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第五章 マルシカから第六王家の所領への関所まで
3、マルクマの町~第八王都へ☆寄り道して盗賊退治
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マルクマの町から第八王都までは、徒歩六時間ほどなので時間的に余裕があった。
それでも朝早くに出るのが普通なのだが、ぽち、たま、うさ子をキャリーバックから開放するなら少しゆっくり出るべきである。
宿には朝食は、遅めで頼んでいる。二人が起きてきた。ブランカさん左腕を強調して、ニコリとした。
早くも腕時計の扱いを覚えてしまったようだ。
「ブランカは自分でやりながらだと、意外と覚えがよいのですよ」
「ふっふふ……私は、やれる女なんだよ」
ブランカさんそこは、出来る女と言いましょう。その言い方だと時と場合により、お尻の軽いエロい系になってしまいます。
ボク達は、遅めの朝食を済ましてマルクマの町を出た。街道を第八王都へ向かう。
『カイト、外だいじょうぶ~』
『『だいじょうぶ~』』
「ブランカさんマリアさん、ぽち達が出ます」
背中のキャリーバックから肩越しに乗り越えて、ボクの腕を踏み台に地面に降りていく。どうやら3匹とも身体強化を使っているみたいだ。
最近は、バックのチャックも器用に自分達で開け閉めする。
「「はい!」」「はぁ~。本当に会話してるんですね~」
ぽち、たま、うさ子の姿に二人とも表情を緩ませ歩き出した。
前を行く、ぽちの尻尾のゆれとブランカさんの視線が同調している……。人間は、24時間気を張り詰めている訳にも行かない。
オンオフが重要なのだそうだ。大丈夫ですよね、ブランカさん?
街道をしばらく行くと、ぽちが「わんっ」と軽く吼えて異常を知らせる。
『カイト、血のにおい』
『……人はいないよ』
「この先で何かあったみたいです」
「「はい!」」一瞬で、二人とも雰囲気が変わった。
そこには、馬のいない馬車があった。生きている人はいない。護衛だろうか、冒険者風の男二人の死体……。武器はなく、持ち物も漁られたあとがある。
商人だろうか? 馬車の持ち主がいない。
『カイト、連れ去られているよ』
『とうぞく、いっぱいいた……』『たすける~?』
「2~3人? 連れ去った……。アイテムボックスの中身かな」
「……人質、そして」
「……」
今から盗賊を追い攫われた人たちを助け出すとして、暗くなる前に第八王都に着く事は難しくなるだろう。
助けたい、と言う気持ちはある。ブランカさんマリアさんが、こちらを見ている……。
決断すべきなのはボクで、その判断にみんなの命がかかっている。
正しい判断を求めるには、正しい情報が必要になる。ボクはプロフェッショナルの意見を聞いてみた。
「ボク達は、盗賊を倒して夜を無事に生き残れるほど強いんでしょうか?」
「相手にもよりますが、充分に強いですよ」
「大丈夫です。マリアは、私よりエゲツない攻撃ぐふっ……」
二人のプロが笑顔で答えてくれる。
ボクは、亡骸と馬車をアイテムボックスに収納すると言った。
「……助けに行きましょう。ブランカさんマリアさん、お願いします。
ぽち、たま、うさ子、追跡するぞ。頼む!」
『まかせて~』『だいじょうぶ~』『いけ~!』
ぽちが追跡を始め、街道を左に外れていく。南西側に少し戻る事になった。
草原を抜け、森に入る。
『23しゅるいの……人間のにおい。
こわがっている臭い。男の人ひとり女の人ふたり』
追跡しながら情報を集めていく。……情報は力だ! 数の不利は、最初の不意打ちで覆す。
敵の情報は、ブランカさんマリアさんにも伝える。
『まだ新しい臭い。しゅるい2増えた』
森を一時間ほど進んだ所で、うさ子も盗賊の音を拾い始めた……。
『カイト! さらった人をいじめてる』
『ごはんのにおい。……食べおわったあと』
『あっ、そうか。お昼ちょっと過ぎちゃってるか……。盗賊退治するまで我慢できる?」
『『『だいじょうぶ~』』』
休息をとるには近づき過ぎているし、捕らわれた人も心配だ。ボク達は気配を殺して、ゆっくりと急いだ。ブランカさんが前進を止める。
「身体強化は、五感の強化にも使えます。見えますか?」
言われてボクは、視力を強化していく。指差した方向、折り重なる木の枝や葉の隙間に人影が見えた。アジトとする洞窟の前に、盗賊達がたむろしている。
今のボクの限界まで、MPを込めた特大のサンダーボールを叩き込む。それが盗賊との戦闘開始の合図だ。攫われた人達に被害がないように位置を調整する。
作戦開始を5分後に決めて準備を進める。ブランカさんは、ギリギリまで近づいて切りこむつもりだ。マリアさんはその少し後につく。
食後の団欒をしている盗賊達に、MP9のサンダーボールをボクは撃ち込んだ。
『『『た~ま~や~!』』』
三匹の掛け声のあと、予定通りにボクも突撃する。
「盗賊の位置! ぽち、たま、うさ子たのむ」
浮き足立つ盗賊を、次々とブランカさんが切り伏せている。スプラッタしてない盗賊の死体は、マリアさんの魔法らしい。
ボクが洞窟前に到着すると、すでに生き残りの盗賊は三人だった。
洞窟の入り口横に転がされた3人の横で、一人の盗賊が呆然としている。縛られた三人の顔は、ボコボコなっていた。
その顔を見れば、ためらわずに済む。魔力の上がったMP1のサンダーボールは十分な威力で、その盗賊を焼き焦がした。
振り向くと、残りの盗賊も片付いていた。盗賊が雑魚すぎたのか? ブランカさんとマリアさんが強すぎるのか……。
キャリーバックから、ぽち、たま、うさ子が飛び出して、攫われた人の所へ駆けて行く。
『かわいそう』『なおす~』『ちゆまほ~』
「よし、一緒に治してあげよう」
ボクは攫われた三人の方へ歩き出した。
それでも朝早くに出るのが普通なのだが、ぽち、たま、うさ子をキャリーバックから開放するなら少しゆっくり出るべきである。
宿には朝食は、遅めで頼んでいる。二人が起きてきた。ブランカさん左腕を強調して、ニコリとした。
早くも腕時計の扱いを覚えてしまったようだ。
「ブランカは自分でやりながらだと、意外と覚えがよいのですよ」
「ふっふふ……私は、やれる女なんだよ」
ブランカさんそこは、出来る女と言いましょう。その言い方だと時と場合により、お尻の軽いエロい系になってしまいます。
ボク達は、遅めの朝食を済ましてマルクマの町を出た。街道を第八王都へ向かう。
『カイト、外だいじょうぶ~』
『『だいじょうぶ~』』
「ブランカさんマリアさん、ぽち達が出ます」
背中のキャリーバックから肩越しに乗り越えて、ボクの腕を踏み台に地面に降りていく。どうやら3匹とも身体強化を使っているみたいだ。
最近は、バックのチャックも器用に自分達で開け閉めする。
「「はい!」」「はぁ~。本当に会話してるんですね~」
ぽち、たま、うさ子の姿に二人とも表情を緩ませ歩き出した。
前を行く、ぽちの尻尾のゆれとブランカさんの視線が同調している……。人間は、24時間気を張り詰めている訳にも行かない。
オンオフが重要なのだそうだ。大丈夫ですよね、ブランカさん?
街道をしばらく行くと、ぽちが「わんっ」と軽く吼えて異常を知らせる。
『カイト、血のにおい』
『……人はいないよ』
「この先で何かあったみたいです」
「「はい!」」一瞬で、二人とも雰囲気が変わった。
そこには、馬のいない馬車があった。生きている人はいない。護衛だろうか、冒険者風の男二人の死体……。武器はなく、持ち物も漁られたあとがある。
商人だろうか? 馬車の持ち主がいない。
『カイト、連れ去られているよ』
『とうぞく、いっぱいいた……』『たすける~?』
「2~3人? 連れ去った……。アイテムボックスの中身かな」
「……人質、そして」
「……」
今から盗賊を追い攫われた人たちを助け出すとして、暗くなる前に第八王都に着く事は難しくなるだろう。
助けたい、と言う気持ちはある。ブランカさんマリアさんが、こちらを見ている……。
決断すべきなのはボクで、その判断にみんなの命がかかっている。
正しい判断を求めるには、正しい情報が必要になる。ボクはプロフェッショナルの意見を聞いてみた。
「ボク達は、盗賊を倒して夜を無事に生き残れるほど強いんでしょうか?」
「相手にもよりますが、充分に強いですよ」
「大丈夫です。マリアは、私よりエゲツない攻撃ぐふっ……」
二人のプロが笑顔で答えてくれる。
ボクは、亡骸と馬車をアイテムボックスに収納すると言った。
「……助けに行きましょう。ブランカさんマリアさん、お願いします。
ぽち、たま、うさ子、追跡するぞ。頼む!」
『まかせて~』『だいじょうぶ~』『いけ~!』
ぽちが追跡を始め、街道を左に外れていく。南西側に少し戻る事になった。
草原を抜け、森に入る。
『23しゅるいの……人間のにおい。
こわがっている臭い。男の人ひとり女の人ふたり』
追跡しながら情報を集めていく。……情報は力だ! 数の不利は、最初の不意打ちで覆す。
敵の情報は、ブランカさんマリアさんにも伝える。
『まだ新しい臭い。しゅるい2増えた』
森を一時間ほど進んだ所で、うさ子も盗賊の音を拾い始めた……。
『カイト! さらった人をいじめてる』
『ごはんのにおい。……食べおわったあと』
『あっ、そうか。お昼ちょっと過ぎちゃってるか……。盗賊退治するまで我慢できる?」
『『『だいじょうぶ~』』』
休息をとるには近づき過ぎているし、捕らわれた人も心配だ。ボク達は気配を殺して、ゆっくりと急いだ。ブランカさんが前進を止める。
「身体強化は、五感の強化にも使えます。見えますか?」
言われてボクは、視力を強化していく。指差した方向、折り重なる木の枝や葉の隙間に人影が見えた。アジトとする洞窟の前に、盗賊達がたむろしている。
今のボクの限界まで、MPを込めた特大のサンダーボールを叩き込む。それが盗賊との戦闘開始の合図だ。攫われた人達に被害がないように位置を調整する。
作戦開始を5分後に決めて準備を進める。ブランカさんは、ギリギリまで近づいて切りこむつもりだ。マリアさんはその少し後につく。
食後の団欒をしている盗賊達に、MP9のサンダーボールをボクは撃ち込んだ。
『『『た~ま~や~!』』』
三匹の掛け声のあと、予定通りにボクも突撃する。
「盗賊の位置! ぽち、たま、うさ子たのむ」
浮き足立つ盗賊を、次々とブランカさんが切り伏せている。スプラッタしてない盗賊の死体は、マリアさんの魔法らしい。
ボクが洞窟前に到着すると、すでに生き残りの盗賊は三人だった。
洞窟の入り口横に転がされた3人の横で、一人の盗賊が呆然としている。縛られた三人の顔は、ボコボコなっていた。
その顔を見れば、ためらわずに済む。魔力の上がったMP1のサンダーボールは十分な威力で、その盗賊を焼き焦がした。
振り向くと、残りの盗賊も片付いていた。盗賊が雑魚すぎたのか? ブランカさんとマリアさんが強すぎるのか……。
キャリーバックから、ぽち、たま、うさ子が飛び出して、攫われた人の所へ駆けて行く。
『かわいそう』『なおす~』『ちゆまほ~』
「よし、一緒に治してあげよう」
ボクは攫われた三人の方へ歩き出した。
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