濁流

濁流

小説かくパンダ/黒川清流
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キャラ文芸 完結 長編
人生の節目で、人はなぜ本を手放すのか。 路地裏の古書店で交わされる、売る理由と残される余白。 路地裏にある、小さな古書店。 看板は古く、営業日も不定で、常連と呼べる客はいない。 それでも、この店にはなぜか「訳あり」の客ばかりが訪れる。 離婚を決めた帰りに本を抱えてくる人。 もう会えない相手の蔵書を処分しに来る人。 人生の整理がつかないまま、紙袋を下げて立ち尽くす人。 店主は、客の事情を深く聞かない。 慰めもしなければ、助言もしない。 ただ、本の状態を確かめ、静かに値段を告げるだけだ。 けれど、本には、前の持ち主の時間が、ほんのわずかに染みついている。 それは声になるほどはっきりせず、説明できるほどの不思議でもない。 それでも、確かに「残っている」。 本を売るという行為は、何かを終わらせることなのか。 それとも、別の形で残すことなのか。 この古書店では、人生は救われない。 大きな奇跡も起きない。 ただ、誰かが少しだけ決断をして、店を出ていくだけだ。 それでも、今日も店は開いている。 訳あり客を迎えるために。
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小説 21,997 位 / 21,997件 キャラ文芸 303 位 / 303件
登録日 2025.12.26
キャラ文芸 完結 長編
忘れられて死んだ神様の遺品、片づけます。  京都の路地裏には、地図に載らない「終わり」がある。参拝されなくなり、名前を呼ばれなくなり、静かに薄れて死んでいく神様たち。残るのは祠でも奇跡でもなく、鈴、札、帳簿、絵馬――“遺品”だけ。  遺品整理屋・三条朔は、触れた物に残る「最後の記憶」だけを視る。幸せな頃は見えない。見えるのはいつも、終わる直前。誰にも選ばれなかった瞬間。  朔は優しい言葉が言えない。生きている人間の感情が、どうしても分からない。その代わり、終わりだけは歪ませない。供養ではなく、記録として残し、危険な遺品は封じる。救済ではなく後始末――だからこそ、神様は最後にだけ正直になる。  相棒は名を持たない古い神・一条。皮肉屋で口が悪いのに、朔の仕事だけは止めない。けれど最近、神様の「死に方」が汚い。誰かが終わりを掘り返し、歪ませ、利用し始めている。  これは、京都で消えた神様の遺品を片づけながら、“生きている人の終わり”にまで手を伸ばしてしまう物語。静かな怪異と、欠落の余韻で読ませる連作短編。
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登録日 2025.12.26
キャラ文芸 完結 長編
真実は人を殺す。嘘だけが救う。  この街では、「本当のこと」を言うと人が死ぬ。事故のように見える転落、心臓の停止、あるいは炎上と失職――生きていても、社会的に“死ぬ”。だから住民は黙り、噂を飲み込み、正しさを口にしない。  元・調査報道記者の三枝真琴は、その沈黙が許せない。真実は隠すものじゃない。語られなければ、救えない。そう信じてきた。けれど、真琴が真実を追うほど、誰かの呼吸が浅くなり、生活が崩れ、命が削れていく。  路地裏の社に棲む“嘘つきの神さま”は言う。「真実は、人を壊す。嘘でしか救えない夜がある」。神は人の言葉を奪い、真実を嘘へと変換し、街を“生かして”きた。  正しさを貫く記者と、嘘で救う神。どちらも人を守りたいのに、手段がぶつかる。  真琴は決める――嘘の支配を終わらせるために、神を殺す。ただしそれは刃ではなく、「真実を受け取れる場所」を作ることで。真実が武器にならない語り方はあるのか。正しさは、誰を救い、誰を殺すのか。  これは、“真実”と“嘘”のどちらが優しいかを問う物語ではない。あなたが今夜、言いたくても言えなかった言葉の、続きの物語だ。
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登録日 2025.12.26
キャラ文芸 完結 長編
「救われない。でも、忘れられない店がある。  その店に入れるのは、  一度は「死」を考えたことのある人間だけ。  路地の奥、看板のない食堂。  そこでは料理が、感情で作られている。  後悔、執着、怒り、そして空白。  出されるのは、人生を“よくする”料理じゃない。  ただ、感情を切り分けるための一皿だ。  店主のあやかしは言う。  「生きろとは言わない。死ぬなとも言わない。   ここは台所だ。吐くなら吐け」  主人公・真白は、  生き延びたことを「失敗」だと思っている青年。  気づけばこの店で皿を洗い、  他人の後悔を“出す側”になっていく。  ――だが、料理には代償がある。  救われないまま、欠けていくものがある。  この店は、希望をくれない。  それでも読後に残るのは、  「それでも、まだ終わらせなくていい」という  曖昧で、逃げ場のない感覚。  癒しではない。  説教でもない。  それでも忘れられない、感情処理の物語。
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登録日 2025.12.26
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