水川楸《みなかわひさぎ》

水川楸《みなかわひさぎ》

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 人は誰だって夢を見る。悪夢、予知夢、明晰夢、警告夢······。  しかしながら、そのどれもが現実とは関わりつつも、どうしたって現実での出来事足り得ない。夢で見たものは全て虚構なのだ。  ───これは、夢を見る少年少女が綴る、もう一つの世界での日記。  古より語り継がれる逸話でも、ましてや英雄譚でもなく、ただ騒がしく慌ただしい日常が綴られた名前の無い夢日記である。  ある日目を覚ますと、そこはいつもの風景ではなかった。  ゲームのような雰囲気を纏った世界に加えて、耳の尖った女性や全身毛むくじゃらの大男、そして剣や防具などの武装を施した人間たち。  「これって······"異世界転生"ってやつ······?」  突如として異世界へ転生してしまった男子高校生、赤城慎也。  そこは『冒険者の国』と呼ばれる非現実的な辺境だった。  「冒険者ギルド······」  生計を建てるべく、冒険者になることを決意した慎也。魔法の才能も無ければ、戦闘の技術もない。  無能と呼ばれた慎也の異世界冒険ライフが始まった······かと思われたのだが。  「······あれ、夢?」  目を覚ますといつもの光景が広がっていた。  「元に戻った······のか?」  皆目見当もつかないまま、普段と変わらない一日を過ごした慎也。  (目が覚めてから変わったことは特に無い······やっぱり、あれは夢だったのか)  しかし、眠りについた慎也の足は、再び異世界の地に降り立っていた。  「一体何がどうなってるんだ······」  冒険者として初のクエストを終え、一人街から外れた公園で一人悩んでいたところで、とある出会いを果たす。  「綺麗ですよね、この公園から見える街並み。私、結構好きなんです」  「お前······もしかして、榛名か?」  声を掛けたのは、慎也と同じ学校に通う榛名真昼だった。  彼女はなんと、上級職の冒険者の魔法使いであり、そして慎也と同じ境遇にいた唯一の少女だった───  ───これは、繋がるはずのない平行世界を『眠る』ことで行き来する"特異体質"を持ってしまった、二人の少年少女の物語。  冒険をしたり、勉強をしたり、魔法を使ったり、友達と遊んだり······とにかく何もかもが騒がしいスローライフを綴った、名前の無い夢日記である。
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文字数 1,141 最終更新日 2021.03.21 登録日 2021.03.21
ライト文芸 連載中 ショートショート
 人は誰だって夢を見る。悪夢、予知夢、明晰夢、警告夢······。  しかしながら、そのどれもが現実とは関わりつつも、どうしたって現実での出来事足り得ない。つまりは、夢で見たものは全て虚構なのだ。  それ故、人々は夢に対してやや楽観的で、「昨日こんな夢を見たんだ〜」と日々の会話の中に多少刷り込まれる程度としか捉えられていない。  では、もし夢での出来事が現実だったならば、あるいは夢の世界が本当に存在するならば、果たして日常はどのように変化するのだろうか。  否、変化しない。夢と現実はえてして平行であり、交わることはない。  ───これは、夢を見る少年少女が綴る、ひたすらだらけた日常を記した日記。  古より語り継がれる逸話でも、ましてや英雄譚でもない。  そう、ただの日常を描いたSS【ショートストーリー】なのであるっ!
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文字数 1,623 最終更新日 2021.02.12 登録日 2021.02.12
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