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「明日高校始まるな!後で庭で制服着て三人で写真とらない?」 と母の酒臭い真月が。 「いいね!あと数分で家に着くから、真月は酔いを覚ましといてよね」 と父の太陽が。 この名前は陰と陽。しかし性格は陽と陰。 そんな親を持った俺、陽真。 父の太陽と母の真月の名前を合わせると 太陽真月 父と母の名前の中には陽真とある。それが俺の名前の由来だってさ。 「お父さん事故らないでよね!」 とフラグのようなことを言ってしまった。 急に目の前が暗くなった。 今日は五月の十三日だった。俺はその一瞬で誕生日でもない、めでたいことがあった日でもない、新しく惨憺な日になった。皆にとっては普通の日、誕生日の人はさぞかし嬉しいだろう。 五月十三日、両親が死んだ。トラックとの衝突事故だった。僕は不思議と涙が出て来なかった。何故だろう。さっきまで笑っていて、さっきまで楽しく話していたのに。事故が起きた時の記憶が無い。起きるまで何を話したのかもさえ分からない。楽しかったことだけ覚えている。悲しい。悲しいことは分かるのに涙が出てこない。まだ実感が無いのか。まだお父さんとお母さんはどこかにいるんだ。と、思っていた。すると足元に赤い液体が雨とともに流れてきた。なぜ雨は赤いのか最初は分からなかった。あぁ、そうか。もうお父さん達はもういないんだ。両親の死をやっと感じた。 「なんで。なんでお父さん達だけ死んじゃうの。置いてかないでよ。また笑ってよ。またどっか連れてってよ」 ーーーーブチッーーーー 何かが切れた。
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文字数 8,550 最終更新日 2021.08.17 登録日 2021.08.17
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