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<水無瀬葉月>
はじめてのお給料で遼平さんにプレゼント!
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とうとう。
とうとう、今日、努力が報われました。
人生で一番『がんばった!』と思える瞬間です。
そう。今日は給料日。
僕にもはじめてのお給料が出ました!!!!
ホコホコ弁当のお給料は手渡しだ。
仕事が終わり、いただいたお給料を片手に店を出る。公園に駆け込んで木陰でこそっと確認した金額は。
は、八万円……!!
月給八万って初めからわかってたけど、確認すると感動はひとしおだ。
大金である!!
持ち歩くのは恐ろしいので即銀行に預け、必要な分だけ手元に残す。
残した分は二万円。
これが必要な分、だ。
生活費として持ち歩くにしても多すぎるこのお金の目的はただ一つ。
僕には、初給料でどうしてもどうしても買いたい物があった。
プリン? ケーキ? ミックスジュース? ヨーグルト?
全部違う。
初給料で買いたい物、それは――――――遼平さんへのプレゼントだ!!!
何がいいかな?
遼平さんが喜ぶものってなんだろう。
考えてみれども、お味噌汁とか、カレーとか、唐揚げとか、食べ物のことしか浮かんでこない。
ご飯を作っても喜んでくれるだろうけど、どうせなら形に残る物を送りたいなぁ。
何をプレゼントしたら喜んでくれるだろう。
遼平さんが好きなものって、何かな?
遼平さんが僕にくれたものはお金に換算できないものばかりだ。
一緒に寝てくれたり、遊園地に行ったり、二本松さんの部屋で留守番したり、無理に値段をつけるとすれば、その全部が二万円以上の価値がある。
それなのに、僕が準備できるのは二万円しかない。これ以上のプレゼントをしたら生活できなくなってしまう。
お金を掛けられない分、精一杯、遼平さんが喜んでくれそうなものを考えよう。
えーと、えーと、えーと……。
今まで一人も友達が居なかった。
当然、誕生日プレゼントすら渡したことも貰ったこともなく、プレゼントの定番が何なのかさえ思いつかない。
お酒……は飲んだら無くなっちゃうし……チョコレート……ケーキ……駄目だ形に残らない。
こうなったら、困った時の『友達』頼みだ。
途中見付けた電話ボックスに入り、覚えていた番号を押す。
かける相手は、友達第二号に名乗りを上げてくれた二本松さん。
まだ仕事中かな? 五回鳴らしても繋がらなかったら切ろう。
ぷるるる、ぷるるる。電子音を一回、二回と数える。
『お待たせ致しました。メディアソリューション、二本松でございます』
ふわ! やっぱり仕事中だったんだ、ど、どうしよう、迷惑になってしまう!
「ぅ、あの、僕、」
『あぁ、君でしたか。どうかしましたか?』
「お、お仕事中にごめんなさい、また、掛け直します」
『その必要はありませんよ。このまま続けてください。丁度、休憩を取っていたところなんです。昨日はごちそう様でした。いただいた折詰めも全部食べ終わってしまいましたよ。一人暮らしをしているとどうしても野菜不足になってしまうので、とてもありがたかった』
「あ、あれは、その、……ぅ」
野菜中心だったのは僕の発案ではなく静さんが差し入れしてくれたからだ。上手く説明できなくて口が空回りする。
そうだ、用件を、早く、言わなきゃ。
「あの、、、遼平さんが欲しがってるもの、を、知りませんか?」
ああああ。意味不明な質問になってしまった。
『欲しがっているもの……? 遼平にプレゼントをなさるおつもりで?』
あ、すごい! 伝わった。
「は、はい。形に残る物をプレゼントしたいんですけど、遼平さんが欲しい物がわからなくて。二本松さんなら何かご存知かと……」
とうとう、今日、努力が報われました。
人生で一番『がんばった!』と思える瞬間です。
そう。今日は給料日。
僕にもはじめてのお給料が出ました!!!!
ホコホコ弁当のお給料は手渡しだ。
仕事が終わり、いただいたお給料を片手に店を出る。公園に駆け込んで木陰でこそっと確認した金額は。
は、八万円……!!
月給八万って初めからわかってたけど、確認すると感動はひとしおだ。
大金である!!
持ち歩くのは恐ろしいので即銀行に預け、必要な分だけ手元に残す。
残した分は二万円。
これが必要な分、だ。
生活費として持ち歩くにしても多すぎるこのお金の目的はただ一つ。
僕には、初給料でどうしてもどうしても買いたい物があった。
プリン? ケーキ? ミックスジュース? ヨーグルト?
全部違う。
初給料で買いたい物、それは――――――遼平さんへのプレゼントだ!!!
何がいいかな?
遼平さんが喜ぶものってなんだろう。
考えてみれども、お味噌汁とか、カレーとか、唐揚げとか、食べ物のことしか浮かんでこない。
ご飯を作っても喜んでくれるだろうけど、どうせなら形に残る物を送りたいなぁ。
何をプレゼントしたら喜んでくれるだろう。
遼平さんが好きなものって、何かな?
遼平さんが僕にくれたものはお金に換算できないものばかりだ。
一緒に寝てくれたり、遊園地に行ったり、二本松さんの部屋で留守番したり、無理に値段をつけるとすれば、その全部が二万円以上の価値がある。
それなのに、僕が準備できるのは二万円しかない。これ以上のプレゼントをしたら生活できなくなってしまう。
お金を掛けられない分、精一杯、遼平さんが喜んでくれそうなものを考えよう。
えーと、えーと、えーと……。
今まで一人も友達が居なかった。
当然、誕生日プレゼントすら渡したことも貰ったこともなく、プレゼントの定番が何なのかさえ思いつかない。
お酒……は飲んだら無くなっちゃうし……チョコレート……ケーキ……駄目だ形に残らない。
こうなったら、困った時の『友達』頼みだ。
途中見付けた電話ボックスに入り、覚えていた番号を押す。
かける相手は、友達第二号に名乗りを上げてくれた二本松さん。
まだ仕事中かな? 五回鳴らしても繋がらなかったら切ろう。
ぷるるる、ぷるるる。電子音を一回、二回と数える。
『お待たせ致しました。メディアソリューション、二本松でございます』
ふわ! やっぱり仕事中だったんだ、ど、どうしよう、迷惑になってしまう!
「ぅ、あの、僕、」
『あぁ、君でしたか。どうかしましたか?』
「お、お仕事中にごめんなさい、また、掛け直します」
『その必要はありませんよ。このまま続けてください。丁度、休憩を取っていたところなんです。昨日はごちそう様でした。いただいた折詰めも全部食べ終わってしまいましたよ。一人暮らしをしているとどうしても野菜不足になってしまうので、とてもありがたかった』
「あ、あれは、その、……ぅ」
野菜中心だったのは僕の発案ではなく静さんが差し入れしてくれたからだ。上手く説明できなくて口が空回りする。
そうだ、用件を、早く、言わなきゃ。
「あの、、、遼平さんが欲しがってるもの、を、知りませんか?」
ああああ。意味不明な質問になってしまった。
『欲しがっているもの……? 遼平にプレゼントをなさるおつもりで?』
あ、すごい! 伝わった。
「は、はい。形に残る物をプレゼントしたいんですけど、遼平さんが欲しい物がわからなくて。二本松さんなら何かご存知かと……」
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