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BL 完結 長編
魔物討伐の折に大ケガをしたラウ・ファン・アスは、快癒を機に久しぶりに酒場に姿を現した。氷雪の魔物退治に出て死んだとされていた彼の登場に酒場は沸き、ラウも久しぶりの酒の味を味わった。 しばらくすると、酒場に似つかわしくない子どもが一人、ひょこりと入り込んでラウのそばで止まった。訝しむラウに、子どもはようやく見つけたと破顔した。 氷雪の魔物から助けてもらったと言う子どもに、ラウは覚えがなかったが、記憶を巡らせようやく思い出す。 豊かな銀の毛並みを逆立て、低く哭くように唸っていた。火がついたような色なのに、怯えと哀しみと驚愕が混在した翠の目をした子狼を。 思い出したラウに、子どもは言う。 ラウのケガは、氷雪の魔物の毒が抜けないと治らない。恩返しにラウに埋まる毒を中和する、と。 そう気合に満ちた顔を向け、子どもはそれで……、と笑顔で続けた。 「体が治ったら、僕を殺してください」
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文字数 68,145 最終更新日 2020.09.30 登録日 2020.08.16
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