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4巻
4-11
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四回戦は準決勝ということで、幸いにも複数の試合を同時に行うのではなく、一組ずつ試合をすることになった。
まず俺とウィリアムが戦って、カイルとシリルの試合はその後だ。
やった!! これでカイルの試合が見られる。自分の戦いにも集中できるし。
気合を入れて、木刀を握る。
俺とウィリアムが向き合い、礼をして木刀を構えた。
「はじめ……」
ワルズ先生の、ボソリとした合図が聞こえる。すると、ウィリアムがスッと二歩ほど後ずさった。
「そうだ! ウィリアム、距離をとるんだ! すぐ間を詰めて来るぞっ!」
ギャラリーから、ヨハンの声が聞こえる。
先ほどヨハンとの戦いで、俺は開始直後に一気に間合いを詰め、木刀を叩き落としている。おそらく、その攻撃を警戒しているのだろう。
まぁ、決着を急ぎすぎるのもまずいと思い直したから、それをやる気はなかったけど。
「いくらフィル君であろうと、手加減はしない。本気で勝ちにいく!」
ウィリアムはそう宣言し、木刀を小刻みに揺らす。隙があれば、いつでも打ち込んでいくという意気込みが感じられた。
昔の青春漫画に出てくる、爽やかなライバルくんみたいだな。
さて……どうするか。
この程度の間合いを詰めるくらい、難しくはないけど……。
よし。焦る必要もないから、少し打ち合ってみるか。
俺は下段に木刀を構え、彼が打ち込んでくるのを待つことにした。
それを見て、ウィリアムが構えを変える。頭の横にまで木刀を上げ、木刀の切っ先を俺に向けた。
霞の構えか。これは、突きや斬り込む時にとるものだ。
「はぁっ!」
ウィリアムは案の定、足を大きく踏み出し、突きを繰り出してきた。
動きは、まぁまぁ速い。
だが真っ直ぐに繰り出される突きは、真横からの衝撃に弱い。攻撃を見切る目と、それに対応できる速さがあれば、対処としては楽だった。
俺は素早くその木刀を横に弾く。
「くっ!」
ウィリアムは弾かれた木刀を、斬りつける流れに切り替えた。俺に向けて、改めて木刀を振り下ろす。
剣術大会に出ているからか、さすがに対応が速いなぁ。その程度の場数は踏んでいるってことか。
それにしても……随分接近してきている。体術との合わせ技に持ち込む気か?
実戦などで鎧を着ている場合、斬ってもダメージが少ない。だから接近して、剣でそのまま押し倒し、とどめを刺したりする。
この試合も体術のみはいけないが、剣術と組み合わせて体術を使うことは許可されていた。
ウィリアムも俺との体格差から、それを狙っているのかもしれない。
まぁそれでも、型通りともいえる攻撃は、対応しやすいんだけどね。
俺はウィリアムの攻撃を軽くいなすと、木刀を持っている自分の手首を返した。
木刀がウィリアムの喉元に、滑り込んでいく。
当然寸止めしたが、ウィリアムは喉をヒュッと鳴らし、息を吸い込んだ。
顔色を失ったウィリアムと目が合って、俺は「あ……」と声を漏らした。
……決着がついてしまった。
己の条件反射が怖い。あまりに型通りにきたものだから、そのまま対応しちゃったよ。
木刀をゆっくり引っ込めて辺りの様子を窺うと、皆は口を開けたまま固まっていた。
「勝者……フィル・テイラ君」
ワルズ先生が、手のひらで俺をさす。
そうして、ようやく周りから「わぁっ」と歓声があがった。
「あ、ありがとうございました」
俺がペコリとお辞儀をすると、ウィリアムも礼を返した。だが、未だ信じられないのか、首元を押さえながら呆然としている。
「フィル君すごーい!」
「嘘だろ、ウィリアムまで?」
「じゃあ、やっぱりさっきのヨハン戦は、まぐれじゃなかったんだ」
クラス全員が見ているので、先ほどより大きなざわめきが辺りを包む。
そんな中、ワルズ先生が俺を見て頷きながら、手帳に書き込んでいるのが見えた。
ポイントか? またポイントをつけたのか?
俺は今、何ポイント入ってるの? それが入ったことによって、いったいどうなるのっ!
不気味に思いながら、俺は生徒たちの中に戻る。
「フィル君、本当に強いのねぇ」
ライラがパチパチと、拍手をしてくれた。
隣で見ていたカイルは、「当然」とばかりに頷いている。なんでか我がことのように誇らしげだ。
そこへ興奮した生徒たちが、わっと押し寄せてきた。
「フィル君、すごいよ!」
「どうしてそんなに強いの?」
囲まれて、俺は頭をかいた。
「あー……いい剣術の先生が近くにいて、カイルと一緒に習っていたんだ」
皆が「ほぉ」と感心した声を出す。
そんな中、アルベールが不思議そうな顔をする。
「でも、僕さっきカイル君と試合したけど、フィル君とは剣術のスタイルが違う気がするよ?」
俺は頷いて、苦笑した。
「個人のやり方を、そのまま伸ばしてくれる先生だったから」
「へぇ、生徒の力を信じて伸ばしてくれるなんて、相当素晴らしい先生なんだなぁ」
アルベールは感嘆の息を吐き、皆も大きく頷いた。
その反応に、俺とカイルは顔を見合わせる。
確かにスケさんはいい先生だ。俺の前世での剣術や、カイルが培った我流の剣術をそのまま活かす方法をとってくれた。
他の人だったら、正式な剣術に修正させていただろう。実際カクさんは「直すべきだ」と言っていたし。
でも街出身であるスケさんの剣術が、すでに我流を含んでいたので、俺たちの剣術を尊重してくれたのだ。
まぁ、修正が面倒になって、逃げただけのような気も若干するけど……。
剣一本で成り上がった天才肌のスケさんは、説明に擬音が多い。
「こうカッとやると、相手はバッとなると思うので、そしたら剣をスッと引くといいです」とか。
「相手がガッときたら、剣をカァーンと当てて、シュバッと前に出すんです」とか。
……バッとかガッとか、わかるわけない。
初めはその説明を真面目に聞いていた俺たちだったが、最後はスケさんの動きを目で追うのみで、説明は聞いてなかった。むしろ説明が邪魔だった。
『技術は見て学べ、あとは実践のみ!』が、スケさんから教わったことだったなぁ。
スケさんを思い出して、俺とカイルが遠い目をしていると、ワルズ先生が手を叩いて生徒たちに注目を促した。
「では、もう一組のカイル君とシリル君。前に出てきてください……」
「はい」
「ひゃいっ!」
カイルの返事に続いて、シリルの緊張した声が後ろから聞こえる。
「では、行ってきます」
軽くお辞儀するカイルに、俺はにっこりと頷く。
「うん、頑張ってね」
カイルがゆっくり歩いて、指定された位置に着いた。
だが、シリルはなかなか現れず、どうしたんだろうと、皆が後方を振り返る。
「ご、ごめん、通らせて……あ! すみません! あぁ! ごめんなさい! 本当にすみません!」
後ろから前にやってくるまでに、人にでもぶつかったのだろうか? シリルの謝る声がだんだん近づいてくる。
ようやく前に出てきた時には、シリルは何だか疲れ切っていた。だが、小走りでカイルの前に立つと、ペコペコと頭を下げる。
「カイル君、待たせてごめんなさい!」
カイルは気にするなという仕草で、シリルに手を挙げた。
「とりあえず、落ち着け」
「う、うんっ! すみません! ごめんなさい!」
シリルは慌てて、深呼吸を始める。
ああいう気弱なシリルを見ていると、カイルの圧勝ではないかと思ってしまう。
しかし、ビルに勝った実績もあるし、勝負は何がきっかけで決まるかわからないからな。
「シリルはどのくらい強いんだろう」
俺が唸ると、ライラがこっそり耳打ちしてきた。
「私、ビルとシリルの戦いを見てたんだけど。木刀を持つと、シリルじゃないみたいよ」
「人が変わるってこと?」
目を丸くする俺に、ライラは「うーん」と唸る。
「変わるっていうか。迷いなく木刀を打ち込んでくる感じ? ま、戦っているんだから、当たり前なんだけどね」
ああ、確かにシリルの性格だと、それすらもできなそうだもんな。戦い方も消極的なイメージがあるが、そうじゃないのか。ますますこの勝負、気になる。
シリルの息が整った頃、お互いに礼をして木刀を構える。
ワルズ先生が開始の合図を出した瞬間、シリルの顔付きが変わった。自信なげな表情から、剣士の眼差しになる。
真横から薙ぐカイルの攻撃を、シリルは既のところで受け止めて弾く。カイルが前に出ると、引くことなくそのまま向かっていき、真正面から木刀で受けた。
あの大人しいシリルとはとても思えない戦いっぷりだ。ライラが言っていたように、確かに人が違って見える。
意外だな。シリルがビルに勝つ実力の持ち主だったとしても、カイルの優勢は確実だと思っていた。
カイルの攻撃は変則的なうえに速いので、慣れていないと対応しきれない。
シリルはカイルと対戦するのは初めてだが、よくついていっている。剣技は基本に忠実なのに、その中でよく対応できるものだ。
うーん、見かけによらず実戦経験が多そうだな。
俺がそう分析していると、俺の左隣にいたアルベールが「あ!」と声をあげた。
その声に、近くにいた皆が彼に注目する。アルベールは注目に構うことなく、顎に手を当てて考え込む。
「シリル・オルコット……もしかしてシリルって、剣豪オルコットの息子なのかな?」
「剣豪オルコット? 僕あんまり詳しくないんだけど、有名な人?」
俺が首を傾げて聞くと、アルベールはコクコクと頷く。
「ドルガド国の騎士でね。名の知れた剣豪だよ。と言っても、僕はドルガド出身じゃないし、噂に聞いただけなんだけど……」
「それ、もしかしてグレイソン・オルコットのことか?」
気づかないうちに前の方に来ていたビルが、試合の邪魔にならないよう小声で言う。
「俺、一回だけドルガドの剣術大会で見たことがあるぜ。体躯がガッシリして、凄みのある雰囲気の人だった。顔も厳つかったなぁ……こんな感じで」
ビルは指で目を吊り上げ、口の端を引っ張り、グレイソン・オルコットの顔を表現する。それはまるで、鬼を表現する時の顔だ。
剣豪オルコット……そんなに厳ついのか。怖そうだな。
「容姿は、僕も聞いたことがある。だからシリルの名前を聞いても、一致しなかったんだけど……」
アルベールは唸りながら、シリルを見つめた。
シリルを見ると、栗色の髪に柔和な容貌で、厳つさとは正反対だ。
そんな話をしている間にも、試合は進んでいく。
カイルがバク転をしたところへ、シリルが走り込み距離を詰めた。
「ハァッ!」
まだ空中にいるカイルに向かって、木刀を突き出す。
俺の隣にいたライラが、小さく声をあげて両手で目を覆った。
あのままでは逃げられないと、そう思ったのだろう。
だが、カイルは空中にいながら、その木刀を自分の木刀で受け止め、弾く反動を使って地面に着地した。
「うぁっ!」
弾かれたシリルは、その勢いで尻餅をつく。カイルはシリルが立ち上がる前に、木刀を突きつけた。
「勝負ありですね……」
ワルズ先生の言葉に、生徒たちから歓声が上がる。それはカイルが勝ったことにではなく、二人の見事な戦いを称える歓声だった。
「シリルー! いい試合だったぞ~っ!」
しょんぼりしていたシリルは、その声に驚いて目を見開いた。それから、何度も大きく頭を下げる。
「あ! すみません! あ、あ、ありがとう!」
汗を拭いながら戻ってくるカイルを、俺はにっこりと微笑んで出迎えた。
「お疲れ様」
「ありがとうございます」
カイルは照れた様子で微笑み、ライラはようやく安堵の息を吐く。
「良かった。最後、ダメかと思ったわ」
すると、カイルは小さく笑った。
「フィル様と久々に対戦できる機会を、そうそう逃せないからな」
やる気満々だな。でも、言われてみれば、確かに久しぶりだ。
俺の場合、対戦はあんまり好きじゃないからなぁ。素振りとか、型の練習はいいんだけど。
カイルは俺と試合できることが嬉しいのか、こちらを見てにこにこしている。
めったに見られない満面の笑みを、ここで使っていいのか……。
「あの……すみません」
そこへ、ワルズ先生が背後から声をかけてきた。
「は、はい!」
ビックリして、声が裏返ってしまった。
相変わらず、心臓に悪い登場をする。
「カイル君。しばらく休憩してから試合を行いますが、それでよろしいですか?」
「いえ、今すぐで構いません」
俺に向けていたにこにこ顔を、ワルズ先生にそのまま向けた。
ワルズ先生はハッとすると、また手帳に書き込み始める。
あ、今、ポイント入った! 絶対カイルにポイント入ったぞ! 何なんだそのポイント!
笑顔で入るポイントに、ますます謎が深まる。
ワルズ先生は手帳を閉じると、俺とカイルを交互に見た。
「では、始めましょうか」
俺は頷いてカイルと共に移動しながら、ちょっと首を傾げる。
この練習試合、護衛される側が決勝って……問題ないのだろうか?
そんな疑問を持ちつつ、礼をして木刀を構える。
ワルズ先生の合図と同時に、木刀のカァンッという音が辺りに響いた。カイルが俺目掛けて、一気に飛び込んできたのである。
あっぶなーっ! とっさに防いでなかったら、一瞬で勝負がついているところだった。
お互いの木刀越しに、カイルがにこっと笑って体を引いた。
すっごく、楽しそうだ。
カイルが繰り出すあらゆる角度からの攻撃を、俺は木刀でいなす。
辺りにカンッカンッと木刀の音が続き、時々観客の「あぁ!」「おぉ!」といった声が重なった。
数十分、その攻防が続いただろうか? 俺は疲労を感じ始めていた。
これまでの戦いでは体力温存に努めていたし、今も攻撃をいなしてまともに打ち合わないようにしているが……やはり試合が長引けば、疲れが蓄積するものだ。
そもそもシリル戦の直後というハンデを貰おうが、獣人であるカイルと俺との体力差は天と地ほどもある。そのうえ、この怒涛の攻撃を防ぐには集中力も必要だ。
あぁ、疲れた。もう、適当に負けてしまおうか……。
そう思った瞬間、また何か書いているワルズ先生が視界の端に入った。
……そうだ。ワルズ先生の謎のポイントがあるんだった。
よし! こうなったら、一か八かで勝負を挑む!
俺は木刀を中段に構え、カイルが打ち込んできた木刀を受け流した。
そんなやり取りは、今まで何度となくあったが、今回は受け流しの反動を使って自分の木刀を旋回させる。そしてカイルの胴に向かって斬りつけた。
決まったかと思った。
しかし、それと同時にカイルの木刀が、俺の肩に当てられていることに気づく。
「引き分け……ですね」
ワルズ先生の言葉に、生徒が興奮したように飛び跳ねる。
「すげぇっ!」
「さすが、フィル君とカイル君だ!」
「剣の舞を見ているみたいだったよ!」
そんな歓声を聞きながら、俺は詰めていた息を吐いた。汗が一気に噴き出す。
ペタリと地面に座り込んだ俺を、カイルが立たせてくれた。カイルも息が上がって汗もかいていたが、俺よりまだまだ体力に余裕がありそうだ。
「大丈夫ですか?」
「うん。まぁ……って、カイル……顔がにやけてるんだけど」
俺が呆れ顔で言うと、カイルは嬉しそうに笑った。
「楽しかったですね。またやりましょうね!」
「……しばらくは遠慮します」
そう答えて観客に向かって歩いていく俺の後を、カイルは慌てて追いかけてきた。
「何でですか? どうしてですか?」
体力がもたないからだよ……。
すると、観客の中にいたシリルが、俺たちを大きな声で呼び止めた。
「あ、あの! すみません!」
大人しいシリルにとって、随分勇気のいることだったらしい。俺たちを交互に見て、ゴクリと息を呑む。
「や、やっぱり君たちが強いのは、毎日鍛錬しているからなのかな? 僕も努力すれば、君たちみたいになれるかな?」
シリルの声や頬の紅潮具合から、こちらにも緊張が伝わってきた。俺は不思議に思って首を傾げる。
「シリルだって強かったよ。シリルはシリルでしょう? 鍛錬はいいけど、僕たちみたいになる必要はないと思う」
「ぼ、僕なんか……全然強くないよ。いつも怒られて……ばかりだし」
そう言って、悲しそうな顔で頭を垂れる。俺は俯いているシリルの顔を覗き込んだ。
「シリルって剣術好きだよね?」
「えっ?」
シリルはいきなりの質問に少し戸惑っていたが、小さく頷いた。
「強くないし、性格的に向いてないって思うけど……。好き……かな」
「なら強くなるよ。向上心があるんだから」
俺がにっこり微笑むと、シリルは嬉しそうな顔で「ありがとう」とお礼を言った。
「でも二人とも本当に強いよね。やっぱり剣術クラブに入ったの?」
シリルは尊敬の眼差しで、俺とカイルを見つめた。
俺たち二人が首を振ると、シリルは意外な顔をして尋ねる。
「じゃあ、どこのクラブに入ったの?」
周りのみんなも俺たちの会話を興味深げに聞いている。
そんな中、カイルがキッパリとした口調で言った。
「モフ研だ」
グラウンド一帯に、沈黙が下りた。
ん? 何だ? この沈黙。どうしたんだ?
「え…………も、もふ?」
シリルが空耳かと、戸惑いながら聞き返す。
「剣術クラブではなく、モフモフ・鉱石研究クラブに所属している」
カイルが真面目な顔で改めて正式名称を言い直すと、周りで様子を窺っていた生徒が、さわさわと囁き始めた。
「モフ研って新しくできたクラブだろ?」
「マクベアー先輩が、カイル君が剣術クラブ入ってくれなかったと、残念がっているのは本当だったんだ?」
「俺、モフ研の活動内容がよくわからなくて、見学もできなかったんだよなぁ」
「俺も。顧問はシエナ先生だって言うし、それに……クラブ名がなぁ。ちょっと恥ずかしいような……」
「…………うん」
そう言って、皆が下を向く。
何だ何だ、失礼な。モフ研の何がダメなわけ?
皆の囁きに俺が口を尖らせていると、隣にいたライラが「よし」と握り拳を作った。
「クラブ名と顧問の効果で、冷やかし対策バッチリね! 想定通り!」
モフ研……いい名前なのに。
◇ ◇ ◇
まず俺とウィリアムが戦って、カイルとシリルの試合はその後だ。
やった!! これでカイルの試合が見られる。自分の戦いにも集中できるし。
気合を入れて、木刀を握る。
俺とウィリアムが向き合い、礼をして木刀を構えた。
「はじめ……」
ワルズ先生の、ボソリとした合図が聞こえる。すると、ウィリアムがスッと二歩ほど後ずさった。
「そうだ! ウィリアム、距離をとるんだ! すぐ間を詰めて来るぞっ!」
ギャラリーから、ヨハンの声が聞こえる。
先ほどヨハンとの戦いで、俺は開始直後に一気に間合いを詰め、木刀を叩き落としている。おそらく、その攻撃を警戒しているのだろう。
まぁ、決着を急ぎすぎるのもまずいと思い直したから、それをやる気はなかったけど。
「いくらフィル君であろうと、手加減はしない。本気で勝ちにいく!」
ウィリアムはそう宣言し、木刀を小刻みに揺らす。隙があれば、いつでも打ち込んでいくという意気込みが感じられた。
昔の青春漫画に出てくる、爽やかなライバルくんみたいだな。
さて……どうするか。
この程度の間合いを詰めるくらい、難しくはないけど……。
よし。焦る必要もないから、少し打ち合ってみるか。
俺は下段に木刀を構え、彼が打ち込んでくるのを待つことにした。
それを見て、ウィリアムが構えを変える。頭の横にまで木刀を上げ、木刀の切っ先を俺に向けた。
霞の構えか。これは、突きや斬り込む時にとるものだ。
「はぁっ!」
ウィリアムは案の定、足を大きく踏み出し、突きを繰り出してきた。
動きは、まぁまぁ速い。
だが真っ直ぐに繰り出される突きは、真横からの衝撃に弱い。攻撃を見切る目と、それに対応できる速さがあれば、対処としては楽だった。
俺は素早くその木刀を横に弾く。
「くっ!」
ウィリアムは弾かれた木刀を、斬りつける流れに切り替えた。俺に向けて、改めて木刀を振り下ろす。
剣術大会に出ているからか、さすがに対応が速いなぁ。その程度の場数は踏んでいるってことか。
それにしても……随分接近してきている。体術との合わせ技に持ち込む気か?
実戦などで鎧を着ている場合、斬ってもダメージが少ない。だから接近して、剣でそのまま押し倒し、とどめを刺したりする。
この試合も体術のみはいけないが、剣術と組み合わせて体術を使うことは許可されていた。
ウィリアムも俺との体格差から、それを狙っているのかもしれない。
まぁそれでも、型通りともいえる攻撃は、対応しやすいんだけどね。
俺はウィリアムの攻撃を軽くいなすと、木刀を持っている自分の手首を返した。
木刀がウィリアムの喉元に、滑り込んでいく。
当然寸止めしたが、ウィリアムは喉をヒュッと鳴らし、息を吸い込んだ。
顔色を失ったウィリアムと目が合って、俺は「あ……」と声を漏らした。
……決着がついてしまった。
己の条件反射が怖い。あまりに型通りにきたものだから、そのまま対応しちゃったよ。
木刀をゆっくり引っ込めて辺りの様子を窺うと、皆は口を開けたまま固まっていた。
「勝者……フィル・テイラ君」
ワルズ先生が、手のひらで俺をさす。
そうして、ようやく周りから「わぁっ」と歓声があがった。
「あ、ありがとうございました」
俺がペコリとお辞儀をすると、ウィリアムも礼を返した。だが、未だ信じられないのか、首元を押さえながら呆然としている。
「フィル君すごーい!」
「嘘だろ、ウィリアムまで?」
「じゃあ、やっぱりさっきのヨハン戦は、まぐれじゃなかったんだ」
クラス全員が見ているので、先ほどより大きなざわめきが辺りを包む。
そんな中、ワルズ先生が俺を見て頷きながら、手帳に書き込んでいるのが見えた。
ポイントか? またポイントをつけたのか?
俺は今、何ポイント入ってるの? それが入ったことによって、いったいどうなるのっ!
不気味に思いながら、俺は生徒たちの中に戻る。
「フィル君、本当に強いのねぇ」
ライラがパチパチと、拍手をしてくれた。
隣で見ていたカイルは、「当然」とばかりに頷いている。なんでか我がことのように誇らしげだ。
そこへ興奮した生徒たちが、わっと押し寄せてきた。
「フィル君、すごいよ!」
「どうしてそんなに強いの?」
囲まれて、俺は頭をかいた。
「あー……いい剣術の先生が近くにいて、カイルと一緒に習っていたんだ」
皆が「ほぉ」と感心した声を出す。
そんな中、アルベールが不思議そうな顔をする。
「でも、僕さっきカイル君と試合したけど、フィル君とは剣術のスタイルが違う気がするよ?」
俺は頷いて、苦笑した。
「個人のやり方を、そのまま伸ばしてくれる先生だったから」
「へぇ、生徒の力を信じて伸ばしてくれるなんて、相当素晴らしい先生なんだなぁ」
アルベールは感嘆の息を吐き、皆も大きく頷いた。
その反応に、俺とカイルは顔を見合わせる。
確かにスケさんはいい先生だ。俺の前世での剣術や、カイルが培った我流の剣術をそのまま活かす方法をとってくれた。
他の人だったら、正式な剣術に修正させていただろう。実際カクさんは「直すべきだ」と言っていたし。
でも街出身であるスケさんの剣術が、すでに我流を含んでいたので、俺たちの剣術を尊重してくれたのだ。
まぁ、修正が面倒になって、逃げただけのような気も若干するけど……。
剣一本で成り上がった天才肌のスケさんは、説明に擬音が多い。
「こうカッとやると、相手はバッとなると思うので、そしたら剣をスッと引くといいです」とか。
「相手がガッときたら、剣をカァーンと当てて、シュバッと前に出すんです」とか。
……バッとかガッとか、わかるわけない。
初めはその説明を真面目に聞いていた俺たちだったが、最後はスケさんの動きを目で追うのみで、説明は聞いてなかった。むしろ説明が邪魔だった。
『技術は見て学べ、あとは実践のみ!』が、スケさんから教わったことだったなぁ。
スケさんを思い出して、俺とカイルが遠い目をしていると、ワルズ先生が手を叩いて生徒たちに注目を促した。
「では、もう一組のカイル君とシリル君。前に出てきてください……」
「はい」
「ひゃいっ!」
カイルの返事に続いて、シリルの緊張した声が後ろから聞こえる。
「では、行ってきます」
軽くお辞儀するカイルに、俺はにっこりと頷く。
「うん、頑張ってね」
カイルがゆっくり歩いて、指定された位置に着いた。
だが、シリルはなかなか現れず、どうしたんだろうと、皆が後方を振り返る。
「ご、ごめん、通らせて……あ! すみません! あぁ! ごめんなさい! 本当にすみません!」
後ろから前にやってくるまでに、人にでもぶつかったのだろうか? シリルの謝る声がだんだん近づいてくる。
ようやく前に出てきた時には、シリルは何だか疲れ切っていた。だが、小走りでカイルの前に立つと、ペコペコと頭を下げる。
「カイル君、待たせてごめんなさい!」
カイルは気にするなという仕草で、シリルに手を挙げた。
「とりあえず、落ち着け」
「う、うんっ! すみません! ごめんなさい!」
シリルは慌てて、深呼吸を始める。
ああいう気弱なシリルを見ていると、カイルの圧勝ではないかと思ってしまう。
しかし、ビルに勝った実績もあるし、勝負は何がきっかけで決まるかわからないからな。
「シリルはどのくらい強いんだろう」
俺が唸ると、ライラがこっそり耳打ちしてきた。
「私、ビルとシリルの戦いを見てたんだけど。木刀を持つと、シリルじゃないみたいよ」
「人が変わるってこと?」
目を丸くする俺に、ライラは「うーん」と唸る。
「変わるっていうか。迷いなく木刀を打ち込んでくる感じ? ま、戦っているんだから、当たり前なんだけどね」
ああ、確かにシリルの性格だと、それすらもできなそうだもんな。戦い方も消極的なイメージがあるが、そうじゃないのか。ますますこの勝負、気になる。
シリルの息が整った頃、お互いに礼をして木刀を構える。
ワルズ先生が開始の合図を出した瞬間、シリルの顔付きが変わった。自信なげな表情から、剣士の眼差しになる。
真横から薙ぐカイルの攻撃を、シリルは既のところで受け止めて弾く。カイルが前に出ると、引くことなくそのまま向かっていき、真正面から木刀で受けた。
あの大人しいシリルとはとても思えない戦いっぷりだ。ライラが言っていたように、確かに人が違って見える。
意外だな。シリルがビルに勝つ実力の持ち主だったとしても、カイルの優勢は確実だと思っていた。
カイルの攻撃は変則的なうえに速いので、慣れていないと対応しきれない。
シリルはカイルと対戦するのは初めてだが、よくついていっている。剣技は基本に忠実なのに、その中でよく対応できるものだ。
うーん、見かけによらず実戦経験が多そうだな。
俺がそう分析していると、俺の左隣にいたアルベールが「あ!」と声をあげた。
その声に、近くにいた皆が彼に注目する。アルベールは注目に構うことなく、顎に手を当てて考え込む。
「シリル・オルコット……もしかしてシリルって、剣豪オルコットの息子なのかな?」
「剣豪オルコット? 僕あんまり詳しくないんだけど、有名な人?」
俺が首を傾げて聞くと、アルベールはコクコクと頷く。
「ドルガド国の騎士でね。名の知れた剣豪だよ。と言っても、僕はドルガド出身じゃないし、噂に聞いただけなんだけど……」
「それ、もしかしてグレイソン・オルコットのことか?」
気づかないうちに前の方に来ていたビルが、試合の邪魔にならないよう小声で言う。
「俺、一回だけドルガドの剣術大会で見たことがあるぜ。体躯がガッシリして、凄みのある雰囲気の人だった。顔も厳つかったなぁ……こんな感じで」
ビルは指で目を吊り上げ、口の端を引っ張り、グレイソン・オルコットの顔を表現する。それはまるで、鬼を表現する時の顔だ。
剣豪オルコット……そんなに厳ついのか。怖そうだな。
「容姿は、僕も聞いたことがある。だからシリルの名前を聞いても、一致しなかったんだけど……」
アルベールは唸りながら、シリルを見つめた。
シリルを見ると、栗色の髪に柔和な容貌で、厳つさとは正反対だ。
そんな話をしている間にも、試合は進んでいく。
カイルがバク転をしたところへ、シリルが走り込み距離を詰めた。
「ハァッ!」
まだ空中にいるカイルに向かって、木刀を突き出す。
俺の隣にいたライラが、小さく声をあげて両手で目を覆った。
あのままでは逃げられないと、そう思ったのだろう。
だが、カイルは空中にいながら、その木刀を自分の木刀で受け止め、弾く反動を使って地面に着地した。
「うぁっ!」
弾かれたシリルは、その勢いで尻餅をつく。カイルはシリルが立ち上がる前に、木刀を突きつけた。
「勝負ありですね……」
ワルズ先生の言葉に、生徒たちから歓声が上がる。それはカイルが勝ったことにではなく、二人の見事な戦いを称える歓声だった。
「シリルー! いい試合だったぞ~っ!」
しょんぼりしていたシリルは、その声に驚いて目を見開いた。それから、何度も大きく頭を下げる。
「あ! すみません! あ、あ、ありがとう!」
汗を拭いながら戻ってくるカイルを、俺はにっこりと微笑んで出迎えた。
「お疲れ様」
「ありがとうございます」
カイルは照れた様子で微笑み、ライラはようやく安堵の息を吐く。
「良かった。最後、ダメかと思ったわ」
すると、カイルは小さく笑った。
「フィル様と久々に対戦できる機会を、そうそう逃せないからな」
やる気満々だな。でも、言われてみれば、確かに久しぶりだ。
俺の場合、対戦はあんまり好きじゃないからなぁ。素振りとか、型の練習はいいんだけど。
カイルは俺と試合できることが嬉しいのか、こちらを見てにこにこしている。
めったに見られない満面の笑みを、ここで使っていいのか……。
「あの……すみません」
そこへ、ワルズ先生が背後から声をかけてきた。
「は、はい!」
ビックリして、声が裏返ってしまった。
相変わらず、心臓に悪い登場をする。
「カイル君。しばらく休憩してから試合を行いますが、それでよろしいですか?」
「いえ、今すぐで構いません」
俺に向けていたにこにこ顔を、ワルズ先生にそのまま向けた。
ワルズ先生はハッとすると、また手帳に書き込み始める。
あ、今、ポイント入った! 絶対カイルにポイント入ったぞ! 何なんだそのポイント!
笑顔で入るポイントに、ますます謎が深まる。
ワルズ先生は手帳を閉じると、俺とカイルを交互に見た。
「では、始めましょうか」
俺は頷いてカイルと共に移動しながら、ちょっと首を傾げる。
この練習試合、護衛される側が決勝って……問題ないのだろうか?
そんな疑問を持ちつつ、礼をして木刀を構える。
ワルズ先生の合図と同時に、木刀のカァンッという音が辺りに響いた。カイルが俺目掛けて、一気に飛び込んできたのである。
あっぶなーっ! とっさに防いでなかったら、一瞬で勝負がついているところだった。
お互いの木刀越しに、カイルがにこっと笑って体を引いた。
すっごく、楽しそうだ。
カイルが繰り出すあらゆる角度からの攻撃を、俺は木刀でいなす。
辺りにカンッカンッと木刀の音が続き、時々観客の「あぁ!」「おぉ!」といった声が重なった。
数十分、その攻防が続いただろうか? 俺は疲労を感じ始めていた。
これまでの戦いでは体力温存に努めていたし、今も攻撃をいなしてまともに打ち合わないようにしているが……やはり試合が長引けば、疲れが蓄積するものだ。
そもそもシリル戦の直後というハンデを貰おうが、獣人であるカイルと俺との体力差は天と地ほどもある。そのうえ、この怒涛の攻撃を防ぐには集中力も必要だ。
あぁ、疲れた。もう、適当に負けてしまおうか……。
そう思った瞬間、また何か書いているワルズ先生が視界の端に入った。
……そうだ。ワルズ先生の謎のポイントがあるんだった。
よし! こうなったら、一か八かで勝負を挑む!
俺は木刀を中段に構え、カイルが打ち込んできた木刀を受け流した。
そんなやり取りは、今まで何度となくあったが、今回は受け流しの反動を使って自分の木刀を旋回させる。そしてカイルの胴に向かって斬りつけた。
決まったかと思った。
しかし、それと同時にカイルの木刀が、俺の肩に当てられていることに気づく。
「引き分け……ですね」
ワルズ先生の言葉に、生徒が興奮したように飛び跳ねる。
「すげぇっ!」
「さすが、フィル君とカイル君だ!」
「剣の舞を見ているみたいだったよ!」
そんな歓声を聞きながら、俺は詰めていた息を吐いた。汗が一気に噴き出す。
ペタリと地面に座り込んだ俺を、カイルが立たせてくれた。カイルも息が上がって汗もかいていたが、俺よりまだまだ体力に余裕がありそうだ。
「大丈夫ですか?」
「うん。まぁ……って、カイル……顔がにやけてるんだけど」
俺が呆れ顔で言うと、カイルは嬉しそうに笑った。
「楽しかったですね。またやりましょうね!」
「……しばらくは遠慮します」
そう答えて観客に向かって歩いていく俺の後を、カイルは慌てて追いかけてきた。
「何でですか? どうしてですか?」
体力がもたないからだよ……。
すると、観客の中にいたシリルが、俺たちを大きな声で呼び止めた。
「あ、あの! すみません!」
大人しいシリルにとって、随分勇気のいることだったらしい。俺たちを交互に見て、ゴクリと息を呑む。
「や、やっぱり君たちが強いのは、毎日鍛錬しているからなのかな? 僕も努力すれば、君たちみたいになれるかな?」
シリルの声や頬の紅潮具合から、こちらにも緊張が伝わってきた。俺は不思議に思って首を傾げる。
「シリルだって強かったよ。シリルはシリルでしょう? 鍛錬はいいけど、僕たちみたいになる必要はないと思う」
「ぼ、僕なんか……全然強くないよ。いつも怒られて……ばかりだし」
そう言って、悲しそうな顔で頭を垂れる。俺は俯いているシリルの顔を覗き込んだ。
「シリルって剣術好きだよね?」
「えっ?」
シリルはいきなりの質問に少し戸惑っていたが、小さく頷いた。
「強くないし、性格的に向いてないって思うけど……。好き……かな」
「なら強くなるよ。向上心があるんだから」
俺がにっこり微笑むと、シリルは嬉しそうな顔で「ありがとう」とお礼を言った。
「でも二人とも本当に強いよね。やっぱり剣術クラブに入ったの?」
シリルは尊敬の眼差しで、俺とカイルを見つめた。
俺たち二人が首を振ると、シリルは意外な顔をして尋ねる。
「じゃあ、どこのクラブに入ったの?」
周りのみんなも俺たちの会話を興味深げに聞いている。
そんな中、カイルがキッパリとした口調で言った。
「モフ研だ」
グラウンド一帯に、沈黙が下りた。
ん? 何だ? この沈黙。どうしたんだ?
「え…………も、もふ?」
シリルが空耳かと、戸惑いながら聞き返す。
「剣術クラブではなく、モフモフ・鉱石研究クラブに所属している」
カイルが真面目な顔で改めて正式名称を言い直すと、周りで様子を窺っていた生徒が、さわさわと囁き始めた。
「モフ研って新しくできたクラブだろ?」
「マクベアー先輩が、カイル君が剣術クラブ入ってくれなかったと、残念がっているのは本当だったんだ?」
「俺、モフ研の活動内容がよくわからなくて、見学もできなかったんだよなぁ」
「俺も。顧問はシエナ先生だって言うし、それに……クラブ名がなぁ。ちょっと恥ずかしいような……」
「…………うん」
そう言って、皆が下を向く。
何だ何だ、失礼な。モフ研の何がダメなわけ?
皆の囁きに俺が口を尖らせていると、隣にいたライラが「よし」と握り拳を作った。
「クラブ名と顧問の効果で、冷やかし対策バッチリね! 想定通り!」
モフ研……いい名前なのに。
◇ ◇ ◇
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