Itsuki_zero

Itsuki_zero

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恋愛 連載中 短編 R15
高校最後の一年。 五木樹(いつき いつき)は、綾江(あやえ)という少女と出会う。 人を自然と惹きつける不思議な魅力と、眩しいほどのエネルギーを持つ彼女は、樹の人生に現れ、彼が「絶対に変わらない」と思っていた何かを少しずつ揺らし始めた。 今、二人は同じ学校に通っている。 その場所は、樹が長い時間をかけて、自分に言い聞かせながら生きてきた場所でもあった。 面倒なことには深入りしない。 誰かに必要以上に踏み込まない。 そして、これ以上傷つかないために、必要以上の感情を持たない。 ――なぜなら、感情に関しての樹は、とても不器用な人間だからだ。 彼の過去は、本人が認めている以上に深く彼を傷つけていた。 言葉を口にする前に考えすぎてしまう。 傷つくくらいなら、何も言わない方を選ぶ。 たとえ自分が苦しむことになっても、「正しいこと」を優先してしまう。 それが、彼の欠点だった。 樹は、自分でも抜け出し方のわからない倫理観に縛られて生きている。 いつだって他人を優先し、 いつだって自分の気持ちを押し殺し、 そのたびに、大切な何かを失っていく。 ――そして、綾江がいる。 彼女といる時だけは、無理に自分を偽らなくていいと思えた。 安心できる存在。 けれど同時に彼女は、樹が必死に保っていた「均衡」を少しずつ壊していく。 だが、彼のそばにいるのは綾江だけではない。 彼の人生には、ずっと離れずにいた存在がいる。 幼なじみであり、親友であり、唯一変わらなかった人。 樹が何も言わなくても理解してしまう彼女は、どんな小さな変化さえも、簡単には終わらせてくれない。 そして、単純だったはずの日常は、静かに形を変え始める。 それは、ただの選択じゃない。 噛み合わない視線。 言葉になれない想い。 何の前触れもなく現れて、それでも無視できなくなってしまう存在。 樹は、「正しくあろう」とする。 本気で、そうしようとしている。 ……けれど、“正しさ”にしがみつけばしがみつくほど、 彼は少しずつ、自分自身を見失っていく。
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文字数 8,451 最終更新日 2026.05.10 登録日 2026.05.10
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