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(2)コスプレ会場の舞台裏

しゃべてはいけません!

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 五人の着ぐるみ美少女が揃った。そのなかでも基美と紘子に扮した二人が仲良くいちゃついていた。それを苦々しく見ていたのはサイヴァンのコスプレをした成海だった。彼女がわざわざ自分の作品のキャラクターの着ぐるみを揃えたのは続編の構想のための参考にするためだったのに、設定とは違う光景が出現していたからだ。しかもいちゃつく相手がちがうのじゃないかと・・・

 「アルテミスの美少女たち」の話では、基美と真里亜が姉妹愛的で同性愛的な関係が物語の中心であるのに、よりによって基美と真里亜の関係を邪魔する事ばかりする紘子とそんな関係になっているのが解せなかった。かといって真里亜に扮したモデルに基美といちゃつくことを強要することは契約上できなかった。アダルトな事をさせるのはNGだったからだ。

 だから成海は一層の事、どこかの男女のカップルにでも基美と真里亜をさせればよかったよ思っていた。背が高い基美を男がして真里亜を女がすればうまくいったかもしれなかったから。
 でも、基美のアスリート的なイメージが志桜里がぴったりだったので先に選んでしまったから難しかった。誰か基美を恋人のように扱える真里亜の「内臓」はいないかと。そんなことを考えていた成海が突如、大きな声を上げた。

 「みんな! そがいにしゃべりなさんなよ! 着ぐるみといえば何をしてはいけないかわかりますか?」
 そういって詩音に扮している少女を指名した。彼女は着ぐるみの経験者だった。

 「それは、しゃべってはいけないということですか?」

 「そうです! 着ぐるみになったらしゃべってはいけません。キャラクターのイメージが崩れすから。まあ、みんな内臓が女だから崩れ方もすくないけど、やっぱり違いますからね。
 だから伝えたいことがあれば私が持っている磁気ボードに書いてください。そうそう、あなたたちがトイレに行きたいときはこっちに書いて頂戴!」

 そういわれ一同は黙っていたけど、そのマスクの下では結構不機嫌な顔をしていたものもいたようだ。後で聞いた話では雇われてきた真里亜と明菜に扮したモデルは一切のアピールが出来なかったと不満を爆発させていたということだった。

 準備が整った一行は、コミックフェスのコミックエリアへと向かっていった。

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