和州さなか

和州さなか

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ファンタジー 連載中 長編 R15
 ペルシュは一人、林を歩いていた。  何も面白いことはない、見飽きた景色だ。生えている木も、積もった落ち葉も。  いつもの場所のいつもの丸太に腰掛ける。 「どこか知らない場所に行きたいなあ」  小さな空を見上げる。木の葉のさざめき以外、何も応えないーーはずだった。 「知らない場所って、どこに?」  後ろで声がした。  意地悪な子どもたちがからかいにきたのかと、目を吊り上げて振り返ると。見ない顔の少年が、ペルシュを通り過ぎて林の出口へ向かって行くところだった。 「待って! はじめて会うね。どこから来たの?」 「質問に答えないやつの質問には答えない」  会ったばかりなのに、ペルシュのことが嫌いなような目をしている。  どうしてだろう、とペルシュは考える。 「わかった、質問に答えるね。知らない場所っていうのはさ、つまり...冒険だよ」 「冒険?」 「この前、教わったんだ。冒険っていう言葉を。行ったことがない場所や、安全じゃない場所に出かけることだよ」  すると、 「ふうん...」  と、彼の表情が和らいだ。  同じ地区の意地悪な子どもたちのように、笑ったり、嫌なことを言ってこない。  ペルシュは嬉しくなった。 「ねえ、君も冒険がしたい?」
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文字数 78,891 最終更新日 2025.12.15 登録日 2025.11.08
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