関白の息子!

アイム

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千姫ルート 上海要塞防衛戦3

交渉1(エロ度☆☆☆☆☆)

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「よっと、皇后様、これで全部です」

 千姫のために特注で(この時代は手作りしかないので、それ自体は珍しいことではない)作成された具足。
 それは、通常の物よりもずっと軽量でありながら強靭であり、尚且つ秀頼の趣味で見た目の美しさと女性らしさを際立たせた一品だった。
 特に胸を締め付けない様に作られた立体的な構造の胸当てや、細いくびれを強調するかのようにすぼまる胴丸は、何時もの着物姿よりもよほど体の線が浮かんで見える。
 まったくもって余計な気遣いではあるが、装着しての動きやすさと言う意味では通常の具足とは比べ物にならない。

 だが、一人では装着することもままならないので、お麟に手伝ってもらっていたのだ。

「ありがとう、お麟ちゃん。・・・・・・でも、重いね」

 いくら軽量に作られていると言っても、合わせれば4貫(15kg)にもなる。
 通常の具足が5~8貫ということを考えれば、装具士の苦労がしのばれるというものでもあるが。
 もっとも、千姫の身体に合わせているので、それだけで普通の具足より1貫程度は軽くなる。

 それでも、身長4尺7寸程度(約141cm)の千姫には十分以上に重い。
 これを着たまま馬に乗らなければいけないことを想像すると、今から気が滅入る。
 と、言うよりも、実は歩くのもままならない。

「ウ~、でも、まぁ十二単衣よりはまし、かなぁ」

「えっ!? 具足より重いんですか!?」

 お麟が驚くのも無理はないが、十二単衣の重さは5貫ほど。
 千姫はいろいろな伝統行事で着ることがあるため、その重さを知っているのだ。

「そうだよ。それにあれって引き摺って歩くから余計にキツイの。大昔の女の人って大変だったんだね」

「・・・・・・少し、着てみたいと思っていたのですが、やっぱり止めとこうと今思い直しました」

「うん。まぁ、それで動くんじゃなければ大丈夫だよ。私の小さい頃のが、まだ大阪に残してあるから、今度着せてあげるね」

 そのためには当然南京制圧を成功させなければいけない。
 千姫のその意志をもう一度確認し、お麟は微笑む。

「ありがとうございます。・・・・・・あの、皇后様」

「ん? なぁに?」

「万一、敵が交渉中に襲い掛かって来たら・・・・・・」

 総大将が出てくると言うのなら、だまし討ちで捕えられればそれでこの戦は終わり。
 そう言った卑怯な行為は当然倫理的には敬遠されるべきことではあるが、同時に効果的でもある。

「大丈夫です。その時はこの刀で!」

 そう言って葵の御紋の入った短刀を取り出す。
 きっと実家である徳川家からもらった物なのであろう。
 たしかに、娘に渡す短刀と言うのは、いざという時のためのもの。

 ・・・・・・もっとも、それは護身ではなく、しばしば自決に用いられるのだが。

「いえ。その時はどんな形でも良いので門に向かって走ってください。絶対にこちらで何とかしますので」

「分かりました。・・・・・・では、参ります!」

 キュッとお麟が千姫の手を握り、そう伝える。
 やはり緊張は隠し切れないのか、握った掌はジットリと汗ばんでいた。

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