行ってみたいな異世界へ

香月ミツほ

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行ってみたいな!あちこちへ

36 夏至祭(3)

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高台へ移動するとたくさんのマッチョがアラビア衣装を着て出番を待っている。かっこいいなぁ。

そうか、だから民族服を祭り衣装として売ってたんだね。
浴衣は…?どこかで盆踊りでもするの?

高台の奥の方に大きなテントが張られている。きっとクルトゥス殿下のためだろう。

挨拶に行くべきか2人に相談してたら衛兵っぽい人が呼びに来た。

客人まろうどのタケル様ですね。クルトゥス殿下がお会いしたいとおっしゃられておりますので、ご同行願えますか?」

この人は普通の騎士服だ。ただし、めちゃくちゃ背が高い。210cm…220cmはあるかも知れない。
とか後ろから観察しながらついていった。

「タケル、それにストゥディウム、ミーティス、久しぶりだな!!」

「「「ご無沙汰しております、クルトゥス殿下。」」」
「タケルはクルト兄さまと呼べ。その2人と恋仲になったそうだな。可愛がってもらっているか?」

ボッと音が出そうなほど赤面してしまった。

「そう言う意味で言った訳ではないんだが…」

と笑われてしまった。恥ずかしすぎる…

「時にそれは、もしやワイバーンか?」

俺の背中に隠れて様子を窺っていたチビに手を伸ばすけど、避けられた。

「クルト兄さまは火か地の属性ですか?」
「いや、闇属性だ。」

えぇ!?初めて会った!!

「申し訳ありませんがこの子は水か風の属性でないと警戒するんです。」

「そうなのか…ではウェーヌかウィオラでないと懐かぬか。」

時間をかければ懐くと思う、と言うとちょっと元気になった。兄さま可愛い。

「タケル!?それにワイバーンですって!?」

テントの奥の衝立ての向こうからウィオラねえさまの声がした。ウィオラねえさまも闘うの?
奥から姿を現したねえさまはアラビア衣装だった。

ズボンは透けてないけど、ローライズでくびれたウエストを強調するようなデザイン。上はオフショルダーでスリットの入ったゆったりとした長袖で胸の下までをふわりと覆って絞られて身体にフィットさせている。サイドから後頭部は透けるベールが覆い、しゃらしゃらと音のするティアラを付けている。ティアラと同じ装飾があちこちに付いている。しゃらしゃら音をさせながら踊るんだろう。

「ねえさまキレイ…」

挨拶も忘れて見惚れてしまった。

「うふふ、ありがとう。元気そうね。」

奥からねえさまの友達のノエリア様とクローデット様もねえさまとお揃いの衣装で出て来て、みんなでお茶を飲みながら近況報告をした。

ねえさまは青龍の鱗が欲しくて踊り子に志願したそうだ。友達2人はねえさまの応援。
ねえさまは風、クローデット様は水、ノエリア様は光属性だった。チビは光属性も好きなようで美女3人に可愛がられてご機嫌だ。

「間もなくお時間です。」

さっきの背の高い騎士が呼びに来たのでテントを出ると、マッチョなアラビアンがずらりと並んでとても勇壮だった。マッチョの後ろに兄さま、その後ろにねえさま達。

アラビアンな不思議な音楽が初めはゆっくりと、徐々にテンポアップして盛り上がって行く。剣を掲げて振り回し、打ち合って離れて身を翻す。

ひときわ大きな盛り上がりの後、ぴたりと音が止み、1度静まり返って再び笛の音がねっとりと流れ出す。

ねえさま達の登場だ。

滑るような足取りで中央に進み出てくるりとバレエのように1回転して自分の立ち位置に行く。3人並んで揃って胸を、腰を振るとシャラン!シャラン!と澄んだ音が聞こえる。手首と足首にも同じ装飾があるので踏み込むごとに音がする。

いつの間にか青龍が上空に留まって舞いに見入っていた。

最後にくるくると回りながら3人で立ち位置を交換し、中央に集まり艶かしいポーズを決めると人間達からの割れんばかりの大歓声と青龍からの慈愛の波動が辺りを包んだ。

四聖獣達はみんなこの慈愛の波動を持ってるんだな、と波動に酔いしれながら考える。

やっぱりあの女の人は女神様っぽいな…



ジャーーーーーン!!

銅鑼の音が鳴り響く。戦闘再開の合図だ。

誘うように低空飛行をする青龍めがけて人間達が攻撃を仕掛ける。だが届かない。
思い出して支柱にバネの枝を作る。他にも板状のバネの枝も作ってみた。

先陣を切るストゥに続き、次々と飛び跳ねては青龍に切り掛かる男達。当然、兄さまもその中にいる。

俺はティスと後方から遠隔攻撃を仕掛けた。

ティスの水弾に鋭利な金属片を仕込んで飛ばす。青龍が身を震わせると空気の振動が発生して飛んで来たものを落してしまう。ならば、とティスが前に使った風刃の円舞ってやつを魔力を増幅して使ってもらって真空の渦を作り出す。

チビにお願いして砂糖菓子を舞い上げ、真空の渦に放り込んだ。
あちこちで小さな砂糖菓子が破裂するのですかさず着火!!

炎の渦が青龍を取り巻いた。

青龍の身体から稲妻が閃き、炎の渦をかき消す。だけど雷はツタの支柱が避雷針となって大地に吸い込まれてしまった。

感電に備えていた男達が雄叫びをあげてさらに攻撃を仕掛ける。青龍が1度上昇し、再び下降して人間達を掠めて上昇、突風を巻き起こす。

気をつけていたのに、気をつけてるつもりだったのに、かなり高く舞い上げられて高台から急斜面の方向へ放り出された。

「タケル!!」

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