秘密の関係

椎奈風音

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桜花の伝統

第七話

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「それで今年の劇は何やるの」
「今年は『白雪姫』で決定らしいぜ」
「またベタな」
「もう配役、決まってんの?」
「大体な」
 僕が話についていけないうちに、他のメンバーで話が進んでいた。

(まぁ、僕には関係ないからいいかな)
 僕は生徒会でもないし、称号を持っているわけでもない。
 兄ちゃん達、大変だろうなと他人事のように考えていた僕は、佐倉さんの一言で飲みかけのコーヒーを吹き出すところだった。

「そうそう。主役の白雪姫は塔哉君にやってもらうからね」
「はぁ!?」
 僕は称号も持ってない部外者なんですけど!?

「え!?なんで僕?」
 僕は驚きのあまり、すっとんきょうな声を上げた。
「そういえば言ってなかったっけ?」
(は?何を?)
 佐倉さんがにっこり笑った。
 なんか佐倉さんの笑顔が妙に怖いと思うのは、僕の気のせいだろうか?

「この劇に強制参加なのは、称号を持っている生徒と生徒会。あとは……」
「あとは……」
 僕はドキドキしながら、佐倉さんの次の言葉を待った。

「外部入学生の中から選ばれる次期『生徒会』もしくは次期『称号』候補」
「はい?」
 なんか聞いてはいけないことを聞いたような気がする。

「もしかして、……僕が?」
「そう、今年は塔哉君が次期生徒会候補だよ」
 あまりにあっさり言われたせいで、実感がわかない。

「えっと……。ちなみにそれはどうやって決めるんですか?」
「俺(生徒会長)の独断と偏見で!」
「…………」
(またこのパターンなの?)
 この学校、どれだけ拒否権がないんだろう……。
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