措置は取られていた。
それが、“今日から暮らせるロディフィスのお手軽生活2点セット”だった。
内容は、石のランプとレンガのコンロで、ご丁寧にも取り扱い説明書付での進呈だった。
ただし、配布されるのは一世帯に1セット限りである。
「えっ!? 兄貴まだいってなかったんすか?
おれはもう行ったっすよ?」
「あ、ああ……」
エンリケッタの問いかけに、パウロは歯切れ悪く答えた。
そして、まるで誤魔化す様に手にしたジョッキを呷ったのだった。
そんな自分の姿を見て、エンリケッタの眉根が少し寄ったのが分かった。
止せばいいのに、ダリオが“皺になるぞ?”なんて茶化すものだから、また殴られていた。
(これは何か勘付かれたな……)
エンリケッタは昔から聡い子だった。
特に人の機微を察する事に長けていた。
その所為か誤魔化す事や、嘘を吐くのがどうにも下手だったパウロはよく看破されていたものだ。
「パウロさん……
もしかして、また村を出て行く気なんですか?」
思った通りだった……
パウロは手にした空のジョッキをカウンターへと戻した。
「えっ!? ちょっ……出て行くってなんでっすか!?
どう考えたって、外より村の生活の方がいいじゃないっすか!?」
「うるさいぞダリオ、他の客の迷惑になるだろ……」
「あっ……すんません……」
何をそんなに興奮しているのか、声を荒げるダリオをパウロは窘めた。
正直、元々喧騒の中にある場所だ。その程度の声量を気にする者がいるとも思わなかったが、それ以上の追求を躱すには、そう言っておくのが都合が良かったのだ。
「……別に、出て行くと決めている訳じゃない。
ただ、まだ決めかねているだけだ」
「迷ってるってのが、そもそも信じられないっすよ……
もしかして兄貴ってば、外で結構いい暮らしをしてたクチっすか?」
いい暮らしをしていたなら、わざわざ日銭欲しさに村に戻ってくる訳がないだろう……と指摘してやろうかと思ったが、余計に話が拗れそうな気がしたので黙っておく事にした。
確かに、一時は生活が楽になった時もあったが、それも長く続いた訳ではない。
最終的には、結局日雇いでその日暮らしの生活を送っていたのだ。
他の者がどういった暮らしをしていたかは知らないが、アレがダリオが言う“いい暮らし”とはとても言えないだろう。
しかし……
「まぁ……な……」
パウロはそう答えてこの場を濁そうとした。が、視界の端でまたしてもエンリケッタの眉がピクリと動くのが映った。
(はぁ、本当に厄介な子だ……)
「嘘ですね……それほど生活に余裕があるなら、わざわざ戻ってくる必要はないですし、以前お話した時に“日銭欲しさに戻ってきた”と仰っていましたから……
……その、まだ、気にしているんですか?
パウロさんが、村を出て行った日の事……」
「兄貴が村を出て行った日って言うと……ああっ!!
兄貴が突然いくなくなったって、村中が大騒ぎになったあの日かっ!」
「…… ……」
「バカっ! 少しは気使いなさいって!」
「あっ……その……すんま……」
慌てて頭を下げるダリオを、パウロは手で軽く遮った。
「いや、気にするな。
本当の事だからな……
あの時は随分と迷惑をかけたらしいな……親父からの手紙にそんな事が書かれていたよ。
今更かもしれないが、その……すまなかったな」
パウロは、今更だとは自覚しつつ、二人に頭を下げた。
「いえ。もう村の誰もあの日の事を気にしている人はいませんよ。
パウロさん、しばらくしたら、村に手紙を送ってくれたじゃないですか。
そこに“ごめんなさい”って書いてあったの、私覚えていますよ」
「っ……」
昔の恥部を曝され上、エンリケッタに優しく微笑まれて所為で急に恥かしくなってきたパウロは、ふいっと視線を逸らして明後日の方へと顔を向けた。
「あの手紙、村長は大事にしていた様ですから、たぶん今でも残っているじゃないでしょうか?」
「……帰ったら見つけ出して処分しておく」
「ダメですよ? 大切にしていたみたいでいすからね」
「そう言えば……兄貴が北の森に入って行ったんじゃないかって、捜索隊をどーこーするって話になったんだっけ?
でも結局、西に向かって村を出て行った、って言う証言が出てきてなくなったって言う……」
「……本当にすまなかった」
「だから、蒸し返すような事言うんじゃないのっ!」
そして、一瞬の沈黙。
三人の視線が交差する中、誰からともなく笑いが上がった。
思い出されるのは朧な記憶だった。
もう、十数年も前の事なのだから仕方ないと言えば仕方ない事だ。
パウロが覚えている事といえば、その日、パウロが村を飛び出す前日に父親と激しい口論をした事くらいなものだった。
口論の切っ掛けなど、覚えていない。
きっと、今にして思えば瑣末なことなのだろう。
パウロはこの村の事が嫌いだった。
何もない村だ、好きになれるところがない。
それに、何時も2人の兄と比べられていたのも、居心地の悪さを助長していた。
一番上の兄バルディオは、腕っ節の強さなら村で一番だった。
自警団では若手でありながら、バルディオに敵う者はいなかった。
二番目の兄テオドアは、村で一番の秀才だった。
頭が良く、教会にあった難しい本を多く読んでいた。
何か困った事があると、テオドアに相談する者が多かった。
しかし、パウロは……
特にこれと言って突出した才を持ってはいなかった。
剣は努力はしたが結局は人並み、頭はお世辞で悪くないと言った程度だ。
周りからは、何時だって“兄たちの様になれ”と言われ続けた……父や母からもだ。
正直、煩わしい以外の何ものでもなかった。
当時のパウロは、今のような、寡黙で落ち着きのある性格とはまるで正反対の性格をしていた。
いつも機嫌が悪く、誰彼構わずケンカを吹っかけるような少年だった。
それはまるで、手負いの獣か何かのように……
しかし、そんな彼の中にも独自のルールはあるらしく、自分より年下の者、自分より弱い者には決して手を上げることはしなかった。
だからなのか、パウロには同年代、年上の知り合いよりも年下の知り合いの方が多い。
ダリオやエンリケッタがいい例だ。
そんな中、周囲からの期待、それに答えられない自分……そんな重圧やジレンマが、少年だったパウロを追い詰めていった。
この村での生活は、パウロには重荷でしなかったのだ。
だから、少年は早くこの村を出て行きたくて仕方がなかった。
……いや、正しくは逃げ出したかったのだ。
この村から出て行きさえすれば、自分は苦しまずにすむ……そう思っていた。
そして、あの日、パウロは父と対立し、村を飛び出す決心をした。
そんな身勝手な思いで、村を飛び出した自分が、一体どんな面を下げて今更村に戻れると言うのか……
気づけば、パウロは長年胸のうちに支えていた思いの丈を、ポツリポツリと語っていた。
酒の力も、多少は助けになっていたのかもしれない。
「あっ、あにぎぃ~……」
(どうしてお前が泣いている……)
目の前で、穴という穴から何やら垂れ流しているダリオからパウロは少しだけ身を離した。
「……ローさん自身は、どうしたいんですか?
村に残りたいのですか? 出て行きたいのですか?」
「俺は……」
よく分からない……と言うのが正直なところだった。
自分は村に戻ったとして何がしたいのだろうか、何が出来るのだろうか……
今はまだいい。
大工仕事なら多少の自信はある。
でも、それが終わったそのあとは?
村を出たとして、何処に行きたいのだろうか……
また以前のように、日雇いの仕事を探しながら国中をウロウロするのか?
分からない……
「分かりました。
では、こうしましょう」
思考が長考し、うんともすんとも言わなくなったパウロに業を煮やしたのか、エンリケッタが少し大きな声で仕切りなおした。
「もう、ローさんは好きなだけ悩んでいて下さい」
身も蓋もないいいようだった。
「その代わり、“村の中で”です。
それで、ローさんが“本当はどうしたいのか”、それが分かったら教えて下さい。
残るにしろ、出て行くにしろ……必ずですよ?
それまでは、私が神父様にはうまく言っておきますよ」
「エンリ……」
「さぁ、この話はここまでとしましょう。
ダリオ、これと同じものをもう一杯頂けるかしら?」
「いいけどよぉ、エンリお前金はあんのかよ? 意外にお高いぜそいつ」
「大丈夫よ。
だって、あんたの奢りなんだから」
「はぁ!? なんでおれがお前に奢ってやらなきゃなんないんだよっ!」
「さっきから、散々人に失礼な事を言ってきた罰よ」
「お前なぁ~っ!」
結局、2人のあーだこーだと言う不毛な言い争いは、大衆浴場が閉まるギリギリまで続いた。
その光景を、パウロはただ静かに眺めているだけだった。
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翌日……
コンコン……
「神父様、エンリケッタです。
少しよろしいでしょうか?」
「どうぞ、シスター・エリー」
ヨシュアからの許可も出たので、エンリケッタは扉を開けて中に入った。
「おはようございます。神父様」
「はい。おはようございます。
用件は何でしょうかシスター・エリー」
翌朝、朝一で教会へとやってきたエンリケッタはその足でヨシュアのいる書庫へと向かった。
案の定、ヨシュアはいつもと同じように部屋に一つの机に着いて、事務仕事をこなしていた。
「先日仰っていた、ローさ……パウロさんの件ですが、昨日ダリオのところで偶然お会いして聞いておきましたよ」
「そうですか。助かります。
あの子は、ものぐさなところがありますからね……で、どうすると言っていましたか?」
「村に残るそうですよ」
エンリケッタは昨夜のやり取りなど知らないとばかりに、顔色一つ変える事無くそういい切った。
(嘘もまた、時に善行たりえるもの……と言いますしね……)
「そうですか……
あの子はあれで頑固なところがありますからね……
もしや、また出て行く、と言い出さないか少し冷や冷やしていたのですが……杞憂で済んでよかった。
では、そのように処理しておきます」
「お手数ですが、よろしくお願いします」
「いえ、シスター・エリーもありがとうございました」
エンリケッタは一礼すると、ヨシュアの書庫を後にしたのだった。
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パウロは作業の手を止めて、ふと先日のエンリケッタの言葉を思い出していた。
“自分が本当はどうしたいのか”
その問いかけの答えは出ていない。
ただ……
今にして思えば、村を飛び出した本当の理由はなんとなく分かっていた。
……怖かった、のだと思う。
誰からも必要とされなくなるのが……
不要な人間だと言われるのが怖くて、そう言われる前に逃げ出したのだ。
正直、2人の兄たちが羨ましかったのだと思う。
その当て付けに、粗暴な態度を取っていた……
思い出しただけで、赤面しそうになるくらい稚拙な理由だった。
大工と言う仕事は、自分にはあっていると思った。
自分の手で、何かが出来上がっていくのはやはり楽しい。やり甲斐のある仕事だ。
それに、少なからず仕事に対する自信もあった。
今なら……
誰かに必要とされる人間であれるだろうか……?
あの頃の兄たちのように……
「あっ! やっと見つけたっすよ棟梁」
声は、下から聞こえてきた。
首を巡らせれば、いつの間にか足元にロディフィスがいた。
パウロは今、高所作業でできかけの屋根の上にいたのだ。
「何か用事か?」
時刻は、昼と呼ぶには遅く、夕方と呼ぶにはまだ早いそんな中途半端な頃だった。
特に約束をした覚えは無い。
となると、何か自分に用事だろうか?
パウロは屋根上での作業を中断して、下へと降りた。
「用事って言うか、依頼って言うか……
とにかく、棟梁ぐらいにしか頼めそうな人がいなくてですね……
だから、ちょっと力を貸して欲しいんすよ。
実は……」
話を聞くに、どうやら自分の父親が無理難題を言っているらしい。
ロディフィスは話もそこそこに、パウロの手を取ると“とにかく、来てくださいっすよ。棟梁がいないと先進まないんすから”と、人の言葉も聞かずにグイグイと引っ張っていった。
屋根の作業が完全に途中だったのだが……
パウロは諦めて、ロディフィスについて行く事にした。
(取り敢えず、この小さいのには必要とされてはいるらしい……)
パウロは自分を引っ張るロディフィスの背中を見ながら、自嘲気味に心の中で呟いた。
“自分が本当はどうしたいのか”
その問いに答える解はまだない。
ただ……
今はまだ……この小さな旦那について行ってもいいのではないかと、パウロは思った。
どのみち予定の無い旅なら、寄り道だっていいだろう。
この小さいのが向かう先に、どんな光景が待っているのか……
パウロには、それが少しだけ楽しみだった。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
と、いうわけで棟梁の話はこれでおしま・・・ではありません。
次はおまけを一話挟んで、次の話になります。
牛の乳ではない様ですが……」
パウロがジョッキを受け取ると、それを見ていたエンリケッタが不思議そうな顔でジョッキの中を覗き込んできた。
「酒だ。
こんな辺鄙な村じゃ、滅多にお目には掛かれない品だな……」
「これが“お酒”……ですか……
私、実は“お酒”って飲んだ事ないんですよ……
以前から、行商の方が少量だけ扱っているのは知っていたのですが、如何せん高額でしたからね……」
その話を聞くと、パウロは透かさず先ほどの従業員へと同じものを頼んだ。
……ダリオは未だに復活出来てはいないらしい。
程なくして、男性従業員が持ってきたジョッキをパウロはエンリケッタへと勧めた。
「えっ!? そんな、悪いですよっ! 戴く理由もありませんしっ!」
「なら、十数年ぶりの再会祝い……と言う事で受け取ってもらえないか?
実はさっき、ダリオにも勧めてな……」
慌てて断ろうとするエンリケッタに、適当な理由を付けて酒の入ったジョッキを押し付けた。
実を言えば、先ほどダリオに酒を勧めた事に、特別な意味などまるでなかった。
しかし、それでエンリケッタが遠慮する事無く受け取る事が出来ると言うのなら、ダリオを出しにしても構う事はないだろう。
(騙す事も、また善行……とも言うしな……)
「そう……ですか?
なんだか、申し訳なくって……
あっ、やっぱり私代金を……っ!」
そう言って懐から財布を出そうとしたエンリケッタを、パウロはそっと手で制した。
そして、無言のままジョッキを差し出し、隣に座るように視線で伝えた。
「……わかりました。戴きますよぉ。
……ありがと、ローさん」
「ああ……」
エンリケッタはジョッキを受け取ると、静かにパウロの隣へと腰を落とした。
「その……いただきます……」
エンリケッタはそう言うと、ジョッキを両手で包み込む様にして持ち上げた。
そして、ジョッキの端に口を付けると先ほどのパウロたちとは違って、チビチビと舐める様に飲み始めた。
「なんたが……不思議な味……ですね……それに、舌がビリビリします。
苦い様な……でも、少し甘いような……
これは……果実の甘さ……でしょうか?」
唇をペロリと舐めて、エンリケッタは誰に聞くともなしに呟いた。
確かに、エンリケッタの言うように、この酒は少し甘かった。
それは、今までパウロが飲んだどんな酒とも少し違っていた。
「っ痛ぅ~……
そいつは、ハノイン領で造られてる“果実酒”ってやつらしいぜ……
“じょーぞー過程で果実を使ってじゅくせーが……”なんとかって、小旦那がそいつを持ってきた時に、そんな事言ってたな……確か。
意味はさっぱりだったけどよ……」
何時の間に回復していたのか、カウンターに肘を突いて両目を揉んでいたダリオが説明になっていない説明をしてくれた。
「ハノイン領と言えば、確か酒造りで有名な場所だったはずだな……
しかし、ラッセ村からじゃかなり離れているぞ?
少なくても3つは他の領地を挟んでいたはずだが……
そんな物をよくここまで持ってきたものだな……いや、それ以前に、それだけの長距離を運んで来てこの値段は安すぎやしないか?」
昔まだ若い頃、この国のあちこちをフラフラしていた時に見た、この国の地図を必死になって思い出す。
もうすっかり忘れかかっている所為で、ほぼ白紙に近くなってしまっているがギリギリこの村の周辺の事だけはうっすらと覚えていた。
その朧な記憶を当てにするなら、ハノイン領はスレーベン領から北西に位置する領土の1つだった。
行商が常に馬車で移動するにしても、おいそれと行ける距離ではない。
それだけの距離を運んできたものが、町の酒場で出されている近場の領地で作られた酒の価格と大差ないと言う事に驚いた。
本来なら、運搬の手間や知名度を考えたら倍近い値が付いてもおかしくはないはずなのだ。
「あー、なんでも小旦那が隊商の頭と親しいらしくて、おかげで、こうして格安で譲ってもらっているらしいっすよ。ホント小旦那様様っすよね」
ニコニコと語るダリオを尻目に、ここでもまたロディフィスの名が出てきた事に、パウロは若干の眩暈を覚えていた。
“あの子どもは、一体この村で何をしているのか?”と……
「まぁ、あの子なら今更何をしても、私はもう驚きませんけどね……いいかげん慣れましたし……」
そんなパウロの心境を知ってか知らずか、エンリケッタはジョッキをチビチビ啜りながらダリオのあとにそう続けた。
「あっ、そう言えば話は変わりますけど、パウロさんまだ居住報告に来てないですよね?
神父様が“まだ来ていない人たちがいて困る”ってぼやいてましたよ?
受付は教会で随時行っているので、どうか早めに来て下さいね。
なんでしたら、今ここで託っても構いませんが?」
居住報告とは、単純に言ってしまえば転入届のようなものだった。
今回の一件で村に住む人間が急激に増加した為、村の人口を把握する事を目的に移住組に“村に住む意思のある者は報告をする”ように指示が出されていた。
その窓口が教会であり、便宜上の責任者が神父のヨシュアだった。
報告を取りまとめて、転居してきた住民の一覧を作っているのもまた彼だった。
それに合わせて、元々住んでいた住民の人口調査も一緒に行われており、これによってかなり正確な年齢、性別、世帯、分けのされた住民表を作る事が出来ていた。
勿論、提案したのはロディフィスであり、“言い出し屁の法則”から彼もまたヨシュアの業務の一部を手伝っていた。
ちなみに、居住報告だが届出をしなくてもこれと言った罰則はない。
あくまで人口調査の“善意の協力”でしかないのだ。ただし、届出をした者にはそれなりの優遇措置は取られていた。
それが、“今日から暮らせるロディフィスのお手軽生活2点セット”だった。
内容は、石のランプとレンガのコンロで、ご丁寧にも取り扱い説明書付での進呈だった。
ただし、配布されるのは一世帯に1セット限りである。
「えっ!? 兄貴まだいってなかったんすか?
おれはもう行ったっすよ?」
「あ、ああ……」
エンリケッタの問いかけに、パウロは歯切れ悪く答えた。
そして、まるで誤魔化す様に手にしたジョッキを呷ったのだった。
そんな自分の姿を見て、エンリケッタの眉根が少し寄ったのが分かった。
止せばいいのに、ダリオが“皺になるぞ?”なんて茶化すものだから、また殴られていた。
(これは何か勘付かれたな……)
エンリケッタは昔から聡い子だった。
特に人の機微を察する事に長けていた。
その所為か誤魔化す事や、嘘を吐くのがどうにも下手だったパウロはよく看破されていたものだ。
「パウロさん……
もしかして、また村を出て行く気なんですか?」
思った通りだった……
パウロは手にした空のジョッキをカウンターへと戻した。
「えっ!? ちょっ……出て行くってなんでっすか!?
どう考えたって、外より村の生活の方がいいじゃないっすか!?」
「うるさいぞダリオ、他の客の迷惑になるだろ……」
「あっ……すんません……」
何をそんなに興奮しているのか、声を荒げるダリオをパウロは窘めた。
正直、元々喧騒の中にある場所だ。その程度の声量を気にする者がいるとも思わなかったが、それ以上の追求を躱すには、そう言っておくのが都合が良かったのだ。
「……別に、出て行くと決めている訳じゃない。
ただ、まだ決めかねているだけだ」
「迷ってるってのが、そもそも信じられないっすよ……
もしかして兄貴ってば、外で結構いい暮らしをしてたクチっすか?」
いい暮らしをしていたなら、わざわざ日銭欲しさに村に戻ってくる訳がないだろう……と指摘してやろうかと思ったが、余計に話が拗れそうな気がしたので黙っておく事にした。
確かに、一時は生活が楽になった時もあったが、それも長く続いた訳ではない。
最終的には、結局日雇いでその日暮らしの生活を送っていたのだ。
他の者がどういった暮らしをしていたかは知らないが、アレがダリオが言う“いい暮らし”とはとても言えないだろう。
しかし……
「まぁ……な……」
パウロはそう答えてこの場を濁そうとした。が、視界の端でまたしてもエンリケッタの眉がピクリと動くのが映った。
(はぁ、本当に厄介な子だ……)
「嘘ですね……それほど生活に余裕があるなら、わざわざ戻ってくる必要はないですし、以前お話した時に“日銭欲しさに戻ってきた”と仰っていましたから……
……その、まだ、気にしているんですか?
パウロさんが、村を出て行った日の事……」
「兄貴が村を出て行った日って言うと……ああっ!!
兄貴が突然いくなくなったって、村中が大騒ぎになったあの日かっ!」
「…… ……」
「バカっ! 少しは気使いなさいって!」
「あっ……その……すんま……」
慌てて頭を下げるダリオを、パウロは手で軽く遮った。
「いや、気にするな。
本当の事だからな……
あの時は随分と迷惑をかけたらしいな……親父からの手紙にそんな事が書かれていたよ。
今更かもしれないが、その……すまなかったな」
パウロは、今更だとは自覚しつつ、二人に頭を下げた。
「いえ。もう村の誰もあの日の事を気にしている人はいませんよ。
パウロさん、しばらくしたら、村に手紙を送ってくれたじゃないですか。
そこに“ごめんなさい”って書いてあったの、私覚えていますよ」
「っ……」
昔の恥部を曝され上、エンリケッタに優しく微笑まれて所為で急に恥かしくなってきたパウロは、ふいっと視線を逸らして明後日の方へと顔を向けた。
「あの手紙、村長は大事にしていた様ですから、たぶん今でも残っているじゃないでしょうか?」
「……帰ったら見つけ出して処分しておく」
「ダメですよ? 大切にしていたみたいでいすからね」
「そう言えば……兄貴が北の森に入って行ったんじゃないかって、捜索隊をどーこーするって話になったんだっけ?
でも結局、西に向かって村を出て行った、って言う証言が出てきてなくなったって言う……」
「……本当にすまなかった」
「だから、蒸し返すような事言うんじゃないのっ!」
そして、一瞬の沈黙。
三人の視線が交差する中、誰からともなく笑いが上がった。
思い出されるのは朧な記憶だった。
もう、十数年も前の事なのだから仕方ないと言えば仕方ない事だ。
パウロが覚えている事といえば、その日、パウロが村を飛び出す前日に父親と激しい口論をした事くらいなものだった。
口論の切っ掛けなど、覚えていない。
きっと、今にして思えば瑣末なことなのだろう。
パウロはこの村の事が嫌いだった。
何もない村だ、好きになれるところがない。
それに、何時も2人の兄と比べられていたのも、居心地の悪さを助長していた。
一番上の兄バルディオは、腕っ節の強さなら村で一番だった。
自警団では若手でありながら、バルディオに敵う者はいなかった。
二番目の兄テオドアは、村で一番の秀才だった。
頭が良く、教会にあった難しい本を多く読んでいた。
何か困った事があると、テオドアに相談する者が多かった。
しかし、パウロは……
特にこれと言って突出した才を持ってはいなかった。
剣は努力はしたが結局は人並み、頭はお世辞で悪くないと言った程度だ。
周りからは、何時だって“兄たちの様になれ”と言われ続けた……父や母からもだ。
正直、煩わしい以外の何ものでもなかった。
当時のパウロは、今のような、寡黙で落ち着きのある性格とはまるで正反対の性格をしていた。
いつも機嫌が悪く、誰彼構わずケンカを吹っかけるような少年だった。
それはまるで、手負いの獣か何かのように……
しかし、そんな彼の中にも独自のルールはあるらしく、自分より年下の者、自分より弱い者には決して手を上げることはしなかった。
だからなのか、パウロには同年代、年上の知り合いよりも年下の知り合いの方が多い。
ダリオやエンリケッタがいい例だ。
そんな中、周囲からの期待、それに答えられない自分……そんな重圧やジレンマが、少年だったパウロを追い詰めていった。
この村での生活は、パウロには重荷でしなかったのだ。
だから、少年は早くこの村を出て行きたくて仕方がなかった。
……いや、正しくは逃げ出したかったのだ。
この村から出て行きさえすれば、自分は苦しまずにすむ……そう思っていた。
そして、あの日、パウロは父と対立し、村を飛び出す決心をした。
そんな身勝手な思いで、村を飛び出した自分が、一体どんな面を下げて今更村に戻れると言うのか……
気づけば、パウロは長年胸のうちに支えていた思いの丈を、ポツリポツリと語っていた。
酒の力も、多少は助けになっていたのかもしれない。
「あっ、あにぎぃ~……」
(どうしてお前が泣いている……)
目の前で、穴という穴から何やら垂れ流しているダリオからパウロは少しだけ身を離した。
「……ローさん自身は、どうしたいんですか?
村に残りたいのですか? 出て行きたいのですか?」
「俺は……」
よく分からない……と言うのが正直なところだった。
自分は村に戻ったとして何がしたいのだろうか、何が出来るのだろうか……
今はまだいい。
大工仕事なら多少の自信はある。
でも、それが終わったそのあとは?
村を出たとして、何処に行きたいのだろうか……
また以前のように、日雇いの仕事を探しながら国中をウロウロするのか?
分からない……
「分かりました。
では、こうしましょう」
思考が長考し、うんともすんとも言わなくなったパウロに業を煮やしたのか、エンリケッタが少し大きな声で仕切りなおした。
「もう、ローさんは好きなだけ悩んでいて下さい」
身も蓋もないいいようだった。
「その代わり、“村の中で”です。
それで、ローさんが“本当はどうしたいのか”、それが分かったら教えて下さい。
残るにしろ、出て行くにしろ……必ずですよ?
それまでは、私が神父様にはうまく言っておきますよ」
「エンリ……」
「さぁ、この話はここまでとしましょう。
ダリオ、これと同じものをもう一杯頂けるかしら?」
「いいけどよぉ、エンリお前金はあんのかよ? 意外にお高いぜそいつ」
「大丈夫よ。
だって、あんたの奢りなんだから」
「はぁ!? なんでおれがお前に奢ってやらなきゃなんないんだよっ!」
「さっきから、散々人に失礼な事を言ってきた罰よ」
「お前なぁ~っ!」
結局、2人のあーだこーだと言う不毛な言い争いは、大衆浴場が閉まるギリギリまで続いた。
その光景を、パウロはただ静かに眺めているだけだった。
-------------------------------------
翌日……
コンコン……
「神父様、エンリケッタです。
少しよろしいでしょうか?」
「どうぞ、シスター・エリー」
ヨシュアからの許可も出たので、エンリケッタは扉を開けて中に入った。
「おはようございます。神父様」
「はい。おはようございます。
用件は何でしょうかシスター・エリー」
翌朝、朝一で教会へとやってきたエンリケッタはその足でヨシュアのいる書庫へと向かった。
案の定、ヨシュアはいつもと同じように部屋に一つの机に着いて、事務仕事をこなしていた。
「先日仰っていた、ローさ……パウロさんの件ですが、昨日ダリオのところで偶然お会いして聞いておきましたよ」
「そうですか。助かります。
あの子は、ものぐさなところがありますからね……で、どうすると言っていましたか?」
「村に残るそうですよ」
エンリケッタは昨夜のやり取りなど知らないとばかりに、顔色一つ変える事無くそういい切った。
(嘘もまた、時に善行たりえるもの……と言いますしね……)
「そうですか……
あの子はあれで頑固なところがありますからね……
もしや、また出て行く、と言い出さないか少し冷や冷やしていたのですが……杞憂で済んでよかった。
では、そのように処理しておきます」
「お手数ですが、よろしくお願いします」
「いえ、シスター・エリーもありがとうございました」
エンリケッタは一礼すると、ヨシュアの書庫を後にしたのだった。
-------------------------------------
パウロは作業の手を止めて、ふと先日のエンリケッタの言葉を思い出していた。
“自分が本当はどうしたいのか”
その問いかけの答えは出ていない。
ただ……
今にして思えば、村を飛び出した本当の理由はなんとなく分かっていた。
……怖かった、のだと思う。
誰からも必要とされなくなるのが……
不要な人間だと言われるのが怖くて、そう言われる前に逃げ出したのだ。
正直、2人の兄たちが羨ましかったのだと思う。
その当て付けに、粗暴な態度を取っていた……
思い出しただけで、赤面しそうになるくらい稚拙な理由だった。
大工と言う仕事は、自分にはあっていると思った。
自分の手で、何かが出来上がっていくのはやはり楽しい。やり甲斐のある仕事だ。
それに、少なからず仕事に対する自信もあった。
今なら……
誰かに必要とされる人間であれるだろうか……?
あの頃の兄たちのように……
「あっ! やっと見つけたっすよ棟梁」
声は、下から聞こえてきた。
首を巡らせれば、いつの間にか足元にロディフィスがいた。
パウロは今、高所作業でできかけの屋根の上にいたのだ。
「何か用事か?」
時刻は、昼と呼ぶには遅く、夕方と呼ぶにはまだ早いそんな中途半端な頃だった。
特に約束をした覚えは無い。
となると、何か自分に用事だろうか?
パウロは屋根上での作業を中断して、下へと降りた。
「用事って言うか、依頼って言うか……
とにかく、棟梁ぐらいにしか頼めそうな人がいなくてですね……
だから、ちょっと力を貸して欲しいんすよ。
実は……」
話を聞くに、どうやら自分の父親が無理難題を言っているらしい。
ロディフィスは話もそこそこに、パウロの手を取ると“とにかく、来てくださいっすよ。棟梁がいないと先進まないんすから”と、人の言葉も聞かずにグイグイと引っ張っていった。
屋根の作業が完全に途中だったのだが……
パウロは諦めて、ロディフィスについて行く事にした。
(取り敢えず、この小さいのには必要とされてはいるらしい……)
パウロは自分を引っ張るロディフィスの背中を見ながら、自嘲気味に心の中で呟いた。
“自分が本当はどうしたいのか”
その問いに答える解はまだない。
ただ……
今はまだ……この小さな旦那について行ってもいいのではないかと、パウロは思った。
どのみち予定の無い旅なら、寄り道だっていいだろう。
この小さいのが向かう先に、どんな光景が待っているのか……
パウロには、それが少しだけ楽しみだった。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
と、いうわけで棟梁の話はこれでおしま・・・ではありません。
次はおまけを一話挟んで、次の話になります。
応援ありがとうございます!
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