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行ってみたいな!あちこちへ
37 夏至祭(4)
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ティスが風で速度を落としてくれたけど戻る事はできず、斜面へと落下する。
今までの記憶が次々と浮かんでは消える。走馬灯だ。
「きゅーーーーーー!!」
チビの声が聞こえた。すると突然移動方向が変わり、落下していたはずが空を飛んでいる。
身体の下には固い鱗の感触。
ワイバーンの成体!!
チビが懐いている所を見ると、きっとチビのお父さんだろう。お母さんかな?
俺…ワイバーンに乗って空を飛んでる…
ホッとすると同時に感動しているとティスの顔が見えたので手を振った。
振り落とされないようチビのお父さんにしがみついていたら、お父さんはそのまま青龍に突っ込んで行く。おとーさん、やる気満々ですね?
青龍の鼻先をちょろちょろして挑発し、高台へと誘導する。
バネを使って兄さまとストゥが切り掛かった。
青龍が余裕で避けたストゥの背中に隠れて近づいた俺がストゥの背中と兄さまの背中を蹴って青龍にバセラードで突きに行った。
後少しで届かない…長い方のバセラードを買っておけば良かった!!
ダメか…
そう思った時、背中に激しい衝撃を感じた。
チビが俺の真似をしてお父さんの背中から飛んで俺の背中を後押ししたのだ。
「え…?」
思いがけない事態につぶやきが漏れたが、勢いは止まらない。
体勢を崩した俺は…青龍に顔から突っ込んだ。
ガッと鈍い音がして額に激痛が走る。一瞬意識が遠のいた。
オォォォーーーーーーン!
青龍が声を響かせ、身もだえる。神々しい龍が苦しげに空でのたうち、カッと目映い光を放出した。
パーンと弾けたように見えたが、それは全身の鱗が飛び散ったからだった。
青龍が真珠色に輝く。
『認めよう』
頭に直接響く言葉に、自分の攻撃が通った事を知る。
青龍は上空へとまっすぐに空を駆け登り、姿を消した。
チビのお父さんに助けられ、じんじんする額を撫でながら舞い落ちる鱗に手を伸ばすと、たくさん集まって来た。抱っこ紐いっぱいになった。
高台に降ろされ、お父さんはチビに頬ずりして飛び立った。
駆けつけたティスがチビに聞いたら、昨日、支柱の上から呼びかけて来てもらったそうだ。
「チビ、本当に良い子だね!」
ぎゅっと抱きしめてそう言うと得意げにきゅう!と鳴いた。
やっと側に来られたストゥにも褒められてドヤっている。
たくさんあるんだから分ければ良いのに、みんなが鱗を奪い合っている。
騎士さんに促されてテントに入ると、みんな揃っていた。
「タケルはやっぱりすごいわ!世界に愛されているのね!!」
ねえさまに言われて照れる。思い上がりでなければそうかも知れない。だってこの世界は俺に優しすぎるから。
「あの、青龍の鱗ってあんな風に落ちるんですね。」
俺がそう言ったら兄さまが吹き出した。
「違う違う、普通は攻撃ができた人間に1~2枚舞い込む程度だ。今回の現象はタケルが青龍の急所に攻撃できたからだ。」
え?急所攻撃?
男としてはちょっと聞きたくない言葉だ。
「逆鱗に触れたんだ。」
そうか、龍の逆鱗か。そう言えば一瞬、赤い逆さ鱗が見えたっけ。ふと額を触ると確かに逆三角の跡が残っている気がする。
「ここがぶつかったんですけど、跡になってます?」
髪を上げて額を見せるとみんなが覗き込んだまま固まった。
「タケル…そこに青龍の契約印が浮かんでいるぞ?」
えぇ!?
逆鱗のスタンプが契約印なの?
少し離れていたストゥとティスにも見せると本当に全加護集められそうだな、と言われた。
欲が出るよ!
チビにも見せたけど疲れたのか眠そうにしていて反応は無かった。
「おつかれさま」
チビを抱っこして背中をポンポン叩いてやるとすぐに眠りに落ちた。
それから何故かねえさま達のおもちゃにされて、ねえさまとお揃いの衣装を着せられて踊りを仕込まれた。意味が分からないよ…
鱗がたくさん集まったからねえさま達にも分けようかと思ったけど、聖獣からの贈り物だからそれはタケルの取り分だと断られた。兄さまは3枚、ねえさま達は5枚ずつ持っていた。
あれ?奪い合っている人達は?
最終的に手に入った分が取り分だから手に入れようと頑張るのはありなんだって。
アラケル達はどうなったかな?
聞きたかったけどそのまま宴会に突入してこの場で一晩明かした。
テントの中で雑魚寝する王族…ねえさま達は奥に簡易ベッドがあるらしいけど、兄さまは騎士に混じって雑魚寝。良い国だなぁ。
今までの記憶が次々と浮かんでは消える。走馬灯だ。
「きゅーーーーーー!!」
チビの声が聞こえた。すると突然移動方向が変わり、落下していたはずが空を飛んでいる。
身体の下には固い鱗の感触。
ワイバーンの成体!!
チビが懐いている所を見ると、きっとチビのお父さんだろう。お母さんかな?
俺…ワイバーンに乗って空を飛んでる…
ホッとすると同時に感動しているとティスの顔が見えたので手を振った。
振り落とされないようチビのお父さんにしがみついていたら、お父さんはそのまま青龍に突っ込んで行く。おとーさん、やる気満々ですね?
青龍の鼻先をちょろちょろして挑発し、高台へと誘導する。
バネを使って兄さまとストゥが切り掛かった。
青龍が余裕で避けたストゥの背中に隠れて近づいた俺がストゥの背中と兄さまの背中を蹴って青龍にバセラードで突きに行った。
後少しで届かない…長い方のバセラードを買っておけば良かった!!
ダメか…
そう思った時、背中に激しい衝撃を感じた。
チビが俺の真似をしてお父さんの背中から飛んで俺の背中を後押ししたのだ。
「え…?」
思いがけない事態につぶやきが漏れたが、勢いは止まらない。
体勢を崩した俺は…青龍に顔から突っ込んだ。
ガッと鈍い音がして額に激痛が走る。一瞬意識が遠のいた。
オォォォーーーーーーン!
青龍が声を響かせ、身もだえる。神々しい龍が苦しげに空でのたうち、カッと目映い光を放出した。
パーンと弾けたように見えたが、それは全身の鱗が飛び散ったからだった。
青龍が真珠色に輝く。
『認めよう』
頭に直接響く言葉に、自分の攻撃が通った事を知る。
青龍は上空へとまっすぐに空を駆け登り、姿を消した。
チビのお父さんに助けられ、じんじんする額を撫でながら舞い落ちる鱗に手を伸ばすと、たくさん集まって来た。抱っこ紐いっぱいになった。
高台に降ろされ、お父さんはチビに頬ずりして飛び立った。
駆けつけたティスがチビに聞いたら、昨日、支柱の上から呼びかけて来てもらったそうだ。
「チビ、本当に良い子だね!」
ぎゅっと抱きしめてそう言うと得意げにきゅう!と鳴いた。
やっと側に来られたストゥにも褒められてドヤっている。
たくさんあるんだから分ければ良いのに、みんなが鱗を奪い合っている。
騎士さんに促されてテントに入ると、みんな揃っていた。
「タケルはやっぱりすごいわ!世界に愛されているのね!!」
ねえさまに言われて照れる。思い上がりでなければそうかも知れない。だってこの世界は俺に優しすぎるから。
「あの、青龍の鱗ってあんな風に落ちるんですね。」
俺がそう言ったら兄さまが吹き出した。
「違う違う、普通は攻撃ができた人間に1~2枚舞い込む程度だ。今回の現象はタケルが青龍の急所に攻撃できたからだ。」
え?急所攻撃?
男としてはちょっと聞きたくない言葉だ。
「逆鱗に触れたんだ。」
そうか、龍の逆鱗か。そう言えば一瞬、赤い逆さ鱗が見えたっけ。ふと額を触ると確かに逆三角の跡が残っている気がする。
「ここがぶつかったんですけど、跡になってます?」
髪を上げて額を見せるとみんなが覗き込んだまま固まった。
「タケル…そこに青龍の契約印が浮かんでいるぞ?」
えぇ!?
逆鱗のスタンプが契約印なの?
少し離れていたストゥとティスにも見せると本当に全加護集められそうだな、と言われた。
欲が出るよ!
チビにも見せたけど疲れたのか眠そうにしていて反応は無かった。
「おつかれさま」
チビを抱っこして背中をポンポン叩いてやるとすぐに眠りに落ちた。
それから何故かねえさま達のおもちゃにされて、ねえさまとお揃いの衣装を着せられて踊りを仕込まれた。意味が分からないよ…
鱗がたくさん集まったからねえさま達にも分けようかと思ったけど、聖獣からの贈り物だからそれはタケルの取り分だと断られた。兄さまは3枚、ねえさま達は5枚ずつ持っていた。
あれ?奪い合っている人達は?
最終的に手に入った分が取り分だから手に入れようと頑張るのはありなんだって。
アラケル達はどうなったかな?
聞きたかったけどそのまま宴会に突入してこの場で一晩明かした。
テントの中で雑魚寝する王族…ねえさま達は奥に簡易ベッドがあるらしいけど、兄さまは騎士に混じって雑魚寝。良い国だなぁ。
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