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彼は全ての始まりにして創造主であった。 彼が宙を仰ぎ見れば空間の誕生と共に竜が舞い、彼が歩んだ跡には星と大地が生まれた。そして孤独な彼の涙は海となった。 創造主である彼にとって行き先は何処にでもあり、何処にも無かった。 一歩踏み出すと地面からは生命が湧き出た。 それを見た彼が声を発すると言霊が生まれた。 つまり彼自身が「世界」であり、多種多様な生命が存在する空間で彼はそれでも独りであった。 彼は寂しさから自らを真似て特別な生命をいくつも創ったが、それらはやがて自我を持ち争いの歴史を刻む種族の始祖となった。 創造主は酷く失望し、自らを始祖たちと共に世界の各地に封印した。 しかし始祖たちの力は非常に強く、長い時間の流れと共に封印は解かれてしまった。 以後世界は始祖同士の争いが絶えず荒廃の一途を辿っていた。 生命の源である水資源が枯れ始め、 全ての種族は救いを求めるため水が無限に沸くとされる「創造主の涙」を探し新大陸に上陸、そこでも資源の奪い合いを始めた。
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文字数 19,579 最終更新日 2019.02.13 登録日 2018.11.18
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