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千姫ルート 南京城攻略戦2
千姫ルート 蛇足1(エロ度☆☆☆☆☆)
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(サブストーリーです。本編とは直接関わりは有りませんが、千姫ルートの蛇足的なものとなります)
ペラリ
一枚めくるごとに夥しい情報量がお麟の頭に注がれる。
やはり本は良い。
そして、流石は紙の故郷、こんな時代であっても大量の本に囲まれることが出来るなんて。
「お麟ちゃん、ご飯」
季夏が日本語でお麟に声をかける。
簡単な言葉はこの一カ月で色々と教えてもらったのだ。
・・・・・・が、本に夢中となったお麟は、そんな声も聞こえないと言うように没頭している。
早朝に、本当に陽が出始めた頃にやってきて、「本!」と明の言葉で言われた時は何事かと思った。
昨日まで血生臭い戦場だった南京で、彼女だけは別の方向、もっと遠い未来を見ている。
そう、感じさせられてしまった。
もっとも、昨晩の内に居勝との再びの婚約を認められ、幸せの内に微睡んでいた季夏としては少々迷惑にも思えたが・・・・・・。
「なぜ子供があれを読める。・・・・・・と言うか、あの娘は皇后様の下女?」
居勝が明の言葉で季夏に話しかける。
腫れあがった顔をみれば、もしかするとこの南京で今一番の重傷者は居勝であるとも思えてしまう。
もっとも、その相手は敵ではないのだが・・・・・・。
「居勝様、あの娘はお麟ちゃんです。皇后様の下女ではなく、参謀の一人、らしいです」
既に本を読み始めて2刻半(5時間)。
読み終えた本は2冊。
それに、なぜか別個に分けてある本が12冊。
「なぜ、あんなに小さい娘が?」
「その、此処だけの話ですが、日本の新兵器を開発したのは彼女らしいですよ?」
もっとも、季夏はその新兵器がどんなものなのかを知らない。
だから、「凄いですね!」とは言いつつも、せいぜい偶然が偶々上手く行った程度と考えている。
だが、新兵器の内容を知っている居勝からすれば、それは驚愕の事実であった。
「ッ!? そ、それは、あの銃のことか?」
「さぁ? そこまでは聞いておりません。でも凄い集中力ですよね。本当に頭が良いんだなって感心してしまいます。フフッ、実はここに来るまでの間、夜はずっと皇后様と3人で筆談してたんです」
つまり、漢文が書ける、書けるということは読めるということ。
本当にあの本を理解しているのだ。
「信じられん。どう見ても7歳にもならぬ子どもが」
「いえ、5歳だそうです。4歳の頃に日本の皇帝陛下に見出されたとか。本当に凄い娘ですよね」
そう言っているうちに3冊目を読み終えたようだ。
ハフゥ、と陶酔するような溜め息を吐いたかと思えば、持参してきた紙にサラサラと何かを書き写していく。
いや、写しているのではない。
その内容はこの本の概略と裏の意図、様々な知識に裏付けされた考察、批判、そして、新しい疑問と本から導かれる新しい可能性。
完全に本を理解し、その上でさらに高めようと言うのだ。
おおよその考えはその本を読んだ時に居勝も同様に考えた。
だが、新しい疑問と可能性の部分に関しては・・・・・・。
「そんなことが可能、なのか?」
居勝は体がうち震えているのを感じる。
もしも、それが可能なら戦場は一変するかもしれない。
お麟のそのメモ書きを後ろから覗き込みながら、その内容に居勝が熱中していた。
「フフッ、私がお麟ちゃんを好きになるのは当然のことだったんですね。居勝様にそっくり」
その光景がおかしくて季夏は笑う。
まるで、ちょっと先の未来から自分の娘が現れたようだ。
「で、も!」
お麟と居勝の耳を季夏が引っ張る。
「イタァッ!?」「ヅッ!?」
少し涙目のお麟と、驚いた表情の居勝が季夏に振り向く。
「ご飯。です!」
子供に叱りつける様な仕草で季夏が腰に手を当て怒ったふりをする。
せっかく作ったお昼ご飯も冷めてしまっては美味しくない。
「む、季夏、すまん」
「あの、もうちょっと読んでからでいいですか?」
まだまだ本を読んでいたい(お麟の方は日本語で通じていない)、もしくは、その様子を観察したいと言う態度に、内心では微笑ましく思いながらももっと怒った風に装う。
「ご飯!」
バンと机を叩いてやれば、スゴスゴと食卓に向かう。
きっと居勝の子ができてもこうなのだろう。
少しだけ嬉しいような気の重いような複雑な気持ちで季夏も食卓に向かった。
ペラリ
一枚めくるごとに夥しい情報量がお麟の頭に注がれる。
やはり本は良い。
そして、流石は紙の故郷、こんな時代であっても大量の本に囲まれることが出来るなんて。
「お麟ちゃん、ご飯」
季夏が日本語でお麟に声をかける。
簡単な言葉はこの一カ月で色々と教えてもらったのだ。
・・・・・・が、本に夢中となったお麟は、そんな声も聞こえないと言うように没頭している。
早朝に、本当に陽が出始めた頃にやってきて、「本!」と明の言葉で言われた時は何事かと思った。
昨日まで血生臭い戦場だった南京で、彼女だけは別の方向、もっと遠い未来を見ている。
そう、感じさせられてしまった。
もっとも、昨晩の内に居勝との再びの婚約を認められ、幸せの内に微睡んでいた季夏としては少々迷惑にも思えたが・・・・・・。
「なぜ子供があれを読める。・・・・・・と言うか、あの娘は皇后様の下女?」
居勝が明の言葉で季夏に話しかける。
腫れあがった顔をみれば、もしかするとこの南京で今一番の重傷者は居勝であるとも思えてしまう。
もっとも、その相手は敵ではないのだが・・・・・・。
「居勝様、あの娘はお麟ちゃんです。皇后様の下女ではなく、参謀の一人、らしいです」
既に本を読み始めて2刻半(5時間)。
読み終えた本は2冊。
それに、なぜか別個に分けてある本が12冊。
「なぜ、あんなに小さい娘が?」
「その、此処だけの話ですが、日本の新兵器を開発したのは彼女らしいですよ?」
もっとも、季夏はその新兵器がどんなものなのかを知らない。
だから、「凄いですね!」とは言いつつも、せいぜい偶然が偶々上手く行った程度と考えている。
だが、新兵器の内容を知っている居勝からすれば、それは驚愕の事実であった。
「ッ!? そ、それは、あの銃のことか?」
「さぁ? そこまでは聞いておりません。でも凄い集中力ですよね。本当に頭が良いんだなって感心してしまいます。フフッ、実はここに来るまでの間、夜はずっと皇后様と3人で筆談してたんです」
つまり、漢文が書ける、書けるということは読めるということ。
本当にあの本を理解しているのだ。
「信じられん。どう見ても7歳にもならぬ子どもが」
「いえ、5歳だそうです。4歳の頃に日本の皇帝陛下に見出されたとか。本当に凄い娘ですよね」
そう言っているうちに3冊目を読み終えたようだ。
ハフゥ、と陶酔するような溜め息を吐いたかと思えば、持参してきた紙にサラサラと何かを書き写していく。
いや、写しているのではない。
その内容はこの本の概略と裏の意図、様々な知識に裏付けされた考察、批判、そして、新しい疑問と本から導かれる新しい可能性。
完全に本を理解し、その上でさらに高めようと言うのだ。
おおよその考えはその本を読んだ時に居勝も同様に考えた。
だが、新しい疑問と可能性の部分に関しては・・・・・・。
「そんなことが可能、なのか?」
居勝は体がうち震えているのを感じる。
もしも、それが可能なら戦場は一変するかもしれない。
お麟のそのメモ書きを後ろから覗き込みながら、その内容に居勝が熱中していた。
「フフッ、私がお麟ちゃんを好きになるのは当然のことだったんですね。居勝様にそっくり」
その光景がおかしくて季夏は笑う。
まるで、ちょっと先の未来から自分の娘が現れたようだ。
「で、も!」
お麟と居勝の耳を季夏が引っ張る。
「イタァッ!?」「ヅッ!?」
少し涙目のお麟と、驚いた表情の居勝が季夏に振り向く。
「ご飯。です!」
子供に叱りつける様な仕草で季夏が腰に手を当て怒ったふりをする。
せっかく作ったお昼ご飯も冷めてしまっては美味しくない。
「む、季夏、すまん」
「あの、もうちょっと読んでからでいいですか?」
まだまだ本を読んでいたい(お麟の方は日本語で通じていない)、もしくは、その様子を観察したいと言う態度に、内心では微笑ましく思いながらももっと怒った風に装う。
「ご飯!」
バンと机を叩いてやれば、スゴスゴと食卓に向かう。
きっと居勝の子ができてもこうなのだろう。
少しだけ嬉しいような気の重いような複雑な気持ちで季夏も食卓に向かった。
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