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しおりを挟む「……俺さ」
香織が後片付けをしていると、笹野が決心したように話しかけてきた。
「ずっと後悔してたんだ」
え、と戸惑ってしまう。あまりにも唐突な言い出しだったから。
「でも、思った。あの時の俺は香織を呼びつけてばかりで。普通なら、俺から会いに行くのが当たり前だったのにさ」
「陽一さん…」
「お前に甘えてたんだと思う。…ごめんな」
そんな。ちがう、私が。
「自然消滅みたいになってさ。連絡取るのが怖くて、そのまま終わった。それでも香織のことが忘れられなくて、ずっと想っていた。幸せかなって、幸せならいいなって」
「…私だって、…!」
ずっと思ってた。彼が幸せならいいなと。私は幸せになるのだと思って。
そんな時に。
「広瀬の結婚式の招待状を見て驚いた。お前の名前があって、…俺の目の前で幸せになった」
貴方が現れた。
幸せになろうと全て忘れて和樹に人生を捧げようとした時に、貴方は現れた。
「幸せを壊す気はない。けれど幸せには見えない」
「…そんな……それは…」
「なぁ、好きだ。俺ならお前を悲しませたりしない。もうずっと、そばにいる」
そんなこと。酷い。
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