一ノ瀬 樹里

一ノ瀬 樹里

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現代文学 連載中 短編
桜桃忌(おうとうき) ――令和の太宰と呼ばれた男は、私の人生を盗んだ――
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文字数 10,159 最終更新日 2026.06.16 登録日 2026.06.16
恋愛 完結 短編
「お前の代わりなどいくらでもいる」 五年間、夫である伯爵家のために領地経営と商会運営を支え続けてきたカトリーナ・ルミナスは、夜会の席で夫レナードから突然の離縁を告げられる。 隣には新しい恋人であり、次の妻となる従妹フィオナ。 「愛のない結婚は終わりだ」 「お前の代わりなどいくらでもいる」 そう言われても、カトリーナは泣かなかった。 ただ静かに微笑み、 「かしこまりました。では契約通り、私のものをすべて引き上げます」 と告げ、トランク一つで屋敷を去る。 翌朝。 王立銀行から融資停止の通知。 商会から売掛金の一括回収要求。 取引先からの契約解除。 伯爵家の資金繰りは、たった一日で崩壊した。 なぜなら、伯爵家の莫大な信用も、融資枠も、取引口座も――すべて、妻カトリーナの名義と、実家ルミナス侯爵家の信用の上に成り立っていたから。 「なぜだ! 私は伯爵だぞ!」 怒鳴るレナード。 しかし、帳簿を開いても、金庫を開いても、そこにあるのは借金と返済期限だけ。 三日後。 領地は差し押さえられ、屋敷は競売へ。 そして王都中の貴族が見守る競売場に現れたのは、黒いドレスをまとったカトリーナだった。 「私の代わりなどいくらでもいる――そうおっしゃいましたね」 「ええ、その通りです」 「ですが、私の信用の代わりは、この国に一つもありませんの」 愛を軽んじた伯爵が失ったのは、妻ではない。 自分を伯爵たらしめていた、たった一人の『信用』だった。 契約書と帳簿だけを武器に、冷徹な会計令嬢が高慢な伯爵を追い詰める。 これは、 愛を知らなかった男の破滅と、 愛されなかった女が、自分の価値を取り戻す物語。
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文字数 20,484 最終更新日 2026.06.16 登録日 2026.06.16
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