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4巻
4-12
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お昼を食べてから、まったりくつろぐために来た秘密基地。
日が射し込んで、ソファに座っているとポカポカと暖かい。
コハクは俺の肩で、うつらうつらと舟をこいでいた。落ちそうだったので、ポケットに入れてあげる。ムニャムニャとしたあと、すぐに寝息が聞こえ始めて、思わず笑ってしまった。
俺はコクヨウを優しく撫でながら言う。
「コクヨウ、ブラッシングしようか?」
微笑んでブラシを持った俺を、コクヨウが訝しげに見る。
【昨日やったばかりではないか。今は眠いから、遠慮する】
「寝ててもいいから! 癒されたいんだよ!」
欠伸をするコクヨウを、俺は優しく揺する。
だが、その揺らしが心地よかったのか、コクヨウは寝始めてしまった。
「あぁぁ! 起こすつもりが逆効果にっ!」
するとホタルが、そんな俺を見つめながら尻尾を振った。
【フィル様ブラッシングしたら癒されるです? なら、ボクもう一回されてもいいです】
すでにブラシをかけ終わって、毛がふわふわだというのに何ていじらしいっ!
「ありがとうね。ホタル」
俺はホタルを抱き上げ、優しく撫でる。
その時、ライラに小声で尋ねるトーマの声が聞こえてきた。
「ねぇ、ライラ。フィルはいったいどうしたの?」
ライラはため息交じりに呟く。
「現実逃避してるのよ」
「現実逃避? どうして?」
アリスの問いに、ライラは「実はね……」と皆に耳打ちした。
俺はその様子を、そっと横目で窺う。
「ぶはっ!!」
内容を聞いたレイが、思い切り噴き出した。
「……噴き出すことないじゃないか」
ホタルを抱きしめながら、半眼でレイを見る。
「だって、そりゃあ笑うだろう。俺が言った通りになったんだから」
ニヤリと笑うレイを見ながら、俺は先日の剣術の授業で起こったことを思い返す。
◇ ◇ ◇
――それは、剣術の授業が終わる少し前のことだった。
五試合して、俺の体はほどよく疲労していた。
若干寝そうになる自分を、頬をつねって覚醒させる。
ワルズ先生のボソボソ喋りが、眠気を誘うんだよなぁ。
早く帰ってお風呂に入りたい。でも、この状態だと、湯船で寝ちゃいそうだ。
欠伸をかみ殺す俺の前で、ワルズ先生がポイントの書いてある手帳を見ながら、皆に向かって話をしていた。
「えー先ほど、練習試合を行いまして……。警護につく人は、準決勝進出のウィリアム君と、シリル君。それから三回戦目で敗れましたが、戦い方の総合ポイントを見てビル君とします」
その発表にウィリアムは「やった」とガッツポーズをし、俺の隣にいたシリルはあわあわとする。ビルはすでに諦めていたらしく、名前を呼ばれて驚き、飛び跳ねて喜んだ。
「フィル君とカイル君が、すでに強いですからね……。鉱石学の生徒の護衛は、そのくらいの人数で大丈夫でしょう」
ワルズ先生はそう言って、チラリとこちらを見る。生徒たちも、納得した顔で頷いた。
「鉱石学の課外授業の場所に着くまでは、全員で護衛します。所定の場所についたら先ほどの三人は鉱石学の生徒を護衛し、他の生徒はいくつかの班に分かれ、少し移動して野外訓練を行います」
「班は自由に組んでいいのですか?」
アルベールの質問に、ワルズ先生は首を振る。そして、手帳を皆に見せるようにかざした。
「それはこれを見て、私が決めます。強さが偏るのを防ぐために総合ポイントから判断し、班のメンバーを振り分けます。次週、その紙を配りますので……」
あの手帳のポイントって、強さとかそういう総合的なものだったのか。
でも……俺の手加減具合や、カイルの笑顔でもポイント入ってたぞ?
精神的な何かも「総合」に含まれてるのか? 未だに謎が多い……。
掲げられた手帳を見ながら、俺は「うーむ」と腕を組む。
すると、そんな俺とワルズ先生の目が合った。
何故か、ワルズ先生の口の端が少しだけ上がる。
「実は……このポイントで、今度行われる学校対抗戦の候補も探しておりまして」
……ん? 学校対抗戦?
ドルガドとステアとティリアで行う、王立学校三校対抗のやつ?
いきなりの発言に、生徒たちはざわめく。先ほどまでうとうとしていた俺の目も、ぱっちり覚めた。
ま……まさか……。
ワルズ先生は、生徒をゆっくりと見渡す。
「一年の選抜メンバー候補として、カイル君、シリル君、フィル君を推薦したいと思います……」
生徒たちが大きな歓声を上げる中、俺はパッカンと口を開けた。
選抜メンバー候補? 学校対抗戦の?
俺とカイルは驚愕して顔を見合わせ、シリルは精神的にキャパシティオーバーなのか、頭を抱えて固まった。
「すごいよフィル君、もし選ばれたら最年少参加者になるよ!」
ウィリアムが俺の手を掴んで握手をする。
いや、俺は参加じゃなくて観戦する側がいいんだけど!
このままだと、前にレイが言っていたことが現実になってしまう。
こ、これは……これは断固拒否だ!
「で、でも! 先輩方がいますよね?」
俺が言うと、ワルズ先生は頷いた。
「えぇ、二、三年生からも候補は出すつもりです。他の科目の先生方もそれぞれの観点で候補を選びますが、剣術の観点から見た一年生の候補は君たちです」
「あ、あああ、あの、すみません! ぼ、僕、自信ありません」
シリルがテンパりながら、手を上げる。俺も便乗して、高々と手を上げた。
「僕もっ! 僕も自信ないので辞退します!」
周りの子が若干「シリルはともかく、フィル君嘘でしょ?」という顔をしているが無視だ。
ワルズ先生は俺とシリルの近くまで来ると、ポムと肩に手を載せた。
「大丈夫。君たちには、選抜候補に選ばれるだけの素晴らしい才能があります。私は自分自身には誇れる力がありませんが、唯一、生徒の才能を見極める自信だけはあります……」
ワルズ先生は口の端だけを、少し上げて笑った――。
◇ ◇ ◇
俺がそんな剣術の授業の一部始終を話し終えると、トーマはなるほどと頷いた。
「それで結局、拒否しきれなかったわけだ?」
レイは口を押さえて、笑いを堪える。
「やっぱりなぁ。対抗戦の種目によるとは思ったが、フィルやカイルは候補に挙がるんじゃないかと思ってたんだ」
予想が当たった、と口調が少し自慢げだ。
「それが理由で、フィルは現実逃避しているのね」
アリスは苦笑し、ライラは肩をすくめる。
「本当に目立つのが嫌いなのね。私はすごいことだと思うんだけど」
「そうよね。私もフィルやカイルの活躍するところ、見てみたいわ」
口に手を当てて、嬉しそうにアリスが微笑んだ。
俺だって、確かにすごいことだとは思う。
だが、学校に入って、すでにいろいろやらかしている俺だ。これ以上目立って、父さんの耳に入ることだけは避けたかった。
どうしよう。これをきっかけにいろんなことがばれたら……。
俺はホタルをもふもふしながら、ポツリと呟いた。
「やっぱり辞退しようかな……」
すると、レイが驚いて俺の隣に座る。
「何言ってんだよ。もし選抜に入ったら名誉なことだぜ? 一年生でしかも七歳なんて、過去に例がないんだからな」
「それはわかってるんだけどさ」
憂鬱な気分で、ため息を吐く。
「まだ候補でしょう? 通常は二、三年生が出場選手になるって聞くし、決まったわけじゃないわ」
アリスの慰めに、俺は力なく微笑む。
レイは顎に手を当てて、考えるポーズをとった。
「だけどさ。ワルズ先生が剣術の観点から選抜してるってことは、今回の対抗戦の種目って、戦闘系が入ってるのかな?」
その疑問に、カイルは眉を寄せて唸った。
「選抜メンバーを決める要素として、剣術や体術の技量を考慮しているのは間違いないだろうな。対抗戦の内容は詳しく教えてもらえなかったが、総合的なものが必要になるんだそうだ」
「それと今回は個人戦じゃなくて、団体で行うとも言っていたわよね」
ライラが補足すると、カイルは頷く。
そう言えばそんな話もしてたっけ。候補になったことがショックすぎて、うろ覚えだ。
「へぇ、今回は団体か。面白そうだなぁ!」
レイの表情がパァっと輝き、トーマも笑って頷いた。
「確かに、面白そうだよね。話に聞いたけど、開催国はお祭りみたいになるんでしょ?」
「そうよ。五年に一度だから、すごく盛り上がるらしいわ。うちの行商人たちも、露店を出したりするのよ」
ライラも楽しそうに微笑む。
お祭りはいいな。選抜で参加しないんだったら、絶対に楽しそうだ。
俺はコクヨウとホタルを、もふもふ撫でながら強く祈った。
どうか選抜選手になりませんように!
4
中等部男子寮にある自室のベッドの上で、コクヨウは俺に背を向けていた。
「コクヨウ? ほら、プリンだよー」
プリンを掲げて声をかけるが、コクヨウは一切反応しない。
わかりやすいくらいの、拗ねっぷりだ。プリンでつられないとは重症だな。
困ったなぁ。まさか、こんなに拗ねるとは思わなかった。
そんなに楽しみにしてたのか……。
俺は大きく一つ息を吐く。
◇ ◇ ◇
――事の起こりは、商学実技用のクッキー作成。
販売前日である昨日、俺たちは販売用のクッキーを大量に作っていた。
作った種類は三種類。プレーンのクッキーと、シャクの実のドライフルーツが入ったクッキーと、シャクの実のジャムクッキーだ。試作をしてみた結果、この三つを採用した。
プレーンが三枚、ドライフルーツ一枚、ジャム一枚で、五枚一袋。それを百セット。
焼いたり、 袋詰めしたりする際に割れることも想定して、多めに焼いておいたので、百セットに加えて余分に六セットできた。
本当、大変だったよ。ライラが予算ギリギリまで使ってクッキーを作るなんて言うから。レイは料理に関しては全然戦力にならないし……。
ちなみに割れたクッキーは売り物にはせず、ロス分としてメンバーに振り分ける予定だった。
しかし、そのまま食べるのはつまらないので、プレーンの分はリメイクするのはどうだろう、と皆に提案してみた。
砕けたクッキーでも、粉々にして牛乳やバターを混ぜて固めたら、タルト生地が作れるからな。
タルトをレイたちに食べさせてみたかったし、コクヨウのお土産にもいいかと思ったのだ。
皆の了承も得られたので、今日のクッキー販売の前に、空き時間を利用してエッグタルトを作った。
我ながら、とても美味しそうな出来だ。
割れたクッキーが少なかったので、小さめではあったけど仕方ない。
「じゃあ、ザクロ。エッグタルト頼むね」
氷亀のザクロにお願いして、食べるまでの冷蔵庫になってもらう。
【へいっ! オイラの命に代えましても!】
応援団が「押忍っ!」とやるみたいに、勢いよく頭を下げる。
「いや、ただ保冷しといてくれればいいから」
訂正を入れて、タルトの脇にザクロを座らせて箱を閉じた。
「すっげー楽しみっ!」
レイが大きく息を吐いて、箱を撫でる。いや、愛でる手つきだ。
「フィル君の作るものには、ハズレがないものね。美味しいんだろうなぁ」
甘いもの好きなライラは、うっとりと目を細めた。
トーマも大きく頷いて、微笑む。
「今日、頑張ったご褒美にしようっと」
皆の期待の高さに、俺は思わず笑う。
「もしそれで皆が気に入ったら、次回また作ってもいいよ。今回はエッグタルトだけど、その時は果物のタルトにしてもいいし」
それを聞いたレイのお腹が、絶妙なタイミングでグゥゥと鳴った。
「フィル……天才か!」
そのタイミングこそ、天才的だな。
やりとりを聞いていたカイルが、小さく噴き出す。
「そのためには、販売の実技を成功させなければな。準備を始めるぞ 」
カイルはそう言うと、ザクロとタルトが入った箱を、大事そうに持ち上げて歩き出した。
移動した先は、生徒がお昼を食べる際に使用する、中等部敷地内の中庭テラス。
そこが商学実技の行われる会場だった。
今回は商学の六班全てが『販売』を選択したので、テラスには各班が使用する屋台が並んでいる。
販売と言っても、商品は様々だ。雑貨を作って売る班もあれば、俺たちのように食べ物を扱う班もある。
商学の授業時間二時間が、まるまる実技に使われるので、生徒たちは休み時間から準備に取りかかっていた。
俺たちはすでにクッキーの袋詰めを終わらせており、のんびり会場に向かっていたため、準備を始めたのは六班のうち最後だ。
袋詰めは大変だったけど、屋台には並べるだけだから良かったよな。量り売りも考えたが、慣れない作業で量とか金額とか間違えたら、トラブルになってしまうし。
「並べきれないのは、とりあえず後ろの箱に入れとくわ。店頭分がなくなってきたら合図するから、追加をお願いね」
ライラの指示を受け、カイルとレイが返事をした。
役割としては、俺とトーマが店頭販売の接客。ライラがレジ。カイルとレイはお客さんの誘導や、雑用などだ。一応、各役割によって、どう動くのかシミュレーションはしてある。
屋台にクッキーを並べ終える頃、カイルが俺を呼んだ。
「あのフィル様、ちょっといいですか?」
「何?」
「会場の様子がおかしいんですけど……」
おかしい?
カイルに言われて、俺を含めた皆が辺りを見回す。
準備を始める前から、テラスにはちらほら人が集まっていたのだが、いつの間にかその数が増え、俺たちの屋台に近づいてきていたのだ。
他の屋台の生徒たちも、それに気づいてざわめいている。
え……何でまだ始まってもいないのに、皆少しずつ近づいて来てるんだ?
様子を見ていると、その人たちはお互い牽制し合いながらにじり寄っているようだ。
「うちのお客さんかな?」
トーマが首を傾げ、レイは訝しげに眉を寄せる。
「それにしたって、多すぎないか……?」
「デュラント先輩の宣伝効果かしら」
ライラはニマニマと上がる頬を手で押さえる。
「中等部だけじゃないな。初等部や高等部の生徒もいる」
カイルは大きく息を吐く。そして俺たちはお互いの顔を見合わせた。
「困ったね……」
俺が低く呟くと、皆がコックリと頷く。
そう。困った。準備を重ね、満を持しての販売だったのだが……。
「予算の関係上、百セットにしたけど……。やっぱり足りないわよね。予算さえあればっ!」
ライラが悔しそうに言って、にじり寄る生徒たちを見やる。もうすでに六十人はいそうだった。
しばらくして始まった販売、そこから俺たちは怒涛のごとく売りまくった。てんてこ舞いとはこのことだ。量り売りにしなくて、ほんと良かった。
カイルたちに列を整理してもらい、一人一セットという制約もつけ、余分にできたセットも含めて十五分もかからず完売となった。
「時間……余っちゃったね」
俺は屋台を片付けながら、ため息を吐く。
片付け……と言っても、俺たちの店はあらゆるものを強奪されたかのように空っぽだ。
屋台を拭くぐらいしかやることがない。そしてその仕事も、もうすぐ終わろうとしていた。
あと一時間半以上、どうしよう。
「フィル様、とりあえず集計したお金を、先生に預けに行きますか?」
カイルの言葉に俺は頷いて、レジにいたライラを振り返る。
そして、思わずビクッとなった。
ライラがお金を数えながら、ニヤニヤしていたからだ。
「九百ダイル以上儲かってるわ。材料費で使ってない分を合わせたら……ふふ、ふふふふ」
笑いが止まらない様子である。
「せめて一セット十ダイルだったら、もっと儲かっていたのに」
残念そうに言って、チラリと俺を見る。
ライラはクッキーの値段を十ダイルにすると主張したが、俺が九ダイルに抑えさせた。
一ダイルは、日本円で十円相当。
たかが一ダイル、されど一ダイル。
学生が作って売るのだから、儲けは出しつつも高くしたくはなかった。
「その分、次はもっといっぱいクッキー焼いて、販売セット多くするから」
俺が言うと、「ならば良し!」とばかりにライラはニヤリと笑った。
まさか、俺にそう約束させるために、値段のことを持ち出したのか?
少女でも、女性は恐ろしい。
「あああぁぁぁーっ!」
その時、大きな叫び声が聞こえてきた。
ん? 何だ?
見ると、俺たちの屋台の前で、男子生徒三人が膝から崩れ落ちている。
ネクタイや制服から見ると、中等部の三年生だ。名前まではわからないが、顔は見覚えがある。
何があったのか、制服は汚れており、頭や服に葉っぱをつけ、顔や手足に擦り傷ができていた。
「どうしました?」
屋台から出て男子生徒たちを覗き込むと、涙目になった顔を向けてくる。
「テイラ君。まさか……販売終わっちゃったのか?」
彼らの目は「嘘だと言ってくれ」と訴えている。だが、事実は変わらない。
「終わり……ました」
そう告げると、三人は脱力して地面に額をつける。見ただけで絶望を感じているとわかるくらい、彼らの嘆きは凄かった。
気づけば、テラスにいる生徒たちが、何事かと注目している。
俺の目の前でそんな姿勢されると、俺が先輩たちに土下座させている構図になるんだが……。
「どうしたらいいんだっ! シモンたちに約束してしまったというのにっ!」
熱血タイプなのか、一人の先輩が拳で地面を叩く。それを、メガネをかけた先輩が止めさせた。
「ジェイ、努力はしたさ……」
「ティム……だが、俺は責任者として……」
ジェイ先輩が言うと、一番傷の多い先輩が二人に向かって頭を下げる。
「本当にすまない! 俺の運が悪かったばかりにっ!!」
そう叫び、「うぉんうぉん」と泣き始めた。
「クリフ! 泣くな! 皆わかってくれる」
ジェイ先輩がクリフ先輩の肩を叩いて慰めるが、ティム先輩は俯きながらボソリと言った。
「いや、シモンはどうかな……」
慰めに顔を上げかけていたクリフ先輩は、ティム先輩の一言で再度地面に突っ伏す。
「同志たちがあんなに楽しみにしていたのにぃ!」
同志……?
何のことを言っているのかはわからないが、皆の分を買いに来たということか……?
だが、何らかのハプニングがあって、販売に間に合わなかったらしい。
俺は困り顔で、様子を窺っていたレイたちを振り返った。
……なんか事情がありそうだし、仕方ないよな。
今、先輩たちに渡せるものは、あれしかない。
こうしてエッグタルトは、先輩たちに譲られることになったのである――。
◇ ◇ ◇
日が射し込んで、ソファに座っているとポカポカと暖かい。
コハクは俺の肩で、うつらうつらと舟をこいでいた。落ちそうだったので、ポケットに入れてあげる。ムニャムニャとしたあと、すぐに寝息が聞こえ始めて、思わず笑ってしまった。
俺はコクヨウを優しく撫でながら言う。
「コクヨウ、ブラッシングしようか?」
微笑んでブラシを持った俺を、コクヨウが訝しげに見る。
【昨日やったばかりではないか。今は眠いから、遠慮する】
「寝ててもいいから! 癒されたいんだよ!」
欠伸をするコクヨウを、俺は優しく揺する。
だが、その揺らしが心地よかったのか、コクヨウは寝始めてしまった。
「あぁぁ! 起こすつもりが逆効果にっ!」
するとホタルが、そんな俺を見つめながら尻尾を振った。
【フィル様ブラッシングしたら癒されるです? なら、ボクもう一回されてもいいです】
すでにブラシをかけ終わって、毛がふわふわだというのに何ていじらしいっ!
「ありがとうね。ホタル」
俺はホタルを抱き上げ、優しく撫でる。
その時、ライラに小声で尋ねるトーマの声が聞こえてきた。
「ねぇ、ライラ。フィルはいったいどうしたの?」
ライラはため息交じりに呟く。
「現実逃避してるのよ」
「現実逃避? どうして?」
アリスの問いに、ライラは「実はね……」と皆に耳打ちした。
俺はその様子を、そっと横目で窺う。
「ぶはっ!!」
内容を聞いたレイが、思い切り噴き出した。
「……噴き出すことないじゃないか」
ホタルを抱きしめながら、半眼でレイを見る。
「だって、そりゃあ笑うだろう。俺が言った通りになったんだから」
ニヤリと笑うレイを見ながら、俺は先日の剣術の授業で起こったことを思い返す。
◇ ◇ ◇
――それは、剣術の授業が終わる少し前のことだった。
五試合して、俺の体はほどよく疲労していた。
若干寝そうになる自分を、頬をつねって覚醒させる。
ワルズ先生のボソボソ喋りが、眠気を誘うんだよなぁ。
早く帰ってお風呂に入りたい。でも、この状態だと、湯船で寝ちゃいそうだ。
欠伸をかみ殺す俺の前で、ワルズ先生がポイントの書いてある手帳を見ながら、皆に向かって話をしていた。
「えー先ほど、練習試合を行いまして……。警護につく人は、準決勝進出のウィリアム君と、シリル君。それから三回戦目で敗れましたが、戦い方の総合ポイントを見てビル君とします」
その発表にウィリアムは「やった」とガッツポーズをし、俺の隣にいたシリルはあわあわとする。ビルはすでに諦めていたらしく、名前を呼ばれて驚き、飛び跳ねて喜んだ。
「フィル君とカイル君が、すでに強いですからね……。鉱石学の生徒の護衛は、そのくらいの人数で大丈夫でしょう」
ワルズ先生はそう言って、チラリとこちらを見る。生徒たちも、納得した顔で頷いた。
「鉱石学の課外授業の場所に着くまでは、全員で護衛します。所定の場所についたら先ほどの三人は鉱石学の生徒を護衛し、他の生徒はいくつかの班に分かれ、少し移動して野外訓練を行います」
「班は自由に組んでいいのですか?」
アルベールの質問に、ワルズ先生は首を振る。そして、手帳を皆に見せるようにかざした。
「それはこれを見て、私が決めます。強さが偏るのを防ぐために総合ポイントから判断し、班のメンバーを振り分けます。次週、その紙を配りますので……」
あの手帳のポイントって、強さとかそういう総合的なものだったのか。
でも……俺の手加減具合や、カイルの笑顔でもポイント入ってたぞ?
精神的な何かも「総合」に含まれてるのか? 未だに謎が多い……。
掲げられた手帳を見ながら、俺は「うーむ」と腕を組む。
すると、そんな俺とワルズ先生の目が合った。
何故か、ワルズ先生の口の端が少しだけ上がる。
「実は……このポイントで、今度行われる学校対抗戦の候補も探しておりまして」
……ん? 学校対抗戦?
ドルガドとステアとティリアで行う、王立学校三校対抗のやつ?
いきなりの発言に、生徒たちはざわめく。先ほどまでうとうとしていた俺の目も、ぱっちり覚めた。
ま……まさか……。
ワルズ先生は、生徒をゆっくりと見渡す。
「一年の選抜メンバー候補として、カイル君、シリル君、フィル君を推薦したいと思います……」
生徒たちが大きな歓声を上げる中、俺はパッカンと口を開けた。
選抜メンバー候補? 学校対抗戦の?
俺とカイルは驚愕して顔を見合わせ、シリルは精神的にキャパシティオーバーなのか、頭を抱えて固まった。
「すごいよフィル君、もし選ばれたら最年少参加者になるよ!」
ウィリアムが俺の手を掴んで握手をする。
いや、俺は参加じゃなくて観戦する側がいいんだけど!
このままだと、前にレイが言っていたことが現実になってしまう。
こ、これは……これは断固拒否だ!
「で、でも! 先輩方がいますよね?」
俺が言うと、ワルズ先生は頷いた。
「えぇ、二、三年生からも候補は出すつもりです。他の科目の先生方もそれぞれの観点で候補を選びますが、剣術の観点から見た一年生の候補は君たちです」
「あ、あああ、あの、すみません! ぼ、僕、自信ありません」
シリルがテンパりながら、手を上げる。俺も便乗して、高々と手を上げた。
「僕もっ! 僕も自信ないので辞退します!」
周りの子が若干「シリルはともかく、フィル君嘘でしょ?」という顔をしているが無視だ。
ワルズ先生は俺とシリルの近くまで来ると、ポムと肩に手を載せた。
「大丈夫。君たちには、選抜候補に選ばれるだけの素晴らしい才能があります。私は自分自身には誇れる力がありませんが、唯一、生徒の才能を見極める自信だけはあります……」
ワルズ先生は口の端だけを、少し上げて笑った――。
◇ ◇ ◇
俺がそんな剣術の授業の一部始終を話し終えると、トーマはなるほどと頷いた。
「それで結局、拒否しきれなかったわけだ?」
レイは口を押さえて、笑いを堪える。
「やっぱりなぁ。対抗戦の種目によるとは思ったが、フィルやカイルは候補に挙がるんじゃないかと思ってたんだ」
予想が当たった、と口調が少し自慢げだ。
「それが理由で、フィルは現実逃避しているのね」
アリスは苦笑し、ライラは肩をすくめる。
「本当に目立つのが嫌いなのね。私はすごいことだと思うんだけど」
「そうよね。私もフィルやカイルの活躍するところ、見てみたいわ」
口に手を当てて、嬉しそうにアリスが微笑んだ。
俺だって、確かにすごいことだとは思う。
だが、学校に入って、すでにいろいろやらかしている俺だ。これ以上目立って、父さんの耳に入ることだけは避けたかった。
どうしよう。これをきっかけにいろんなことがばれたら……。
俺はホタルをもふもふしながら、ポツリと呟いた。
「やっぱり辞退しようかな……」
すると、レイが驚いて俺の隣に座る。
「何言ってんだよ。もし選抜に入ったら名誉なことだぜ? 一年生でしかも七歳なんて、過去に例がないんだからな」
「それはわかってるんだけどさ」
憂鬱な気分で、ため息を吐く。
「まだ候補でしょう? 通常は二、三年生が出場選手になるって聞くし、決まったわけじゃないわ」
アリスの慰めに、俺は力なく微笑む。
レイは顎に手を当てて、考えるポーズをとった。
「だけどさ。ワルズ先生が剣術の観点から選抜してるってことは、今回の対抗戦の種目って、戦闘系が入ってるのかな?」
その疑問に、カイルは眉を寄せて唸った。
「選抜メンバーを決める要素として、剣術や体術の技量を考慮しているのは間違いないだろうな。対抗戦の内容は詳しく教えてもらえなかったが、総合的なものが必要になるんだそうだ」
「それと今回は個人戦じゃなくて、団体で行うとも言っていたわよね」
ライラが補足すると、カイルは頷く。
そう言えばそんな話もしてたっけ。候補になったことがショックすぎて、うろ覚えだ。
「へぇ、今回は団体か。面白そうだなぁ!」
レイの表情がパァっと輝き、トーマも笑って頷いた。
「確かに、面白そうだよね。話に聞いたけど、開催国はお祭りみたいになるんでしょ?」
「そうよ。五年に一度だから、すごく盛り上がるらしいわ。うちの行商人たちも、露店を出したりするのよ」
ライラも楽しそうに微笑む。
お祭りはいいな。選抜で参加しないんだったら、絶対に楽しそうだ。
俺はコクヨウとホタルを、もふもふ撫でながら強く祈った。
どうか選抜選手になりませんように!
4
中等部男子寮にある自室のベッドの上で、コクヨウは俺に背を向けていた。
「コクヨウ? ほら、プリンだよー」
プリンを掲げて声をかけるが、コクヨウは一切反応しない。
わかりやすいくらいの、拗ねっぷりだ。プリンでつられないとは重症だな。
困ったなぁ。まさか、こんなに拗ねるとは思わなかった。
そんなに楽しみにしてたのか……。
俺は大きく一つ息を吐く。
◇ ◇ ◇
――事の起こりは、商学実技用のクッキー作成。
販売前日である昨日、俺たちは販売用のクッキーを大量に作っていた。
作った種類は三種類。プレーンのクッキーと、シャクの実のドライフルーツが入ったクッキーと、シャクの実のジャムクッキーだ。試作をしてみた結果、この三つを採用した。
プレーンが三枚、ドライフルーツ一枚、ジャム一枚で、五枚一袋。それを百セット。
焼いたり、 袋詰めしたりする際に割れることも想定して、多めに焼いておいたので、百セットに加えて余分に六セットできた。
本当、大変だったよ。ライラが予算ギリギリまで使ってクッキーを作るなんて言うから。レイは料理に関しては全然戦力にならないし……。
ちなみに割れたクッキーは売り物にはせず、ロス分としてメンバーに振り分ける予定だった。
しかし、そのまま食べるのはつまらないので、プレーンの分はリメイクするのはどうだろう、と皆に提案してみた。
砕けたクッキーでも、粉々にして牛乳やバターを混ぜて固めたら、タルト生地が作れるからな。
タルトをレイたちに食べさせてみたかったし、コクヨウのお土産にもいいかと思ったのだ。
皆の了承も得られたので、今日のクッキー販売の前に、空き時間を利用してエッグタルトを作った。
我ながら、とても美味しそうな出来だ。
割れたクッキーが少なかったので、小さめではあったけど仕方ない。
「じゃあ、ザクロ。エッグタルト頼むね」
氷亀のザクロにお願いして、食べるまでの冷蔵庫になってもらう。
【へいっ! オイラの命に代えましても!】
応援団が「押忍っ!」とやるみたいに、勢いよく頭を下げる。
「いや、ただ保冷しといてくれればいいから」
訂正を入れて、タルトの脇にザクロを座らせて箱を閉じた。
「すっげー楽しみっ!」
レイが大きく息を吐いて、箱を撫でる。いや、愛でる手つきだ。
「フィル君の作るものには、ハズレがないものね。美味しいんだろうなぁ」
甘いもの好きなライラは、うっとりと目を細めた。
トーマも大きく頷いて、微笑む。
「今日、頑張ったご褒美にしようっと」
皆の期待の高さに、俺は思わず笑う。
「もしそれで皆が気に入ったら、次回また作ってもいいよ。今回はエッグタルトだけど、その時は果物のタルトにしてもいいし」
それを聞いたレイのお腹が、絶妙なタイミングでグゥゥと鳴った。
「フィル……天才か!」
そのタイミングこそ、天才的だな。
やりとりを聞いていたカイルが、小さく噴き出す。
「そのためには、販売の実技を成功させなければな。準備を始めるぞ 」
カイルはそう言うと、ザクロとタルトが入った箱を、大事そうに持ち上げて歩き出した。
移動した先は、生徒がお昼を食べる際に使用する、中等部敷地内の中庭テラス。
そこが商学実技の行われる会場だった。
今回は商学の六班全てが『販売』を選択したので、テラスには各班が使用する屋台が並んでいる。
販売と言っても、商品は様々だ。雑貨を作って売る班もあれば、俺たちのように食べ物を扱う班もある。
商学の授業時間二時間が、まるまる実技に使われるので、生徒たちは休み時間から準備に取りかかっていた。
俺たちはすでにクッキーの袋詰めを終わらせており、のんびり会場に向かっていたため、準備を始めたのは六班のうち最後だ。
袋詰めは大変だったけど、屋台には並べるだけだから良かったよな。量り売りも考えたが、慣れない作業で量とか金額とか間違えたら、トラブルになってしまうし。
「並べきれないのは、とりあえず後ろの箱に入れとくわ。店頭分がなくなってきたら合図するから、追加をお願いね」
ライラの指示を受け、カイルとレイが返事をした。
役割としては、俺とトーマが店頭販売の接客。ライラがレジ。カイルとレイはお客さんの誘導や、雑用などだ。一応、各役割によって、どう動くのかシミュレーションはしてある。
屋台にクッキーを並べ終える頃、カイルが俺を呼んだ。
「あのフィル様、ちょっといいですか?」
「何?」
「会場の様子がおかしいんですけど……」
おかしい?
カイルに言われて、俺を含めた皆が辺りを見回す。
準備を始める前から、テラスにはちらほら人が集まっていたのだが、いつの間にかその数が増え、俺たちの屋台に近づいてきていたのだ。
他の屋台の生徒たちも、それに気づいてざわめいている。
え……何でまだ始まってもいないのに、皆少しずつ近づいて来てるんだ?
様子を見ていると、その人たちはお互い牽制し合いながらにじり寄っているようだ。
「うちのお客さんかな?」
トーマが首を傾げ、レイは訝しげに眉を寄せる。
「それにしたって、多すぎないか……?」
「デュラント先輩の宣伝効果かしら」
ライラはニマニマと上がる頬を手で押さえる。
「中等部だけじゃないな。初等部や高等部の生徒もいる」
カイルは大きく息を吐く。そして俺たちはお互いの顔を見合わせた。
「困ったね……」
俺が低く呟くと、皆がコックリと頷く。
そう。困った。準備を重ね、満を持しての販売だったのだが……。
「予算の関係上、百セットにしたけど……。やっぱり足りないわよね。予算さえあればっ!」
ライラが悔しそうに言って、にじり寄る生徒たちを見やる。もうすでに六十人はいそうだった。
しばらくして始まった販売、そこから俺たちは怒涛のごとく売りまくった。てんてこ舞いとはこのことだ。量り売りにしなくて、ほんと良かった。
カイルたちに列を整理してもらい、一人一セットという制約もつけ、余分にできたセットも含めて十五分もかからず完売となった。
「時間……余っちゃったね」
俺は屋台を片付けながら、ため息を吐く。
片付け……と言っても、俺たちの店はあらゆるものを強奪されたかのように空っぽだ。
屋台を拭くぐらいしかやることがない。そしてその仕事も、もうすぐ終わろうとしていた。
あと一時間半以上、どうしよう。
「フィル様、とりあえず集計したお金を、先生に預けに行きますか?」
カイルの言葉に俺は頷いて、レジにいたライラを振り返る。
そして、思わずビクッとなった。
ライラがお金を数えながら、ニヤニヤしていたからだ。
「九百ダイル以上儲かってるわ。材料費で使ってない分を合わせたら……ふふ、ふふふふ」
笑いが止まらない様子である。
「せめて一セット十ダイルだったら、もっと儲かっていたのに」
残念そうに言って、チラリと俺を見る。
ライラはクッキーの値段を十ダイルにすると主張したが、俺が九ダイルに抑えさせた。
一ダイルは、日本円で十円相当。
たかが一ダイル、されど一ダイル。
学生が作って売るのだから、儲けは出しつつも高くしたくはなかった。
「その分、次はもっといっぱいクッキー焼いて、販売セット多くするから」
俺が言うと、「ならば良し!」とばかりにライラはニヤリと笑った。
まさか、俺にそう約束させるために、値段のことを持ち出したのか?
少女でも、女性は恐ろしい。
「あああぁぁぁーっ!」
その時、大きな叫び声が聞こえてきた。
ん? 何だ?
見ると、俺たちの屋台の前で、男子生徒三人が膝から崩れ落ちている。
ネクタイや制服から見ると、中等部の三年生だ。名前まではわからないが、顔は見覚えがある。
何があったのか、制服は汚れており、頭や服に葉っぱをつけ、顔や手足に擦り傷ができていた。
「どうしました?」
屋台から出て男子生徒たちを覗き込むと、涙目になった顔を向けてくる。
「テイラ君。まさか……販売終わっちゃったのか?」
彼らの目は「嘘だと言ってくれ」と訴えている。だが、事実は変わらない。
「終わり……ました」
そう告げると、三人は脱力して地面に額をつける。見ただけで絶望を感じているとわかるくらい、彼らの嘆きは凄かった。
気づけば、テラスにいる生徒たちが、何事かと注目している。
俺の目の前でそんな姿勢されると、俺が先輩たちに土下座させている構図になるんだが……。
「どうしたらいいんだっ! シモンたちに約束してしまったというのにっ!」
熱血タイプなのか、一人の先輩が拳で地面を叩く。それを、メガネをかけた先輩が止めさせた。
「ジェイ、努力はしたさ……」
「ティム……だが、俺は責任者として……」
ジェイ先輩が言うと、一番傷の多い先輩が二人に向かって頭を下げる。
「本当にすまない! 俺の運が悪かったばかりにっ!!」
そう叫び、「うぉんうぉん」と泣き始めた。
「クリフ! 泣くな! 皆わかってくれる」
ジェイ先輩がクリフ先輩の肩を叩いて慰めるが、ティム先輩は俯きながらボソリと言った。
「いや、シモンはどうかな……」
慰めに顔を上げかけていたクリフ先輩は、ティム先輩の一言で再度地面に突っ伏す。
「同志たちがあんなに楽しみにしていたのにぃ!」
同志……?
何のことを言っているのかはわからないが、皆の分を買いに来たということか……?
だが、何らかのハプニングがあって、販売に間に合わなかったらしい。
俺は困り顔で、様子を窺っていたレイたちを振り返った。
……なんか事情がありそうだし、仕方ないよな。
今、先輩たちに渡せるものは、あれしかない。
こうしてエッグタルトは、先輩たちに譲られることになったのである――。
◇ ◇ ◇
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